銀行キャッシュカードさえ持っていればデビットカードは持っていることになることを知っている人はどれくらいいるのか?

日本で「デビットカード」というとこれまではJデビットなるもので、これに加盟した店舗での支払いはキャッシュカードを提示すればいい。したがって、キャッシュカードさえあればデビットカードを持っていることになる。


家計管理を銀行口座に委ねられるので、大きなメリットがある。私のような性格の人間の場合、一元的に管理できて、webで完結するのは非常にありがたい。

キャッシュレス決済=クレジットカード
という構図が長年あるが、デビットカードは決済の瞬間に口座から引き落とされるキャッシュレス決済の方法で信用がなくても作ることができるし、年齢制限も16歳からとなっている。

即時決済である点は取りっぱぐれが無いわけで、決済業者が取りっぱぐれを恐れて高く手数料を設定する必要もないわけで、手数料を減らせるとなれば、店舗側の負担も少なく、Jデビットは手数料が1パーセントよりも小さい程度なのだという。

クレジットカード払いをやると店舗側に相当嫌がられているように感じる場面が多々ある。実際、クレジットのポイント還元があっても、店舗のサービスのポイント還元率が下がる(ビックカメラは10%から8%に下がる)など、トータルで損をするような状況がある。しかし、デビットカードなら決済手数料が安いので、ポイント還元率を下げる必要もなくなる。

店舗としてみればクレジットカードをやめてデビットカードを推奨すれば手数料を減らせる。

銀行としてもメリットがある。キャッシュレス決済が普及すればATM管理コストを下げられる。

ほとんど誰にとってもメリットがあるカードだと思う。しかし、普及しない。あっても使われない。なぜ?

おそらく、メリットはあるが、際立たない点ではないか。

まず、利用者としては、家計を現金で管理できている人からすればわざわざ新しい方法を導入しなくても良い。クレジットカードみたくポイントがつけばともかく、つかないのだから、メリットがない。そのうえ、使える店が現金の使える店より少ないのだからむしろデメリットさえ感じる。
今キャッシュレス化を進めている私だが、最大のネックはクレジットだろうがデビットだろうがプリペイドだろうが対応していない場面があまりにも多い。

次に店舗だが、店舗からすれば、手数料が低いといってもゼロではないし、誰も使わないので加盟してもしょうがない、という点か。仮に加盟してもキャッシュカードを出せばいいというのをあまり知らないのではないだろうか?私がある場面で「デビットカード使えますか?」「使えます」「このカードで」「キャッシュカードではダメです」とかいう謎やりとりがあったのを思い出す。当然手数料が安いカードなので各店舗レベルではポイント還元率高くできるし、そうすればキャッシュレスでも高いポイント還元率が高いということで使う人は一定数いるはずだが、知名度と利用者数が今ひとつ。

そして最後に銀行がさほど推奨していないらしい点。ATM利用手数料の収入が減ったり、これまで導入したATMへの投資の回収に支障をきたすリスクはあるといえばある。

VISAデビットやらJCBデビットやらが今更銀行から推されている感じがある。しかし足を引っ張りあって普及しなかったJデビット対応店舗を増やして、積極的に売り込めば、皆持ってるキャッシュカードでデビットカードとして使えるわけだから、本末転倒という感じさえある。

ブランドデビットも失敗する気がしている。というのも、ポイントがあまりつかないし、クレジットカードがあれば使う場面が正直ない。店舗レベルのポイント還元率がデビットカードのほうがいいですよというならともかく、そういうわけでもないし、クレジットカードが使える場所でしか使えない段階で使えないカードなので私は少なくとも2度と使わないだろう。

日本でこの類の失敗はよく聞く。そうこうしているうちに「途上国」に転落している。