【空蝉20-3】古文単語「かく」 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【空蝉20-3】古文単語「かく」

源氏物語イラスト訳のあいですラブラブ 

 

古文単語でよく出題されるのは、


チェックボックス1.古典特有語

   …現代にない古語。


チェックボックス2.古今異義語

   …現代と意味の異なる古語。


チェックボックス3.死語的現代ワード

   …日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。



…ですが、今回の古語は、

現代と活用の異なる古語☆

 

はい、ではいってみましょぉ~♪

٩(๑•̀∇•́๑)و

 

空蝉20のイラスト訳はこちら

 

【今回の源氏物語】

近う灯したり母屋中柱側めかくるまづ目とどめたまへ濃き単襲めり

 

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今回出てきた古文単語
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■【火】…灯火

■【近う】…ク活用形容詞「近し」連用形のウ音便

■【灯(とも)す】…明かりをつける。点火する

■【たり】…存続の助動詞「たり」の終止形

■【母屋(もや)】…家屋の中心をなす部屋

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【中柱(なかばしら)】…壁につないで部屋の中に立つ柱

■【に】…場所の格助詞

■【側(そば)む】…横を向く

■【―eる】…存続の助動詞「り」の連体形

■【人】…人間。ここでは女性(空蝉)の意。

■【や】…疑問の係助詞

■【わ(我)】…私。自分

■【が】…主格の格助詞

■【心】…心。気持ち

■【かくる】…カ行下二段動詞「掛く」の連体形

※【掛く】…(心に)掛ける

■【と】…引用の格助詞

■【まづ】…まっさきに

■【目とどむ】…注意して見る。注目する

■【たまふ】…尊敬の補助動詞作者⇒光源氏

■【ば】…順接(偶然条件)の接続助詞

■【濃き】…ク活用形容詞「濃し」の連体形

※【濃(こ)し】…濃い

■【綾(あや)】…綾織物

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【単襲(ひとへがさね)】…単衣を二枚かさねた衣服

■【なめり】…―であるようだ

※【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便の無表記

※【めり】…推定の助動詞「めり」の終止形

   アップ

単語の意味文法的説明です。

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

 

―――――――――――――――
活用が違うために意味不明な古語

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中学校の時に、覚えさせられませんでした?


 

つれづれなるままに、ひぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。


   アップ

鎌倉時代後期の随筆『徒然草』(吉田兼好著)の冒頭ですね。

('-^*)/


10代というのは、

こういうの、どういう意味か分からなくても

すぐに暗誦できますよね~!

 

 

ちなみに、私も中学生の頃、

『枕草子』『平家物語』『方丈記』『奥の細道』などの冒頭も暗誦し、

今でも覚えています。

 

 

ところで、

 

「書きつくれば」とか「ものぐるほしけれ」という部分、

 

高校になって文法を学んだ時点で、


 

なるほど! そんな意味だったのかぁ!!

(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)

 

と、驚いたものです。



 

今回の「わが心かくる」も、


 

「心―隠る」などと思い込んでしまったら、

まったく意味がつかめませんね!!

∑(゚Д゚)


 

―――――――――――――
大学入試古文☆記述問題例☆

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母屋の中柱に側める人やわが心かくると、まづ目とどめたまへば、濃き綾の単襲なめり。

問)傍線部を現代語訳せよ。

 


 


私大の公募推薦や、一般入試、

国公立大学の二次試験では、

こういった記述問題もよく出題されます。


 

現代語訳の際に注意すべき点は、

 

1.重要古語
2.助詞・助動詞
3.イディオム


です(*^-^)b
 


 

これらは、別々に学習するのではなく、

つながりを持って学習するのがいちばんです。

(b^-゜)
 

――――――――――
1.重要古語 「側む」☆

――――――――――

 

 

そばむ(側む)
【自動詞:マ行四段活用】

①横を向く
②知らないふりをする
③偏する。かたよる


【他動詞:マ行下二段活用】

①横を向ける
②(目を)そむける

③かたわらに押しやる

 *「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より

   

 

「側」と漢字で書かれていたら、

なんとかイメージが涌くかもしれませんが、


 

「側(そば)」という語を、現在動詞で用いることがないので、

何のことだか判別がつかなければ、

 



 


 

そして、この動詞は、

自動詞他動詞があることに注意☆


 

● 自動詞( 四段活用 )

● 他動詞(下二段活用)




 

これをふまえて、

下に続く「」との接続を考えると…



 

側め//人

     (連体形)

 

なので


 


「る」の識別


 

側め」は、四段動詞「側む」の已然形だと分かります。

 

そして、

」は、存続の助動詞「り」の連体形ですね。

 

 

 

1.重要古語
2.助詞・助動詞

 

    アップ

この2つの事項を同時に考えて判断することが大事ですね♪

('-^*)/

 



 


 

中柱/側め/人

中柱/の所で横を向いている/人


 

場所を表す格助詞「に」も、うまく訳してね♪

(o^-')b

 


 

――――――――――
2.重要古語 「かく」☆

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この、「かくる」を考える時に、ポイントとなるのは、

直前の文脈にある、「や」という係助詞

 

そう、係り結びの法則ですね!

o(゜∇゜*o)(o*゜∇゜)o~♪



係り結びの法則
 

 

1.重要古語
2.助詞・助動詞
3.イディオム

 

    アップ

この3つの事項を同時に考えて判断すると…


 

かくる」は連体形ってことが分かります。

 

 

ならば、「隠る」の連体形「隠るる」のはずがありませんね。

 


下二段型の活用


 

では、いったい「かくる」は何??





 

心―かくる」というつながりに着目しましょ♪

(^O^)/



 

に→かくる(掛くる)

    アップ

こう考えたら、もうお分かりですね。

('-^*)/
 

 

かく(掛く・懸く)
【他動詞:カ行下二段活用】

①たれ下げる。掛ける
②かけ渡す
③錠をかける。掛け金をかける。
④合わせる。兼任する。兼ねる
⑤かぶせる
⑥降りかける。あびせかける
⑦はかり比べる。対比する
⑧待ち望む
⑨(心や目に)かける
⑩話しかける
⑪託する。預ける
⑫だます
⑬目標にする。めざす
⑭関連づける。加える
⑮~しかける(補助動詞)


 *「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より

   


た、大量…!!

((((((ノ゚⊿゚)ノ




でもね。

 

結局は、現在の「掛ける」のことです。








傍線)―/心/かくる/と
訳)―(が)/心(に)/掛けるのか/と

 

疑問の「」も、訳し忘れのなきようにね♪

(o^-')b


 


母屋の中柱に

 

 



 

【解答】

母屋の中柱の所で横を向いている人が、私が心を掛けている人か。

 


 

 

【源氏物語イラスト訳】冒頭から読む⇒

 

【今回の源氏物語】

近う灯したり母屋中柱側めかくるまづ目とどめたまへ濃き単襲めり


 

過去記事リンク

灯(ともしび)

音便について

たり(助動詞)  たり②

の(格助詞)

に(助詞)

る(「り」「る」の識別)

の(格助詞)

や(係助詞)

が(格助詞)

と(格助詞)

目のつく慣用句一覧

たまふ  たまふ②

ば(接続助詞)

なめり

めり

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最後まで読んでくれてありがとぉ~☆