「そしヲロ(殺し悪露)」。「そし」はなにかを期待動態とは逆の動態にすること、なにかを不存在化させること→「そし(殺し・過し)」の項(7月16日)。「ヲロ(悪露)」は、現代では、出産後、子宮などが原状を回復するまでに分泌される分泌物を言いますが、これは語の応用発展であり、元来は仏教系の語であり、身体から出る、汚れた印象の分泌物や排出物を言う(下記※)。「そしヲロ(殺し悪露)」、すなわち、期待動態とは逆の動態にしている汚れた印象の排出物、とはなにかというと。(鷹狩りなどの)鷹が吐き出す未消化の毛の固まりのようなものを言う。なぜ期待動態に逆行するかというと、そこには鳥の羽もあり、鳥が鳥を食うことはとも食い、自己食いの印象があるからです。しかもその食いかすのようなそれは、肛門からではなく、口から出る。
「𠷏 ……和名曽々呂 鷙鳥食已吐其毛如丸也」(『和名類聚鈔』羽族部第二十八 羽族體)。
※ 「汝(なんぢ)今亦(いままた)可自厭生死老病痛苦(みづから生・死・老・病の痛苦を厭ふべし)。惡露不淨無可樂者(悪露(をろ)不浄にして楽しむべきものなし)。宜自決斷(よろしくみづから決断して)………修己潔體(おのれを修めて体を潔くし)洗除心垢(心垢を洗除し)…」(『佛説無量壽經』)。