アルツハイマー型認知症の予防は、生活習慣の改善から・ | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

アルツハイマー型認知症の発症の起点とは・・


  アルツハイマー型認知症は、患者さんの脳にアミロイドβという異常なタンパクが付着し、徐々に脳神経を壊していく病気です。
  脳のしみ、老人斑などとも言われますが、脳を壊していくので非常に”たちが悪いしみ”だといえます。
  アミロイドβによって、患者さんは、それまでできていた能力、記憶や見当識、思考力、判断力などを失います。
  そのため徐々に自立した生活が営めなくなり、介護の助けがないと生きていけなくなります。
  なぜ体内でできたタンパクが、自分自身を傷つけるのかについてはまだ詳しいことはわかっていません。
  ただアミロイドβは、単独ではなく、アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパクとミトコンドリア内部で結合することで毒性が発現し、神経細胞を壊すことがわかってきました。
  この時、ミトコンドリアでは、エネルギー生産の低下や二重になっている膜の透過性が下がるなど著しい機能の低下が観察されているため、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになりました。
  このように、認知症発症と進行の原因となる異常なタンパク、アミロイドβは、ミトコンドリアの機能低下を背景・基盤にして、ミトコンドリアの内部で他のタンパク(アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパク)と結合し、細胞を壊す毒性を持つようになったのではないかと考えられています。
  ミトコンドリアの機能が低下することによってアミロイドβが毒性を持ってしまうのなら、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの沈着を防ぎ・毒性を抑えることができる可能性があります。


  このように、アルツハイマー型認知症発症の起点は、ミトコンドリアの機能が低下することにあります。このことが、認知症を予防する上での基本的な考え方になっています。


ミトコンドリアの機能を低下させる要因


1.生活環境の問題
 

   活性酸素・・抗酸化食品の摂取不足
   有害物質の摂取・・デトックスを怠る

 

2.生活習慣の問題
 

   不規則な生活・・睡眠不足
   運動不足
   食べ過ぎ・過食
   インスリン過分泌・・早食い・ドカ喰い
   薬剤による影響

 

3.食生活の問題
 

   マグネシウム不足・・マグネシウムの重要性
   鉄・葉酸不足
   必須脂肪酸の摂取のアンバランス

 
ミトコンドリアの役割


  ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。


  私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
  「セロトニン神経系」の神経核は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。


  セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。


 「健康的な生活」とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
 この「生体のリズム」は「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。
 
 ホメオスターシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。
  ホメオスターシスはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。


  一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。

 
  ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。


  内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
  必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります


  ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
  また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。

 
  このように、「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”は、生活習慣とくに食生活・ストレス等によって影響を受けています。
  このため、「健康的な生活を送る」ためには自然治癒力を高めることが重要で、このためには「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”を「健全化」させておくことが大切になり、特に食生活に配慮する必要があります。


  ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「姿勢の悪さ」引き起こしてきます。


  セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「姿勢の悪さ」を引き起こします。


  私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、生活習慣の問題により引き起こされた「脳内セロトニン低下」と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
  こういったことから、現代では、「姿勢の悪さ」が日常茶飯事にみられるようになってきました。


  ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。
  ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。
  ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、元気にさせると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。
  しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。

 

 活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
  
  私達の体には活性酸素を取り除く手段として、抗酸化物質が備わっています。
  ところが、このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SOD産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することがわかってきました。
  コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。
  このように年齢とともに抗酸化物質は減少し、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。
 「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気・認知症を引き起こしてしまう状態のことをいいます。

 

 このようにして、30歳以降になって、私達の体には活性酸素を取り除く手段としての抗酸化物質の産生の低下する段階から、認知症発症の素地が形成されることになります。


「ミトコンドリアの機能の低下」を来す要因に対する対処として、


  生活習慣では、「規則正しい生活」を心掛け、睡眠を十分にとり、運動不足にならないことです。
  食事摂取については、過食・食べ過ぎに注意し、早食い・ドカ喰いのようなインスリン過分泌を来す食事の摂り方はよくありません。ゆっくりと・よく噛んで食べましょう。
  食事の内容は、以下のような内容が勧められています。
 
    1) 加工食品・インスタント食品をできるだけ減らす
     2) 脂肪・油をできるだけ減らす(オメガ3を摂る)
     3) 肉・乳製品・卵を摂らないか、ごく少量にする
     4) 砂糖をごく少量にする。白砂糖を摂らない
     5) 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
     6) 豆類を摂る。種子・ナッツ類を摂る
     7) 野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
     8) 魚貝類を少量摂る
     9) 発酵食品を常に摂る
     10) 食材・調味料は自然で新鮮なものを使う
 
 これに加えて、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・野菜不足に配慮することが大切です。
  必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランスは、ミトコンドリアの機能の悪化に繋がるため極めて重要になっています。
  結局、”バランスよく摂取する”ことが重要になっています。
  生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に対しては、活性酸素を除去するためには、抗酸化食品である野菜や果物を十分に摂取することです。
  そして、有害物質に対しては、避けれるものは極力避けるべきです。避けられないものは当然ありますので、デトックスが必要になります。
  このためには、水分を十分に補給し、食物繊維を摂取し、デトックス効果の高い食品を摂取するように努めることです。
 
   このように、「食事内容」が極めて重要になっています。

 

 このなかで、特に重要なことは、マグネシウム不足、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランス、抗酸化食品、鉄分・葉酸の摂取です。


 1.マグネシウム不足に注意


  マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防することが知られています。
  マグネシウムが不足すると糖尿病や高血圧などの生活習慣病を引き起こしやすくなり、ひいては認知症になりやすくなります。
  アルツハイマー型認知症は、海馬の萎縮が原因となり、この萎縮の最大の原因はストレスです。ストレスによってマグネシウムは消費されます。
  日本人は慢性的なマグネシウム不足です。マグネシウムは、私達が日常生活を送る上で、容易に不足する生活環境に置かれていることを忘れてはなりません。
  このため、常にマグネシウムの補給を念頭におく必要があります。


2.抗酸化食品(野菜・果物)の摂取


  私達の身の回りのは活性酸素が満ち溢れています。このような活性酸素の毒消しをするのが、フリーラジカルスカベンジャーです。
  私達の体には活性酸素を取り除く手段として、抗酸化物質が備わっています。先述のように、このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することがわかってきました。
  コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。
  この生体に備わった抗酸化物質を補う目的で抗酸化食品を意識して摂取しなくてはなりません。抗酸化食品は活性酸素を除去します。こうしたことから、抗酸化物質の摂取不足はミトコンドリアの働きを悪化させることになります。


3.必須脂肪酸の摂取のアンバランス・・オメガ3とオメガ6に注意


  人間の体の中で“脳”は最も重要な器官の1つですが、その構成成分の60%は脂肪が占めています。そして、このうち一番量が多いのが「オメガ3」です。無数の神経細胞から成り立っている脳は、神経刺激を伝達したり、外からの刺激を受け取ったり、いつも活発な活動をしていますが、その動きに鋭敏に反応し、素早く対応しているのが「オメガ3」なのです。脳では「オメガ3」が最も大切な脂肪酸なのです。


  細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造には食べた脂肪酸がそのまま使われますので、どのような種類の脂肪酸を含む脂質を食べたかにより、膜構造の状態が大きく異なり、ミトコンドリアの働きが左右されます。このため摂り方に問題があれば、ミトコンドリアの機能が悪くなります。


  体内に吸収された脂肪酸は、酵素を触媒として次のように変換していきます。


  体内での脂肪酸の変換には「飽和脂肪酸系列」「リノール酸系列」「アルファ・リノレン酸系列」の3つがあります。そして重要なことは、これら3つの系列の脂肪酸は「体内で相互変換しない」ということです。つまり、どれだけ大量の飽和脂肪酸を摂っても、ガンマ・リノレン酸に変わることはありません。またリノール酸が、EPAやDHAに変わることもありません。


  このように「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まってしまいます。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。
  このため、からだにいい油と悪い油を見分けることが重要です。


  私がお勧めする植物油は、昔ながらの製法「低温圧搾」で造られたシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などのオメガー3系脂肪酸を多く含む植物油と、エクストラバージンオリーブ油、低温圧搾で作られたゴマ油やナタネ油などの植物油です。これら以外の市販されているサラダ油など多くの植物油は、いずれも「悪い油」といってもよく、多くとってはいけないものばかりです。また、マーガリンやショートニングなどの脂もダメです。
  こうした「悪い油」を原材料とするマヨネーズやドレッシング、植物性ヨーグルト、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート……なども、できるだけ避けたい食品といえます。加工食品の成分表を見ればわかるのですが、植物油が加えられていない加工食品はまれにしかありません。これらの植物油のほとんどは悪い油です。注意してください。


4.L-カルニチンは認知症予防に大切です


 L-カルニチンが不足すると、脳のアセチル-カルニチンが不足します。アセチル-カルニチンが不足すると、脳の細胞が壊れやすくなり、認知症になりやすくなります。このことは、数多くの臨床研究から明らかにされています。L-カルニチンは、認知症防止にも役立つというわけです。
  L-カルニチンは、ミトコンドリアの中で脂肪を燃焼して肥満を防止し、脳の中でアセチル化して認知症を防止してくれる、私達には欠かせない物質なのです。

 

 ここに、記憶の司令塔とも言える重要な器官される海馬が、酸素不足やストレスによって傷害されることによって、「アルツハイマー型認知症」を発症してくることになります。


1.ストレスの問題


  ストレスが加われば、マグネシウムが低下し、長期間持続すれば枯渇してくるため、常にマグネシウムの補充を心がけることが大切になってきます。
  また、ストレスが持続すれば、セロトニン神経系の機能が低下します。先程の、ミトコンドリアの機能を低下させる要因が加われば、ミトコンドリアの機能が低下します。こうなれば、同時に、セロトニン神経系の機能まで低下してきます。
  ストレス耐性の体を作るためには「セロトニン生活」を励行する必要があります。
  さらに、有酸素運動も重要になってきます。


2.「酸素不足」の問題


  「酸素不足」を引き起こす最大の要因は脳虚血の原因となる動脈硬化があります。
  血液循環を促進するためには、血管を若返らせて血液循環を高め高血圧や動脈硬化を予防することです。このため、動脈硬化を防ぐためには、血管内皮細胞が正常で健康な状態にして、血管はイキイキして血管年齢を若く保つ必要があります。
  このため、脂質の摂りすぎ、オメガ3とオメガ6の摂取バランスが大切です。
  そして、姿勢を正しくする必要があります。
  姿勢が悪ければ、「浅い呼吸」となり、海馬など、認知症と関係する脳の組織にも十分量の酸素がまわっていかず、認知症になるリスクになってきます。
  さらに、貧血の問題が加わります。
  電子伝達系があるミトコンドリア膜には鉄は必須です。貧血や鉄欠乏貧血など鉄の不足があると、TCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、鉄分の不足は、ミトコンドリアのエネルギー代謝がスムーズに行かなくなります。その結果、ミトコンドリアの機能低下を招くことになります。貧血は、酸素不足の原因になります。
   葉酸は、赤血球をつくるのに必要なビタミンで「造血ビタミン」とも呼ばれます。鉄分と同様です。
   また、大気汚染による酸素濃度の低下にも配慮する必要があります。


 話が前後しますが、生活習慣では、規則的な生活と運動が重要です。


  「睡眠時間が短いと肥満になりやすい」ということが報告されています。
  不規則な生活によって、睡眠時間が短くなると、レプチン(食欲抑制ホルモン)の分泌が低下して、グレリン(食欲増進ホルモン)の分泌が増えることが示されています。
  つまり、睡眠時間が短いと食欲に関するホルモンのバランスが乱れて食欲が増進してしまい、肥満につながりやすいと考えられます。
  グレリンとは胃から分泌されるペプチドホルモンで、その働きは二つあります。


   1 食欲を増進させる
   2 成長ホルモンの分泌を促進する

 
 グレリンが分泌されるのは、お腹が空いたときです。
  成長ホルモンは文字通り、成長に関するホルモンで骨や筋肉の発達に関わっているホルモンです。
  しかし成長ホルモンにはもう一つ、とても重要な働きがあるのです。それは「代謝」と呼ばれる、人間の体にある物質をエネルギーに変える働きです。
  代謝は、食べ物をエネルギーに変えて体を動かしたリ、古くなった細胞を排出して新しい細胞を作り出したリ、人間が生きていくうえで必要なすべての活動のことです。
 成長ホルモンが十分に分泌されていないと、コレステロール値の上昇、心疾患(心筋梗塞や狭心症)、動脈硬化、糖尿病を起こしやすくなってきます。
  成長ホルモン不足は見た目の老化にも影響します。肥満、筋骨量の低下、肌荒れを起こし、体脂肪、とくに内臓脂肪が増えるためお腹周りが大きくなります。俗にいう、メタボリックシンドロームです。
  また、グレリンは記憶力の向上にも効果があります。グレリンが脳の記憶をつかさどる「海馬」に作用して記憶力を高めることがわかっっています。
  ミトコンドリアは、エネルギーが不足している時や、もっとエネルギーが必要な時に活性化して増殖します。ですから空腹時というのは、ミトコンドリアが増殖するうえ、グレリン分泌も活発になるため、細胞から若返るのには最適な環境といえるわけです。
  活性酸素等で傷ついたミトコンドリアの修復は寝ている間に行われるため、その修復には睡眠が不可欠です。
  このように、睡眠不足は、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、肥満を増強させ、生活習慣病を引き起こすことになります。


  こういったことから、生活習慣病を治療していく際には、薬剤だけを服用しているのではなく、生活習慣そのものを改善させておく必要があります。そうしませんと、次々に、二次的な合併症を併発させ、次々に、新たな薬剤が追加されることになります。
  その結果、高齢に達した段階では、15,16種類前後まで増えてしまうことになります。
  このように、西洋医学の薬の多くは対症療法であり、病気を根本的に治しません。また対症療法は、自然治癒力を奪うことにもつながります。
  このことは、認知症を予防する際に、極めて重要な点であり、食事や生活を見直すことなく、漫然と服用してはならないということです。
  病気を治すために飲む薬は、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまいます。
  そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程で、活性酸素が発生してしまうのです。このため、過剰に服用した鎮痛薬は異物そのものであり、これを解毒するために過剰に活性酸素が発生することによって”ミトコンドリアを弱らせる”ことになります。
  このようにして、薬剤による後天的なミトコンドリア病を作ってくることになります。
  以上のように、長期間にわたる薬剤の服用は、その種類は問わず要注意ということです。


  以上のように、ミトコンドリアを弱らせる要因は、その殆どは、日常私達が何気なく無意識に行っている生活習慣にあります。決して、特別のものではありません。
  ここが最も、大切な点です。


ミトコンドリアを効果的に増やすには
 
   運動をして筋肉の量を増やせばミトコンドリアの量も増え、 体全体のミトコンドリアの働きも活性化します。
  1分間の軽めの運動と30秒間の強めの運動を繰り返すサーキットトレーニングが、ミトコンドリアを増やすのに効果的とされています。
  毎日の生活習慣や運動時でミトコンドリアを増やすにはコツがあります。例えば、ミトコンドリアは持久力を司る筋肉に多く含まれると分かっていますから、筋肉痛にならない程度の運動を行うことです。ここが一番大切な点です。決して無理をしないことです。
 
 
     <背筋を1分間伸ばす>
    <毎日1分片足立ちをする>
    <短時間で効果的な有酸素運動>
    <古来伝わる不自然な動き>
    <寒中稽古、サウナ後の水風呂>

 
 
 背筋を伸ばす、片足立ちを行う。この二つを習慣化するだけで1週間で体の調子が変わってくることを実感できるでしょう。先ずは、ほんの少しの努力でミトコンドリアを増やす習慣をつけることから始めてみてください。
 
 
 以上が、認知症予防の基本原則です。

 

 

  アルツハイマー型認知症予防のポイントは、発症の起点となる、ミトコンドリアの機能が低下を防ぐこと、”ミトコンドリアを元気にし、増やす”ことです。
  アルツハイマー型認知症は、現在のところ進行を緩やかにする、あるいは周辺症状を多少改善する薬があるくらいです。
  現代の医学では、原因となるアミロイドβを除去すること自体や毒性を消すこと、さらに作らないようにすることも出来ません。
  アルツハイマー型認知症の本態解明はなされていない段階から予防を行うことも可能であるということです。
  すなわち、アルツハイマー型認知症の発症の起点となるミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因を断ち切ればよいということです。

 
認知症予防はいつから開始すべきでしょうか


 問題は、このようなアルツハイマー型認知症の予防をいつから行うべきかです。
  アルツハイマー型認知症の発症の起点となるミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因は、若い世代からすでに存在することになります。このため、このような世代から、ミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因として、どのようなものがあり、どのような注意が必要なのかといった「健康教育」が必要になってきます。
  そして、現在では、40歳以降の方々には、生活習慣病の予防を目的とした「特定健診」の制度がありますが、このような「健康教育」が徹底しているのかを確認する意味で、この「特定健診」を行う際には、認知症予防も併せて行っていくのが適切と思われます。
  といいますのは、この40歳を境に、私達の体に備わった抗酸化物質が減少し始める時期に相当します。このため、40歳という節目が重要になっています。


  さらに、「物忘れが気になるようになった人のため」に、この段階でどのように対処すべきかの指導を徹底すべきです。
  これまで、このような「物忘れ」は認知症とはまったく別物とされ、まったく無視されてきました。しかし、このような単純な「物忘れ」から「アルツハイマー型認知症」へと進展していく、といった健康教育を徹底させる必要があります。
  このような「物忘れ」の段階からでも、徹底して海馬を鍛えることに主眼をおいて対処する限りは、海馬の萎縮は防止され、いくら年をとろうとも海馬の容積は増加してくることを忘れてはなりません。
  ということは、認知症を予防していくためには、物忘れが少しでも気になり始めた段階から、ミトコンドリアの機能低下を引き起こす要因の点検を目的として、これまでの生活習慣の問題点を洗い出すことによって、是正させると同時に、海馬を鍛える対処をしていくべきと考えています。