ビタミン Dと認知症 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 2017年5月16日放送の【たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学「最新!老化ストップSP」】は、名医が教える最新老化ストップ法を特集していました。
  なかでも、認知症予防と筋肉の衰えをストップする栄養素として注目のビタミンDにスポットを当てて、その驚くべき効果と最強食材をご紹介していました。

 この番組は、つい先日放映されたばかりであり、皆さんもご覧になられた方々も多いのではないでしょうか。その要旨をここで、ご紹介致します。

 


老化ストップ栄養素はズバリ!ビタミンD


 認知機能と足腰の衰えを一挙に防ぐ老化ストップ栄養素とは、ずばりビタミンDです。

 
 ビタミンDの主な働きは、


   カルシウムのバランスを整える
   骨の健康を維持する
   免疫力を高める
   がんや糖尿病予防
   自閉症の改善

 

    などがあります。
 

 ビタミンDにはD2~D7の種類があり、人間にとって重要なのはD2とD3です。
  この二つの働きはほぼ一緒ですが、最近ではD2よりD3の方が2倍働くという報告もあるようです。


  ビタミンDが不足すると、小児ではクル病、成人では骨軟化症・骨粗鬆症の症状が現れます。
  くる病は、骨の発育期にカルシウムが骨に沈着しないことが原因で骨の組織がしっかり形成されず、骨の成長障害、骨格や軟骨の変形症状がみられる病気です。
  アルプスの少女ハイジに出てくる車いすの少女クララも、くる病だったという設定で、毎日肝油を舐めていました。
  同じビタミンD不足で成人に発症するのが骨軟化症です。
  腸管からのカルシウムやリンの吸収がビタミンD不足のため促進されず、血中のカルシウム濃度、リン濃度が減少し、骨塩量も減少します。
  その結果、骨の痛みなどの症状となって現れます。
  骨粗鬆症は、さらにコラーゲンなども減少していく病気で、骨軟化症とは異なります。
 
 
 肝油は、サメやエイなどの大型の軟骨魚類の肝臓に含まれる脂肪分のことです。
  豊富なビタミンDと、ビタミンA、スクワレン、アルキルグリセロール、オメガ3脂肪酸などから構成されており、肝油ドロップなどの名称でサプリメントとして販売されています。
  昭和の初めころの栄養不足の時代には、学校でみんなに配られていました。


ビタミンD摂取が認知機能向上と足腰強化に効果的な理由


  ビタミンD摂取が認知機能向上と足腰強化に効果的な理由を説明します。
 

 ビタミンDは、肝臓や腎臓で活性型ビタミンDとなって、カルシウムとリンの吸収を手伝って骨を丈夫にしたり、遺伝子の働きを調節したりして働きます。
  血中のビタミンD濃度は、筋力低下や転倒と関係があるといわれています。
  また、脳の中で神経細胞の保護や増殖、分化の調節を行う働きもあります。

 
ビタミンDが認知機能を改善するワケ


 まず、ビタミンDが認知機能を改善するワケです。

 
 脳ではビタミンD3を、脳の中で神経細胞の保護や増殖・分化の調節を行う活性型ビタミンD3に変えることができます。
  米国神経学会の研究で、ビタミンD不足の高齢者は認知症やアルツハイマー病を発症するリスクが増える可能性があることが2014年発表されました。
  また、2016年には、 ビタミンDが不足すると認知症の前段階である認知機能障害になるリスクが3倍以上高まるとシンガポール国立大学医学大学院のチョイライ・チェイ氏により報告がありました。
  こうした研究から、脳の認知機能の改善にはビタミンDの摂取が重要なことがわかります。

 
ビタミンDが足腰を強くするワケ


 続いて、ビタミンDの摂取が足腰の衰えをストップする効果についてです。
  日本人の大腿骨頸部骨折はこの15年間で2倍以上に増えているという報告があります。
  加齢に伴い骨の強度は弱くなっていくため、50歳以上の女性の3人に1人が骨粗鬆症にかかっているともいわれています。
  骨を強くするためにはカルシウムが必要不可欠ですが、きちんと骨に吸着させるためにはビタミンDを合わせて摂ることが重要です。

 


 ビタミンDの摂取目安量は、欧米の推奨値は10μgですが日本の摂取目安量は1日5μgです。
  新潟市豊栄長浦地区という農村地帯に住む中高年女性を対象にした調査では、ビタミンDの摂取量は1日9.9μgだったということです。
  調査対象となった地域では、ビタミンDを豊富に含む鮭や青魚を良く食べているということが関係しているようです。
  豊栄長浦地区の女性たちの大腿骨頸部の骨密度は、調査比較対象として選ばれた20~24歳の若い女性たちよりも高かったのだそうです。
  このような実験からも、骨を健康に維持するためにビタミンDは需要な役割を果たしているということがわかります。


ビタミンDを豊富に含む食材【鮭】

 
 ビタミンDを豊富に含む食材をご紹介します。

 

 ビタミンDを豊富に含むのは、鮭です。
  鮭の切り身1切れ(約100g)で、約39.4μgのビタミンDを摂ることができます。
  また、きのこ類にも多く含まれており、特にきくらげがおすすめです。
  乾燥したきくらげにはビタミンDが魚介類の10倍以上も含まれているので、キクラゲの戻し汁ごと使うのが効果的です。

 
ビタミンDは自分でも作れる!


  ビタミンDは紫外線を浴びることで自分で生成することができます。
  実は人にとって一番の補給源は、食べ物からの摂取より、日光の紫外線に当たることによって生成されるビタミンDです。
  皮膚に紫外線が当たることで、7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)が作られ、体温によってビタミンD3に変わります。
  ビタミンD3は、ビタミンD結合タンパク質によって肝臓に運ばれ、活性型ビタミンD3となって働きます。


ビタミンDを作る紫外線


  ビタミンDを作ってくれる紫外線は、紫外線の中のUV-B(280~315nm)とよばれるもので、295nmで一番多く作られます。
  東京都内で夏に直射日光を30分浴びた時、700~800IUのビタミンDが体内に作られるといわれています。
  ただ、UV-Bは日焼けの原因となるので、UVカットの服などを年中着ている人などは、たとえ日光を浴びていても、紫外線からのビタミンD生成はできていないかもしれません。

 
老化ストップ栄養素ビタミンD まとめ

 
 ビタミンDには、骨を強くする効果、認知機能を改善する効果があることがわかりました。
  ビタミンDを豊富に含む鮭や青魚、きのこなどは和食の定番であり、高タンパクで体にもいいためぜひ食生活にとり入れていきたい食材です。
  また、悪者扱いばかりされる紫外線にも、こんな役立つ効果もあるんだよということを知って、日焼け対策をしつつもビタミンD生成に役立てていけたらいいと思います。

 

 


 それでは、ビタミンDと認知症についての報告はどのようなものがあるかを列記してみることにしましょう。

 

ビタミン D不足で認知症リスク増か


 米国神経学会は8月6日、ビタミンD不足の高齢者は、認知症やアルツハイマー病を発症するリスクが増える可能性を示唆した大規模研究を紹介しています。
 

 本研究では、サーモン、マグロ、サバなどの脂肪性魚類、牛乳、卵、チーズなどの食物、サプリメント、および日光浴によって摂取したビタミンDの血中レベルに着目して実施。認知症のない65歳以上の高齢者1658人について血中ビタミンD値を測定しました。
 平均6年後、参加者のうち171人が認知症を、102人がアルツハイマー病を発症。

 
 本研究の結果、ビタミンD値が正常である参加者と比較すると、ビタミンDの値が低いひとは認知症リスクが53%増大し、重度に不足している人では125%増大していました。
  アルツハイマー病を発症するリスクは、ビタミンD低値である人では約70%増大し、重度に不足している人では120%以上増大しました。
 学歴、喫煙歴、アルコール摂取といった認知症リスクに影響し得る他の因子で調整した後も、上記の結果は変化しませんでした。

 

 本研究著者のDavid J. Llewellyn氏は、「ビタミンD低値であることと、認知症やアルツハイマー病のリスクとの関連性を見出せると期待していたとはいえ、相関性は想像していた以上であった。臨床試験を実施して、脂肪性魚類やビタミンDサプリメントなどを取ることで、アルツハイマー病や認知症の発症を遅らせたり、予防したりできるのかを確認する必要がある。」と述べ、また「本研究の結果は、ビタミンD低値であることが認知症リスクであることを実証するものではないことを認識している。」としています。

 

ビタミンD不足で認知症に? 認知機能の低下を促進


  骨の健康から免疫強化まで、さまざまな効果が期待されているビタミンDですが、不足することで認知症になる可能性が示されました。米ラトガース大学環境・生物科学大学院のジョシュア・W・ミラー教授(栄養学)らは、さまざまな民族を含む高齢者を対象とした研究で、ビタミンDの不足と認知機能低下の促進との間に関連が認められたと、9月14日発行の米国医師会神経学専門誌「JAMA Neurology」(電子版)に報告しました。


高齢者の6割がビタミンD不足


  カルシウムの吸収と骨の健康を促すことで知られているビタミンDは、日光や食事などから体の中に取り入れられると、肝臓で「カルシジオール」に変化した後、最終的に「活性型ビタミンD(カルシトリオール)」となって体の中で活躍します。活性型ビタミンDに変化させる酵素は、脳を含む全ての臓器で発生しているといいます。

  
  ミラー教授らは、高齢者382人(平均年齢75.5歳、女性61.8%、白人41.4%、黒人25.1%、ヒスパニック25.1%、認知症17.5%、軽度認知障害=MCI=32.7%)の活性型ビタミンDを測定し、その濃度によって(1)欠乏(12ng/mL未満)、(2)不十分(12~20ng/mL)、(3)適正(20~50ng/mL)、(4)高値(50ng/mL以上)―に分類。認知機能との関連を検討しました。全体の26.2%が「欠乏」で、「不十分」は35.1%で、6割以上がビタミンD不足でした。活性型ビタミンDの平均値は、白人に比べて黒人とヒスパニックで低かったという(順に21.7ng/mL、17.9ng/mL、17.2ng/mL)。

  
ビタミンD不足で昨日の夕食を忘れる?

  
  検討の結果、認知症のグループでは、活性型ビタミンDの平均値がそれ以外のグループに比べて低かった(認知症16.2ng/mL、軽度認知障害19.7ng/mL、正常20.0ng/mL)。また、活性型ビタミンDが「欠乏」と「不十分」の不足グループでは、「適正」のグループに比べ、エピソード記憶力(昨日の夕食や震災など、自分や社会の出来事に対する経験の記憶)や遂行機能(ものごとを計画して順序立てて行う能力)が大きく低下していました。


  ただし、意味記憶(言葉や人の名前、数学の公式など、学習で得られる知識の記憶)や視空間能力(空間を見て状態を把握する能力)との関連は認められませんでした。つまり、極端に言うと、昨日図書館でビタミンの本を1時間読んで「活性型ビタミンD=カルシトリオール」ということを学んだが、ビタミンDが不足していると、「活性型ビタミンD=カルシトリオール」は覚えているものの、「昨日図書館でビタミンの本を1時間読んだ」ことは忘れやすくなるということです。


  ミラー教授らは「高齢者が全体的にビタミンD不足の傾向にあること、ビタミンD不足はエピソード記憶と遂行機能の低下を加速させる可能性があった」とコメント。さらに「こうした関連は、アルツハイマー病や認知症の発症リスクの増大と一致している可能性がある」とし、ビタミンDを補うことで認知症が予防できるかどうかの臨床試験が有用と述べた。

 

ビタミンDが不足した高齢者は認知症になり易い?


 ビタミンDがひどく欠乏している高齢者は、アルツハイマー病などの認知症になるリスクが非欠乏者の2倍以上ある、という英国エクセター大学の研究結果が『神経学』誌に発表されました。


  研究チームは、心臓血管健康研究という疫学研究の一環として調査を行いました。歩行に困難がなく認知症の兆候もない65歳以上の高齢米国人1,658名を対象に、ビタミンDの血中濃度を測定したのち、アルツハイマー病などの認知症の発症状況を平均6年にわたって追跡調査しました。

 
 データ解析の結果、軽度のビタミンD欠乏でも53%、重度の欠乏の場合は125%も認知症のリスクが高まることが明らかになりました。アルツハイマー病に限っても、軽度のビタミンD欠乏で69%、重度のビタミンD欠乏では122%のリスクの上昇が観察されました。

 
 「私たちはビタミンD欠乏症と認知症の関係を見つけたいと考えて調査を行ったわけですが、リスクが2倍になるほど強い関係が見つかったことに大変驚いています」と主任研究者のレウェリン博士は語っています。「注意しなければいけないのは、今回の研究結果でビタミンD不足が認知症の原因であることが実証されたわけではない、ということです。 とはいえ、非常に有望な結果であって、これからの高齢化社会で認知症にかかる莫大な医療費のことを考えれば、公衆衛生的な意義は重大であると考えます。」


  認知症は高齢化社会における最大の医療問題のひとつであって、世界中で4,400万人の患者がおり、2050年にはその3倍に増加するといわれています。
  一方で、ビタミンDが足りず、その結果健康状態が良くない高齢者も極めて多く存在すると考えられています。

 
 本研究は、ビタミンD欠乏と認知症リスクについて、画像診断などの広範囲の診断技術を用いて多分野の専門家が共同で検討した初めての大規模研究です。これまでの研究でも、ビタミンDが足りないと認知障害が起きやすいことは知られていましたが、本研究では、ビタミンD欠乏で認知症のリスクが明確に高まることを確認したといいます。

 
 ビタミンDは、日光を浴びると体内でも合成されます。また脂ののった魚などの食事やサプリメントとして摂取することも可能です。高齢者の皮膚は日光によるビタミンDの合成効率が落ちているため、冬場はビタミンD欠乏になり易い。日照時間の短い高緯度地方では特に注意が必要です。

 

 本研究に関連してアルツハイマー病協会・研究開発部門長のダグ・ブラウン博士は次のように語っています。

 
 「暑い夏の日に、海岸で15分間の日光浴をすればビタミンDは十分に合成されますが、日光浴やサプリメントで認知症のリスクが低下すると断定するのは時期尚早です。大規模臨床試験によって、ビタミンDが欠乏している患者の血中濃度を上昇させ、その結果認知症が予防されることを確認する必要があります。」

 


認知症予防へのビタミンDや日光曝露、さらなる研究が求められる


 日光曝露や高ビタミンD状態は、認知症発症を予防するといわれています。オーストリア・クレムス継続教育大学のIsolde Sommer氏らは、経時的な日光曝露の欠如やビタミンD欠乏症が認知症と関連しているかを検討しました。BMC geriatrics誌オンライン版2017年1月13日号の報告しました。

 
 MEDLINE(PubMed経由)、Cochrane Library、EMBASE、SCOPUS、Web of Science、ICONDAおよび1990~2015年10月までの適切なレビュー記事のリファレンスリストをシステマティックに検索しました。認知症リスクのサロゲートマーカーとしての日光曝露またはビタミンDの影響を評価するために、パブリッシュおよびノンパブリッシュデータのランダム効果メタ解析を行いました。

 
 主な結果は以下のとおり。

 
  ・日光曝露と認知症リスクとの関連性を調査した単一研究は特定できなかった。
 ・認知症リスクに対する血清ビタミンD濃度の影響に関するデータには、6件のコホート研究があった。
 ・5件の研究のメタ解析では、重篤なビタミンD欠乏症患者(25nmol/L未満または7~28nmol/L)は、十分なビタミンDの供給を有する者(50nmol/L以上または54~159nmol/L)と比較し認知症リスクが高いことが示された(ポイント推定:1.54、95%CI:1.19~1.99、I2=20%)。
 ・重篤なビタミンD欠乏症は、認知症発症リスクが高いと考えられるが、研究に含まれた観察研究の性質と残存または重要な交絡因子調整の欠如(例えば、ApoEε4遺伝子型)、ならびに日光曝露の代わりとなるビタミンD濃度と認知症リスクとの間接的な関係が含まれる。

 
 著者らは「本レビューから、低ビタミンD濃度が認知症発症に影響すると考えられます。
  日光曝露と認知症リスクとの直接的および間接的関係を調査するための、さらなる研究が必要です。このような研究には、ビタミンD濃度または日光曝露と認知症アウトカムの均質で反復的な評価を伴う大規模コホート研究が必要である」としています。

 


ビタミンD不足がアルツハイマー病の発症と関連する


今回紹介する文献


Vitamin D and the risk of dementia and Alzheimer disease
  (Littlejohns TJ et al., Neurology. 2014 Sep 2;83(10):920-8. )


 ビタミンD不足がアルツハイマー病の発症と関連することを示したコホート研究を紹介します。以前に著者らのグループが行なったメタ分析によって,血中ビタミンD濃度とアルツハイマー病を含む認知症とが関連していることが分かりました。しかし,この結果からは実際に高齢者のビタミン不足がアルツハイマー病を含む認知症を引き起こすのか分かりません。そこで,今回ご紹介する研究は,低ビタミンD濃度がアルツハイマー病を含む全ての認知症と関連しているのか明らかにするために行われました。
 

米国の65歳以上の高齢者が対象
 

 米国の心血管健康調査に参加した65歳以上の高齢者1650名を対象とされました。対象者らは歩行可能で,認知症,心血管疾患および脳卒中ではありませんでした。血中ビタミンD濃度は,採取した血液サンプルから調べられました。また,アルツハイマー病を含む認知症の発症は,”National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke/Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association” の基準を用いて評価されました。統計解析には発症Cox比例ハザードモデルを用いられました。
 

低ビタミンD濃度だと認知症になりやすい
 

 約6年(5.6年)間で171名が認知症を発症しました(そのうちアルツハイマー病102名)。充分なビタミンD濃度の参加者と比べて,深刻な低ビタミンD濃度 (25 nmol/L以下)の参加者はハザード比が2.25 (95% CI: 1.23-4.13) で,低ビタミン濃度 (25?50 nmol/L) の参加者は1.53 (95% CI: 1.06-2.21) でした。同じようにビタミンD濃度の参加者と比べて,多変量調整ハザード比(学歴,喫煙歴,およびアルコール摂取などの他のリスク要因で調整)においても深刻な低ビタミンD濃度の参加者は2.22 (95% CI: 1.02-4.83) で,低ビタミン濃度の参加者は1.69 (95% CI: 1.06-2.69) でした。アルツハイマー病を含む認知症の発症リスクはビタミンD濃度が50nmol/Lを下回ると著しく増加しました。


ビタミンDには様々な効果がある
 

 この研究は,ビタミンD欠乏症がすアルツハイマー病を含む認知症の発症リスクの増加と関連していることを示しました。また,著者らは従来ビタミンDにはカルシウムの吸収を高めて骨を強くしますが,それ以外の役割もある可能性を議論しなければならないと述べています。
 

コメント
 

 Kaplan-Meier curveをみても2?3年の内に認知症リスクが増加していることが分かります。学歴などで調整もしても同様のハザード比ですから,明らかにビタミン不足の方は認知症発症リスクが1.5?2倍は高いと言えるのかもしれません。ビタミンDはマグロやサバなどの脂肪性魚類,牛乳,チーズなどの乳製品に多く含まれます。また日光浴でも体内で生成されることが分かっています。ビタミンD摂取すれば発症リスクが減らせるかはまだ分かりませんが,歳をとったら日向ぼっこを日課にしようと思いました。


 
アルツハイマー病のアミロイドβ蛋白質とビタミンDについて


 アルツハイマー病の原因と言われている、毒素物質であるアミロイドβ蛋白質の凝集を防ぐ栄養素は有るのでしょうか、そして、どのように栄養素を組み合わせれば、その凝集を防げるのでしようか。今回は、それについて考えていきたいと思います。


  米国の老人の大多数は、ビタミンD(VD)が欠乏状態にあり、このことは認識機能上の問題と認知症のリスクを増大さす可能性があります。ビタミンDは、脳への血液供給を保護することにより、脳の健康にとって重要です。VDは脳から毒素(アミロイドβ蛋白質)を取り除くのに役立つ可能性が、L Iewellyn博士らの研究により、出てきました。アミロイドβ蛋白質を分解するのに、ビタミンDが役立つ、と博士は述べています。更なる研究により、この仮説が証明されることを期待しています。


  脳に障害をもたらす因子を確認する試みにおいて、その他のデータを分析してみると、血中VD値が低い老人(男女)は、血中VD値が高い老人に比べて、推理力、学習能力、記憶力などのテストで劣っていました。被験者は、研究開始時と3年後、6年後に健康歴に関するインタビュー、医学上の検査、血液検査、それに思考力のテストを受けました。血中VD値が十分な被験者と比較すると、VD値が著しく欠乏した被験者では、思考力、考えをまとめる能力、決定する能力、それに計画する能力、それに行動力などの著しい低下が認められました。VDの欠乏と認知能力の低下との関連は、食事、健康状態、それに、その他の因子を調整した後でさえ続きました。

 ハーバード大学のEdward Giovannucci博士によると、アルツハイマー病の予防、治療では、十分な血中VD値を維持することは有益である可能性があり、低い血中VD値は、体全体の健康に有害なので、認知症だけでなく、その欠乏を改善することは重要です。更なる研究が、脳の機能におけるビタミンDの役割を明らかにするため必要と考えられます。 なお、ビタミンAと同様、副作用が出やすいので、ビタミンCのように大量摂取は向きません。自分に合った適正量を探して下さい。ガン患者は、最大、5,000国際単位/日ぐらい摂取しているようですが、アルツハイマー病では、安全性を考えて、1,000国際単位/日ぐらいがいいのではないか、と考えます。ビタミンに詳しい医師、薬剤師と相談して下さい。また、その他のビタミン、必須ミネラルの摂取量、食生活も認知症に関連しているので、それらがベストである場合は、VDの効果も高まると考えています。

 

結論として・・?日光を浴びてビタミンD濃度の調整を。

 
以上から、アルツハイマー病の患者は、体内ビタミンD量が低く、認知力の検査成績が悪いことがわかりました。研究者グループは、ビタミンDの体内濃度を調整することで、脳内の他の化学物質の量が増加して、傷ついたニューロンを回復させるグリア細胞の働きが強化されることで脳を保護すると考えています。


  また、ビタミンDの持つ抗炎症、免疫活性作用もアルツハイマー病に良い効果をもたらすとされています。免疫系がアルツハイマー病などの炎症に対抗できるためには、ビタミンD量が十分にあること(50 -70 ng/ml)が欠かせないのです。