【若紫106-3】古文単語「ものごはし」☆
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、語感のイメージで想像する古語☆
【今回の源氏物語】
「…かの祖母に語らひ侍りて聞こえさせむ」と、すくよかに言ひて、ものごはきさましたまへれば、若き御心に恥づかしくて、えよくも聞こえたまはず。
――――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――――
■【かの】…あの。例の
■【祖母(おば)】…祖母
■【に】…対象の格助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」未然形
※【きこゆ】…「言ふ」の謙譲(僧都⇒光源氏)
■【させ】…使役の助動詞「さす」未然形
■【む】…意志の助動詞「む」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【すくよかに】…ナリ活用形容動詞「すくよかなり」連用形
※【すくよかなり】…そっけない。無愛想である
■【言ひ】…ハ行四段動詞「言ふ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ものごはき】…ク活用形容詞「ものごはし」連体形
※【ものごはし】…なんとなく堅苦しい。何かうちとけない
■【さま】…様子
■【し】…サ変動詞「す」連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒僧都)
■【れ】…存続の助動詞「り」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【若き】…ク活用形容詞「若し」連体形
■【御心】…お心。お気持ち
■【に】…場所の格助詞
■【恥づかしく】…シク活用形容詞「恥づかし」連用形
※【恥づかし】…気恥ずかしい
■【て】…単純接続の接続助詞
■【え~ず】…~できない
※【え】…不可能を示す陳述の副詞
※【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
■【よく】…十分に。うまく
■【も】…強意の係助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」未然形
※【きこゆ】…「言ふ」の謙譲(作者⇒僧都)
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◇ 今回は「れ」にも注意しましょ♪
―――――――――――――――
☆ 本日の古文単語「ものごはし 」☆
―――――――――――――――
「…かの祖母に語らひ侍りて聞こえさせむ」と、すくよかに言ひて、ものごはきさましたまへれば、若き御心に恥づかしくて、えよくも聞こえたまはず。
問)次の傍線部の説明として最も適当なものを1つ選べ。
1.なんとなくうち解けない様子だったので
2.なんとなく寂しそうな様子だったので
3.なんとなくうしろめたい様子だったので
4.なんとなく怒ったような様子だったので
5.なんとなく忙しそうな様子だったので
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
現代語では使いませんが、
「もの―」という接頭語とのヒュージョンだと捉えると
「こはし」のニュアンスでいきそうです。
【こはし(強し)】
【形容詞:ク活用】
①かたい。また、かたい感じである
②(力や勢いが)強い
③(抵抗する力が)強い。手ごわい
④(性格が)きつい。強情である。頑固である
⑤無骨で、ごつごつしている
⑥固くしっかりしている
(※『全訳古語例解辞典』 より)
【答え】…1
「…かの祖母に語らひ侍りて聞こえさせむ」と、すくよかに言ひて、ものごはきさましたまへれば、若き御心に恥づかしくて、えよくも聞こえたまはず。
● 過去記事リンク
■はべり
■きこゆ
■たまへり
■はづかし
■も
■たまふ
ーーーーーーーーーーー