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荒川祐二&Teamスサノオです☆

 

 

 

 

 

 

 

 

『スサノオと菊理媛を巡る旅』。

※これまでのお話はこちら☆

1話目. 新たなる旅の始まり

2話目. 謎多き女神ククリヒメ?

3話目. たった二行の女神

4話目. 伝説の神の別れ

5話目. 閲覧注意!

6話目. 黄泉の国の魔物

7話目. 黄泉守人の出現

8話目. 荒川祐二、穢れる

9話目. 瀬織津姫の登場

10話目. 菊理媛の風

11話目. 生と死を司る女神とは

12話目. 白き山の女神

13話目. 伝説の男、再び

14話目. 八百万の神々と共に

15話目. ニギハヤヒが語る闇

16話目. 天武天皇に会う

17話目. ミッチーの登場

18話目. 伝説を作った男

19話目. 天武伝説

20話目. 血の穢れの始まり

21話目. 血の穢れの答えを求めて…



 

役行者「今からお主の魂は、

 

ある若者の身へと乗り移り、

 

 

その者の生きた時代を、

 

見てもらうこととなる…。

 

 

遥か古代から、

 

現代に至るまで、

 

 

数えきれないほどの人々の、

 

魂を救済してきた、

 

 

一人の『勇者』の生きた時代をな…」

役行者さんがそう言うと、

 

僕の視界がグルグルと音を立てるように、

 

まわり始め、

 





 

同時に辺り一帯が、

 

燃え上がるように、


真っ赤に染まり始めた…。

 

 

 

 

 

 

…次に再び僕が、

 

目を覚ましたその時に、

 

聴こえてきたのは、

 

 

 

 

 

 

『やめろっ!!やめろぉぉぉぉぉっ!!』という、

 

ある男たちの叫び声だった。

あ「…ここは…?」

 

 

 

 

 

 

前回の時と同じように、


慣れない光景に困惑していると、


 

脳裏に役行者の、

 

声が響いてきた。

 

 

 

 

 

 

役行者「…時は飛鳥の時代…。

 

お主は今…、

 

 

大海人皇子が壬申の乱に勝利し、

 

天武天皇となり、



新たなる国づくりをしている場面に、

 

立ち会っている…。

 

 

『血の穢れ』の真の意味を知るために、

 

まずお主はこの時代のことを、

 

知らなければならぬ…」

 

 

 

 

 

 

役行者からの言葉が終わるとともに、

 

まるで映画の様に、

 

 

僕の眼前にある、

 

光景が映し出された。

それは複数のある男たちが、

 

後ろ手に縄を縛られ、

 

 



恐らく天武天皇…?であろう、

 

王のもとに、

 

跪(ひざまず)かされている光景だった。







あ「…これは…、

 

一体…?」

 

 

 

 

 

 



役行者「これは、

 

『人形代(ひとかたしろ)』の儀式…」

 

 



 

 

 

 

あ「…『人形代』って、

 

今も大祓の日に使われる、

 

あの『人形代』…?

 

 

まさかこんな時代から、

 

あったなんて…」

※『人形代』とは、人の身についた穢れや厄を移して,海や川に流すもの。

多くは人の形をした小さな紙を使って行うが,地域によってはわら人形や,食物を使うこともある。

 

 





あ「…それでなぜ、

 

『人形代』の儀式が…?」

 

 

 

 

 

 

役行者「…お主は覚えておるか…?

 

先だっての瀬織津姫の物語の際、

 

 

彼の者、天武天皇が、

 

『史上最大の内乱』壬申の乱に勝利し、

 

 

その後王となった時の、

 

気持ちを推し量り、

 

 

お主自身が言った言葉を…」

 

 

 

 

 

 

あ「天武天皇が王となった時に、

 

僕がその気持ちを推し量って、

 

言った言葉…ですか…?

 

 

…えっと…」

 

 

 

 

 

 

そうしてしばらく考えた僕の、

 

脳裏に浮かんだのは。


天武天皇の王としての苦しみだった。

あ「…確か…。

 

 

天武天皇の治世は、


自責の念に駆られていると、

 

言ったと思います…。

 

 

どれだけ国を憂えて、

 

挙兵をしたといった所で、

 

 

どこまでいっても、

 

『自分は反乱を起こして、即位した天皇だと、

 

反乱を起こした者を、

 

人々は王として認めるだろうか』と…。

 

 

それがこびりついた、

 

心の『穢れ』となり、

 

 

ある意味のコンプレックスでもある、

 

その穢れを祓うために、

 

 

この国の礎作りに、


邁進したのではないかと…」

 

 

 

 

 

 

役行者「…左様…。

 

その穢れ故に、

 

 

彼の者は、

 

『神』となることを望んだ。

 

 

最も清らかで、

 

穢れなき存在としての、

 

『神』となることを…

あ「………」

 

 

 

 

 

 

…そうか。

 

この時の役行者さんの言葉によって、

 

 

僕は初めて本当の意味で、

 

天武天皇の気持ちを理解した。

 

 

 

 

 

 

天武天皇は本当に自身が、

 

神となり、

 

 

その威光によって、

 

国を治めようとしただけではなく、

 

 

 

 

ただ、ただ、

 

 

 

 

壬申の乱という、

 

多くの人々の血を流すことで得た、

 

王という地位に、

 


そして同時に流された大量の血によって、

 


自身の身に付いてしまった穢れを、

 

祓ってしまいたかったのだ。

元々は心優しき青年、大海人皇子だったのに…。

そう思ったその時に見た、

 

天武天皇の姿は、

 

 

 

 

 

 

 

 

どこまでも孤独で、

 

悲しき一人の男の姿に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

…それにしても、

 

目の前の光景は、

 

 

この『人形代の儀式』は、

 

一体何を意味しているのか…?

 

 

 

 

 



 

そう思った、

 

その時だった。

 

 

 



 

 

 

重々しく、

 

天武天皇の言葉が、

 

聴こえてきた。

 

 

 

 

 

 

天武天皇「汝らは…、

 

朕が定める国に従わぬ、と…。

 

 

それで…良いのだな…?」

 

 

 

 

 

 

その天武天皇の言葉に、

 

後ろ手に縄を縛られた、



男の一人が、

 

喰ってかかるように反論する。

 

 

 

 

 

 

男「何が『国』だ!!

 

この山は、河は、海は、

 

誰のものだ!!

 

 

貴様のものではないだろう!!

 

誰のものでもない!!

 

 

何者であろうとも、

 

この大地を、

 

我が物にしようなど、

 

神々に対する冒涜だ!!」

 

 

 

 

 

 

あ「………」

 

 

 

 

 

 

男の余りの鬼気迫る形相に、

 

言葉を失う僕の脳裏に、

 

役行者の言葉が響く…。

 

 

 

 

 

 

役行者「あの者は、

 

『山の民』…。

 

 

…覚えているか?

 

 

瀬織津姫の物語の際に見た、

 

儂(ワシ)を筆頭に、

 

持統天皇率いる国家と戦った者たちのことを…」

役行者「儂らもあの者と同じ、

 

『山の民』だった…。

 

 

山に棲み、

 

山に生き、

 

山の中で自由に、

 

生活を営んでいた。

 

 

自然を愛し、

 

神々を敬い、

 

大地に寄り添い、

 

 

あるがままに日々を生きていた…」

役行者「…しかしそれを、

 

許さぬ者が現れたのだ…」

 

 

 

 

 

 

あ「…天武…天皇…」

 

 

 

 

 

その言葉と同時に、

 

再び天武天皇の言葉が、

 

響いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

天武天皇「…では改めて聞くが…、

 

汝は朕に従わぬ…ということで、

 

良いのだな…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

男「誰が貴様なんかに…!!

 

貴様なんかにっ!!」

 

 

 

 

 



 

天武天皇「…従わぬというのなら…、

 

汝には…永遠に受け継がれていく、

 

『血の穢れ』を与えよう…」

 

 

 



 

 

 

そう言うと、

 

天武天皇の形相が、

 

 

見る見るうちに、

 

鬼のように変化した。

天武天皇「…連れてこい…」

 

 

 

 

 

 



男「うぁっ!!うあっ!!

 

やめろっ!!やめろぉぉぉぉぉっ!!

 

離せっ!!うあ!!あぁっ!!

 

あぁぁぁぁぁっ!!!!

あ「…そんな…、

 

そんな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

…見るに耐えない、

 

光景だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

天武天皇は、

 

今もこの現代まで続く、

 

 

『人形代の儀式』を、

 

 

従来のやり方である、


人の形をした紙でも、

 

藁人形でもなく、

 

 

 

 

 

 

 



 

実際の『人』で行ったのだ。











なぜ人で行ったのか?





それは紙や木片で行った場合、


穢れを移し、


それを燃やしてしまうことで、





現代と同じように、


一定期間の穢れが祓われる、


とされていたことに対して、







『生きた人』でそれを行うことによって、







穢れを移された者は、


その子々孫々に至るまで、



その移した『穢れ』が、


永遠に受け継がれていく。







そうして逆に、


清らかになった者の血脈は、



穢れを移された血脈が生きている限り、



永遠に穢れに包まれることなく、


清らかであり続けられる、


とされていた。









自らが白く、


清らかであり続けるために、


黒を作った。









それがこの時に於ける、


『人形代の儀式』の、


真実だった。










天武天皇「…橋の下にでも連れていけ…」

 

 

 



 

 

 

側近「はっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

…こうして天武天皇より、

 

『血の穢れ』を移された者たちは、

 

その近親者も含め、

 



 

『穢れ多き者たち』として、

 

 

橋の下を始め、

 

当時の一般社会から隔絶された場所へと、

 

住み処を移させられることとなった。

 

 

 

 

そうして彼らには、

 

税を払わなくていい(国に従わなくていい)代わりに、

 

 

 

 

当時、『穢れた仕事』とされていた、

 

 

動物の屠殺(とさつ)や、

 

その皮を剥ぐ仕事、

 

 

道端で亡くなった動物の遺体、


また飢饉や河の氾濫で、



街中に死体が溢れた時の処理を含めた、

 

後に『キヨメ』と呼ばれることになる、


街の清掃などの役割が与えられた。

 






街を白く、


清らかにすればするほどに、



自らは黒く、


『穢れた者』と、


されていくという不条理の中、

 

 

 



 

その者たちはやがて時を経て、

 

『国』という、

 


枠組みの中からはみ出され、


社会の構成員としての諸権利も与えられない、







身分『外』身分の者たちとされた。

 

 





そうして天武天皇が仕掛けた、


『国の枠組みに入らなければこうなる』という、


血の穢れの恐怖は、







結果的に民衆や豪族たちの、


天武天皇率いる国家への反乱に対する、


絶大な抑止効果となった。

しかし同時にこの、


『血の穢れ』は現代にまで影を落とし続け、



今もまだある言葉として、

 

存在している。

 

 

 



 

 

 



 

 


『差別』。

 

 




 

 

 

 

 

 



それが、

 

『血の穢れ』という、

 

言葉のすべての答えだった。

…絶望だけが、

 

僕の心を打ちひしぐ中、

 

 

 

 

 

 

突如として場面が変わり、

 

次に僕の眼前に、

 





 

ある赤ん坊が生まれた時の、

 

光景が映った。

その名は、

 

『泰澄』。

 

 

 

 

 

 



後にこの『血の穢れ』から、

 

多くの人々の魂を救済することになる、

 

一人の勇者の誕生だった。


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