35.(続)夏の暑さから弓を守るには
昨年、31.夏の暑さから弓を守るにはで、車の中に置いた弓を暑さから守る方法を検討し、結局、車内には弓を置かないことが一番だという不本意な結果になってしまいました。
市販の排気ファン
しかし、排気ファンで温度の高い車室内の空気を排気して、外気を入れることで、若干の温度の低減効果があることも解りました。この経験を活かして、次の方策を検証してみましょう。
吸気ファン+配管用断熱材の中に弓
これが、今回の検証課題です。
①車の窓から外気を取り入れる吸気ファンを設け、その先にダクトを設ける。
②そのダクトの中に弓を入れて、外気があたるようにする。
つまり、車外と同じ環境を車内に作ってやろうというものです。
吸気ファン(3Dプリンタで作成)
これの作り方は、3Dプリンタと遊ぶ~夏の暑さから弓を守るため、吸気ダクトを作る〜を見てください。
吸気ファンは、市販の車用排気ファンの構造を参考に、上の写真のような、窓ガラスに挟む吸気ダクトを3Dプリンターで作成して、パソコン用の冷却ファン(12V 0.08A 40 x 40 x 10 mm)をつけたものを使います。
弓を入れるダクトには、断熱効果もあり、弓の形状にも曲がってフィットして、軽くて、安くて、ホームセンターでも手に入る、内径φ48の配管用の断熱材を選択しました。
配管用断熱材
ファンの電源は、車のバッテリーを使わないソーラー電源(DC12V・最大出力100mA)を使用します。ホームセンターやカー用品店で売っているものです。
ソーラー電源と吸気ファン
前回と同様、温度ロガーを2つ使用して、温度データを取ってみました。
温度ロガー
<仮説26>
炎天下、車内に置いた弓を高温から守るには、外気吸気+断熱カバーではどうか?
<検証>
まずは、予備実験です。
吸気ファンに断熱材のダクトをつないで弓を入れて、ファンを回してみます。
吸気ファンを動かしてみた
室内の電灯では、ピンポン球がなんとか動く程度の風量ですが、弓の間を抜けて風が出て来ることは確認できました。
車への実装の確認です。
車のリアドアから、配管断熱材のダクトを車に対角線方向に積みます。
吸気ファンを窓ガラスに挟んで、ダクトを挿入して、ドアを閉めます。
助手席から見ると、こんな感じに搭載しています。
ソーラー電源をインストパネル上に置いて、吸気ファンと接続します。
さて、温度ロガーを配管断熱材のダクト内とコンソール上に置いて、温度データを取得します。その結果がこれです。
車の室内(コンソール上)温度は、約60℃程度まで上昇しています。
一方、ダクト内の温度は45℃程度以下に保たれています。
-15℃もの効果です。
今回は、6月の梅雨の晴れ間を利用した実験だったので、梅雨が開けた炎天下で、再度実験確認をして有効性を確認します。
今年は、長い梅雨でした。
8月になって、梅雨が明けるとともに、いつもの炎天下が戻ってきました。
さて、実験再開後2日間の検証結果がこれです。
コンソール上の温度はぐんぐん上がり、60℃を越えています。
しかし、配管断熱材のダクト内は、45℃程度からはほぼ上昇していないことが確認できました。実に見事な結果です。
さあ、いよいよ実践です。
実際にダクトに弓を入れて、矢やカケはラゲッジ(トランク)に入れて、温度をモニターします。
この日は最高気温が32℃となる炎天下でしたが、弓を入れた状態でもダクト内は、45℃以下です。
ラゲッジの温度は、40℃以下となっていて、矢やカケには特に問題は無いレベルです。(17時過ぎにはエアコンを入れています)
今回、得られた成果
<まとめ>
今回の結果をまとめましょう。
①車外の空気を吸気するファンを付けた配管断熱材の内部は、車室内が60℃程度になっても、45℃程度を保てる。
②同じ状況で、ラゲッジ内は40℃程度以下となる。
今回の方法で、炎天下の車室内の夏の暑さから、弓を守ることができます。
次回は、両肘の張りと弓の裏反りは似ている?を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。
もくじ
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある