17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
弓道は中らない。確かに弓道で的中を出すのは難しいです。では、なぜ中らないのでしょうか?
3.的中についてで「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な物理的条件について説明しました。しかし、押し手と勝手のブレ量を0で離れることは不可能です。では、どのくらいのブレ量であれば的中できるのでしょうか?
<仮説8>
正射必中に必要な幾何学的な必須条件がある。
<検証>
近的の的は直径360mm。的枠の内径を直径350mmとすると、的までの距離が28mで矢の長さは約1mなので、的枠の中に矢が入るために許容される矢先のブレ量は、
直径350mm×1m/28m≒直径12mm以内
矢先だけでなく筈側も両方ブレるので、それぞれのブレ量は、
直径6mm/2=±3mm以内
でなければなりません。
つまり、離れの動作で押し手と勝手のブレは、±3mm以内に収めることが必中の必須条件となるのです。
実際には、的付けやほお付けのズレ量も加わるので、これよりももっと小さくすることが要求されます。
なぜ弓道では矢が的に中らないのでしょうか?
その答えは、離れの際のブレ量が±3mmを超えるからなのです。
的付けのズレ量も含めて±3mm以内の離れを実現することが、正射必中の物理的な必須条件となりますが、それを実現するためには、離すではなく離れでなければなりません。その方法をこのブログで、できるだけ解りやすく具体的に説明してきました。
幾何学的な必須条件が明確になることにより、離れに求められる精度、離れで実現しないといけないことが具体的になることで、練習へのモチベーションが上がることを期待しています。
<まとめ>
正射必中に必要な幾何学的な必須条件は、
ブレ量±3mm以内の「離れ」を実現することである。
これは、誰も否定することはできない物理的事実です。
次は、細かい話にはなりますが・・・を予定します。