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荒川祐二&Teamスサノオです☆

 

 

 

 

 

 

 

 

『スサノオと菊理媛を巡る旅』。

※これまでのお話はこちら☆

1話目. 新たなる旅の始まり

2話目. 謎多き女神ククリヒメ?

3話目. たった二行の女神


□■□■□

【前回までのあらすじ】

今年4月の父の死を経て、

 

人の魂の行く末を知りたくなった僕は、

 

その過程の中で、

 

『生と死を司るある女神』の存在を知った。


 

その名は、『菊理媛』。

 

 

『黄泉の国での、


愛するイザナミとの、


永遠の別れを経て、

 


悲しみ嘆くイザナギに対して、

 

突然現れた菊理媛が『何か』を言った。

 


イザナギはこの言葉を聞いて、

 

頷き、深く納得し、

 

菊理媛を誉められた』と。

 

 

これが書かれている、


日本書紀の原文で言うなら、

 

たった2行。

 

 

ここにだけ、

 

その姿を現す謎の女神は、

 

 

一体イザナギに、

 

何を言ったのか?

 

 

その答えを求めて僕らは、

 

イザナギの鎮まる、

 


淡路島は『伊弉諾神宮』へと、

 

向かった。

□■□■□

あ「今日過去のブログを読み返していたら、

 

ちょうど去年の今日。

 

 

僕らは、

 

『スサノオと日本の神を巡る旅』に出て、

 


イザナギさんとイザナミさんが国産みを行った、

 

おのころ島(沼島)を訪れていたんですね

あ「何でしょう…この因果は…。

 

狙ったわけでもないのに…」

 

 

 



 

ス「神の采配は時に、

 

人間の表層意識を、


遥かに超えてくるからな。

 

 

恐らくイザナギとイザナミが、

 

お前、そしてこの旅に、

 

『何か』を求めているんやろう。

 

 

今この状況に於いて、

 

お前は何を思う?」

 



 

 

 

あ「『何を思う』、とは?」

 

 

 



 

ス「今この菊理媛という存在を通して、

 

無意識とはいえお前は、

 

 

これからイザナギとイザナミの、

 

永遠の別れに触れようとしている。

 

 

これは神世の時代から続き、

 

そして今もまだ解決されていない問題に、

 

足を踏み入れようとしている。

 

 

もしかしたら踏み入れたなら、

 

引き返すことも出来ないのかもしれない。

 

 

その上で今、

 

お前は何を思い、

 

何を感じる?」

 

 

 

 

 

 

あ「………。

 

正直今の僕は、

 

父の魂の行く末を追う流れの中で、

 

 

今ここ、

 

イザナギさんのもとに立っていることに、

 

確かに神さまの采配を感じています。

 

 

ただイザナギさんとイザナミさんの、

 

伝説の神の仲を取り持つなんて、

 

自分にそんな大それたことが出来るとも、

 

考えていません。

 

 

ただこれが『運命』ならば、

 

与えられた運命にまっすぐ向き合い、

 

今自分に出来ることを、

 

精一杯やるだけです

 

 

 



 

ス「…そうか。

 

でも、忘れたらあかんで



 

 

 

 

あ「…?」

 

 



 

 

ス「さっきも言った通り、

 

今日ここに至るまでの流れは、

 

決して偶然ではない。

 

 

ちょうど去年の今、

 

イザナギとイザナミがかつて愛し合った、

 

おのころ島を訪れたこと。

 

 

その後旅の中のこの場所(伊弉諾神宮)で、

 

俺と親父(イザナギ)の確執を知ったこと。

 

 

黄泉平坂で、

 

イザナミの終わることなき悲しみを知ったこと。

 

 

そしてお前が、

 

俺と親父の仲を取り持ったこと。

 

 

これまでの流れがなかったら、

 

今俺たちはこうしてここに、

 

立っていない。

 

 

そして神は人に、

 

越えられない試練や課題は、

 

絶対に与えない。

 

 

お前の言う通り、

 

これからの運命にまっすぐ向き合い、

 

真摯に、誠実に、

 

歩んで行ってほしい」

 

 



 

 

あ「…はい…」

 

 

 

 

 

 

いつになく真剣な表情で話す、

 

スサノオさんの言葉に、


 

少し圧倒されながらも、

 

僕らは伊弉諾神宮のまっすぐな参道を抜けて、

本殿の前に立つ。

そして心を込めて、

 

二礼二拍手一礼。

 

 

 

 

 

 

 

 

…そこに…?

 

 

 

 

 

 

 

 

『この国の始まりの神』、

 

イザナギがその姿を現した。

イザナギ「荒川さん、スサノオ…」

 

 

 

 

 

 

僕らが訪れた用件を、

 

分かってくれているのか、

 

 

元々どこか影のある、

 

イザナギさんのその表情に、

 

 

さらなる影を感じながら、

 

僕らはイザナギさんと相対する。

あ「イザナギさん…。

 

今僕らは『菊理媛』を巡る旅に、

 

出ています。

 

 

決してただの興味本位の旅ではなく、

 

この春、

 

僕も父を亡くしました。

 

 

その父の魂の行く末を知るためにも僕は、

 

『生と死を司る』と言われている、

 

菊理姫という神の正体を知りたい

 

 

 

 

 

 

イザナギ「………」

 

 

 

 

 

 

あ「すみません、不躾ながら、

 

率直にお伺いさせてください。

 

 

日本書紀の中で、

 

イザナギさんとイザナミさんが、

 

黄泉平坂でお別れになった時、

 

 

突然現れた菊理媛が、

 

イザナギさんに『何か』を言ったと、

 

書かれています」

 

 

 

 

 

 

イザナギ「………」

 

 

 

 

 

 

あ「一体その時菊理媛は、

 

イザナギさんに何を、

 

言ったのでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

イザナギ「………」

 

 

 

 

 

 

 

あ「…すみません。

 

不躾にこんなことを聞いてしまって」

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギ「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

…。

……。

………。

…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

…長すぎるぐらいの沈黙が、

 

僕とイザナギさんの間に流れ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギ「…すまない…」

 

 

 

 

 

 

あ「…はい…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギ「…言えないんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギ「…それは…、

 

…言っては…いけないんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

あ「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギ「…うぅ…うっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

流れる沈黙の時間の中に、

 

突如として堰(せき)を切ったように、

 

 

イザナギさんの嗚咽が、

 

響き渡った。

イザナギ「言ってはいけない…。

 

…言っては…いけないんだ…。

 

 

うっ…。

 

うっ…イザナミ…、イザナミ…うっ…。

 

うっ、うぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

…まるで、

 

かつてイザナミさんを失い、

 

黄泉の国までその存在を追っていった時の、

 

 

イザナギさんの悲しみそのものを、

 

眼前で目にしているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『言ってはいけない』。

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギさんのその言葉は一体、

 

何を意味しているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

『スサノオと菊理媛を巡る旅』は、

 

淡路の地に響き渡る、

 

 

伝説の神の嗚咽とともに、

 

本格的な幕を開ける。


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