予告通り喫茶趣味の第2回で実践編です。
実践編ということですが、緑茶も紅茶もやります。
緑茶も紅茶も今はティーバッグとリーフ(茶葉)のいずれを使うかという選択肢について。
ティーバッグのメリットは主には2つ。
1つはゴミ捨てが楽。
使用済みの茶葉を茶器から出して処理するのは結構な面倒なので、ティーバッグというのはそれを解消する最強ツールとして機能している。
もう1つは量を間違えない。
茶葉を使う場合、量を入れすぎても少なすぎても不味い。量を間違えたくないわけで、その場合、ティーバッグをつかうのは確実。
ではデメリットは?
ティーバッグのデメリットはもちろんあって、先の「量を間違えないメリット」だが、お湯の量ともセットの問題なので、お湯の量を柔軟に対応するには寧ろ不便。
また、茶葉を詰めたりバッグの分だけコストが多少かかっている割に、高い茶葉を使ったティーバッグがあまりないあたりもデメリットかもしれない。
お湯の温度はティーバッグかリーフかには寄らず、玉露という緑茶は40度、普通の煎茶は70度、紅茶は90度以上という感じである。抽出時間は茶葉に依存する。茶葉を買えば袋などに書いてあるのでそれを目安にすれば良い。
ここから裏話。
ティーバッグを作る側の発想としては
「茶葉の処理の手間を省きたい、時間的な余裕がない人」
がターゲットで、このような場合、ほぼ同時に
「別に高い茶葉である必要はなく、そこそこの味で楽しめれば良い」
ことと、さらに
「できれば抽出に時間をかけたくない」
という要請も強い。
抽出に時間をかけないようにするには、お湯と茶葉の接触面積が広いことが求められて、これを現実的に実現する方法は茶葉を砕く加工になる。
そのような加工は一見すると一手間あるのでコストを上げる感じがするかもしれないが、抽出時の味が悪化する。苦味、エグミといった部類の味が強くなってしまう。
ということを考えると一層、高くて不味いのか?と思うがそうではない。
最終的な答えをいうとそれらは量産によって解消する。あるいは、品質管理コストの低減といった方が正しいかもしれない。
つまるところ、求める味の要求水準を下げて、品質管理コストを下げられる。
これだけだと製品の味が不安定になる感じもあって、時に美味しく時に不味いものを飲まされるのかと思うがそうでもなくて、そこでブレンドが効いてくる。
1つの茶園の茶葉だけでなく、複数の茶葉を混合させることで調整して最大限に品質を安定化するようである。
ティーバッグに多い、安い茶葉はそのように抽出時間短縮の加工や品質安定のためのブレンドがなされていると見て間違いがない。
早く出るお茶は原価は本当に安い。50グラムで500円もしないし、一回多く使っても3グラムとかなのでざっと30円。
お湯やら洗浄やら諸々のコストを考えればケチれるとこはケチる必要があるのは間違いないが、チェーンの喫茶店でティーバッグの早く出る茶葉を使っているシーンは今の私からすると少し萎える。が、普通にある。というか、リーフで出す店はよほどの専門店という印象が強い。
ところでブレンドというポイントは紅茶の流通を複雑にしている。
茶葉の生産国は熱帯から温帯でも温暖な地域で、日本はかなり北のほうになる。
そのような生産国でブレンドはしない。
国を跨いで色々な茶葉からブレンドするもので、販売業者の母国でやるのが普通である。
その場合においてやはり、ブランドにあたるトワイニングやリプトンあたりが強いわけで、その母国はイギリスである。
とまあ、茶葉は一度イギリスに向かい、そこから各地に再輸出されることも少なくないわけだ。トワイニングの場合、ポーランドに工場があるようだが、いずれにせよ、お茶の輸出入は加工という段階がある。
イギリスの茶葉生産は私の知る限りない。
しかし、茶葉を輸出もしている、という皮肉な感じがある。