源氏イラスト訳【若紫239】尼
「…かの尼上、いたう弱りたまひにたれば、何ごともおぼえず、となむ申してはべりし」と聞こゆれば、
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【源氏物語イラスト訳】
「…かの尼上、いたう弱りたまひにたれば、
訳）「…あの尼上は、ひどく衰弱なさってしまっていたので、
何ごともおぼえず、
訳）どうして良いかも分からない、
となむ申してはべりし」と聞こゆれば、
訳）と 申し上げておりました」と申し上げると、
【古文】
「…かの尼上、いたう弱りたまひにたれば、何ごともおぼえず、となむ申してはべりし」と聞こゆれば、
【訳】
「…あの尼上は、ひどく衰弱なさってしまっていたので、どうして良いかも分からない、と 申し上げておりました」と申し上げると、
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■【かの】…あの
■【尼上（あまうえ）】…若紫の祖母。故按察使大納言の北の方
■【いたう】…ク活用形容詞「いたし」連用形ウ音便
※【いたし】…ひどい
■【弱り】…ラ行四段動詞「弱る」連用形
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞（惟光⇒尼上）
■【に】…完了の助動詞「ぬ」連用形
■【たれ】…完了（存続）の助動詞「たり」已然形
■【ば】…順接確定条件（原因・理由）の接続助詞
■【何ごと】…どのようなこと
■【も】…強意の係助詞
■【おぼえ】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」未然形
※【おぼゆ】…思われる。感じる
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【なむ】…強意の係助詞
■【申し】…サ行四段動詞「申す」連用形
※【申す】…「言ふ」の謙譲語（惟光⇒光源氏）
■【て】…単純接続の接続助詞
■【はべり】…丁寧の補助動詞（惟光⇒光源氏）
■【し】…過去の助動詞「き」已然形
■【と】…引用の格助詞
■【聞こゆれ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」已然形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語（作者⇒光源氏）
■【ば】…順接確定条件（偶然条件）の接続助詞
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若紫の祖母である「尼上」は、
北山から京へ戻った、とのことでしたが、
どうやら病気がさらに重くなっていたようですね。
「尼上」と「惟光」が、直接話すことは
身分的にはありえませんので、
ここは、尼上お付きの女房に、惟光が話を聞いたのでしょう。
ラストの「申し」という謙譲語からも、
申していたのは、身分の高くない人――
ということが分かりますね！
