12.取り懸けで親指を押える位置は?
取り懸けで、親指の先端は中指のどこの位置にするのが良いのでしょうか?
この質問もよくされます。
取り懸けの方法は流派によって違いがあるようですが、ここでは、私が教えられてきたものに、物理的な解釈を加えた方法を説明します。
<仮説3>
勝手の親指を押さえる位置は中指の第1関節真下が良い?
<検証>
結論から言います。
取り懸けた時の親指の先端は、中指の第1関節真下でないと、軽妙な離れは生まれません。
会での取り懸けは、3つの指をほぼ平行に近づけ、指先の摩擦で止まっている状態にして、取り懸けを解くための準備をすると、これまで説明してきました。
この位置でないと、中指の中節骨と親指の末節骨(左図青色部分)をほぼ平行にしていくことができません。
さらに、取り懸けが解けるときには、中指が親指の腹を滑り出すことで弾きを生むのですが、親指を中指の第1関節と第2関節の間の深くまで取り掛けていると、中指の第1関節の膨みに親指が引っかかって、取り懸けは簡単には解けなくなります。
物理的にそうなのですから否定の余地はありません。(それで、結局、手を開いて離してしまうということになるわけです)
中指の第1関節の真下では引き分けでの暴発が不安だという人は、大三から少し強目に弦捻りを効かせるようにすれば、弦を弦枕と人差し指とに密着させることでロックが効くようになります。(それでも暴発が出る場合は、たぐり気味で平付けの可能性があるので、手首が折れないようにするためにも弦捻りを効かせましょう)
どうも信用できないと思うなら、簡単に確かめる方法があります。
素引きで普通に取り懸けて弦を少し引っ張ってみてください。親指を中指で押さえてないと弦は外れてしまいます。
⇨親指を押さえて少し引く
では次に、3つの指を開いて腕を捻って、弦を弦枕と人差し指に密着させた状態で、弦を少し引いてみてください。
あら不思議!
捻りをかけ続けていれば弦は弦枕から外れないので、この状態でも弦が外れずに引けることが確認できると思います。
⇨弦捻りを効かせ少し引く
この様に弦捻りでロックが効いていれば、中指で押さえる位置は第1関節の真下で充分なのです。<まとめ>
軽妙な離れを出すためには、弦捻りを効かせて、親指を押さえるのは中指の第1関節の真下にしましょう。
取り懸けの形とカケの構造は本当によく出来ています。単なる手の保護のためのグローブではありません。正しい使い方で活かしましょう。
次は、押し手の説明です。押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込むの?を予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。