【夕顔236-3】古文単語「おほけなし」 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔236-3】古文単語「おほけなし」

受験生のみなさん。地震の被害は大丈夫だったでしょうか?

まだまだ余震も心配なので、お気をつけくださいね;;

源氏物語イラスト訳 重要古語ラブラブ 

 

【古文単語の覚え方】

チェックボックス1.現代語から想像して覚える

チェックボックス2.漢字のイメージで覚える

チェックボックス3.ゴロを利用して丸覚えする

の3つのどれかで覚えます。

 

今回は、【言葉のイメージ】で覚えましょ♪

 

【今回の源氏物語】

からうしてはるかに聞こゆる、「命をかけ契りかかる目を見るらむながらかかるおほけなくあるまじき報いかく来し方行く先なりべきことあるなめり

   サゲサゲ↓

今回のイラスト訳はこちら

 

 

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今回出てきた古文単語
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■【からうして】…ようやくのことで

■【鶏(とり)】…ニワトリ

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【声(こゑ)】…鳴き声

■【はるかに】…ナリ活用形容動詞「はるかなり」連用形

※【はるかなり】…ずっと遠くだ

■【聞こゆる】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連体形

※【聞こゆ】…聞こえる

■【に】…順接の接続助詞

■【命をかく】…命を懸ける

■【て】…単純接続の接続助詞

■【何】…疑問代名詞

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【契り(ちぎり)】…前世からの因縁

■【に】…原因を表す格助詞

■【かかる】…このような

■【目を見る】…(つらい)目に遭う

■【らむ】…現在の原因推量の助動詞「らむ」連体形

■【我(わ)】…私。自分

■【が】…連体修飾格の格助詞

■【心】…心。気持ち

■【ながら】…逆接の接続助詞

■【かかる】…このような

■【筋(すぢ)】…こと。系統。方向

■【に】…場所を表す格助詞

■【おほけなく】…ク活用形容詞「おほけなし」連用形

※【おほけなし】…身の程知らずだ。だいそれている

■【あるまじ】…あってはならない

※【ある】…ラ変動詞「あり」連体形

※【まじき】…禁止の助動詞「まじ」連体形

■【心(こころ)】…気持ち。心

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【報(むく)い】…報復

■【に】…資格の格助詞

■【かく】…このように

■【来し方行く先(きしかたゆくさき)】…過去と将来

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【例(ためし)】…前例

■【と】…変化の結果の格助詞

■【なり】…ラ行四段動詞「なる」連用形

■【ぬ】…強意の助動詞「ぬ」終止形

■【べき】…推量の助動詞「べし」連体形

■【は】…強意の係助詞

■【ある】…ラ変動詞「あり」連体形

■【なめり】…~であるようだ

※【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便無表記

※【めり】…推定の助動詞「めり」終止形

  アップ

今回は「ぬべき」にも注意しましょ♪

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

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☆ 本日の古文単語「おほけなし」 ☆

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からうして、鶏の声はるかに聞こゆるに、「命をかけて、何の契りに、かかる目を見るらむ。我が心ながら、かかる筋に、おほけなくあるまじき心の報いに、かく、来し方行く先の例となりぬべきことはあるなめり。

 

問)傍線部の内容として最も適当なものを一つ選べ。

 

1.光源氏と夕顔の秘密の恋

 

2.光源氏と空蝉の身分不相応の恋

 

3.光源氏と藤壺宮の不義密通の恋

 

4.光源氏と六条御息所との生死を超えた恋

 

5.光源氏と小君との性別を超えた恋

 

照れ  チュー  びっくり

 

【おほけなし

【形容詞:ク活用】

①身の程知らずだ。身分不相応だ

②おそれ多い

 ※Weblio古語辞典より

   

 

この古語の意味を考えたら、

すぐさま選択肢2に飛びついてしまいそうですが…

 

答えは、NOです!

(σ・◇・)σ

 

 

たしかに、空蝉からしたら「身分不相応」と思ったかもしれませんが、

光源氏がそう思っていたかの記述はなく、

光源氏の述懐というこの文脈からして、不適当です。

 

 

「おほけなく、あるまじき心」とは、

「おそれ多くも、あってはならない気持ち」をさし、

 

父である帝への不義、そして、

あってはならない藤壺宮との密通

をさします。

 

 

 

 

ちなみに、『源氏物語』、

「おほけなし」という古語が、このような道ならぬ恋に対して、

3度用いられています。

 

① 光源氏と藤壺宮の関係

 父・桐壺帝の愛妃で、光源氏にとって義母にあたる藤壺宮への恋慕。  

 大それた、あっては ならない恋です。

 

② 柏木と女三宮の関係

 准太上天皇となった光源氏の正妻・女三の宮への恋慕。

 柏木は頭中将の長男で、この事件の発覚による恐怖で死んだ。

 

③ 「宇治十帖」:匂宮と浮舟の関係

 恋人・薫の親友である匂宮の愛を受け入れてしまった浮舟。

 しかもその匂宮は、浮舟の異母姉・中の君の夫だったのです。

 

 

源氏物語の3つの場面でも、この「おほけなし」は、

大それたこそ、あってはならない秩序を犯す恋

という意味で用いられています。

 

 

 

ここで、百人一首、第95 前大僧正慈円の和歌☆

 

おほけなく うき世の民に おほふかな

 

 わがたつ杣(そま)に 墨染(すみぞめ)の袖

 

私には大それた、身の程もわきまえないことだが、

このつらい世を生きる民たちを包みこんでやろう。

この比叡の山に住みはじめた私の、…この墨染めの袖で――。

 

 

 

 

 

 

 

「おほけなし」という古語、

イメージ湧きましたか?

(o^-')b

 

【解答】…

 

 

 

【夕顔(第5章)】の一気読みはこちら⇒

【源氏物語イラスト訳】の冒頭はこちら⇒

 

【今回の源氏物語】

からうしてはるかに聞こゆる、「命をかけ契りかかる目を見るらむながらかかるおほけなくあるまじき報いかく来し方行く先なりべきことあるなめり


 

過去記事リンク

からうして(からうじて)

の(格助詞)

きこゆ

に(助詞)

を(格・接続助詞)

かく(掛く)

て(接続助詞)

ちぎり(契り)

斯かる

らむ(原因推量)

が(格助詞)

ながら

すぢ(筋)

あり(ラ変)

まじ(助動詞)

かう・かく(指示語)

来し方(きしかた)

例(ためし)

と(格助詞)

なる(動詞の識別)

ぬべし

は(係助詞)

なめり

なり(断定)

めり

 

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