◎「ぬみ(要点・要地)」

「ねいみ(値い見)」。「い」は指示代名詞のようなそれ(その項)。「ねいみ(値い見)→ぬみ」は、価値それを見ること・もの。ものごとの要点、活動の要地。「ぬま(要点・要地)」(5月13日)とほとんど意味は変わらない。

「賊虜(あた)の據(を)る所(ところ)、皆(みな)是(これ)要害(ぬみ)の地(ところ)なり」(『日本書紀』)。

「日本(やまと)の軍將等(いくさのきみたち)に會(あ)ひて、事機(ことはかり)の要(ぬみ)とする所(ところ)を相謀(あひはか)るべからくのみ」(『日本書紀』)。

 

◎「ぬめり(滑り)」(動詞)

「ぬるぬる」や「ぬらぬら」という擬態表現がある。この「ぬ」は、口内での、舌と上顎の接触感触とれ自体による発音によるものですが、これによる動態表現が「ぬるみ」(語尾は「うるみ(潤み)」「ゆるみ(緩み)」などのそれに同じ)。それが完了の助動詞「り」で表現され「ぬるめり」。「る」の子音が退行化し「ぬめり」。意味は、「ぬるぬる」「ぬらぬら」した動態が客観的に現れること。動態や言動が「ぬらりぬらり」と、どこかへ向かっていたりどこかにとどまったりするわけでもないものであることもいう。

「ぬめる物。鰻、糸巻、蛞蝓(なめくじり)、練絹、裸、女房の風呂」(「仮名草子」『犬枕』)。

「夢の浮世をぬめろやれ、遊べや狂へ皆人と、世にあり顔はうらやまし」(「仮名草子」『恨の介』)。