今回、「慢性頭痛治療のてびき」の書き換え作業が終了しました。
終了するに当たって、一言申し上げたいことがあります。それは、作成するための考え方を述べることです。
「慢性頭痛治療のてびき」とありますように、”脳のなかに異常のない頭痛”は、頭痛の専門家が金科玉条のものとされる「国際頭痛分類 第3版β版」では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛の4つに分類されています。そして、このような脳のなかに異常のない慢性頭痛の原因は、現在では、すべて一切、原因不明であると考えられています。
このような原因が一切不明とされる”脳のなかに異常のない”慢性頭痛をどのように考えるのか、という”考え方”を述べたものです。
このように原因不明とされる”病”の代表は難病とされている疾病です。例えば、慢性疲労症候群、線維筋痛症等々です。もっと卑近なものでは、生活習慣病、ガン、認知症(アルツハイマー病)、があります。また、原因は分かっていながら、治療法のないベンゾジアゼピンからの離脱方法などもあるかもしれません。
こうした、現代に於いて原因不明とされる疾病に対して、どのように対処すべきかについて述べたものです。
このような基本的な考え方・対処の仕方について述べたものです。
ですから、原因が一切不明とされる”脳のなかに異常のない”慢性頭痛だけに限った考え方ではないことをお断りしておきます。
「体調不良」・・「健康」でも「病気」でもない・・「未病」
私達は、仕事が忙しかったり、ストレスが重なりますと日常的に「体調不良」を感じます。このような「体調不良」は、具体的には、疲れやすい、胃腸の調子がよくない、身体が冷える、身体がだるい、疲れがとれない、よくめまいを起こす、肩こりが酷い、食欲がない、よく眠れない、頭が重い・頭が痛い、足がつる、耳鳴りがする、夢をよくみる、喉のつかえ、むくみやすい、風邪をひきやすい、顔色が悪い、気分が落ち込む・優れない、活力がでない、元気がでない、何となく調子が悪い、寝起きが悪い、等々の訴えです。
このように頭痛とは、「体調不良」のなかの訴えの一つに過ぎないものです。
ということは、そんなに大層な訴えではなく、ありきたりな訴えなのです。
「体調不良」とは、病気とは診断されませんが、健康でもない、謂わば、“半健康・半病気”の状態に身体はあるのです。半健康・半病気の状態を、東洋医学では病気になる一歩手前だとして、「未病(みびょう)」と言っています。
絶対的な健康ではなく、私たちの身体のバランスがどこか歪んでいるのです。
これは「ホメオスターシスの乱れ(自然治癒力の低下)」を意味しています。
西洋医学・・・健康 → 病気
東洋医学・・・健康 → 未病 → 病気
このような”未病”とされる病態は、本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから「病気」へと進展するものと東洋医学では考えられています。
このように考えれば、”未病”の段階にある、このような「体調不良」の状態とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があるということです。
先程の脳のなかに異常のない頭痛をこれに置き換えて考えますと、緊張型頭痛・片頭痛・三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛が含まれます)・その他の一次性頭痛は、頭部のCT・MRIなどの画像検査では何も異常が見当たらず、これはまさに、典型的な”未病”と考えるべき頭痛です。
ということは、”脳のなかに異常のない”「慢性頭痛(一次性頭痛)」は、東洋医学でいう”未病”の段階にあり、すなわち健康と病気の中間に位置しており、この”未病”は本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから諸々の「病気」としての「生活習慣病」・「がん」・「認知症」へと進展するものです。
ということは、慢性頭痛とは”未病”の段階にあり、「健康的な生活」を送ることを阻害する生活習慣に根本的な原因があります。途中の段階で出現する症状ということになります。それも、段階的に、・・
すなわち、「ホメオスターシスの乱れ(自然治癒力の低下)」の程度によって慢性頭痛のなかの”各種の頭痛”、緊張型頭痛・その他の一次性頭痛”が出現し、さらに様々な生活習慣の問題点が加わることによって、”片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)”へと、さらに、難治性の頭痛にまで進展していくことになります。
結局、脳のなかに異常のない頭痛(このなかに片頭痛も含まれますが)、こうした頭痛がするということは、私達が「不健康的な生活」を送っているという警告信号として、頭痛(症状)を発して、私達に知らせてくれます。謂わば、イエローカードなのです。
ということは、慢性頭痛(片頭痛も含め)は”病気”ではなく、警告症状(イエローカード)なのです。病気ではありません。
「健康的な生活を送る」ためには、ミトコンドリア・腸内環境・生理活性物質が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。このなかでもミトコンドリアはその”要(かなめ)”となっています。
西洋医学では、ただ「健康」か「病気」だけしかない
現在日本で行われている医学は、アメリカ流の西洋医学が基本になっています。
西洋医学では、東洋医学での”未病”という領域はなく、ただ「健康」か「病気」だけしかありません。
1980年代に、トリプタン製剤が開発されました。
トリプタン製剤を治療薬として実用化するためには臨床治験が必要とされました。
当時のトリプタン製薬メーカーとその御用学者は、トリプタン製剤の臨床治験を行う際に、治験対象とされる”患者群”を決めておく必要がありました。効きもしない患者さんに投与して試験を行っても意味がないからです。このため、トリプタン製剤を意識的に評価する目的で”トリプタンが確実に効く片頭痛の患者さんを”症状”の上で決め、治験のための”一定の基準”を作成しました。
このような、トリプタン治験用の患者選択基準を基にして、さらに緊張型頭痛の診断基準を追加して、国際頭痛学会が作成したものが「国際頭痛分類 第2版」に相当します。
本来、「病気」でもない片頭痛を診断させる目的で、「国際頭痛分類 第2版」では片頭痛を”症状”の上で厳格に定義することにより、医師に対して、片頭痛を見逃さないように正確に診断させて、トリプタン製剤を処方させる目的で作成されたものです。
結局のところ、西洋医学では、未病という領域がないため、「国際頭痛分類 第2版」であくまでも”症状”だけで便宜的に定義・分類したものです。それも診断の目的であり、片頭痛と診断すればトリプタン製剤を処方しましよう、ということで、片頭痛という激痛を抑制させることのみを目的にし、根治を目的としたものではありません。
ここに、専門家との考え方の根本的な相違点が存在します。ですから、専門家には、自然治癒力とか、ホメオスターシスとか、ミトコンドリアという概念そのものは存在しません。この違いを明確に理解しておく必要があります。
このように、鎮痛だけの頭痛学か、根治をめざす頭痛学なのかの差異があります。
このため、片頭痛根治をめざすのであれば・・
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12707523368.html をご覧下さい。
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