マグネシウムの重要性・・認知症予防上 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 まず、最初に、マグネシウムと認知症に関連した、これまでの研究業績をお示し致します。

 
認知症予防の方法 脳内のマグネシウムイオンとの関連性 記憶力の改善


  東京都の研究機関が、脳に記憶を長い間留める仕組みを解明し、アメリカの科学誌に、研究の成果を発表しました。アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があります。


  都の医学総合研究所によりますと、これまで、神経細胞に情報を伝える学習スイッチと考えられてきたマグネシウムイオンが、記憶を長い間留める役割を果たしていたことがわかりました。
  実験でも、マグネシウムイオンをもたないハエは、記憶が長くとどまりませんでした。 この研究の担当者は、アルツハイマー病の患者は、脳内のマグネシウムイオンが減るので、濃度を増やすなどすれば、記憶力の改善が望まれると説明しています。


■記憶     デイヴィッド ネイヤー
 
 MITの研究員が、マグネシウムの新しい役割についてレポートをしました。
  それは、中年以降の記憶機能を維持するはたらきです。
  この研究チームは、マグネシウムが学習と記憶に必要な脳レセプターを統制することを発見したのです。
  レポートでは、「シナプスの柔軟性を保つには、脳脊髄液内のマグネシウムが適正値であることが必須であることが、今回の実験で証明されました。
  成人アメリカ人の大多数がマグネシウムを充分に摂取していないと思われているが、このようなミネラル欠乏が悪影響を与え、しまいには記憶力の低下にも繋がりうることが予測できるでしょう。」


  柔軟性は、脳の学習と記憶には欠かせません。高齢者や病気の方の脳には柔軟性がないことは周知の事実です。例えば、海馬(短期の記憶が記録される部分)のシナプスの柔軟性が低下すると、物忘れの原因にもなります。加齢とともに物忘れが激しくなることを、多くの人が実感しています。


  研究員は、マグネシウムがシナプスの機能を高めるという点に特に興味をおぼえました。 研究員の1人によると、マグネシウムの濃度を高めると、「柔軟性が今までにないくらい伸びた」そうです。
  ということは、マグネシウム欠乏が記憶力および学習能力に支障をきたすけれど、推奨摂取量以上、あるいは推奨量だけでも摂取していれば認識機能は改善できるのではないでしょうか?


  マグネシウムは、他の様々なメカニズムも動員して、記憶の健康維持を支援します。  マグネシウムは、細胞と記憶をコントロールする脳細胞内の多くの酵素の活動が正しく行われるために必要とされます。
  また、神経伝達物質を放出させるのにもマグネシウムが使われます。また、マグネシウムが、実験的に傷つけた脳の認識機能が回復するスピードを速める手助けをすることにも気づきました。
  これらのことより、しばしば老化と関連してくる記憶力の低下を予防・回避する重要策が、マグネシウム値を常に最適に保つことであると言えるのではないでしょうか。


記憶力と集中力に大きな影響


  マグネシウムはナッツやシーズ、緑黄色野菜に豊富に含まれています。マグネシウムは、骨の形成や循環器系の健康、神経伝達や情緒の安定にとって大切なミネラルですが、近年、私達の記憶力と集中力に大きな影響をもっていることにも注目が集まっています。


  マグネシウムは、他のミネラルに比べると体内吸収率は高い方なのですが、脳の細胞へは、そのままの形では、ほとんど吸収されないことも判っています。マグネシウムが脳に最も吸収されやすいのは、L-トレオン酸マグネシウムの形になった時だという報告があります。


  ミネラルは、体内で吸収される時、イオン化します。そして、タンパク質(お肉・魚・豆)が消化されてできるアミノ酸やペプチドと結合して、AAC(アミノ酸キレート)ミネラルとなります。このAACミネラルの形になると腸内で吸収されるのです。


  L-トレオン酸というのは、ビタミンCの代謝物質です。そのため、マグネシウムを豊富に含む、ナッツや緑黄色野菜を食べる際に、お肉やお魚やお豆類といっしょに食べることと併せて、ビタミンCが豊富な柑橘類といっしょに食べることで、体内におけるL-トレオン酸マグネシウムの合成を促すことができるのではないかと思われます。


  もちろん、L-トレオン酸マグネシウムはサプリメントとして購入することが可能ですが、ここ2年ほど前に脳との関係が発見された物質ですから、効能は明確であっても、限界容量など(過剰摂取による副作用等)については科学的に不明な点も多いですから、なるだけ食事から摂る工夫をすることをお勧めします。


認知症とALS・・・CaとMgの関係


  昔から日本の紀伊半島南西部からグアム島にかけての地域には、ALS・パーキンソン病・アルツハイマー型認知症の3つの神経難病が多発していることで知られます。


  そこで東大の白木博士は紀伊半島~グアム島の地質・水・農作物などぼ分析調査を行いました。
  するとカルシウムとマグネシウムの含有量が極めて少なく、逆にアルミニウムが大変多いということが分かりました。


アルツハイマー病患者の脳には多量に蓄積していることが知られている


 ただし一般的にはアルミニウムは神経にとって有害なので、脳の血液脳関門という体内のバリアを通過しません。
  ところが白木博士はある条件下ではアルミニウムなどの有害物質が血液脳関門を通過して脳内に入ることを確認しました。
  その条件がまさにカルシウムとマグネシウムの不足です
 白木博士はサルにアルミニウムを与えるという実験をしました。


  アルミニウムを単独で投与した場合は神経細胞の中には侵入しませんでしたが、体内のカルシウムとマグネシウムを欠乏状態にした場合はアルミニウムが簡単に通過したのです。
  1番の原因はカルシウム・マグネシウムを中心としたミネラル不足であったということです。
  カルシウムやマグネシウムの欠乏によってなぜ脳細胞の中にアルミニウムが侵入するのかについては、次のように推測されています。
  カルシウム摂取量がたりないと、血液中のカルシウム濃度が低下します、カルシウムは血液中に一定量なければいけないので副甲状腺ホルモンが分泌されて骨からカルシウム分を溶かして出して来てこれを補います。
  ところが骨から溶かし出されたカルシウムはヒドロキシアパタイトという化合物になっていて、私達が食べ物から摂取するカルシウムとは性質が違っています。
  実際紀伊半島やグアム島で神経難病を起こした人の脳にはこのヒドロキシアパタイトが大量に沈着していたということです。
  白木博士の見解はヒドロキシアパタイトがアルミニウムなどの有害物質と結合して脳の神経細胞に入り込み脳細胞を変性させ、破壊するのではないかというものです。
  しかも、カルシウム不足で骨からカルシウムを溶かす時に分泌される副甲状腺ホルモンには細胞膜の透過性を高めて細胞内にカルシウムが入りやすくする(というより押し込む)作用があると言われていて、体がカルシウム不足のときは一層脳の神経細胞にアルミニウムが侵入しやすくなると考えられます。
  これが脊髄の神経細胞で起こるとALSになり、中脳の黒質で起こるとパーキンソン病・また大脳に入って前頭葉などが侵されれば、アルツハイマー病ということになると言われています。
  アルミニウムを遠ざける事(アルミ製の鍋・やかんなど)も大切ですが、それ以上にカルシウムやマグネシウムの多い食べ物を積極的に摂ることのほうが重要です。


マグネシウム低下が精神機能に影響


  生体内のマグネシウムは精神的ストレスにより量的に低下することから, 中枢神経機能においても重要な役割を担っていることが知られています。マグネシウムの低下がうつ病や月経前不快気分障害に関与していることや, 大うつ症状の代表的な症状である自殺企図が現れている患者の脳脊髄液においてマグネシウムが低下しているなど, マグネシウムと情動障害の関連について様々な報告があります。また, 双極性のうつ病患者にマグネシウム(アスパラギン酸マグネシウム塩酸塩として) を投与すると情動面において有効性が認められたという報告があります。マグネシウムは日常の食生活により体内に必要な量を十分に維持できるといわれています。しかし, 過剰なアルコール摂取や利尿薬の長期投与などによりマグネシウム不足が生じること, さらに, 精神的ストレスにより生体内のマグネシウムが量的に低下することが知られています。ストレス社会といわれる現代は, マグネシウムの低下を起こしやすい環境にあります。また, 基礎的研究においても, マグネシウムの低下がうつ様症状や不安症状などの精神障害の成因に関わっている可能性が考えられています。低マグネシウム含有食で飼育したマウスにおいて不安様, うつ様症状を発現することや, マグネシウムを投与が, 抗不安, 抗うつ作用を認めたことが行動薬理学的試験により示されました。したがって, マグネシウムの低下が精神障害の成因に関わっている可能性が考えられます。


生活習慣病との関連・・マグネシウム


■メタボリックシンドロームと糖尿病     デイヴィッド ネイヤー


 かなりの数のアメリカ人が糖尿病やメタボリックシンドロームに冒されています。
  これらの病気は、血糖代謝異常がひどく、心臓血管疾患のリスクが一気に増加するとされています。
  事実、全人口(訳注;アメリカ国内)の7%が糖尿病、20%以上がメタボリックシンドロームであるとみられています。研究では、マグネシウムがこれらの症状から守る重要なはたらきをすると思わせる有力な情報が得られています。
  メタボリックシンドロームは、インスリン耐性が特徴で、筋肉、肝臓または脂肪組織がインスリンの信号に正常に反応することができず、細胞にブドウ糖を送れなくなるのです。 その結果、血中のブドウ糖とトリグリセリド値は上がり、善玉コレステロールのHDLが下がり、血圧は上がります。
  健康体の成人1000人以上を5年間調査した疫学研究では、マグネシウムの摂取量が多いほどインスリン感受性が高まるという関連性を発見しました。

 別の有力な研究では、健康な若い成人のマグネシウムの摂取、およびメタボリックシンドロームの進行と体内マグネシウム量との関係を調査しました。
  この研究では、18歳~30歳のアメリカ人約5,000人を15年間にわたり調査し続けました。結果に影響を与えると思われる他の要因などを考慮・調整した結果、マグネシウムの摂取量が上位25%だった人達のメタボリックシンドローム発症リスクは、31%少なくなっていました。
  他にも、マグネシウムの摂取量が多い人ほど血糖値は低く、胴周りは細く、善玉コレステロール(高比重リポタンパク:HDL)は多いといった関連性が認められました。
  マグネシウムをたくさん摂取すればするほど、メタボリックシンドロームの予防効果が高まるのではないかと、この研究論文は結論づけています。


  ノースウェスタン大学の調査研究によると、マグネシウムは善玉コレステロール値を増やし、トリグリセリドを下げて、都合よくブドウ糖の恒常性、インスリンの活動と分泌を刺激することで、メタボリックシンドロームの要因数種にはたらきかけることができるそうです。マグネシウムの摂取増量は、高血圧の予防にも関連しています。
  高血圧もメタボリックシンドロームの要因のひとつです。


  ハーバード大学の調査員のレポートによると、ホウレン草、アーモンド、全粒パンなどをふんだんに使った、マグネシウムが豊富な食事は、タイプ2糖尿病の進行をかなり食い止めることができるそうです。
  研究員は、女性85,000人、男性42,000人をそれぞれ18年間と12年間追跡したところ、追跡期間中に5,400人がタイプ2糖尿病を発症しました。体重オーバー、高齢、少ない運動量、喫煙などといった糖尿病のリスクファクターが多数みられる人でさえ、マグネシウムの摂取量が最高だった人達はタイプ2糖尿病の発症が34%も低かったのです。
  マグネシウム欠乏には、慢性糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害、足潰瘍など)との関連性があります。
  このことは、現在糖尿病を患っている方は慢性合併症を避けるためにも自身のマグネシウム状態に注意を払っておく必要があることを物語ります。

 
マグネシウムと生活習慣病・・日本人の食生活はマグネシウム不足


  日本人の生活では、食生活の“半欧米化”によって、マグネシウムの摂取不足が慢性化しています。マグネシウムの不足は、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなど生活習慣病の発症と密接な関係があります。東京慈恵会医科大学教授の横田邦信先生は、マグネシウムと生活習慣病の密接な関係について以下のように述べています。


――なぜ糖尿病は戦後、激増したのでしょう?


  2型糖尿病の有病率は戦後激増し、現在もその傾向は衰えていません。なぜでしょう?
  それは、穀物(特にマグネシウムが豊富な大麦・雑穀など)の摂取量が激減した時点と、糖尿病が増え始めた時点が一致することが注目されます。糖尿病の発症要因は脂肪摂取量の増加と運動不足による肥満が定説となっています。
  多くの生活習慣病の病態の根底に、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い状態)という共通因子があります。何らかの原因で生じたインスリン抵抗性に対して、日本人はもともと農耕民族でインスリン分泌能が欧米人に比べて弱く、インスリン分泌の代償不全を起こし、容易に糖尿病を発症すると考えられます。


――日本人は慢性的なマグネシウムの摂取不足をきたしているとお聞きしましたが、長期にわたるマグネシウムの不足が、2型糖尿病などの生活習慣病のリスクを上昇させているのでしょうか?


  インスリン抵抗性の共通因子の成因のひとつに、腹部肥満とは独立してマグネシウムの慢性的な摂取不足が大きく関わっていることが近年明らかにになっています。また、マグネシウム摂取不足は糖尿病発症とも深く関連していると考えられます。
  マグネシウム摂取量が少ない群からの糖尿病発症が有意に多いという報告や、マグネシウム摂取量が多いと糖尿病発症リスクが10~20%減るという報告があります。さらに、マグネシウム摂取量が多いと炎症性マーカ濃度(IL-6、高感度CRP)が低いことが報告され、動脈硬化との関連でも注目されています。


  原因としては、腹部肥満に基づくインスリン抵抗性の他に、慢性的なマグネシウム摂取不足によるインスリン抵抗性がありますが、特に、戦後、マグネシウムの慢性的摂取不足に陥っていることが大きく関わっているとみられます。これが日本人はあまり太っていなくても糖尿病になりやすいことを説明できる“マグネシウム仮説”なのです。


  マグネシウムは神経、筋肉の伝達にも関与しており、不足すると“こむら返り”が起きやすくなります。こむら返りは痛みを伴う筋肉の痙攣のことで、運動時に起こるほか、糖尿病や肥満の患者さんでみられます。血行障害や十分な栄養を補給できなていないことが原因である場合には、マグネシウムを補充すると有効なことが知られています。


 糖尿病の人は、アルツハイマー型認知症になりやすいことは前から言われていました。
  糖尿病や低血糖症で、血糖がうまくコントロールできない状態(インスリン過分泌)が続くと、記憶力の低下が始まり、アルツハイマー病の特徴でもある脳の海馬の萎縮が始まると謂われています。


  マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防することが知られ、マグネシウムは日常生活を送る上で不足しやすいことから、日常的にマグネシウムの摂取量が不足すると脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下します。アディポネクチンの不足は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)を招きます。
  このようにして、ミトコンドリアの機能低下による「酸化ストレス・炎症体質」を基盤として、糖尿病を発症してきます。
  アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病であるという研究報告が次々に出されています。 

 最近では、アルツハイマー型認知症は、3型糖尿病と呼ぶこともあるほどです。
  このように両者の発症の基盤は共通しています。
  このため、認知症は、今や生活習慣病ではないかと言われるまでになってきました。


マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防する

 
 マグネシウムは、体内の善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させます。
  日常的にマグネシウムの摂取量が不足すると脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下します。
  アディポネクチンの不足は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)を招きます。
  また、インスリンの機能が低下し、糖質と脂質の代謝が悪くなるため血糖値が上昇することで2型糖尿病や動脈硬化や虚血性心疾患などの生活習慣病の発症リスクを上昇させることが研究により解明されています。


インスリンの作用を応援する必須主要ミネラル「マグネシウムMg」


  マグネシウムMgは、体中のインスリンの作用を応援する役割を持っています。
  つまりインスリンの感受性を正常に保つように働きます。
  ここで、糖の代謝について少し説明します。
  人が食物を摂取すると腸からエネルギー源であるブドウ糖が吸収され、ブドウ糖は血液中に入ります。インスリンが細胞に働きかけてブドウ糖が細胞に取り込まれると、血液中のブドウ糖濃度が低くなります。
  マグネシウムMgは、細胞がブドウ糖を取り込む際の酵素チロシンキナーゼの働きをよくします。インスリンが細胞に働きかけ、ブドウ糖が細胞に入りやすくなります。その結果、血糖値が下がります。


  また、細胞は常にカリウムやカルシウム、ナトリウムを出し入れしていますが、マグネシウムMgは、出し入れするポンプの働きをなめらかにする作用があります。このポンプが活発になるとエネルギーが消費されるので、ブドウ糖の消費にもつながります。


  マグネシウムMgは細胞レベルの運動を活発にしてくれるのです。


  マグネシウムMgは血管の働きにも作用しています。
  マグネシウムMgが不足すると血管が収縮してしまい、血圧が上がるのです。マグネシウムMg不足は交感神経の緊張状態を作るので、神経という面からも高血圧につながってしまいます。
  また血液成分の柔軟性にも影響します。サラサラな血液の大切さは皆さん知っているとおりです。
  糖尿病予備群の人にもマグネシウムMgは効果があります。
  むしろ予備群とされる人のほうがマグネシウムMgのメリットが出やすい傾向があります。今から積極的に摂ってもらいたいものです。


  このように海馬を傷害する根源であるストレスにはマグネシウムが関与しており、これが糖尿病、高血圧発症にも関連しており、認知症を予防するためには、マグネシウムは忘れてはなりません。

 
マグネシウムとは


 マグネシウム は, ヒトの体の中で4番目に多い陽イオンであり, 健康な成人では約21~28 gのマグネシウムが全身に分布しています。このうち, 約半量が骨組織に, 残りは筋肉その他の細胞に多く含まれ, 血液中には約1%程度存在しています。生体内において300種以上の酵素の補酵素として働いており, リボソームの構造維持やタンパク合成, その他エネルギー代謝に関する生体機能に必須な元素です。このように科学的に重要性が確立していることから保健機能食品(栄養機能食品)の対象成分となっています。ホウレンソウなどの緑色野菜はマグネシウムの供給源で,これはクロロフィル(葉緑素)の中心にマグネシウムが含まれているからです。ナッツや種、ホールグレーン(全粒穀物)も,マグネシウムを豊富に含んでいます。マグネシウムは多くの食品に含まれていますが,一日の必要量を1つの食品だけで摂ることは困難なため,ここでもバランスのとれた食生活を心がけることが必要です。


  マグネシウムが必要な理由ですが、


 1.細胞の代謝に不可欠のミネラルであるため、不足すると、疲労感・気怠さを感じる(汗と一緒に排出されるので、熱中症の時や長風呂・サウナの後で、休憩したり水分をいくら補給してもダルさが取れないのは、マグネシウムを中心としたミネラル不足のためです。 詳しく言うと、ナトリウム・カリウムなどの電解質の発汗による不足も関係してきます)。 実はマグネシウムの多くは(骨の他は)細胞内に多量に蓄積され、血液中の量は少ないため、マグネシウム不足が血液検査などから解りにくく、また細胞壁(膜)からの取り込みの効率が重要になります。
  最近では日本でも出回っていますが、欧米を中心に Epsom Salt(エプソム塩:硫酸マグネシウム)が入浴剤やボディースプレーとして愛用されているのは このためです。


 2.特に脳はマグネシウムの消費量が多いので、不足すると疲れやボーっと感じるだけでなく、頭痛を感じる場合もある(これが習慣化、慢性化している方も結構いるようです)。 そうでなくとも、マグネシウム不足が原因で、そうでない同世代の人たちに比べ、記憶力・認知力が かなり低下している人たちがどの国も溢れかえっているようです。マグネシウムの摂取により、疲れ・頭痛も取れ、頭もクリアになって来ます。


 3.脳がきちんと働いているように見える時でも、マグネシウム不足によって、イライラ・怒りの他、落ち込み、鬱など、感情のコントロールが出来なくなります。これは、脳の神経細胞(ニューロン)同士の電気信号の漏れをマグネシウムが防いでいるのですが、マグネシウムは神経細胞にあるストレスホルモンの受容体を普段は覆ってストレス信号の量を調節しているのですが、マグネシウムが不足すると、この覆いが外れてストレス信号が脳内を駆け巡るような漏電状態になり、脳の彼方此方に不必要に伝達されて、ヒステリーなど、感情の暴走が止まらなくなるわけです。これがマグネシウム不足による現代人の最も深刻な問題(8割が該当)で、その原因は人類の農耕開始時から現代へ至る食生活の大幅な変化です。この数年、欧米を中心に狩猟採取時代の食材を取り入れたパレオ食事法 (Paleo diet) が流行っていますが、炭水化物をタンパク質・脂質に置き換えるだけでなく、こういったミネラル不足を補う事も大きな目的なのです。


  また、この際に(あるいは感情をコントロール出来ている人でも)脳内の抗ストレスホルモンであるコルチゾールが多量に分泌されます。このコルチゾール、脳内の炎症を起こし、放っておくと神経細胞を次々に死滅させていくのですが、その最たるものが、短期記憶(ワーキングメモリー)を司る海馬です。このため、マグネシウム不足に限らず、ストレスを受けやすい状態を放置しておくと、海馬がだんだん萎縮し、短期記憶力が低下し(もの忘れが増え)、海馬が使い物にならなくなります。海馬は記憶に白黒のラベリングをする事により、ストレスをコントロールする器官なので、放っておくと、更に感情に翻弄されやすく、他人の言動に対して敏感・ネガティブになります。これが慢性的ストレス・疲労感の大きな要因の1つです。


  ただ、最近になって、海馬はマインドフルネスなどのトレーニングで(高齢になっても)数か月単位で回復が見られる事が解っています。とりあえずはマグネシウム不足とコルチゾールの過剰に注意しましょう。


4.筋肉の弛緩・修復に多量に利用されるため、不足すると、こむら返りのほか、筋肉痛の原因になります。


5.糖の代謝を助けるため、不足すると血糖値が下がりにくくなり、糖尿病など、生活習慣病のリスクが高まります。また、マグネシウムは血圧を下げる効果があるので、高血圧に多大な効果があります。


6.骨を作るのにはカルシウムだけでなく、マグネシウムも多量に必要。一般にカルシウムとマグネシウムは1:2の重量比の割合での摂取が推奨されていますが、最近はマグネシウム不足の蔓延もあり、アメリカなどでは1:1でのサプリからの摂取を勧めている方も居ます)。


7.副交感神経を優位にしてリラックスさせるため、特に睡眠全般の質の改善(寝付き・寝入りが悪い、睡眠が浅い、早朝に目覚めてしまうなど)に効果があります。就寝前に亜鉛なと摂取すると更に効果があります。


8.また、このリラックス効果や睡眠改善効果、心身の疲労感削減効果により、鬱への改善効果があります。摂取をきちんと続けていると、数日で気分・ムードが大分良くなってきます。


9.特に年を取ってくると、ミネラルの代謝が悪くなるため、(カルシウムとは違い、同時摂取で)他の多くのミネラルの吸収・あるいは代謝を助けるマグネシウムの摂取が アンチ・エイジングに重要となります。


10. テストステロンの増加

 
 男性更年期、LOH症候群を患わっている方、予防したい方、心配な方には朗報です。私も もっと早くマグネシウムの摂取量を増やしていれば、特に30代の頃からそうしていれば、と 強く感じます。


11.便秘の改善


  マグネシウム摂取で便通が良くなる事は有名です。ただ、十数年前に「にがりダイエット」なるものが日本で流行り、そのうち にがりの入った飲料 を 短期間にかなり量を飲むという、行き過ぎた過剰摂取を行った方 数名が心臓発作を起こすなどして お亡くなりになりました。にがり は豆乳を固めて豆腐にするのに使われる物ですから、安全な食品と勘違いしたのでしょう。こういった事件もあり、近年の日本ではマグネシウムのサプリの宣伝販売が あまり盛んではないのでしょう。


マグネシウムの摂取量


  日本で推奨されているマグネシウムの摂取量は、成人男性が一日あたり360mg、成人女性が一日あたり270mgです。マグネシウムは発汗・尿などとして体外に排出されやすく、特にアルコールと共に排出されやすいため、運動・長湯などで汗をかく方やお酒を飲まれる方は多めに摂取しても大丈夫です。ただし、先述の「にがりの過剰摂取」による心肺停止などの死亡事件もありますから、極端に摂取量を増やすのは止めて下さい。


  また、このサイトではマグネシウムを豊富に含む食品を紹介しました。海藻や大豆食品を思い浮かべがちですが、海藻のなかでも、あおさ は少量でま多量のマグネシウムが摂取できるので、お薦めです。
  ナッツも大量にマグネシウムを含みます。私は先月から(低炭水化物食の一環として)、朝食・昼食は ご飯のお米・パン・パスタ麺類を生アーモンド、生マカディミアナッツに置き換えているのですが、今月に入ってから認知力・記憶力のほか、肌も若返ってきたと感じて居たのですが、マグネシウム不足が解消されて来て、効能が現れはじめた訳です。
  ただし、生アーモンドには肝斑や老眼の原因となる老化物質AGEを除去する働きがあるので、肌どころか老眼も最近治ったのは、アーモンドのAGE除去効果があります。


マグネシウム摂取のタイミング


 カルシウムとマグネシウムの比が2:1であれば、これらのミネラルが互いに吸収を高め合うそうです。ただし、かんきつ類など、ビタミンCとの同時摂取でもマグネシウム、カルシウムともに吸収力がアップしますし、就寝直前に(亜鉛と一緒に)マグネシウムを飲むため、(亜鉛と吸収の競合をする)カルシウムとの同時摂取はしていません。
  また、炭酸飲料と一緒に摂取すべきではありません。炭酸飲料中に含まれるリン酸と反応し、体外に排出されるのがその理由です。


  また、高脂肪食や動物性たんぱく質を食べた後2~3時間にマグネシウムを摂取しても吸収が悪いですから、最近流行りの低炭水化物食(ケトン食、MEG食とも相性が悪いという事です。そうすると、夕食時の脂肪摂取を少なめにして、就寝前に飲むのがベストです。 ビタミンDやアルコールを摂取し過ぎても、マグネシウムは体外に排出されます。また、少量のビタミンB6(一日50mg以内)と同時摂取すると、細胞内へのマグネシウムの吸収が促進されます。


貧血にマグネシウムも大切な訳


  貧血を予防することで、海馬体を常に良い状態にしておくことが出来ます。貧血には、レバーやプルーン、小松菜等の鉄分と、合わせてビタミンCを摂取し、加えてビタミンB12、葉酸も体に取り込み、酸素と栄養を豊富に運ぶ赤血球を作ることが重要です。

 更に大切なのは、造血をする器官である骨髄に、常に必要十分なマグネシウムがあることです。マグネシウムが骨髄で新しく作られた血液を、血管へ送り出します。

 マグネシウムが不足すると、そもそもの血液循環が十分とは言えなくなる為、虚血になるのです。マグネシウムは大豆類、海藻類、貝類に多く含まれます。和食を好む人なら比較的日常的に食べることが出来ますが、ファストフードやパン食が中心の方は、サプリメント等を活用してでも、体にきちんと摂取したい成分です。