頭痛 あれこれ -2ページ目

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで、当ブログで、以下の疾患についての基本的な考え方を述べてきました。


片頭痛・・慢性頭痛
  
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12707523368.html


糖尿病
医者は口にできない 病院治療で糖尿病がよくならない本当の理由(わけ)   後藤 日出夫 健康ジャーナル社


うつ病、パニック障害
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12720518931.html


動脈硬化   脳梗塞
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12721434918.html


認知症
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723228526.html


 そして、平成20年から行われている特定健診の問題点について述べ、今後の考え方を述べました。


 ”メタボ検診”って、結局 な~に??
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12714711107.html

難病とされる”病”へ、どう対処するか??
  
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12707905025.html

 

 


 基調講演
    病気の原因の90%が活性酸素

      https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12719933280.html


病気の原因の90%が活性酸素

 

 活性酸素に関しては今から50年以上前に米国の生化学者フリードビッヒ博士によって解明され、その後世界各国で研究が行われてきました。
  その結果、人が罹るあらゆる病気に活性酸素が関与していることが明白になりました。 今や病気の90%は活性酸素が原因だということが判明したのです。それでは残りの10%は何かといいますと、風邪やエイズ、また最近増えてきている結核などの菌が体内に入っておこる病気、すなわち感染症です。

 人は呼吸することによって空気中から酸素を取り入れています。そして細胞はその酸素を使って栄養分を分解し、生きていくためのエネルギーを作り出しているのです。ところが、この過程で吸った酸素の2~3%が体内で電子の欠けた悪い酸素になります。これが「活性酸素(フリーラジカル)」といわれている酸素なのです。

 活性酸素のイメージとしてはなにか生き生きとした元気のよい酸素と思われるでしょう。ところが大変攻撃的な性格の激しい酸素なのです。そして正常な酸素から電子を奪い取ります。するとこの奪い取られた酸素もまた活性酸素になってしまい、他の正常な酸素を攻撃し電子を奪い取りにいくのです。こうしてどんどん連鎖反応をおこして活性酸素が一気に増えていくのです。

 
私たちの体は約60兆個の細胞で出来ている


 私たちの体は約60兆個の細胞で出来ています。髪の毛も皮膚も血管もそしてあらゆる臓器が、一つ一つの細胞から成り立っているのです。ですから健康であるということは、この細胞一つ一つが元気であるということなのです。活性酸素はこの細胞に攻撃をしかけ、細胞を酸化させてしまいます。この細胞が酸化させられることによって、老化や癌、動脈硬化などの生活習慣病が引き起こされるのです。

 あらゆる臓器が細胞の集合によって構成されているのですから、もしも仮に皮膚の細胞が酸化されたとすると皮膚の病気になるということです。同じことが目、胃、腎臓、脳等におこれば各々の病気になるということです。

 酸化されるということがどういうことかといえば、例えば、りんごを半分に切ってしばらく放っておくと、切り口が赤茶色に変色します。または、鉄クギは半年、1年するとしだいに赤く錆びついてきます。こういう状態が我々の体内で起こっているということです。

 ところで、人が老いることを老化していくと一般的には捉えられていますが、年を一年一年積み重ねることが果たして老いるということでしょうか? そうではなくて実は血管が老化することなのです。この血管が老化していくことに活性酸素が深く関わっているのです。活性酸素によって血管が酸化され硬くなり、脆くなる。しかも、活性酸素によって酸化されたコレステロールや中性脂肪がたまって血管を狭くしてしまうのです。
  そこを血栓(血の塊)が詰まれば一巻の終わりです。心臓の動脈が詰まれば狭心症や心筋梗塞を引き起こします。また、脳で動脈が詰まれば脳梗塞であり、血管が破れれば脳溢血です。

 このような血管が老化するという現象は中高年に多く見うけられましたが、昨今は、若い世代でも活性酸素を体の中にたくさん作るような生活が習慣化されて、早くから血管が老化しているのです。従って、20代30代で既に40代50代の血管になっている若者が、非常に増加しているのです。まさに老化がこの世代から始まっているのです。

 このことから現在、日本は長寿社会かもしれませんが、これから先10年もすれば日本の平均寿命は70代に下がっているかもしれないと予測されるのです。


活性酸素はどのような仕組みで発生するか


 さて、いったい活性酸素とはどのような仕組みで発生するのでしょうか?
  これを説明するためには、どうしても化学構造を持ち出さねばなりません。少し学生に戻って科学の授業で習ったことを思い出してみましょう。
  酸素分子(O2)は酸素原子である(O)が2個結びついて1個の酸素分子を形成しています。

 この酸素原子(O)は、その中心に1個の原子核があって、その周りを8個の電子が回っています。酸素原子の場合は電子の軌道が2つあり、この8個の電子は内側の軌道に2個、外側の軌道に6個が回っているという構造になっています。
  普通、電子は2個がペアになって存在しており、それが最も安定的な形だとされています。ところが、酸素原子の外側の軌道を回る6個の電子のうちの2個だけはペアになる相手を持っていないのです。そこで同じようにペアとなる相手を探している他の酸素原子の外側の2個の電子とくっついて2つの酸素原子が結びつき酸素分子(O2)となって安定するのです。

ところが、なにかのはずみで、くっつくことが出来ない、ペアの組めない電子(不対電子)ができるのです。そしてなんとかペアの相手を見つけて安定しようとします。そのために、他の物質の分子から電子を掠奪しようと襲いかかります。 これが活性酸素です。
  つまり、普通の酸素がなにかのはずみで、ペアとなる電子を欠き、掠奪者となった酸素が活性酸素なのです。この掠奪者のことを”フリーラジカル”といいます。

 一方、掠奪された側も活性酸素となって他の分子を襲って電子を掠奪します。するとまた掠奪された分子が他の分子から電子を奪い取ります。こうして、次から次へと連鎖反応をおこしていくのです。この電子が奪われていくことを”酸化”と呼び、逆に電子を奪って安定することを”還元”と呼んでいます。

 つまり、このフリーラジカルが他の分子から電子を奪いとることにより、その分子は「酸化」してしまうのです。酸化するということは、金属の腐食や食べ物が腐ることと同じ意味です。そして酸化が進めば、鉄がサビつくように細胞をサビつかせるのです。

 そしてこの”活性酸素”は非常に過激で酸素力が強烈なのです。この強烈な酸化力を持って、体内の細胞を次から次へと酸化していくのです。この超酸化力によって私たちの体内にある血管や臓器がボロボロになっていくのです。


こうして活性酸素は細胞を攻撃する


 人は空気を吸って、体内に酸素を取り入れています。その酸素を使って食物を体内で代謝させることによってエネルギーをつくり出しているのです。その役割を果たしているのが細胞内のミトコンドリアです。
  ミトコンドリアが酸素の新陳代謝によりエネルギーを作り出すときに、酸素の一部が活性酸素になります。

 私達の体は60兆個の細胞から成り立っています。ですから、この一つ一つの細胞が酸素を使って栄養を代謝するたびに活性酸素を発生させているということになります。ということは、人間は生きている限り、活性酸素から逃れることはできないということです。
  では、どのようにして活性酸素は細胞を傷つけ病気を生みだしているのでしょうか?


細胞膜が活性酸素によって酸化される


 細胞は不飽和脂肪酸という脂肪の膜で覆われています。この細胞膜が活性酸素によって酸化され、有害物質である過酸化脂質にかわります。
  “酸化される”ということは、例えば、天ぷら油を使ったあとそのまま放っておくと、その油は日が経つにつれ、黄色く変色し、ボロボロになります。鉄クギを屋外へおいておくとやがて赤く錆びついてしまいます。これが過酸化脂質なのです。不飽和脂肪酸が空気中の酸素によって”酸化”して”過酸化脂質”になったというわけです。
  私達の体内においても、同じようなことが起こっています。活性酸素によって体内の細胞膜(不飽和脂肪酸)が過酸化脂質に変わると、それが血管の壁にこびりつき、やがては血管を狭くし、塞いでしまいます。私達は血液によって酸素や栄養が体の隅々まで運ばれているのです。ですから血管が塞がれてしまうと、供給不足になり、各細胞は衰えていきやがては死滅してしまいます。
  もちろん、酸化されるのは血管だけではありません。内蔵のあらゆる器官から皮膚にいたるまで活性酸素による酸化は体のすべてでおこるのです。

 

癌も活性酸素が原因で発生する


 細胞の外側を覆っている細胞膜が活性酸素によって過酸化脂質に変化することにより細胞膜自体が破壊されると、活性酸素が細胞内に侵入し核のある「DNA」に直接襲いかかります。「DNA」は人間を正常な体に構成するために一つ一つ作り上げるための、いわば遺伝子の基になるものです。この「DNA」が活性酸素によって狂わせられて、突然変異の遺伝子をつくり出してしまいます。
  この変異した細胞がガン細胞なのです。


 活性酸素がいかに私達の体を蝕んでいるかご理解頂けたかと思います。

 酸化は私達の気付かないところで常に起こっています。知らず知らずのうちに私達の体は酸化されているのです。そして、老化を促進させ、心筋梗塞、脳梗塞、癌などの生活習慣病を引き起こすのです。人間の体は60兆個の細胞で構成されています。従って胃を構成している細胞が酸化されれば胃の病気になるし、膵臓でおこれば膵臓の病気になり、皮膚でおこれば皮膚の病気になります。

 風邪のウイルスなどによる細菌感染でおこる病気以外はすべてこの活性酸素によっておこるのです。故に現代病の90%は活性酸素が原因であるということになるのです。

 

 「酸化ストレス・炎症体質」の形成過程

 

  ミトコンドリアの機能を悪化させる要因には、以下のようなものがあります。


  ミトコンドリアの機能を悪化させる要因(表1)。


 1.生活習慣の問題


   睡眠不足・・睡眠の重要性
    運動不足
    食べ過ぎ・過食
   早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
   薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬


 2.食事内容の問題


   マグネシウム不足
   必須脂肪酸の摂取のアンバランス 
   鉄不足
   野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足
   食生活の欧米化・・腸内環境の悪化


 3.生活環境の問題


   活性酸素
    有害物質


 4.年齢的な問題


     女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下
  

 このような要因を改善・是正しておきませんと以下のようなことから「酸化ストレス・炎症体質」を形成し、慢性疾患の基盤となり、慢性病を引き起こす基盤になってきます。


 細胞内小器官である「ミトコンドリア」は私達に生きるエネルギーを与えてくれますが、反面、活性酸素を最も多く発生する細胞内小器官でもあります。
  ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。
  しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。


身の回りの活性酸素を生み出す要因


 活性酸素は、「呼吸をする」、「食事を摂る」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で必ず発生するからです。そのほか、白血球が細菌を殺傷するとき、生理活性物質が作られるとき、有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗ガン剤、薬物全般、アルコール、タバコ、大気汚染物質など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再環流)、紫外線や電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざまな要因により発生します。


「酸化ストレス」とは
 

 先程も述べましたように、ミトコンドリアが酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で活性酸素は必ず発生します。もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
  そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。


 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”活性酸素を取り除く手段(抗抗酸化物質)の能力”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。


  「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態・体質のことを言います。


 たくさんのミトコンドリアが余裕を持ってエネルギーをつくる態勢だと、活性酸素はそれほど問題になりませんが、少ないミトコンドリアが必死にフル回転でエネルギーを作ろうとすると、活性酸素がたくさん排出されてしまいます。


 ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。
  自動車に例えると分かりやすいと思います。ガソリンを使ってエンジンを動かしたら、排気ガスが出ます。同じように、ミトコンドリアも、エネルギーを作り出したら、排気ガスと同じようなものが出てしまうのです。それが、活性酸素です。
  例えば、360ccの軽自動車をブンブンふかしていたのではダメで、エンジンを大きくして(=ミトコンドリアを増やして)少ないガソリンで効率よくエネルギーを出し、排気ガス(活性酸素)の少ない良質なエンジンを積んでおくことが重要になってきます。
  生活環境の影響や年齢を重ねると、このミトコンドリアの数が減少していき、さらにミトコンドリアの働きも低下していきます。
  ガソリンばかり食ってあまりエネルギーが出ないような質の悪いエンジンになってしまうわけです。


 少量の活性酸素は有効に役立てられますが、活性酸素が増えてしまうと、害を及ぼします。

 「酸化ストレス・炎症体質」は、ぼろぼろに錆びた金属に例えられる、「錆び体質」と言われるものです。ほとんどの現代人が抱える、さまざまな慢性病や生活習慣病の根底にある慢性病の源となっているものです。
  冒頭で述べたように、現在では人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると言われています。


 「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、特効薬などはありません。


  以上のように「酸化ストレス・炎症体質」とは、体の中から活性酸素がどんどん産生され、抗酸化作用が全く追いつかない状態で、いつも“腫れたり”、”痛みがでたり”、“熱がでたり”、”発赤したり”さらには、高血圧になったり、心臓や脳血管で血栓を起こしたり、コレステロール値が高くなったり、アレルギーになりやすかったり、風邪や癌などに罹りやすくなったり、頭痛を起こしやすくしたり、いろんな病気に罹りやすい”体質”のことです。


 この「酸化ストレス炎症体質」を基盤として、“内臓脂肪”の要因が加わると糖尿病に、生まれつき“ミトコンドリア活性が弱い”と片頭痛に、“脳内セロトニンが低下する”とうつ病やパニック障害に、“発ガン物質を摂れば”、ガンになり、”βアミロイドが蓄積すれば”、アルツハイマー病になってきます。
  このように、生活習慣病や慢性疾患と言われている病気の根底にあるのが「酸化ストレス・炎症体質」で、多くの場合「遺伝的体質」や「原因不明」という言葉で表現されているのが現状です。


 最近では、酸化ストレスが高い状態が続くと、私たちの体を構成する全てのDNAやタンパク質、脂質、糖質が酸化されていきますが、現在ではさまざまな病気において、これらの酸化ストレスにより変化した分子が、蓄積していることが分かってきました。
  例えば糖尿病では、酸化された糖とタンパク質が結合し、異常な糖化タンパク質が増えていることが分かっています。また、動脈硬化を起こした血管では、酸化された脂質(過酸化脂質)が蓄積し、血管の内腔が狭くなり、血液が流れにくくなっています。
  さらに、アルツハイマー病やパーキンソン病など、高齢者に多い脳の病気でも、酸化したタンパク質などが蓄積していますし、酸化ストレスによって細胞が損傷を受けると、その細胞はやがてガン化します。
  このように、強い酸化ストレスにより酸化された生体内の分子は、さまざまな病気の原因となっている可能性があるのです。


「酸化ストレス・炎症体質」を改善させるためには・・


 「酸化ストレス・炎症体質」を形成させないことです。これが、最も大切な点です。
  そのためには、その根底にある次のような問題を解決する必要があります。


  1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
   2)腸内環境を整える
    3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
    4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスをよくする
    5)インスリン過剰分泌を起こさない

 
 当然のこととして、表1に対する対策も必要になってきます。

 

ヒトが老化し、病気になる根本原因

  …「糖化」と「酸化」を防ぐ


 長寿大国とよばれて久しい日本。しかし、認知症や寝たきり老人など長寿化に伴い様々な健康問題が顕著になっており、老後の人生に大きな不安を抱える人も少なくないでしょう。病気を予防し若々しく生きるためには、体内で起こる「酸化」と「糖化」をいかに防ぐかが重要です。


 血糖値が急激に上下する現象「血糖値スパイク」


 血糖値は食事や運動、排泄、緊張、休息、睡眠などにより、絶えず変化しています。血糖値の指標として一般的によく用いられるのは、空腹時血糖(FBS)とヘモグロビンA1c(HbA1c)です。空腹時血糖とは、早朝の食事前の血糖値です。ヘモグロビンA1cは、赤血球の色素であるヘモグロビンに糖(グルコース)が付着して起こす反応(糖化反応)のことで、ヘモグロビンの総数のうち、何パーセントが高血糖と付着したかを表わします。ただし、これは過去3ヵ月間の血糖値の平均値です。


 実は、この「平均」がくせものなのです。血糖値の高いときと低いときがあっても、平均をとればその中間になります。平均値だけでは、本当の血糖値の上がり下がりはわかりません。


 近年、血糖値には急激に上下する現象があることがわかってきました。落差が60mg/dl以上の場合、「血糖値スパイク」といいます。スパイクとは、「大きな釘」の意味で、急激に血糖値が上がり、その後、ストンと下がってしまう現象です。


 実は、こうした血糖値スパイクの方が多くいることもわかりました。問題なのは、血糖値が下がったときです。急に血糖値が下がりすぎると意識を失ったり、脳の機能が損なわれて植物状態になったり、最悪の場合には死に至ることもあります。


血糖値スパイクは「老化」や「生活習慣病」の大元


 ヒトが病気になったり老化する原因をご存知でしょうか。それは「糖化」と「酸化」の作用によるのです。


 糖化は、血糖値スパイクにより引き起こされます。糖化とは、身体を構成しているタンパク質が体温と血糖値の変化によって変性してしまうことです。いわば、身体のタンパク質が「コゲ」た状態です。


 そこに酸化が加わります。酸化とは、鼻から吸った酸素が代謝の過程で活性酸素に変わり、細胞やDNAを「サビ」させてしまう反応です。


 代謝とは生命を維持するための営みです。簡単に説明すると、私たちは呼吸によって鼻から酸素を取り入れます。肺のなかで酸素は赤血球のヘモグロビン(血色素)と結合して、全身をめぐり、各細胞に酸素を送り届けます。


 一方、口から入った食事は、消化吸収されて血液に入り、肝臓や筋肉のなかに貯め込まれます(ここでインスリンが作用します)。貯蔵された糖(グルコース)は、必要に応じて血液に入り、各細胞に届けられます。


 細胞のなかの工場であるミトコンドリアは、ブドウ糖を酸素と結合させて燃焼させ、TCAサイクル(クエン酸回路)を通して、細胞が直接使えるエネルギー源ATP(アデノシン3リン酸)をつくります。


 この代謝の副産物として活性酸素(O3)ができてしまいます(吸った酸素の5%)。この活性酸素が過剰になり、酸化を起こす要因になることを「酸化ストレス」といいます。 この酸化ストレスが細胞やDNAを「サビ」させます。

 活性酸素は身体に入ってきたウイルスや細菌を殺すといったよい働きもします。しかし、老化や生活習慣病の原因となったり、疼痛物質や疲労物質、ガン細胞のもとをつくるなどのよくない働きもいろいろとします。ちなみに、タバコはこうした酸化ストレスをつくる要素になります。


 私たちの身体には、グルタチオン(ホルモン)、ビリルビン(ヘモグロビンが代謝されてできたもの)など、抗酸化力を持つ物質が多種あります。また、野菜や果物などの食材には、抗酸化力のあるものが多々あります。これらが身体の免疫力などの自然治癒力を高めてくれます。


 健康を保ち、若々しさを保つためには、酸化ストレスと抗酸化力のバランスをとることが重要なのです。


動脈硬化や脳梗塞などのリスクを高める「糖化ストレス」


 糖(グルコース)は、私たちが生きてゆくために必須の物質です。しかし、血糖値スパイクのため、糖の代謝に異常が起こると、その一部が反応しやすいアルデヒド(R-CHO)となり(摂取した糖の0.1%)、体内のタンパク質を変性(コゲ)させてしまいます。これが「糖化ストレス」です。糖化ストレスは血管の壁を傷つけたり、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞を起こしやすくします。

 

 糖化ストレスには、段階があります。最終段階がAGEs(エイジス)という物質をつくり出すことです。私たちは、より早期の糖化ストレスを測定できる方法はないかと模索し、特殊な顕微鏡で血液を生きたまま観察することに成功しました。その結果、糖化の初期状態を見ることができるようになりました。
 

酸素を運べない「ドロドロ血液」が全身に及ぼす悪影響


 私たちの身体の血管のなかには、体内の細胞にくまなく酸素を運ぶためにたくさんの赤血球があります。この赤血球は骨髄で毎日2000億個つくられています。赤血球の寿命は約120日間で、その間に20?30万回ほど全身を循環して酸素を運んでいます。


 古くなった赤血球は脾臓(ひぞう)や肝臓などのマクロファージ(白血球の1種)に捕捉され、分解されて壊れてゆきます。ウンチや小水が黄色いのは、壊れた赤血球の残骸(ビリルビン)の色です。


 健常者の血液を見ると、赤血球は1個1個独立して血液中を流れています。しかし、糖化が起こると、本来はバラバラに存在している赤血球が変形したり、硬貨が連なったような形になる連銭形成(れんせんけいせい)を起したり、ついには、団塊化したりします。変形したり連銭形成した赤血球では、酸素を十分に運べません。

 
 私たちの身体は37兆もの体細胞でつくられており、血糖(グルコース、ブドウ糖)は、細胞のエネルギー源となります。細胞のミトコンドリアが、ブドウ糖(血糖)を酸素に結合させて(燃焼させて)、細胞が直接使えるエネルギー源ATP(アデノシン3リン酸)をつくります。いわば、ブドウ糖が原油なら、ATPはきれいなガソリンです。先述したように、これが生命を維持する代謝です。


 その作用に必要な酸素が赤血球によって運ばれなくてはたいへんなことになります。一般的にいう「血液ドロドロ」では、正しく酸素を運べません。すなわち、生きてはいけません。身体の免疫力や自然治癒力が衰え、さまざまな部位に不調をきたすようになります。その大きな原因は血糖値スパイクにあったのです。
 


「疲労物質=乳酸」はもう古い

 「疲れ」はどこから来るのか


 そもそも「疲れ」って何なのでしょうか? 疲れのメカニズムを解説します。


 近年、ストレスの過重蓄積による過労死やメンタルヘルスが問題視される中で、これらにいかに対処するかという気運が高まり、「疲労の科学」 が注目を集めています。しかし、「なかなか疲れが取れない」ことを理由に病院を受診しても、検査で原因が判明することはほとんどありません。検査で異常が見つからないことから、精神科や心療内科を受診する人もいます。しかし、そこでも疲れを説明できるような病気が見つからないことが往々にしてあります。そもそも「疲れ」って何なのでしょうか?どのようにして起こるのでしょうか? 疲れのメカニズムについて解説します。


■疲労には2種類ある


「疲れる」ということはヒトが生命活動をしていく上で必要なサインで、過剰な活動に よって疲弊したり病気になるのを防ぐための重要な症状なのです。


 疲れるサインを無視して働き続けたり体を酷使し続けると、過労死やうつ病、生活習慣病をはじめとする様々な病気が起こってしまいます。じつは、その「疲労」は、カラダとアタマを守るための機構として2種類に大別されます。


 一つはカラダの疲労、運動などによる肉体的な疲労「末梢性疲労」、もう一つは肉体的な限界に至る前に感じられる疲労「中枢性疲労」です。この2種類の疲れは表裏一体の関係にありますが、『今、自分がどちらの疲れを強く感じているのか』を自覚することで、その時有効な疲れの対処法が変わりますので、疲れを感じた時、まずこの2種類を意識するようにしましょう。


 それを踏まえた上で、疲労の原因が何かを解説したいと思います。


■「疲労物質=乳酸」はもう古い!?


 これまで「乳酸」が疲労の原因物質と考えられていましたが、近年の研究によりその考え方は過去のものになりつつあります。従来、乳酸は筋肉の中では疲労回復を遅らせると考えられてきました。血中に放出された乳酸は体内pHの低下(体液のバランスが酸性に傾く)を生じさせることに加え、乳酸が脳にも回り、これが筋肉疲労を脳に知らせているシグナルで、かつ脳の疲労の原因物質であるかのように極めて単純に考えられた時代もありました。


 しかし、乳酸は疲労を抑制するように働く、という従来と真逆の研究成果が注目を集めています。乳酸は運動により筋内から血中に放出されますが、筋肉や心臓に取り込まれ、エネルギー源として利用されることが判明しました。また、脳でも乳酸が神経細胞周囲の細胞によって作られますが、疲労の抑制やエネルギー物質として利用されることがわかってきたのです。


■末梢性疲労は「カラダの疲れ」!休息することで改善する


 末梢性疲労は「筋疲労」と「末梢神経性疲労」に大別されます。これらの疲労現象は、筋肉に存在するグリコーゲンなどのエネルギー源の枯渇、血液の恒常性の失調(一時的な血流不全など)、調整機能失調(神経筋伝達の遅延)などによって、筋が発揮できる力が減り、俊敏性や巧緻性も低下し、パフォーマンスが低下します。また、筋疲労に引き続いて起こる筋肉痛は、運動中に生じた筋肉の損傷後の炎症に伴う機械的刺激や化学的刺激によって起こり、さらにパフォーマンスが低下します。しかし、末梢性疲労は炎症の収束とともに回復するのが特徴で、十分な休息と栄養を取ることが末梢性疲労を解消するカギになります。


■中枢性疲労は「脳の疲れ」。解消にはストレスのフィルターを鍛えろ!


 一方、中枢性疲労は精神的(ココロ)な疲れで、「痛い」「寒い」などの"感覚"に近いものと言えます。疲労の度合いはカラダやアタマを酷使する量と比例せず、心理的な疲れであることを考えると、理解しやすいでしょう。例えば、スポーツでカラダを酷使した後であっても心地よさを感じることがある一方で、カラダは酷使していないのに長時間続く会議など、ストレスや緊張状態が続くことで、ぐったり疲れてしまうことがあります。このように「ストレスの感じ方」が中枢性疲労には重要になってきます。


 ストレスの処理は主に脳の「前頭前野」と呼ばれる場所で行われ、ここの処理能力はその日の体調やコンディションに影響を受けます。日によって疲れ方が異なるのは前頭前野の「ストレスのフィルター」としての能力が関係しているのです。この処理がうまくいかないと強い疲労や過労死などを生む原因となるのです。逆に、このフィルターを意識して鍛えることで中枢性疲労を改善することができるのです。


■脳の疲れと疲れに伴う症状は「酸化ストレス」が引き起こしていた


 前頭前野で処理されたストレス刺激が脳内で大きくなると、脳の活動が活発になり脳の酸素消費量が増大します。酸素がたくさん使われた後には、その副産物として大量の活性酸素、つまり酸化ストレスが産生されます。通常は酸化ストレスから細胞を守るシステムが働き、活性酸素は除去されますが、処理しきれないほどの酸化ストレスが産生されると、細胞がダメージを受け機能不全に陥ってしまいます。このダメージやストレス負荷が脳の各部位に伝わることで、疲れやだるさを感じたりカラダに異常が生じるのです。


■前頭前野:作業効率が落ちる、やる気がなくなる、寝られないなどの症状が現れます。これは疲労感を増悪させ、さらにストレスがかかるという負の連鎖に陥ります。


■大脳辺縁系:大脳辺縁系にストレス負荷が伝わると、ストレスから身を守るために自律神経、内分泌などを介してストレス反応を形成します。その結果、胃腸の不良、肩こり、頭痛、注意力低下、抑うつ感などが症状として現れます。


■脳内神経伝達:疲労感と脳内の「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質の枯渇は密接に関係しているとされます。脳細胞が酸化ストレスによりダメージを受けることでセロトニンが枯渇してしまい疲労感が増します。うつ病では、このセロトニンの低下がうつ状態の主因と考えられており、セロトニン神経伝達部位でのセロトニンを薬剤によって増やすとうつ状態が改善されることが知られています。


 疲労や精神的ストレスは脳内で活性酸素などの酸化ストレスを生む。前頭前野ではセロトニン分泌が低下し、抑うつ感、疲労感、意欲的か、作業効率低下などを生じさせる。大脳辺縁系では自律神経やホルモンバランスが崩れ、頭痛や肩こりなどの症状が生じる。酸化ストレスを解消するために免疫細胞から「インターフェロン」などの免疫物質が分泌されるが、これは酸化ストレスの処理だけでなく、脳内神経伝達物質である「セロトニン」の分泌も阻害し疲労感に拍車がかかる負の連鎖を生む。


 それだけではありません。酸化ストレスが発生すると、それから体を守ろうとする免疫機構が働きます。例えば、免疫物質の「インターフェロン」は上述のセロトニン分泌を弱めてしまうことがわかっています。B型肝炎、C型肝炎の治療などで用いられた「インターフェロン治療」の代表的な副作用が「うつ病」であったことは多くの人が知るところです。インターフェロンはカラダを守る物質として有益ですが、疲労感やうつ病の原因にもなるのです。


 以上、疲労のメカニズムについて解説しました。日常であなたが「疲れた」と感じるのはカラダの疲れでしょうか?脳の疲れでしょうか?まずは、この違いを意識しましょう。それぞれ、疲れを感じるメカニズムは異なりますし、それに応じた対処法も異なります。さて、どのように対処するのがいいのか、次回解説することにします。


酸化ストレスがうつ病に関係している?


 うつ病は現在、研究中の疾患であり精神疾患として原因はまだ解明されていません。

 症状として、多くは不眠や仮眠、集中力の低下、思考力の減退などがみられます。その他にも、うつ病がいろんな疾患につながる可能性が高いと考えられています。


 現在、研究が進んでいく中で様々な仮説が出てきています。脳の疾患や心理学的なアプローチからメンタル的なストレスが原因とする場合、アルコールや薬物が原因であるという場合なども出てきています。しかし原因が解明されてないため、現在、薬物療法や認知行動療法、運動療法など様々な治療法がとられています。


 実際に、うつ病を診ておられる病院があります。そちらは、食事指導でうつ病を改善している有名な病院なのですが、食事指導の中でも「糖質制限」を行い、糖質による酸化ストレスを抑えています。そして酸化ストレスを抑えることによって、脳の中の炎症性物質と酸化ストレス物質を下げうつ病の改善に成功しているという結果が出ています。


    プロテインがなぜ、有用なのか?
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12703604597.html


酸化ストレスとうつ病


 うつ病だから酸化ストレスが上がるのか、酸化ストレスが上がっているからうつ病になってしまうのか、どちらが先なのかは解明されていませんが糖質制限をして酸化ストレスを下げることによってうつ病が改善されるという人は存在します。


それを考えると酸化ストレスとうつ病は関係があると考えられます。


精神的なストレスと酸化ストレス


 うつ病の要因のひとつとして考えられている「社会的ストレス」について、日常的にストレスの多い生活をしているとうつ病になってしまう可能性が高まるといわれています。


 うつ病と酸化ストレスが関係があるのであればメンタル的なストレスも酸化ストレスと関係があるのでしょうか?

 実は、メンタル的なストレスは酸化ストレスを上げてしまいます。仕事や家庭などのストレスが高まっていると、酸化ストレスも上がってしまうのです。


 実は、うつ病と酸化ストレスの関係と同じで、メンタル的なストレスが高まっているから、酸化ストレスが上がるのか。酸化ストレスが上がっているから、メンタル的なストレスが高まるのか。は解明されていません。

 しかし、酸化ストレスとの関係があるのは明らかになっています。


 生活をしていく上で、日常的なストレスを避け続けることは難しいですが、酸化ストレスが上がると老化や疾患につながることを考え、少しでも酸化ストレスを下げる生活を心掛けていただければと思います。

 

 

 

 

 この講演を記載した理由は、先日の大阪市の雑居ビルの放火殺人事件の際に、被害に遭ったクリニックの院長を患者さんから慕われ”よい医師”として、あたかも穢れ無きイエス・キリストのような聖人君子のようにマスコミに終始報道され、私にとって極めて違和感を覚えました。そうしたなかで、現代医療のあり方として、うつ病・パニック障害の診療方針の基本について言及しました。その結論として、患者さんの言いなりに迎合することが、正しい、”よい医師としてのあり方”なのかという疑問を呈しました。
 さらに、うつ病・パニック障害が、”障害者なのか?”という疑問でした。
 このように、医師と患者の基本的な関係そのものに対する考え方でした。


 今回は、うつ病・パニック障害との関連で述べましたが、「頭痛」に関してもまったく同様のことが言えます。まだ、頭痛の方が酷いのではないでしょうか?
 頭痛の専門家の言うようにしていて、頭痛が治らない理由はここにあります。
 こういう機会も二度とあるものではありませんので、よく考えてみて下さい。


 このような基本的な考え方が食い違う原因はクスリにあります。専門家は、クスリがすべてです。片頭痛には、トリプタン製剤が、糖尿病には血糖降下剤が、動脈硬化には、アルテプラーゼが、うつ病には抗うつ薬が、認知症にはアリセプトがあります。
 アリセプトが販売になった際、当時高名な精神科医は、アリセプトと長谷川式簡易痴呆検査がなければ、認知症はここまで増加しなかったと述懐されていたのが、未だに忘れることができません。


 現在では、ミトコンドリアを治すものが”病気を制する!”とされています。
 この事実は、医学界では何十年もタブーとされてきました。
 オットー・ウォーバーグが”ワールブルグ効果”を発表した時には、この事実がわかったのですが、製薬会社や医者の利益を守る為に封印されてきました。
  医学界が、この封印を解いて、この事実を公表する可能性は極めて低いものと思われます。
  これからも色々な病名をデッチ上げて、病気の根本原因をわかりにくくさせるものと思われます。


 医者が「病気の原因を明かしてはならない」という掟に縛られた存在であるとすれば、片頭痛の専門家が、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成する「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および頭痛研究の絶対的な基準(教義・教典)としていることから、片頭痛と緊張型頭痛は本来脳のなかに異常のない頭痛とされていたものが、最近の専門家の考えでは、片頭痛は緊張型頭痛とはまったく別の範疇の頭痛すなわち、中枢性疾患、「頭痛そのものが脳の病気」と考えるように至っていることが納得されるはずです。


 これを専門家達は頭痛研究の進歩と自画自賛されています。
 このようにして、益々、片頭痛の原因は明かされないようになっています。本来、緊張型頭痛も片頭痛も一連の連続したものでありながら、このように片頭痛と緊張型頭痛を別の範疇の頭痛と考えたことから、片頭痛の原因が分からなくなってしまっています。


 こうして、専門家は片頭痛の原因を明らかにしてはならないという掟を忠実に厳守していることになります。


 そして、学会の場では、片頭痛の本質論を論ずるような研究発表が行われることがない最大の理由になっています。

 

 

        ”物忘れ”が気になる人に・・
                                       
         
認知症予防への挑戦
                                       
     
目次


はじめに・・認知症は、果たして予防できるものでしょうか??
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722459064.html


認知症対策は、どのようにすべきでしょうか?
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722614695.html


認知症予防のための生活習慣
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722632631.html


海馬は繊細な記憶の司令塔・・ストレスの影響
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722671903.html


海馬は繊細な記憶の司令塔 酸素不足の問題
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722791774.html


認知症の環境因子・・酸素不足
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723151948.html


認知症予防のための食事 総説
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722801808.html


認知症予防のための食事・・食事療法のポイント
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722835899.html


アルツハイマー病は脳の糖尿病である (3型糖尿病)
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722984199.html


物忘れが多い人にはケトン食
  
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723165047.html


マグネシウムの重要性・・認知症予防上
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722987982.html


ビタミン Dと認知症
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12722991395.html


認知症予防とミトコンドリア・ダイエット
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723171018.html


認知症を予防の基本的な考え方・・薬剤は必要最小限度に・・
  
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723044013.html


認知症が増加する要因・・薬剤の多剤処方
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723157998.html


認知症を予防の基本的な考え方・・腸内環境を整える
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723052001.html


認知症と姿勢
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723168008.html


アルツハイマー型認知症の予防は、生活習慣の改善から・
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723175765.html


認知症は生活習慣病である
 
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12723028522.html

 

 

「認知症に深く関わる酸化ストレス」
    ~抗酸化サプリメントによる酸化ストレスの低減で認知症の予防効果を確認、岡山大学と岐阜大学が共同研究で発表~
    https://info.ninchisho.net/archives/34644


酸化ストレス仮説に基づくアルツハイマー病治療法開発の現状と展望
  https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/053111043.pdf


世界初の認知症予防を実現
~「認知症は酸化ストレス病」を臨床試験で実証~
   http://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press2019/press20191031-5.pdf

 

 以上のように、最近では、認知症は酸化ストレスとの関連から論じられることが多くなったようです。

 

 私も2017年より、物忘れを主訴として来院された際に、この段階から酸化ストレス・炎症体質との関連から認知症の予防策を模索してチャレンジしてきました。また、アルツハイマー病と診断しても、抗認知症薬を服用させて、病気の進行を抑えようとすることに終始することなく、何とか、元に戻すべく工夫を凝らせて診療しながら、学問の進展を待ち望んでおりました。

アルツハイマー型認知症の発症の起点とは・・


  アルツハイマー型認知症は、患者さんの脳にアミロイドβという異常なタンパクが付着し、徐々に脳神経を壊していく病気です。
  脳のしみ、老人斑などとも言われますが、脳を壊していくので非常に”たちが悪いしみ”だといえます。
  アミロイドβによって、患者さんは、それまでできていた能力、記憶や見当識、思考力、判断力などを失います。
  そのため徐々に自立した生活が営めなくなり、介護の助けがないと生きていけなくなります。
  なぜ体内でできたタンパクが、自分自身を傷つけるのかについてはまだ詳しいことはわかっていません。
  ただアミロイドβは、単独ではなく、アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパクとミトコンドリア内部で結合することで毒性が発現し、神経細胞を壊すことがわかってきました。
  この時、ミトコンドリアでは、エネルギー生産の低下や二重になっている膜の透過性が下がるなど著しい機能の低下が観察されているため、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになりました。
  このように、認知症発症と進行の原因となる異常なタンパク、アミロイドβは、ミトコンドリアの機能低下を背景・基盤にして、ミトコンドリアの内部で他のタンパク(アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパク)と結合し、細胞を壊す毒性を持つようになったのではないかと考えられています。
  ミトコンドリアの機能が低下することによってアミロイドβが毒性を持ってしまうのなら、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの沈着を防ぎ・毒性を抑えることができる可能性があります。


  このように、アルツハイマー型認知症発症の起点は、ミトコンドリアの機能が低下することにあります。このことが、認知症を予防する上での基本的な考え方になっています。


ミトコンドリアの機能を低下させる要因


1.生活環境の問題
 

   活性酸素・・抗酸化食品の摂取不足
   有害物質の摂取・・デトックスを怠る

 

2.生活習慣の問題
 

   不規則な生活・・睡眠不足
   運動不足
   食べ過ぎ・過食
   インスリン過分泌・・早食い・ドカ喰い
   薬剤による影響

 

3.食生活の問題
 

   マグネシウム不足・・マグネシウムの重要性
   鉄・葉酸不足
   必須脂肪酸の摂取のアンバランス

 
ミトコンドリアの役割


  ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。


  私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
  「セロトニン神経系」の神経核は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。


  セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。


 「健康的な生活」とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
 この「生体のリズム」は「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。
 
 ホメオスターシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。
  ホメオスターシスはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。


  一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。

 
  ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。


  内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
  必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります


  ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
  また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。

 
  このように、「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”は、生活習慣とくに食生活・ストレス等によって影響を受けています。
  このため、「健康的な生活を送る」ためには自然治癒力を高めることが重要で、このためには「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”を「健全化」させておくことが大切になり、特に食生活に配慮する必要があります。


  ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「姿勢の悪さ」引き起こしてきます。


  セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「姿勢の悪さ」を引き起こします。


  私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、生活習慣の問題により引き起こされた「脳内セロトニン低下」と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
  こういったことから、現代では、「姿勢の悪さ」が日常茶飯事にみられるようになってきました。


  ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。
  ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。
  ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、元気にさせると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。
  しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。

 

 活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
  
  私達の体には活性酸素を取り除く手段として、抗酸化物質が備わっています。
  ところが、このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SOD産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することがわかってきました。
  コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。
  このように年齢とともに抗酸化物質は減少し、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。
 「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気・認知症を引き起こしてしまう状態のことをいいます。

 

 このようにして、30歳以降になって、私達の体には活性酸素を取り除く手段としての抗酸化物質の産生の低下する段階から、認知症発症の素地が形成されることになります。


「ミトコンドリアの機能の低下」を来す要因に対する対処として、


  生活習慣では、「規則正しい生活」を心掛け、睡眠を十分にとり、運動不足にならないことです。
  食事摂取については、過食・食べ過ぎに注意し、早食い・ドカ喰いのようなインスリン過分泌を来す食事の摂り方はよくありません。ゆっくりと・よく噛んで食べましょう。
  食事の内容は、以下のような内容が勧められています。
 
    1) 加工食品・インスタント食品をできるだけ減らす
     2) 脂肪・油をできるだけ減らす(オメガ3を摂る)
     3) 肉・乳製品・卵を摂らないか、ごく少量にする
     4) 砂糖をごく少量にする。白砂糖を摂らない
     5) 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
     6) 豆類を摂る。種子・ナッツ類を摂る
     7) 野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
     8) 魚貝類を少量摂る
     9) 発酵食品を常に摂る
     10) 食材・調味料は自然で新鮮なものを使う
 
 これに加えて、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・野菜不足に配慮することが大切です。
  必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランスは、ミトコンドリアの機能の悪化に繋がるため極めて重要になっています。
  結局、”バランスよく摂取する”ことが重要になっています。
  生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に対しては、活性酸素を除去するためには、抗酸化食品である野菜や果物を十分に摂取することです。
  そして、有害物質に対しては、避けれるものは極力避けるべきです。避けられないものは当然ありますので、デトックスが必要になります。
  このためには、水分を十分に補給し、食物繊維を摂取し、デトックス効果の高い食品を摂取するように努めることです。
 
   このように、「食事内容」が極めて重要になっています。

 

 このなかで、特に重要なことは、マグネシウム不足、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランス、抗酸化食品、鉄分・葉酸の摂取です。


 1.マグネシウム不足に注意


  マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防することが知られています。
  マグネシウムが不足すると糖尿病や高血圧などの生活習慣病を引き起こしやすくなり、ひいては認知症になりやすくなります。
  アルツハイマー型認知症は、海馬の萎縮が原因となり、この萎縮の最大の原因はストレスです。ストレスによってマグネシウムは消費されます。
  日本人は慢性的なマグネシウム不足です。マグネシウムは、私達が日常生活を送る上で、容易に不足する生活環境に置かれていることを忘れてはなりません。
  このため、常にマグネシウムの補給を念頭におく必要があります。


2.抗酸化食品(野菜・果物)の摂取


  私達の身の回りのは活性酸素が満ち溢れています。このような活性酸素の毒消しをするのが、フリーラジカルスカベンジャーです。
  私達の体には活性酸素を取り除く手段として、抗酸化物質が備わっています。先述のように、このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することがわかってきました。
  コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。
  この生体に備わった抗酸化物質を補う目的で抗酸化食品を意識して摂取しなくてはなりません。抗酸化食品は活性酸素を除去します。こうしたことから、抗酸化物質の摂取不足はミトコンドリアの働きを悪化させることになります。


3.必須脂肪酸の摂取のアンバランス・・オメガ3とオメガ6に注意


  人間の体の中で“脳”は最も重要な器官の1つですが、その構成成分の60%は脂肪が占めています。そして、このうち一番量が多いのが「オメガ3」です。無数の神経細胞から成り立っている脳は、神経刺激を伝達したり、外からの刺激を受け取ったり、いつも活発な活動をしていますが、その動きに鋭敏に反応し、素早く対応しているのが「オメガ3」なのです。脳では「オメガ3」が最も大切な脂肪酸なのです。


  細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造には食べた脂肪酸がそのまま使われますので、どのような種類の脂肪酸を含む脂質を食べたかにより、膜構造の状態が大きく異なり、ミトコンドリアの働きが左右されます。このため摂り方に問題があれば、ミトコンドリアの機能が悪くなります。


  体内に吸収された脂肪酸は、酵素を触媒として次のように変換していきます。


  体内での脂肪酸の変換には「飽和脂肪酸系列」「リノール酸系列」「アルファ・リノレン酸系列」の3つがあります。そして重要なことは、これら3つの系列の脂肪酸は「体内で相互変換しない」ということです。つまり、どれだけ大量の飽和脂肪酸を摂っても、ガンマ・リノレン酸に変わることはありません。またリノール酸が、EPAやDHAに変わることもありません。


  このように「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まってしまいます。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。
  このため、からだにいい油と悪い油を見分けることが重要です。


  私がお勧めする植物油は、昔ながらの製法「低温圧搾」で造られたシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などのオメガー3系脂肪酸を多く含む植物油と、エクストラバージンオリーブ油、低温圧搾で作られたゴマ油やナタネ油などの植物油です。これら以外の市販されているサラダ油など多くの植物油は、いずれも「悪い油」といってもよく、多くとってはいけないものばかりです。また、マーガリンやショートニングなどの脂もダメです。
  こうした「悪い油」を原材料とするマヨネーズやドレッシング、植物性ヨーグルト、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート……なども、できるだけ避けたい食品といえます。加工食品の成分表を見ればわかるのですが、植物油が加えられていない加工食品はまれにしかありません。これらの植物油のほとんどは悪い油です。注意してください。


4.L-カルニチンは認知症予防に大切です


 L-カルニチンが不足すると、脳のアセチル-カルニチンが不足します。アセチル-カルニチンが不足すると、脳の細胞が壊れやすくなり、認知症になりやすくなります。このことは、数多くの臨床研究から明らかにされています。L-カルニチンは、認知症防止にも役立つというわけです。
  L-カルニチンは、ミトコンドリアの中で脂肪を燃焼して肥満を防止し、脳の中でアセチル化して認知症を防止してくれる、私達には欠かせない物質なのです。

 

 ここに、記憶の司令塔とも言える重要な器官される海馬が、酸素不足やストレスによって傷害されることによって、「アルツハイマー型認知症」を発症してくることになります。


1.ストレスの問題


  ストレスが加われば、マグネシウムが低下し、長期間持続すれば枯渇してくるため、常にマグネシウムの補充を心がけることが大切になってきます。
  また、ストレスが持続すれば、セロトニン神経系の機能が低下します。先程の、ミトコンドリアの機能を低下させる要因が加われば、ミトコンドリアの機能が低下します。こうなれば、同時に、セロトニン神経系の機能まで低下してきます。
  ストレス耐性の体を作るためには「セロトニン生活」を励行する必要があります。
  さらに、有酸素運動も重要になってきます。


2.「酸素不足」の問題


  「酸素不足」を引き起こす最大の要因は脳虚血の原因となる動脈硬化があります。
  血液循環を促進するためには、血管を若返らせて血液循環を高め高血圧や動脈硬化を予防することです。このため、動脈硬化を防ぐためには、血管内皮細胞が正常で健康な状態にして、血管はイキイキして血管年齢を若く保つ必要があります。
  このため、脂質の摂りすぎ、オメガ3とオメガ6の摂取バランスが大切です。
  そして、姿勢を正しくする必要があります。
  姿勢が悪ければ、「浅い呼吸」となり、海馬など、認知症と関係する脳の組織にも十分量の酸素がまわっていかず、認知症になるリスクになってきます。
  さらに、貧血の問題が加わります。
  電子伝達系があるミトコンドリア膜には鉄は必須です。貧血や鉄欠乏貧血など鉄の不足があると、TCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、鉄分の不足は、ミトコンドリアのエネルギー代謝がスムーズに行かなくなります。その結果、ミトコンドリアの機能低下を招くことになります。貧血は、酸素不足の原因になります。
   葉酸は、赤血球をつくるのに必要なビタミンで「造血ビタミン」とも呼ばれます。鉄分と同様です。
   また、大気汚染による酸素濃度の低下にも配慮する必要があります。


 話が前後しますが、生活習慣では、規則的な生活と運動が重要です。


  「睡眠時間が短いと肥満になりやすい」ということが報告されています。
  不規則な生活によって、睡眠時間が短くなると、レプチン(食欲抑制ホルモン)の分泌が低下して、グレリン(食欲増進ホルモン)の分泌が増えることが示されています。
  つまり、睡眠時間が短いと食欲に関するホルモンのバランスが乱れて食欲が増進してしまい、肥満につながりやすいと考えられます。
  グレリンとは胃から分泌されるペプチドホルモンで、その働きは二つあります。


   1 食欲を増進させる
   2 成長ホルモンの分泌を促進する

 
 グレリンが分泌されるのは、お腹が空いたときです。
  成長ホルモンは文字通り、成長に関するホルモンで骨や筋肉の発達に関わっているホルモンです。
  しかし成長ホルモンにはもう一つ、とても重要な働きがあるのです。それは「代謝」と呼ばれる、人間の体にある物質をエネルギーに変える働きです。
  代謝は、食べ物をエネルギーに変えて体を動かしたリ、古くなった細胞を排出して新しい細胞を作り出したリ、人間が生きていくうえで必要なすべての活動のことです。
 成長ホルモンが十分に分泌されていないと、コレステロール値の上昇、心疾患(心筋梗塞や狭心症)、動脈硬化、糖尿病を起こしやすくなってきます。
  成長ホルモン不足は見た目の老化にも影響します。肥満、筋骨量の低下、肌荒れを起こし、体脂肪、とくに内臓脂肪が増えるためお腹周りが大きくなります。俗にいう、メタボリックシンドロームです。
  また、グレリンは記憶力の向上にも効果があります。グレリンが脳の記憶をつかさどる「海馬」に作用して記憶力を高めることがわかっっています。
  ミトコンドリアは、エネルギーが不足している時や、もっとエネルギーが必要な時に活性化して増殖します。ですから空腹時というのは、ミトコンドリアが増殖するうえ、グレリン分泌も活発になるため、細胞から若返るのには最適な環境といえるわけです。
  活性酸素等で傷ついたミトコンドリアの修復は寝ている間に行われるため、その修復には睡眠が不可欠です。
  このように、睡眠不足は、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、肥満を増強させ、生活習慣病を引き起こすことになります。


  こういったことから、生活習慣病を治療していく際には、薬剤だけを服用しているのではなく、生活習慣そのものを改善させておく必要があります。そうしませんと、次々に、二次的な合併症を併発させ、次々に、新たな薬剤が追加されることになります。
  その結果、高齢に達した段階では、15,16種類前後まで増えてしまうことになります。
  このように、西洋医学の薬の多くは対症療法であり、病気を根本的に治しません。また対症療法は、自然治癒力を奪うことにもつながります。
  このことは、認知症を予防する際に、極めて重要な点であり、食事や生活を見直すことなく、漫然と服用してはならないということです。
  病気を治すために飲む薬は、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまいます。
  そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程で、活性酸素が発生してしまうのです。このため、過剰に服用した鎮痛薬は異物そのものであり、これを解毒するために過剰に活性酸素が発生することによって”ミトコンドリアを弱らせる”ことになります。
  このようにして、薬剤による後天的なミトコンドリア病を作ってくることになります。
  以上のように、長期間にわたる薬剤の服用は、その種類は問わず要注意ということです。


  以上のように、ミトコンドリアを弱らせる要因は、その殆どは、日常私達が何気なく無意識に行っている生活習慣にあります。決して、特別のものではありません。
  ここが最も、大切な点です。


ミトコンドリアを効果的に増やすには
 
   運動をして筋肉の量を増やせばミトコンドリアの量も増え、 体全体のミトコンドリアの働きも活性化します。
  1分間の軽めの運動と30秒間の強めの運動を繰り返すサーキットトレーニングが、ミトコンドリアを増やすのに効果的とされています。
  毎日の生活習慣や運動時でミトコンドリアを増やすにはコツがあります。例えば、ミトコンドリアは持久力を司る筋肉に多く含まれると分かっていますから、筋肉痛にならない程度の運動を行うことです。ここが一番大切な点です。決して無理をしないことです。
 
 
     <背筋を1分間伸ばす>
    <毎日1分片足立ちをする>
    <短時間で効果的な有酸素運動>
    <古来伝わる不自然な動き>
    <寒中稽古、サウナ後の水風呂>

 
 
 背筋を伸ばす、片足立ちを行う。この二つを習慣化するだけで1週間で体の調子が変わってくることを実感できるでしょう。先ずは、ほんの少しの努力でミトコンドリアを増やす習慣をつけることから始めてみてください。
 
 
 以上が、認知症予防の基本原則です。

 

 

  アルツハイマー型認知症予防のポイントは、発症の起点となる、ミトコンドリアの機能が低下を防ぐこと、”ミトコンドリアを元気にし、増やす”ことです。
  アルツハイマー型認知症は、現在のところ進行を緩やかにする、あるいは周辺症状を多少改善する薬があるくらいです。
  現代の医学では、原因となるアミロイドβを除去すること自体や毒性を消すこと、さらに作らないようにすることも出来ません。
  アルツハイマー型認知症の本態解明はなされていない段階から予防を行うことも可能であるということです。
  すなわち、アルツハイマー型認知症の発症の起点となるミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因を断ち切ればよいということです。

 
認知症予防はいつから開始すべきでしょうか


 問題は、このようなアルツハイマー型認知症の予防をいつから行うべきかです。
  アルツハイマー型認知症の発症の起点となるミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因は、若い世代からすでに存在することになります。このため、このような世代から、ミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因として、どのようなものがあり、どのような注意が必要なのかといった「健康教育」が必要になってきます。
  そして、現在では、40歳以降の方々には、生活習慣病の予防を目的とした「特定健診」の制度がありますが、このような「健康教育」が徹底しているのかを確認する意味で、この「特定健診」を行う際には、認知症予防も併せて行っていくのが適切と思われます。
  といいますのは、この40歳を境に、私達の体に備わった抗酸化物質が減少し始める時期に相当します。このため、40歳という節目が重要になっています。


  さらに、「物忘れが気になるようになった人のため」に、この段階でどのように対処すべきかの指導を徹底すべきです。
  これまで、このような「物忘れ」は認知症とはまったく別物とされ、まったく無視されてきました。しかし、このような単純な「物忘れ」から「アルツハイマー型認知症」へと進展していく、といった健康教育を徹底させる必要があります。
  このような「物忘れ」の段階からでも、徹底して海馬を鍛えることに主眼をおいて対処する限りは、海馬の萎縮は防止され、いくら年をとろうとも海馬の容積は増加してくることを忘れてはなりません。
  ということは、認知症を予防していくためには、物忘れが少しでも気になり始めた段階から、ミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因の点検を目的として、これまでの生活習慣の問題点を洗い出すことによって、是正させると同時に、海馬を鍛える対処をしていくべきと考えています。