源氏イラスト訳【若紫238】惟光
例の御供に離れぬ惟光なむ、
「故按察使大納言の家にはべり。一日、もののたよりに、とぶらひてはべりしかば、…」
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【源氏物語イラスト訳】
例の御供に離れぬ惟光なむ、
訳)いつものお供として側を離れない惟光が、
「故按察使大納言の家にはべり。
訳)「亡き按察大納言の家でございます。
一日、もののたよりに、とぶらひてはべりしかば、
訳)先日、何かのついでに、訪問してみましたところ、
【古文】
例の御供に離れぬ惟光なむ、
「故按察使大納言の家にはべり。一日、もののたよりに、とぶらひてはべりしかば、…」
【訳】
いつものお供として側を離れない惟光が、
「亡き按察大納言の家でございます。先日、何かのついでに、訪問してみましたところ、…」
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■【例(れい)の】…いつもの。いつものように
■【御供】…光源氏のお供
※【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【に】…資格の格助詞
■【離(はな)れ】…ラ行下二段動詞「離る」未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【惟光(これみつ)】…光源氏の腹心の従者。乳母子
■【なむ】…強意の係助詞
■【故(こ)】…亡き
■【按察使大納言(あぜちのだいなごん)】…尼君の亡き夫
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【はべり】…丁寧の補助動詞(惟光⇒光源氏)
■【一日(ひとひ)】…先日。ある日
■【もののたより】…ちょっとしたついで
※【もの(物)】…何か
※【の】…連体修飾格の格助詞
※【たより】…ついで
■【に】…時を示す格助詞
■【とぶらふ(訪ふ)】…訪問する
■【て】…単純接続の接続助詞
■【はべり】…ラ変動詞「はべり」連用形
※【はべり】…丁寧の補助動詞(惟光⇒光源氏)
■【しか】…過去の助動詞「き」已然形
■【ば】…順接確定条件(偶然条件)の接続助詞
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「惟光(これみつ)」というのは、
光源氏の乳母子(めのとご:乳兄弟)で、
腹心の従者です。
「惟」とは、
漢文では「たダ~ノミ」と読みますよね。
ただ「光源氏」のみ――
今回も、光源氏のために、
命令が下る前に、尼君の状況を調べてくれてたみたいですね!