源氏イラスト訳【若紫240】叱責
「あはれのことや。とぶらふべかりけるを。などか、さなむとものせざりし。入りて消息せよ」
とのたまへば、
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【源氏物語イラスト訳】
「あはれのことや。
訳)「気の毒なことだなぁ。
とぶらふべかりけるを。
訳)お見舞いするべきだったのに。
などか、さなむとものせざりし。
訳)どうして、そう と言わなかったのか。
入りて消息せよ」とのたまへば、
訳)入って行って、取り次ぎをせよ」とおっしゃるので、
【古文】
「あはれのことや。とぶらふべかりけるを。などか、さなむとものせざりし。入りて消息せよ」
とのたまへば、
【訳】
「気の毒なことだなぁ。お見舞いするべきだったのに。どうして、そう と言わなかったのか。入って行って、取り次ぎをせよ」
とおっしゃるので、
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■【あはれ】…しみじみわき上がってくる気の毒な気持ち
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【や】…詠嘆の間投助詞
■【とぶらふ(訪ふ)】…訪問する。見舞う
■【べかり】…当然の助動詞「べし」連用形
■【ける】…過去の助動詞「けり」連体形
■【を】…逆接の接続助詞
■【など】…どうして
■【か】…疑問の係助詞
■【さなむ】…そういう事情であった(尼君が重篤である)
※【さ】…指示副詞
※【なむ】…強意の係助詞
■【と】…引用の格助詞
■【ものせ】…サ変動詞「ものす」未然形
※【ものす】…代動詞。ここでは「言う」の意
■【ざり】…打消の助動詞「ず」連用形
■【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【入(い)り】…ラ行四段動詞「入る」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【消息(せうそこ)】…手紙
■【せよ】…サ変動詞「す」命令形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」已然形
※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件(原因・理由)の接続助詞
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若紫の祖母である「尼上」が重篤であったことを聞き、
光源氏は、哀惜を覚え、
もっと早く伝えてほしかった、と惟光を叱っています。
「惟光」ともあろう従者が
どうして、こんな大切なことを、光源氏に伝えていなかったのでしょうかね?