3分読書、読んで頂き、ありがとうございます。

これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。

都市伝説探偵シリーズ↓

消えたペットを探して 

消えた建築家の邸宅 

終わらない夜の物語 

記憶を食べるカフェ 

時間を売る店 

愛するペットへの天空の手紙 

忘却のカフェ 

百年目の訪問者 

忘れられた地下道の住人

午前三時の子守歌

影を失った男

迷子の時間を探す時計屋

星空の下で

運命のベンチ

毒ガスの森

消えたマンションの住人

消えゆく電車の謎

消えた学校の秘密

山奥の足跡

閉ざされたゲート

爆 笑爆笑爆笑


ある静かな町で、次々と奇妙な都市伝説が生まれるようになった。その噂は瞬く間に広がり、町中を恐怖と不安に包んでいた。ある日、古い教会の鐘が真夜中に突然鳴り響くという噂が立った。鐘が鳴ると、不吉な出来事が起こるとされ、人々は夜遅くまで外出を控えるようになった。


さらに、町外れの森には、夜になると赤い目をした狼が現れ、森の中で迷子になった人々を追いかけるという話も広まっていた。この狼に出会った者は二度と戻ってこないと言われ、森への立ち入りを恐れるようになった。


そして、最も恐ろしい噂が広がった。それは、黒い衣装をまとった謎の案内人が現れ、特定の場所や物を示すことで新たな都市伝説を生み出すというものだった。この案内人が関与する都市伝説は、必ず、現実となり、町の人々を恐怖に陥れるという。


この不可解な現象に興味を抱いたのは、都市伝説探偵として知られる人物だった。彼は数々の怪奇事件を解決してきたが、今回の事件は今までにないほど奇妙で複雑だった。探偵は町の状況を把握し、この謎を解明するための調査を開始することに決めた。


探偵はまず、町の住民たちから話を聞くことにした。彼らは口々に黒衣の案内人の話を語り、その存在に恐怖を感じている様子だった。「あの案内人が現れると、新たな都市伝説が必ず生まれるんです。私たちは一体どうすればいいんでしょうか…」と、住民たちは不安げに語った。




探偵は住民たちの話を聞きながら、同時多発的に発生した都市伝説の背後に、この黒衣の案内人が関わっていることを確信した。


調査を進めるうちに、探偵はある手がかりを掴んだ。案内人は毎夜、町外れの古い教会に現れ、そこから町中に広がる都市伝説を生み出しているらしい。探偵はその教会に向かい、案内人の正体と目的を突き止めるべく、待ち伏せをすることに決めた。


夜が更け、月が高く昇ると、探偵は古い教会の影に身を潜めた。風が冷たく吹きつける中、彼は静かに待ち続けた。やがて、教会の鐘が真夜中を告げると共に、黒い衣装をまとった人物が現れた。彼はゆっくりと教会の扉を開け、中に入っていった。


探偵はその後を追い、教会の内部に足を踏み入れた。教会の中は薄暗く、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。探偵は慎重に足を進め、案内人の行動を見守った。案内人は祭壇の前に立ち、何かを呟き始めた。


「これは一体…」探偵はその呟きに耳を傾けながら、案内人の意図を探ろうとした。その時、案内人が振り返り、探偵に向かって冷たい笑みを浮かべた。


「君がここに来るのを待っていたよ、探偵。」案内人の声は低く、どこか冷たい響きがあった。探偵は一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻し、案内人に問いかけた。


「君は一体何者なんだ?なぜこんなことをするんだ?」


案内人は微笑みながら答えた。「私はただ、人々の恐怖を具現化しているだけさ。都市伝説は人々の心の中から生まれるもの。私はその手助けをしているに過ぎない。」


探偵はその言葉に疑問を抱きながらも、さらに追及した。「君の目的は何だ?なぜこんな恐怖を広める必要があるんだ?」


しかし、案内人はただ微笑むだけで、具体的な答えを返さなかった。その時、探偵はこの案内人が単なる存在ではなく、人々の恐怖心を利用して都市伝説を生み出す力を持っていることを悟った。


探偵は案内人を追い詰めようとしたが、案内人は不気味な笑みを浮かべたまま、影の中に消えてしまった。探偵はその場に立ち尽くし、案内人の目的と正体を解き明かすために、更なる調査を続ける決意を新たにした。


黒衣の案内人との初めての対峙から数日が経過した。探偵はこの謎の人物の正体と目的を突き止めるため、さらなる調査を開始した。彼は町中を巡り、案内人が関与したとされる都市伝説の現場を訪れることにした。


まず、探偵は教会の鐘が鳴るという噂の現場に向かった。鐘楼に上り、鐘の状態を確認する中で、探偵は不自然な跡を見つけた。それは何か鋭利なもので刻まれたような痕跡だった。彼はその跡を慎重に調べ、黒衣の案内人がこの鐘に何らかの細工を施したのではないかと考えた。


次に、探偵は町外れの森に足を運び、赤い目の狼が出現するとされる場所を訪れた。森は昼間でも薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。探偵は地面の足跡や木々の間に隠された痕跡を注意深く観察した。そこで見つけたのは、動物の毛や奇妙な液体の痕跡だった。これらは恐らく案内人が使ったものだと考え、彼はそれらを証拠として持ち帰ることにした。


探偵は次に、案内人が現れるという他の場所にも足を運んだ。町の広場や古い墓地など、噂の立つ場所を一つ一つ確認し、そこに残された痕跡を集めていった。彼はこれらの情報を元に、案内人の行動パターンを分析し、その出現時間や場所を特定しようとした。


調査を進めるうちに、探偵は案内人が特定のパターンで行動していることに気づいた。彼は毎夜、同じ時間帯に町中を巡り、新たな都市伝説を生み出す手助けをしているようだった。探偵はこの情報を元に、案内人を再び追跡する計画を立てた。


ある晩、探偵は再び教会の鐘楼に身を潜め、案内人の出現を待った。夜が更けると共に、月の光が教会の鐘楼を照らし出し、風が静かに吹き始めた。しばらくすると、遠くから黒い影が教会に向かって近づいてくるのが見えた。探偵は息を潜め、その動きを見守った。


案内人が教会に到着し、再び鐘楼に登り始めた。探偵はその後を静かに追い、鐘楼の中で案内人が何をしているのかを確認した。案内人は小さな袋から粉を取り出し、それを鐘に振りかけ始めた。その粉が鐘に触れると、不思議な光が一瞬だけ輝いた。


「これは一体…」探偵はその光景に驚きながらも、さらに近づき、案内人の行動を観察した。案内人は粉を使って鐘に細工を施し、その後、何かを呟きながら儀式を行っているようだった。


探偵は案内人に問いかける決意を固め、声をかけた。「君が一体何をしているのか、全てを教えてもらおうか。」




案内人は驚くことなく振り返り、冷たい笑みを浮かべた。「探偵、君が再び現れるとは思っていたよ。しかし、私の目的は君が理解するには難しいかもしれない。」


「なぜ人々を恐怖に陥れるようなことをするんだ?」探偵はその言葉に苛立ちを感じながらも、冷静に問いかけた。


案内人は少しの沈黙の後、静かに語り始めた。「恐怖は人々の心に深く刻まれる感情だ。それを利用することで、私は新たな都市伝説を生み出し、人々に影響を与えている。しかし、その目的については君にはまだ話すことはできない。」


探偵は案内人の言葉に疑念を抱きながらも、さらに質問を続けた。「君の本当の目的は何だ?なぜこんなことをする必要があるんだ?」


案内人は再び微笑み、探偵の問いに答えなかった。「君が知るべきことは、私はただ人々の恐怖を具現化しているに過ぎないということだ。私の目的はまだ君には明かせない。」


その瞬間、案内人は鐘楼の窓から外を見つめた。探偵はその隙を突いて案内人に近づこうとしたが、案内人は影のように素早く動き、鐘楼の外へと消えてしまった。


探偵はその場に立ち尽くし、案内人の言葉と行動を思い返しながら、更なる調査を続ける決意を新たにした。案内人の目的を解き明かすには、まだ多くの謎が残されている。しかし、探偵はその謎に立ち向かう覚悟を持っていた。


探偵は案内人が消えた鐘楼で、彼の残した痕跡を調べることにした。案内人が使用していた粉と、その粉が発光する現象に興味を持ち、試料を採取して分析するために持ち帰った。また、案内人が呟いていた言葉も記憶に留め、後でその意味を解明しようと考えた。


翌日、探偵は町の図書館で案内人が呟いた言葉について調べ始めた。古い文献や魔術書を紐解く中で、彼はその言葉が古代の儀式に関連するものであることを突き止めた。それは、人々の恐怖心を増幅させ、それをエネルギー源として都市伝説を具現化するというものであった。


「これで全てのピースが揃った…」探偵は呟きながら、案内人が行っている儀式の目的が何であるかを理解した。案内人は恐怖を利用して、人々の心に深く刻まれた都市伝説を現実のものとし、その影響力を増幅させていたのだ。


探偵はこの知識を元に、町の人々に案内人の脅威を知らせるべく行動を起こした。彼は町の広場で集会を開き、住民たちに案内人の計画とその危険性を説明した。住民たちは最初は戸惑いと不安を抱いていたが、探偵の熱意と論理的な説明に耳を傾け、共に対策を考え始めた。


「私たちは恐怖に打ち勝たなければならない。案内人の思惑に乗らず、冷静に対処することが大切です。」探偵はそう語り、住民たちに協力を呼びかけた。彼らは一致団結し、夜間の見張りを強化し、町中に防犯カメラを設置することを決めた。


数日後、探偵は再び鐘楼に向かった。彼は住民たちの協力を得て、案内人の出現を待ち伏せする準備を整えていた。夜が更けると共に、住民たちは周囲の見張りを強化し、探偵は鐘楼の中で案内人を待ち構えた。


やがて、案内人が再び現れ、鐘楼に登り始めた。探偵はその動きを見逃さず、案内人に近づいた。今回は住民たちも加勢し、案内人を取り囲むように配置された。


「これ以上、町の人々を恐怖に陥れることは許さない。」探偵は強い決意を持って案内人に言い放った。案内人は冷静な笑みを浮かべたまま、探偵に応じた。「君たちの結束が強くなったことは認めよう。しかし、私の目的はまだ果たされていない。」


その瞬間、案内人は手に持っていた粉を再び鐘に振りかけた。鐘が不気味に光り始め、探偵はその異常な現象を止めるために動き出した。彼は住民たちに指示を出し、案内人を拘束しようと試みたが、案内人は不思議な力で逃げようとした。


住民たちが協力して案内人を取り囲む中、探偵は鐘に向かって駆け寄り、粉の残りを取り除こうとした。しかし、鐘の光は次第に強くなり、異様な力が辺りを包み始めた。


「これ以上はさせない!」探偵は決意を固め、最後の手段として鐘を破壊することにした。彼は近くにあった重い鉄製の棒を手に取り、全力で鐘を叩いた。鐘は響き渡り、やがて割れ、粉の力は消滅した。


案内人はその光景を見て冷たい笑みを浮かべたが、住民たちに取り囲まれ、逃げ場を失った。「君たちの結束がこれほど強いとは思わなかった。だが、私はまた現れるだろう。」


その言葉を残し、案内人は再び影の中に消え去った。探偵と住民たちは安堵の息をつき、町に戻った。




探偵は書斎に戻り、消えゆく文字のタイプライターの前に座った。彼は事件の報告書を作成するためにタイプライターを叩き始めた。


「黒衣の案内人との対峙は、町に新たな結束をもたらした。彼の目的はまだ完全には解明されていないが、町の人々は恐怖に打ち勝つ力を持っていることを示した。」


探偵は報告書を書き進めたが、ふと手を止めた。この事件は特別なものであり、単なる報告書に留めるべきではないと感じた。彼は深呼吸し、タイプライターに打ち込んだ紙を見つめた。


突然、その紙が青い炎に包まれ、燃え始めた。探偵は驚きつつも、その炎が全てを焼き尽くすのを見守った。紙が完全に燃え尽きた後、探偵は静かに呟いた。「この物語は、まだ終わっていない。」


探偵は次なる挑戦に向けて立ち上がり、新たな冒険に胸を躍らせた。都市にはまだ多くの謎が待ち受けているが、今日のような事件を解決することで、彼の探偵人生に新たな意義が与えられるのだ。


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