【夕顔60-3】古文単語「心苦し」
源氏物語イラスト訳の重要古語です
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はほぼほぼ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
現代でも意味の分かる…重要古語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
さて、かの空蝉のあさましくつれなきを、この世の人には違ひて思すに、おいらかならましかば、心苦しき過ちにてもやみぬべきを、
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今回出てきた古文単語
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■【さて】…そうして。ところで
■【かの】…あの
■【空蝉(うつせみ)】…空蝉の女
■【の】…主格の格助詞
■【あさましく】…シク活用形容詞「あさまし」の連用形
※【あさまし】…驚きあきれる
■【つれなき】…ク活用形容詞「つれなし」の連体形
※【つれなし】…冷淡だ
■【を】…対象の格助詞
■【この】…この。今の
■【世(よ)】…世の中。世間
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【人】…一般の人
■【に】…作用・変化の格助詞
■【は】…提示の係助詞
■【違(たが)ふ】…違う
■【て】…単純接続の接続助詞
■【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【に】…~のだが(単純接続の接続助詞)
■【おいらかなら】…ナリ活用形容動詞「おいらかなり」の未然形
※【おいらかなり】…おっとりしている
■【ましか】…反実仮想の助動詞「まし」の未然形
■【ば】…順接仮定条件の接続助詞
■【心苦しき】…シク活用形容詞「心苦し」の連体形
※【心苦し(こころぐるし)】…痛々しい。気の毒だ
■【過ち(あやまち)】…過失。失敗
■【にて】…~として(資格の格助詞)
■【も】…強意の係助詞
■【やみ】…マ行四段動詞「やむ」の連用形
※【やむ】…終わる
■【ぬべし】…きっと~だろう〈確述用法〉
※【【ぬ】…強意の助動詞「ぬ」の終止形
※【べき】…推量の助動詞「べし」の連体形
■【を】…逆接の接続助詞
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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今回の古文単語 「心苦し」 ☆
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【心苦し(こころぐるし)】
【形容詞:シク活用】
①かわいそうだ。痛々しい。気の毒だ
②やりきれない。心に苦しく思われる
*学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)より
「心苦しいなぁ…」
今でもよく用いる形容詞ですよね。
これ、現代でも古典の世界でも、
マイナス・イメージなのは確かです。
でも、古文の意味のほうが、
現代よりも広がりのある感じがしますよね。
では、入試対応問題行ってみましょぉ~☆
さて、かの空蝉のあさましくつれなきを、この世の人には違ひて思すに、おいらかならましかば、心苦しき過ちにてもやみぬべきを、
問)傍線部の意味として最も適当なものを選べ。
1.見苦しい失敗として結局は終わってしまったけれど
2.痛々しい過失としてきっと終わってしまうだろうけれど
3.よくある間違いとして済んでしまったようなことだけれど
4.悲しい女の性質としてきっと見逃してしまうだろうけれど
5.どうしようもない過ちとして終わりにしてもよかったけれど
光源氏は、
空蝉のつれなさを、
今まで逢った女性にはない性質だと思い、
余計に彼女のことが忘れられなくなっているようです。
もし、空蝉が、
もっと素直に言うことを聞いてくれていたならば…
「心苦しき過ち」として、
きっと自分の気持ちも終わっていただろうに…
傍線部直前の「―ましかば」(反実仮想)を受けて、
「べき」は「~だろうに」と推量で訳すのが適切です。
1.見苦しい(△)失敗として結局は(△)終わってしまったけれど
2.痛々しい過失としてきっと終わってしまうだろうけれど
3.よくある(△)間違いとして済んでしまったような(△)ことだけれど
4.悲しい女の性質(△)としてきっと見逃して(△)しまうだろうけれど
5.どうしようもない(△)過ちとして終わりにしてもよかった(△)けれど
正解……2
さて、かの空蝉のあさましくつれなきを、この世の人には違ひて思すに、おいらかならましかば、心苦しき過ちにてもやみぬべきを、
● 過去記事リンク
■さて
■か・かの
■あさまし
■つれなし
■おいらか
■心苦しげ
■も
■ぬべし
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