50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)

 

この時期、大会などで、結果が出せた人、出せなくて悔しい思いをした人、また、メンバーに入れずガッカリした人もいるでしょう。

 

それには、そうなるに至った原因があります。それに向きうかどうかで、これから先の進化を左右します。

 

そういう人たちにこそ、弓道の的中(射技)の物理的考察が参考になれば、幸いに思います。

 

 

さて前前回、

48.スランプの原因を物理的に考察するで弽帽子の首折れを修正できたことに端を発し、49.取り懸けをミクロに考察してみるで取り懸けを解いていく方法をミクロに考察し、会での取り懸け(勝手の手の内)の力の働かせ方を明らかにすることができました。

 

これらによって、矢所のばらつきは少なくなってきたもののまだまだ収束しきれてはいませんので、もう少し考察が足りなかったように思います。

 

 

<仮説>

弦枕で弦を押し出す方向は、親指を前に押し出す方向を意識することが大切です。

 

 

<検証>

結論から説明します。

 

離れのブレを最小にするには、

・弦を押し出す力において下図Aの方向に加わっていること。

・弦捻りとAの力の作用で、取り懸け支点①が解ける臨界状態になっていること。

が必要です。(これは、親指を反らした場合とほぼ同等の作用となります)

 

解ける臨界の状態とは、

親指と中指の接点が摩擦で止まっている状態がズレ始めた(キチキチという音が出る)状態です。これを感じるまでが弦を押し出す力を働かせる到達目標になります。

 

この状態にならないまま無理やり離すとブチ切りとなりブレが出ます。会はこの臨界状態を創り出すために必要な節なのです。(当然、両肘の張りも忘れないでください)

 

49.取り懸けをミクロに考察してみるで、会の取り懸けを解く力の方向を下図のように表しました。弦を押し出す方向に力を働かせることをアドバイスすると、上図のBの方向(弦が引っかかる方向)にのみ働かせてしまい、結局、弦を引っ張る離れとなって、矢所がバラつくようなので、大切な分力の方向の補足説明が必要だと考えました。

 

Aの力の作用は、以前説明した28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについてとも合致することになります。ミクロに考察することで、どの力がどのように大切なのかが明らかになってきました。弓道の的中の物理的考察も少しづつ進化できているようです。

 

離れの瞬間

 

親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えること。

それを実現することが目標です。

 

 

<まとめ>

取り懸けを解いてブレの少ない離れを実現するためには、

①弦捻りをかける。

  (取り懸けをこじ開けるように働かせる)

②弦枕で弦を押し出す。

  +親指を前に押し出す方向に力を働かせ、親指と中指の接点の臨界を創り出す。

会で、この2点を実行するのみです。

 

 

次回は、未定 を予定します。

的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。

解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

 

がんばれ!&

 


 

 

 

 

 

 


 

弓道の的中(射技)の物理的考察

もくじ

 

0.弓道の再開

 

1.はじめに

2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)

3.的中について

4.離れについて

5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について

6.詰め合いについて

7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~

7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~

7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~

7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~

8.伸び合いについて

9.会のままの残身について

10.会での勝手の手の内を考える

 

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか

12.取り懸けで親指を押える位置は?

13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?

14.「離す」と「離れる」はどう違う?

15.胸弦の活用

16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較

17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件

18.細かい話にはなりますが・・・

19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?

20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

 

21.会では見えない動作がある?

22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?

23.集中力、モチベーションを下げない練習方法はないのか?

24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?

25.カケ解きはどのように作用させればいいの?

26.既製のカケは親指で選ぶ

27.弦捻りの誤解

28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?

 

31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ

 

41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる

43.「矢に学ぶ」③矢押し

44.「矢に学ぶ」④矢引き

45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口

46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる

47.「矢に学ぶ」⑦矢になる

48.スランプの原因を物理的に考察する

49.取り懸けをミクロに考察してみる

50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)

 

51.離れの瞬間を考察する

52.的中率をさらに上げるためにやれること

53.弦捻りのルーティン

54.「角見で押して離れる」という弓道の謎

55.「角見で押して離れる」という弓道の謎(補足編)

56.(続々)夏の暑さから弓を守るには

57.「弓道の冬は、手が冷たい」は、どうする?

 

がんばれ!&