認知症を予防の基本的な考え方・・薬剤は必要最小限度に・・ | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

薬の多くは化学薬品。蓄積すると全身の機能が低下する


 現代は、病気を薬でなおすことが当たり前になっています。医師のなかでも、薬を出すことだけが治療になっている人も少なくありません。そのため日本は世界でもっとも薬の消費が多い国になっています。多くの人が飲んでいる薬とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。
かつて西洋医学の薬が普及する前は、病気をなおすのに薬草などの天然の生薬が使われていました。生薬には、たくさんの成分が自然の状態で含まれています。
 一方、西洋医学の薬のほとんどは、石油を原料とした「脂溶性の化学薬品」です。 プラスチック、ナイロン、農薬などと同じ、「石油化学工業製品」だということ。多くは単一の成分が精製された合成物であり、自然からかけ離れた人工物ということになります。
 脂溶性のものは水に溶けにくいため、尿から出すことができません。人は、脂溶性の化学薬品を、効率的にからだの外に排出する機能をもっていないため、蓄積されることになります。ちなみに、ビタミンにも水溶性のものと脂溶性のものがあります。脂溶性のビタミンには、ビタミンA・D・E・Kがありますが、からだに有益なビタミンでさえも、脂溶性の場合は過剰に摂取すると処理できないため体内に蓄積され、中毒を引きおこします。 消化管で吸収された化学薬品は、まずは肝臓に運ばれます。化学合成物はとくに分解しづらいため、肝臓に多くの負担がかかります。負担をかけ続けると、肝機能が悪くなります。肝機能が悪くなると、ますます化学薬品を処理する能力「解毒能」が低下します。


 また、現在飲まれている化学薬品の多くは、交感神経を一方的に亢進します。交感神経が緊張した状態では、解毒能がますます低下します。肝臓で処理しきれない化学薬品は、全身に運ばれることになります。化学薬品が、全身の毛細血管や血管からしみ出して細胞をとり巻いている細胞外液にとどまると、全身の細胞に長期にわたり、ゆっくりと毒性を発揮します。脂溶性のものは、リンパ管に入りやすいという性質もあります。リンパ管は免疫を担当する細胞の通り道でもありますので、ここに化学薬品がとどまると、免疫系に重大なダメージを引きおこし、感染症やがんなど、あらゆる病気の原因になります。
 西洋医学の薬の多くは対症療法であり、病気を根本的になおしません。また対症療法は、自然治癒力を奪うことにもつながります。ただし、すべての薬を使ってはいけないというわけではなく、いのちにかかわるときや、激しい痛みなどつらい症状が強い場合は、 一時的に使うべきです。
  なるべく避けたいことは、長期にわたって薬を使用すること。食事や生活を見なおすことを最優先させましよう。そうすることで、今飲んでいる薬を減らすことも可能になります。


抗生剤はからだに大切な常在菌にもダメージを与える


 抗生剤は、微生物を殺したり、働きを阻害したりするための薬です。一般的には、細菌に対する薬を指しますが、ウイルスやカビ、寄生虫に対する薬もあります。
 「抗生剤は20世紀最大の発見」とも言われ、重篤な感染症の治療に使われ、多くの命を救い、人類に貢献してきたことは間違いありません。しかし、いっぽうで、微生物を排除する行為でもあり、その行きすぎは現代病を急増させた原因にもなっています。
 どのような場面でも抗生剤を使わないことがいいわけではありません。重篤な感染症のときは積極的に使うべきでしょう。しかし、軽症の感染症にまで安易に抗生剤を使うことには多くの問題があります。それを適切に判断することも、医師としての重要な役割だと思います。抗生剤を使用する最大の問題点は、病原菌のみならず、常在菌も大きなダメージを受けるということです。
 常在菌は、健康な人にはなにも悪さをしないばかりか、私たちにとって有益なものです。たとえば腸内細菌は、私たちの健康にとってもっとも大切と言っていいでしょう。
 とくに子どもの場合、抗生剤によって一度腸内細菌叢が破壊されると、回復に時間を要します。
 口腔内の常在菌もなくてはならないもので、これがダメージを受けると口腔内の感染につながり、リウマチやlgA腎症など、さまざまな病気を引きおこす要因にもなります。 抗生剤を使用することで常在菌がいなくなってしまうと、言わば丸裸の状態になります。 この状態では別の病原菌がつきやすくなり、再び抗生剤を使用しなければならないという悪循環に陥ります。
 抗生剤を使用した場合のもうひとつの大きな問題は、耐性菌の発生です。つまり、抗生剤を使いすぎると、細菌のほうが変異し、抵抗力を獲得し、その抗生剤が効かなくなるのです。抗生剤が開発されてもすぐに耐性菌が出現する様は、よくイタチごっこにたとえられますが、実際の状況はより深刻です。
 人の抗生剤の開発力には限界がありますが、細菌の耐性獲得能力は無限大と言ってもいいくらいです。どんなに強力な抗生剤を開発しても、効かなくなるのは時間の問題であり、そのうち開発が追いつかなくなります。すでに、あらゆる抗生剤が効かない細菌も出現しています。
 ほかにも、抗生剤による副作用の問題があります。多くは、じんましん、発疹、肝機能障害などですが、アナフィラキシーショックや全身の発疹を特徴とする「スティーヴンスージョンソン症候群」などの重篤なものもあります。熱性けいれんをおこしやすくする抗生剤もあることがわかっています。


 ミトコンドリアは細胞内で細菌のように見え、実際、昔、真核細胞生物に入り込んだある種の細菌がその先祖であると考えられています。このように、ミトコンドリアは細菌的な性質を有していることから、他の細菌類と同じように抗生物質により殺傷される可能性が高いのです。細菌に近い生物であったミトコンドリアにも少なからずダメージを与えます。
 こういったことから、意味のない風邪での抗生物質の服用には注意が必要です。
 また、牛肉、豚肉、鶏肉など、大量生産される畜産食品や養殖魚には抗生物質を含むエサを用いて飼育されたものが多く、それらを通して抗生物質が摂取されることになりますので、これらの食品のとり過ぎには注意が必要です。


睡眠剤は依存性が高いことが問題


 不安やノイローゼ、パニック障害などに使用される薬は「マイナートランキライザー」という薬で、一般的に「安定剤」と呼ばれるものです。安定剤のなかで、比較的すぐに効き、作用時間が短いものが「睡眠剤」。これは、とても多くの人が日常的に気軽に使用しています。
 不眠は、あまり気にしないようにしましょう。「まったく睡眠障害の訴えがない人よりも、月に何度か不眠を覚えた人のほうが、死亡率が低い」というデータがあります。ただし、睡眠剤を飲んでいないことが重要です。睡眠剤を飲んでいない人に比べて、飲んでいる人の死亡率は1年に18錠以下でも3倍以上、132錠以上では5倍以上になり、さらにがんのリスクも増加するという報告もあります。
 睡眠剤は、一時的に精神の不安状態を落ち着かせることができますし、どうしても眠れないときに、とりあえず眠ることはできます。しかし、問題はしだいに効果が少なくなり、耐性ができてしまうこと、中止したときに不安や不眠がひどくなるという離脱症状による依存があること。
 つまり、やめられなくなることが多いうえに、増量が必要になることも多いのです。ほかにも睡眠剤の副作用として、肝機能障害、免疫抑制、昼間の眠気の出現、活動低下、高齢者の転倒などがあります。
 不眠には理由があります。睡眠剤を飲むことは、とりあえず眠るという対症療法であり、不眠症を根本的になおしているわけではありません。薬に頼るのではなく、原因にアプローチしない限り解決しません。まずは生活をととのえることからはじめてみてください。

 先日も、大阪の雑居ビルでの放火・殺人事件でも、諄いばかりに問題にしましたが、世間で言う、評判のよい患者受けのよい精神科・心療内科の医師とは、患者さんに逆らわない医師が”よい先生”と言われているように、このような医師は極めて安易に睡眠薬・睡眠導入剤を処方し、後々、どのような結果に至ろうとも責任は一切とってくれません。このため、必ず、離脱症状に苦しめられ、後々、認知症へと進展してきます。この機会のもう一度”よい、お医者さん”とは、どのような医師像なのか、再確認しておく必要があります。そして、患者に迎合する、世間的に言う”よい医師”を、この世から抹殺しなくては、認知症撲滅など夢のまた夢でしかありません。


規則正しい生活が体内の状態を一定に保つ


 健康的な生活の一番の基本は、規則正しい生活にあります。
 からだの内外におこるさまざまな変化に対応して、体内の状態を一定の範囲に保つ機能を「ホメオスターシス」と言います。なぜ規則正しい生活が重要なのかといいますと、このホメオスタシスに直接関係しているからです。
 ホメオスタシスには、自律神経系、内分泌系、免疫系の3つの系があります。
 これらは独立した系でありながら、連動して動いています。たとえば自律神経系では、昼間は活動を支える交感神経が優位になり、夜間は休息をもたらす副交感神経がおもに働くといったように、1日の流れのなかで、リズムをつくって活動しています。ですから、規則正しい生活をおくることにより、自然に沿ったリズムができ、からだにスムーズな働きがもたらされるのです。
 本来は、日の出とともに起き、日没とともに寝るのが理想なのですが、現代社会でこれを行うのはとても困難です。乱れがちな生活をととのえるもっとも重要なポイントは、起床の時間を一定にすること。人の体内時計は、24時間よりも30分ほど長くなっており、そのままでは少しずつ後ろにずれていくのですが、朝の光にはこれをリセットする役割があります。そのため、まずは朝起きるというリズムをつくりましょう。次に、食事の時間と就寝の時間を一定にします。可能なら、仕事や休憩、運動、入浴なども、同じ時間にするのがいいでしょう。
 おとなである私たちも、生活が乱れたときや、体調がすぐれないときはイライラし、人の意見に耳を貸せなくなりますよね。子どもであればなおさら。生活リズムをととのえることで、心身ともに活気のある状態を保つことができるのです。


自然治癒力を支えているのは睡眠と休息


 夜は、休息と睡眠の時間です。その開、交感神経が休んで副交感神経が優位になり、からだのさまざまな部分を修復、浄化しています。自然治癒力を支えているのは、睡眠と休息です。
 睡眠不足は、自律神経のバランスを著しく損ないます。からだの修復ができない状態が続くと、あらゆる病気の原因となります。睡眠時間は人により異なりますが、少なくとも7~8時間は質のいい睡眠をとりましょう。不眠がちな人は、悩みすぎないことが大切。 睡眠薬に頼ってしまうと、さまざまな副作用と依存をもたらし、薬がやめられなくなります。気をつけましょう。
  不眠の原因の多くは、不規則な起床と就眠時間にあります。毎朝、太陽の光を浴びて体内時計をリセットすることからはじめましょう。コーヒーなどのカフェインの摂取は、午前中にします。
 昼間は、運動などをして活動的に過ごすようにしましょう。夕方からは、眠るための工夫に入ります。午後9時以降に飲食しないようにして、寝る前のテレビ、パソコン、スマホなどを見るのは避けましょう。寝室では電気を消し、真っ暗にするほうがいい睡眠が得られます。
 最近では、夜更かしをする子どもたちがとても増えています。昼間は外でよく遊ぶこと、ゲームなどは使用時間を限定し、メリハリのついた生活をおくらせることが大切です。


適度な運動が多くの病気の予防になる


 適度な運動は、健康にとって必要不可欠なもの。積極的な運動が必要なのはおとな、とくに中高年の人です。軽い運動でも、健康の維持、肥満・生活習慣病・骨粗鬆症の予防、ストレス解消など、とても多くの効果が期待できます。
 昨今、高齢化社会にともない、骨、関節、靭帯、脊椎、脊髄などの運動器障害により介護が必要になるリスクが高い状態「ロコモティブシンドローム」の人が増加しています。 高齢者の筋力、持久力、バランス能力の維持のためにも、適度な運動が重要です。何歳になっても、無理のない範囲で運動をしたほうがいいでしょう。
  アスリートを目指すためではなく、一般の人が健康になるためにする運動としては、「有酸素運動」が適しています。有酸素運動は、十分に酸素をとりいれながら、持続して行う全身運動です。具体的には、少しきついと感じるくらいのウォーキング、サイクリング、水泳、軽いジョギングなどです。30分くらい続け、さらに毎日続けることにより効果が出ます。有酸素運動は、心臓や血管に対する負担が比較的軽いのが特徴で、肥満やメタボリックシンドロームの解消にとても有効です。老化を予防し、筋肉や心肺機能などの能力も維持してくれます。
 有酸素運動だけでも最低限の運動にはなりますが、筋力運動(筋トレ)、柔軟体操(ストレッチ)を組み合わせるとさらにいいでしょう。
 筋力運動は、筋力、持久力を維持し、ケガの防止にも役立ちます。年齢に関係なくやりやすいのが、スクワットと腹筋です。
 簡単な例を示しましょう。スクワットは、「息を吐きながら、ゆっくりと可能なところまでしゃがみ、4秒ほどキープする」、これを5回くリ返すだけです。腹筋は、「息を吐いておなかをへこませ、30秒キープする」だけなので、立っていても座っていてもできます。 このような簡単な方法でも効果があります。1日おきくらいの頻度で行いましょう。
 柔軟体操は、筋肉をのばす運動になります。ストレッチの効果には、血行促進、疲労回復、関節可動域の拡大、筋緊張の緩和などがあります。首、腕、肩甲骨、背中、腰、股関節、足首など、それぞれをまんべんなくのばします。さまざまな方法がありますので、自分でやりやすい方法を見つけ、こちらは毎日行いましょう。
 なお、運動する際には、正しい姿勢と呼吸も重要です。
 よりいっそうの効果を出すためにも、意識してみてください。


姿勢を正すことであらゆる不調が改善される


 姿勢と健康には、とても大きな関係があります。ゲームや携帯電話、パソコンの普及や、椅子に浅く座るなどの影響から、いわゆる猫背(背中が丸く曲がり、肩が前に出た姿勢のこと)が多くなっています。猫背になると、首が前に垂れ、肩も前に落ちて頭部全体が前へ移動し、腰が丸くなるなどの不自然な姿勢となり、骨格や筋肉がゆがみます。
 人の骨格は、仙骨(腰椎の下部にある骨)を中心とした骨盤の上に背骨があり、さらにその上に、重い頭をのせています。これに両肩と腕がついた「やじろべえ構造」をしており、両腕とあごにより絶妙にバランスを保っています。さらに、股関節、膝、足首などを含め、すべての骨は連動しており、1か所がバランスをくずすと、すべての骨に影響が出ることになります。
 猫背により呼吸が浅くなると、血管を圧迫し、血流も悪化します。からだのねじれから内臓や筋肉、神経への負担もかかります。
 このように、姿勢の悪さはあらゆる心身の不調、たとえば肩こり、腰痛、膝痛、偏頭痛、うつ病、冷え、便秘、下痢、生理不順、アトピー性皮膚炎、花粉症などの原因になります。
 子どものときから正しい姿勢がとれるように、親が配慮してあげましょう。
 立っているときの正しい姿勢は、あごを引き、背筋をのばして軽く胸をはります。左右の肩、腰は水平にし、腹筋に軽く力を入れておなかを引っ込めます。横から見て耳、肩、股関節、膝、くるぶしが一直線になります。
 座っているときの正しい姿勢は、座面に深く座り、背もたれに背をつけます。軽くあごを引き、膝、足首の関節が90度になるように座ります。座っているときに脚を組むことはタブーです。クセになっている人は、すぐにでもやめましょう。


深い呼吸と腹式呼吸・鼻呼吸が健康のカギに


腹式呼吸のすすめ


 「息」は、「自(分)」の「心」と書きます。多くの人は意識したことがないかもしれませんが、「呼吸の仕方は、その人の生き方そのもの」と言っても過言ではありません。現代人の呼吸は、ストレスが多いためか浅く短くなっており、健康にさまざまな悪影響を与えています。
 呼吸は、自律神経により無意識に調節されていると同時に、意識的にもコントロールすることが可能です。息を吐くことは副交感神経を、吸うことは交感神経を刺激します。からだにいい呼吸とは、ゆっくりとした深い呼吸のことで、からだの活動に必要な酸素を十分にとり込みます。
 さらに、「腹式呼吸」が、健康とリラックスのカギなのです。
 腹式呼吸は、横隔膜を上下に動かす呼吸法です。特別な訓練は必要ありません。とにかく息をできるだけゆっくり、長く吐くことに集中しましょう。吸うのは、吐ききったあとに自動的に空気が入ってくるのにまかせます。
 吸気と呼気の比が1:2以上になるようにしますが、なるべく呼気が長いほうがよく、1:10でも大丈夫です。腹式呼吸により、副交感神経を優位にし、リラックスすることがもっとも重要で、それにより免疫系、ホルモン系も調節されます。
 また、幸せホルモンである「セロトニン」の分泌もよくなります。深い呼吸により、体内にとリ込まれる酸素の量が増加し、内臓の刺激にもなり、ダイエット効果も認められます。
 ちょっと疲れたなあと感じたら、「深呼吸」も効果的です。日々の生活に意識してとりいれましよう。


口呼吸はしないこと


 口は本来、食べものの通り道で、呼吸器ではありません。いっぽう、鼻は天然の浄化・加温・加湿装置の役割を果たしており、排気ガス、放射能、PM2・5、黄砂、その他の環境毒など、空気中にあふれる有害物質を遮断してくれます。だからこそ、鼻呼吸が重要です。
 口腔内(扁桃や歯およびその周囲、鼻の奥である上咽頭)には、空気や食べものとともに入ってきた病原体などの異物を食い止める働きをもつ、扁桃などのリンパ組織が集中しています。そして、リンパ球(白血球のひとつで、免疫に指令を出す役割をもつ)が表面に露出したまま活性化しているなど、人体でもきわめて特殊な場所です。
 最近、口腔の細菌による慢性の感染「病巣感染」が、遠く離れた臓器や全身の病気に関係していることがわかってきています。病巣感染により、口腔内で防ぎきれなかった細菌そのものや、細菌に過剰に反応した白血球・免疫物質が血管をめぐり、遠く離れた臓器や全身の反応を引きおこしていると考えられます。その証拠に、扁桃の摘出や上咽頭の消毒などが、IgA腎症(腎臓病の一種。人工透析となることが多い)やリウマチなどの炎症性疾患にとても効果があるのです。
 そのほか、花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息などのアレルギー性疾患、ベーチェット病(目、皮膚、口腔内の粘膜などに炎症発作をくり返す難病)・潰瘍性大腸炎・頭痛などの自己免疫疾患、過敏性腸症候群、うつ病、めまい、肩こり、不眠、睡眠時無呼吸症候群など、非常に多くの病気にも効果があります。
  つまり、扁桃の摘出や上咽頭の消毒のよしあしは別として、病巣感染の重要な原因のひとつとして、□呼吸による口腔内の乾燥やダメージがあると考えられるのです。
 口呼吸になる理由は、もともとの素因や素質もありますが、やわらかいものばかりを食べることで嚥下(飲み込むこと)の力が育たなかったり、前傾姿勢であったりすることなどが考えられます。                               
 さらに私は、抗生剤やうがい薬などにより、口腔内の常在菌が排除されていることも、病巣感染によるさまざまな病気に影響を与えていると考えています。口腔内の常在菌が元気であれば、病巣感染自体が減ります。また、くリ返しになりますが、免疫系の異常は微生物の排除に根本の原因があるからです。
 今すぐ家庭でできる対策のひとつは、おきている間は□呼吸をやめることに尽きます。
 もうひとつ、福岡県の内科医・今井一彰先生が推奨されている「あいうべ体操」もおすすめです。これは、ゆっくりと思いっきリカを込めて、「あ」「い」「う」「ベー」と発音するのを、数回くり返すだけの簡単な体操です。
 そのほかにも、睡眠時のロテープ、鼻うがいなども効果があると言われています。ただしこれらは、医師の指導のもとで行うようにしてください。


日光にあたると死亡のリスクが低くなる


 最近は、紫外線の害だけが強調され、なるべく日光にあたらないようにしている人が多いようです。たしかに、紫外線には害があり、しみ、しわ、皮膚がんなどの原因のひとつになることも知られています。そのほか、白内障、翼状片(白目の結膜が、黒目部分に入り込んでくる病気)など、目の病気の原因にもなりますので、日光の浴びすぎには注意が必要です。
 しかし、適度に日光にあたることは、じつはとても健康にいいのです。いちばんのメリットは、皮膚によリビタミンDが産生されること。ほかのビタミンがおもに食物から体内にとり込まれるのに対し、ビタミンDは、必要量の80~90%が日光浴により体内で産生されます。これは紫外線の働きによるものですので、日光にあたることが重要なのです。
 ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、子どもでぼ、くる病(骨が石灰化して弱くなってしまう病気)、おとなでは骨粗鬆症や骨折などを予防します。ほかにも、炎症や免疫の調節、血管機能の改善、抗がん作用など、健康にとても役立っていることがわかってきました。
  ビタミンDの多い人は、がんや糖尿病などの生活習慣病、動脈硬化などになりにくく、死亡リスクが低くなります。アレルギー性疾患、自己免疫疾患(とくに多発性硬化症)、感染症、うつ病、パーキンソン病、歯周病、認知症、老化の予防にもなります。


 では、日光にはどのくらいあたるのがいいのでしょうか。
 一度にたくさん浴びる必要はありません。住んでいる場所や季節によって変わってきますが、週に3日ほど、肌の3~4割くらいの面積に15分程度あてましょう。日陰なら30分程度です。日差しが強い季節では、紫外線の強い時間帯を避ける、衣服で肌を覆う、日陰を利用する、サングラスをかけるなどの工夫をしましょう。強い効果のある日焼け止めを塗ってしまうと紫外線がブロックされ、ビタミンDが産生されません。また、経皮毒(皮膚からとリ込んでしまう有害な化学物質)が体内に蓄積されないよう、注意が必要です。
 ちなみにビタミンDは、食品では、さけやうなぎのような脂肪の多い魚、卵、乳製品、きのこ類などに多く含まれています。これらを効率的に吸収するためには、腸内環境がととのっていなくてはなりません。さらに、ビタミンDが適切に働くためには、肝臓や腎臓での活性化が必要で、全身の臓器も健康でしっかりと機能していることが重要です。


ストレスを貯めないことが大切


 現代はストレス社会であり、ほとんどの人がストレスを抱えています。ただし、ストレスがまったくない生活はつまらなく、人を怠惰にさせますから、適度なストレスはあったほうがいいでしょう。問題になるのは、慢性的に強いストレスがかかることです。
 ストレスが要因となっておきる精神的な問題には、うつ病、不安神経症、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、ASD(急性ストレス障害)などがあります。さらに、過食症や拒食症のような摂食障害や、アルコールや薬物などへの依存もおきやすくなります。
 ストレスは、からだの不調ももたらします。ストレスがかかると、副腎からストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールが出続けると、炎症をおさえる力が弱まったり、免疫力が落ちたりします。また、交感神経の緊張状態が続き、自律神経のアンバランスが招く、さまざまな病気の原因となります。心筋梗塞、脳梗塞、アレルギー性疾患、リウマチ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、じんましん、円形脱毛症、メニエール病、過換気症候群などが、その例です。
 ストレスをためないためにも、適切な解消法をもちましょう。音楽やスポーツ、ガーデニングなど、いろいろな趣味をもち、自分の好きなことをするのがいちばんです。ストレスに目をつぶるわけではありません。ストレスと上手につき合うことが大切なのです。
 年配の人から、昔は生活が苦しかったけれど、そのなかで日々の楽しみを見つけ、今よりも心豊かに過ごしていたと、よく聞きます。個人の心のもち方しだいです。あらゆる世代の人と交流する機会をもち、知恵を得ることも、お互いにとっていいものです。
 ちなみに、真面目で几帳面、責任感が強く、人に頼れない人、自分に否定的な人は、ストレスをためやすいので要注意です。このような傾向のある人は、完璧を求めない、がんばりすぎないことです。子育て世代や主婦の人は、日々やることが多く、本当に大変だと思います。しかし、「○○しなければいけない」ということは、案外それほど多くないかもしれません。他人と比べて自分を追い込まないこと。ひとりで抱え込まず、家族や友人に相談をしましょう。
 最近では、「笑い」の効用が一般にも知られるようになってきました。笑うことにより、副交感神経が働き、免疫力がアップします。楽しいことを見つけ、明るく過ごしましょう。
 生活をととのえることも重要です。からだにいい食事と生活の習慣は、あらゆるストレスに負けない力を与えてくれます。そして、未来へ向かう人生の目標をもち、うれしい、楽しいと感じることを実行しましょう。たとえつらいことがあっても、必然としておこっているものとしてとらえ、「今」に感謝して生きるようにしましょう。


冷えは万病のもと。からだを温める工夫をして


 昔から、「冷えは万病のもと」と言われます。現代は、自然とかけ離れた生活をおくっている影響で、おとなだけではなく、子どもたちの体温まで低下しています。
 冷えがさまざまな病気につながる理由は、血流の低下を引きおこすからです。これには自律神経が関係しています。からだが冷えると、交感神経の働きにより血管が収縮し、全身の血流を悪くするのです。血流が低下すると、細胞には酸素や栄養分が行き渡らなくなります。不要になった老廃物や二酸化炭素の回収も遅くなります。
 細胞の機能を維持する新陳代謝は、体温が1度下がるたびに2割ほど減るとされています。交感神経の充進は活性酸素を増加させます。さまざまな生命活動を支えている酵素を適切に働かせるためにも、適切な体温(36度台後半)が必要です。体温が低下するとともに、免疫力も低下します。冷えはあらゆる病気をつくるもとになっているのです。
 ではなぜ、現代人の体温が下がっているのでしょうか。
 具体的な理由として、不規則な生活、ストレス、睡眠時間の減少、冷房、からだを冷やす服装運動不足などがあげられます。さらに、食事も冷えに深く関係しています。
 冷たい食べものや飲みものがからだを冷やすことは容易に想像できますよね。ほかにも、からだを冷やす食べものである砂糖や精製食品の摂取が増えるいっぽうで、からだを温める食べものである塩は摂取を控えられ、根菜類もあまり食べなくなってきています。
 ファストフード、レトルトや冷凍食品、缶詰なども、からだを冷やす食品です。食品添加物をはじめとした化学物質の解毒や排出に、たくさんのエネルギーを消費してしまうのです。食べすぎもよくありません。消化・吸収にエネルギーが使われ、消化管に血流が集中することにより、全身の冷えを招くからです。
 まずは、冷える原因になっている生活や食事を見なおし、自然に沿ったものに戻しましょう。
 冷房の使いすぎに注意し、夏でもからだを冷やさない服装を心がけます。足首や首など、冷えやすい部分を保護するだけでも効果があります。入浴は、シャワーではなく湯船につかりましょう。
 ストレスの少ない生活を心がけ、リラックスして、十分な休養をとりましょう。とくに日々の「笑い」は、からだを温めることにも効果があります。
 こんにやく湿布やしょうが湿布など、からだの外から温める工夫も効果的です。びわの葉温灸、湯たんぽ、爪もみ、腸もみ、5本指靴下などもおすすめです。また、漢方薬、ツボ押し、鍼灸、ヨガ、アロマテラピー、フラワーエッセンス、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、整体、気功など、冷えに効果のある代替療法も有効です。


制限すべきなのは精製塩であり、塩分ではない


 海水には、100~200種類ものミネラルが含まれています。ミネラルは単独で考えるよりも、ほかとのバランスが重要です。たとえば血圧を正常値に保つには、ナトリウムとカリウム、カルシウムとマグネシウムのバランスなど、いくつものミネラルの比率を保つ必要があります。
 海水からつくられた天然塩は、さまざまなミネラルがバランスよく含まれています。海水からあらゆるミネラルをとり除き、塩化ナトリウムという1種類の物質(純度99%以上)にしたものが精製塩です。これは、砂糖と同じように高純度の化学合成物質であり、食品というよりは薬品と言ってもいいものです。「一物全体食」の原則から見ても、不自然で健康によくないものになります。
 厚生労働省や医師は、塩分を厳しく制限するように指導しています(1日10g未満)。その基準にあてはめ、味けのない食事を我慢しながら食べているという人も少なくありません。制限すべきなのは精製塩であり、塩分ではありません。現代人はむしろ塩の摂取が足りない状況にあります。砂糖は嗜好品であり、とらなくてもなんの問題もありませんが、塩分は生命活動にとってなくてはならないもの。精製塩ではなく、天然塩を使うようにしましょう。


できるだけ控えたい肉食


 これまで、肉・牛乳(乳製品)・卵は、栄養価の高い食品と考えられてきました。これらの食品はスタミナをつけ、欧米人のような頑強な体をつくると言われ、積極的に摂るように勧められてきました。肉・牛乳・卵は、まさに「欧米型食事」を形成する中心的な食品です。

 必須アミノ酸を含む食品は、私たちの健康維持のためには不可欠です。そして肉や牛乳・卵などの動物性食品には、この必須アミノ酸が豊富に含まれ、理想的なタンパク源となっています。従来の栄養学では「完全タンパク質食品」と呼ばれ、重要視されてきました。
  しかし科学の最前線にある生化学栄養学・現代栄養学は、これまでの常識を覆し、動物性食品の摂り過ぎによる、さまざまな弊害を明らかにしています。「タンパク質の過剰摂取の害」を、科学的に明確にしています。


動物性タンパク質の過剰摂取


 穀類・豆など植物性のタンパク質を含む食品には、食物繊維や炭水化物なども多く含まれています。そのためたくさん摂っても、タンパク質の過剰になるほど食べ過ぎるようなことはありません。一方、肉類などの動物性食品を多食すれば、簡単にタンパク質の過剰摂取を招いてしまいます。


 現代栄養学では、タンパク質の必要量の目安を、大人では体重1kgにつき、1日に0.8~1gとしています。つまり体重60kgの人では、48~60gが適量ということになります。現在アメリカ人のタンパク質の平均摂取量は約90gですから、およそ体重90~110kgの人の必要量に相当する量を摂っていることになります。これでは、いくら体の大きいアメリカ人であっても過剰摂取と言えます。

 ところが1988年度の厚生省(当時)の調査では、日本人の大人のタンパク質の摂取量は、およそ80gにものぼっています。アメリカ人の体格に比べ圧倒的に小さな日本人が、ほぼアメリカ人並にタンパク質を摂っているのです。必要量の2倍近く摂っていることになります。アメリカ人でさえも摂り過ぎなのに、最近の日本人は、それ以上に過剰摂取に陥っているということです。(※タンパク質の摂取源から見たとき、アメリカ人に比べ日本人は植物性食品からの摂取が多いのですが、現在では半分以上を動物性食品から摂っています。)


空気の影響


 人間が生きるうえで、空気は、食べものや水よりずっと重要です。食べものを食べなくても、水分をとっていれば25日間くらい、水分がなくても5日くらいは生きていられます。 しかし、空気がなければ5分ほどで死んでしまいます。また、1日に摂取する量を比較すると、成人では単純計算で食物が約2Kg、水が約2㎏、空気が約18㎏にもなり、空気が全体の80%を占めることになります。さらに、体重あたりの呼吸量は、子どもはおとなの2倍近くになり、空気の影響は子どものほうが大きくなります。
 それでは、空気の問題を見ていきましょう。まず、屋外の空気について問題なのは「大気汚染」です。具体的には、フロンガス(オゾン層の破壊)、炭化水素(工場、排気ガス)、窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)、粒子状物質(煤塵、粉塵、ディーゼル黒煙、PM2・5)、放射能などの問題があります。
  二酸化炭素については、これらと並んで地球温暖化の原因と強調され、問題視されていますが、実際はそうではなく、地球の温暖化によっておこった結果であると考えられます。大気汚染は社会全体の問題であり、ひとつでも改善していく努力をしていくしかありません。
  屋内の空気について、最近では、家の建材などに含まれる有害化学物質による健康障害「シックハウス症候群」が問題になっています。症状として多いのは、めまい、吐き気、目・鼻・のどの痛みなどです。原因物質として、ホルムアルデヒド(発がん、アレルギー性疾患、神経作用)、トルエンーキシレン(嘔吐、倦怠感、神経作用)、コンクリート(精神作用、頭痛、アレルギー性疾患)、ナフタリン(発がん、花粉症)など、さまざまなものがあります。現代建築は、コンクリート、サッシ、断熱材、ビニールクロスなどのおかげて、気密性が高く、高濃度の汚染物質が屋内にとどまる傾向が高くなっています。
 対策としては、こまめに換気し、揮発性の化学物質を除去しましょう。日に何度か、窓の2か所を5『5分くらい開けておきます。新築では、匹一時間換気が義務づけられています。空気清浄機や加湿器が有効なこともあります。
 日本の気候は、夏は高温多湿で、冬は低温低湿になります。ですから、東北や北海道などの冬の寒さがきびしい地方を除き、本来は、土、木、紙、畳などを使った木造建築の住宅が合っています。通気性にすぐれ、自然にすきま風が入るからです。できるだけ建材は天然素材を選び、さらに防虫剤、防カビ剤、防湿剤など、あらゆる化学物質の使用を避けるようにしましょう。


水はミネラルたっぷりの天然のものを


 人間にとって、空気の次に大事なものは水です。水が重要な理由は、体内の水分量にあります。
 人の体重に占める水分の割合は、新生児は77%、幼児は70%、成人は60%、高齢者は53%ほどになりますが、いずれにしても、水は体内でもっとも多い物質になります。
 本来なら、健康にとっていちばんいいのは、井戸水や山からのわき水のような、生命力にあふれた天然の水です。天然の水には、適度なミネラルが含まれ、アルカリ性や酸性に偏っておらず、酸素や二酸化炭素も豊富に含まれます。
 最近では、天然の水であっても、酸性雨や残留肥料や農薬、さらには放射能までも気にしなければならなくなりました。家庭で天然の水を使っている場合でも、心配な人は、一度はこれらの検査を受けておくことをおすすめします。今の私たちの健康のためだけではなく、未来の子孫たちや地球の生態系のためにも、環境の破壊は一刻も早くなくしていく必要があります。
 ただし、都会では天然の水を手に入れるのが困難ですので、市販のミネラルウォーターか水道水を利用することになります。しかし、ミネラルウォーターの多くは煮沸消毒されており、生水としての効用はありません。また、ペットボトルの水には防腐剤が使われており、お金もかかるので、あまりおすすめできません。水道水を利用するのが現実的ですが、高濃度の塩素や古い水道管由来の有害物質が含まれますので、浄水器を併用したほうがいいでしょう。数千円のものから数十万円するものまでいろいろな種類がありますが、最低限、塩素を除くことができる浄水器を、台所だけでなく、浴室のシャワーヘッドにもとりつけましょう。放射能の除去には、逆浸透膜型の浄水器がいいのですが、高額なうえ、同時にあらゆるミネラルまでも除かれてしまう可能性があります。ミネラルをまったく含まない純水も、からだにいいとは言えません。
 ちなみに、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量が少ない水を「軟水」、多い水を「硬水」と言います。日本の天然水の多くは軟水であり、日本人のからだに負担をかけないのは軟水になります。水にかわる飲料として、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどがありますが、それらはカフェイン入りのため、とくに子どもに与えるのは好ましくありません。おとなでも、午前中にとるなどの工夫をしましょう。カフェインの入っていない番茶やほうじ茶、玄米茶、麦茶ならいいでしょう。ジュースなどの清涼飲料水は、砂糖が大量に含まれていますし、人工甘味料はさらにからだによくありませんから、これらは控えるようにしましょう。
 摂取する水分量に決まりはありませんが、50Kgの成人で1日1・5~2リットルくらいの量が理想です。とくに高齢者は水分が不足しがちですので、朝1杯の水分からはじめて、こまめに何回も水分をとるようにしてください。