14.「離す」と「離れる」はどう違う?
「4.離れについて」で離れには3つのパターンがあると説明しました。
①手を「開いて」離す。
②手の力を「緩めて」離す。
③取り懸けを「解いて」離れる。
①と②は人が直接行う行為なので、「離す」になります。
③は人が条件を揃えた先に起こる現象なので、「離れる」になります。
似ているようですが、まったく違います。
ここでは、その違いをもう少し詳しく説明してみます。
<仮説5>
「離す」と「離れる」はまったく違う?
<検証>
「離す」は人が能動的に行う行為です。反射的に出たとしても同じ「離す」には変わりありません。閉じた手を開くまたは閉じた力を抜くことよって、下の写真の上側のように手を開く動作となります。
弓を引き強い力で支えている中でこの離す動作をやろうとするのですから、ブレを出さずにそっと「離す」ことは至難の技です。(時々出来る人もいるので厄介です)
これに対して、「離れる」は、取り懸けが解けるという2次的な現象を起こすことになるので、起こる瞬間まで会のままの状態になっていて、ブレなく離れることができるようになります。
ピンとこない方は、こちらの写真を見てください。
取り懸けが解けると、親指を中心にして中指の弾きが出るので、親指はほぼ動かない状態で離れます。矢が飛び出す速さと中指の弾きはほぼ同等の速さであることが解ります。これが軽妙な離れの物理的現象なのです。
この弾きを出すためには、
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)が出来ている上で、
取り懸けを解く力の作用を"軽く"働かせて、(力を入れて力むのではありません)会で"ゆっくりと"両肘と両ひざ(ひかがみ)で張り合って行くことが必要になるのです。難しいことではありません。取り懸けの形と力の働かせ方を整えるだけです。
自転車に乗れるようになるか、いつまでも補助輪を外せないままでいるか、そう言ったレベルの出来事なので、少しだけ勇気を出してチャレンジして見てください。
<まとめ>
「離す」と「離れる」の違いを理解しないと、取り懸けを解いて「離れ」を出すことは出来ません。
実現したい姿をイメージすることが上達への近道です。
イメージを描いて練習すると、実現へのきっかけを得ることができます。
ただ闇雲に練習しても、無駄矢になるだけです。
これは、早気を治す時も同様です。
実現したい姿をしっかりイメージしてください。
次は、胸弦の活用を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。