オームの法則
これだけ有名な法則だからyoutube動画もたくさん上がってるんだろうなぁてへへって検索して唖然とした。どうなってんだこれ!!真っ当な動画は計算方法か中学生向け程度の雰囲気説明がデフォ後は細かいところを説明していると捉えたら…もはやトンデモだよこんなの。あのさぁ。なんなん。エネルギーとか言っちゃう人たち。さらにそれを経営が云々とか言っちゃう人とかさぁ。ちょっとそんなんトップで紹介するyoutubeさんもいかがかと思うけど、とりあえず、動画で勉強できる世の中なんて期待したのが馬鹿だった。いやまあ、ね、たとえばLearnengineering とかいう質の高い入り口動画を提供しているところもあるから、そこは是非とも使って欲しいんだけど。なんだよ。オームの法則の解説動画を作ることはままならんですが、説明をさせていただきたい。そんなことしたところで意味があるかはわからないけど。**********************オームの法則がV=RIであってVが電圧、Rが抵抗、Iが電流というのはどの動画でも言及されているし、まあそこまではいいでしょう。大事なのはそれぞれが何者か、という理解のこと。つまるところ、オームの法則を扱う前提レベルまでの知識がボロボロなわけですよ。ただ、それを電磁場の理論から説明しだすと難易度が半端ないというか、この程度のラフなyoutube動画に見合いはしないので、そんな空気の読めないことはしませんけど。だとして、この法則、使う上ではRが大事だけど、理解する上ではRはとりあえずはどーでもいい。電気の理論のなかで意味があるのはVとIのほう。電圧(V)というのは電場という、電気のエネルギーを収納しているものとでもここでは思っていただきましょう(本当はもっと注意を払わないと危険なんだけど。注1)、その電場の特徴を引っ張ってきた数字です。一方で、電流(I)というのは、電気を帯びた物質(電子)の移動の様子を表しているものと思ってください。物理の世界では、電気を帯びた物質が、電場という目に見えないものとの間でエネルギーをやりとりしている(注2)と考えて、その結果として電気の力をみてとれる、というような考え方をします。(もちろんラフに言えば。)しかし、いずれにしても、Vという「電場の特徴」Iという「物質の動き」というものであって、この2つは本当は互いに関係ありません。全くないです。電気の世界では(Vの世界だけの法則やIの世界だけの法則(キルヒホッフ第一、第二の法則)こそ満たしますが)、VとIを跨ぐような法則は本来ありません。しかし、電気が流れる物質に電気を流した時、つまり、電子が、金属や黒鉛、その他いろいろな物質の中を移動するような状況を考えると、いろいろな邪魔をされます。その邪魔を打ち勝って電気を流し続けるには、電場からエネルギーを多かれ少なかれもらうことになるのです。このとき「Iという大きさの電流をながすために必要なV(注3)がいくつになりますか?」という問題が考えうるわけです。それについての答えが「オームの法則」で、多くの状況においてRが1つの値に定まりますが、うまくオームの法則が成り立たない場合もあり、電気の世界としては本質的ではない(注4)です。まとめ:・電気の世界で大事なのは電圧Vと電流I・物質の中で電気が移動するときには電場からエネルギーをもらう必要・そのもらうエネルギーと関係した法則がオームの法則・オームの法則は成り立たないこともあり、電気の世界では本質的ではない注1電圧という用語と電位という用語が混同および乱用される傾向がある。電圧というのは、特定の場所の電位(差)を保持しようとする性質がある時の、その電位を指定する量です。注2エネルギーをやりとりするという話ではワットの法則というのがありますが、こちらは今度、その物質が電場との間でどれだけエネルギーをやりとりするのかを示す法則になります。ただし、これについては「法則」というより、それによって「電圧」を特徴付けているような面もあります。注3より正確にいうと、抵抗となる物質に電流を取り込んだり、吐き出したりする端があると考え、その両端の間での電位差です。注4本質的ではないが、文脈において非常に重要なものでもある。実際、回路を設計するときには非常に重要であるほか、電場に対して物質がどのような応答をするかという、物質の性質を調べる際に非常に重要な数字の1つでもあります。