君の忠実なる友より / シャーロック・ホームズの世界【名言集】
ジョン・H・ワトスン医師レポートより;文学の知識:なし。哲学の知識:なし。天文学の知識:なし。政治学の知識:わずか。植物学の知識:多様。ベラドンナや阿片、毒薬に特に詳しい。園芸の知識はない。地質学の知識:限られているが実用的。化学の知識:造詣深い。解剖学の知識:正確であるが体系的ではない。通俗文学の知識:計り知れない。今世紀(19世紀)に起こったほとんどの凶悪事件の詳細を知る。(その他)ヴァイオリンの演奏:かなり上手い。イギリスの刑事法: 実用的な知識を持つ。格闘術 他:日本武術、フェンシング、ボクシングができる。拳銃や、ステッキ、乗馬鞭など武器を駆使して悪党を制圧する。・・・・・・以上が、コナン・ドイル執筆による記念すべき第1作『緋色の研究』序盤でのワトソン医師による彼の人物評です。「最も多く映画化された主人公」とギネスブックにも登録されている、彼の名は、世界の名探偵シャーロック・ホームズ!【ホームズが「住んでいた」ロンドンのベーカー街】/////////////天才的な観察眼と推理力を持ち、性格は極めて冷静沈着。行動力に富み、いざ事件となれば現場で地面を這ってでも事件解決への糸口をつかもうと血気盛んになる活動的な性格。ストラディヴァリ製のヴァイオリンを所有するほどのヴァイオリンの演奏家、ボクシングはプロ級、拳銃射撃も弾痕でアルファベットを描くほどの腕前。そんな彼を愛するマニアたち(「シャーロキアン」と呼ばれるそうです)が世界中にいるシャーロック・ホームズですが、それではクイズです。ホームズの出身大学は?「初歩的なことだよ、ワトソン君」"Elementary, my dear Watson."といわれそうですね。ちなみに、シャーロック・ホームズの代名詞となっているこのセリフはコナン・ドイルの書いた原作の小説(マニアたちはこれを「正典」または「聖典」と呼ぶそうです)ではなくアメリカの俳優ウィリアム・ジレット主演・脚本・演出の舞台劇の中でのセリフだそうです。今回は理屈抜きに「かっこいい」そして「使える (かもしれない)」シャーロック・ホームズの言葉をご紹介していきます。(日本語訳は出典元となったそれぞれのお話の新潮文庫版、延原謙 氏による訳によります)【スイスのマイトリンゲンにあるホームズ像】/////////////【天才による天才的な一言】"From a drop of water, a logician could infer the possibility of an Atlantic or a Niagara without having seen or heard of one or the other."「ただ一滴の水より論理家は大西洋またはナイヤガラ瀑布など、見たり聞いたりしたことがなくても存在の可能なことを、推定しうるであろう」(シャーロック・ホームズ/「緋色の研究」より)(注記) 原作の表記から一部セリフを省略しています天才が見ている世界はやはり、ミクロからマクロまでを融合させた広い視野というわけですね。"They say that genius is an infinite capacity for taking pains,""It’s a very bad definition, but it does apply to detective work."「天才とは苦痛を無限にしのぶ能力のあるものだというが、こいつはきわめて拙劣な定義だ。こいつはむしろ探偵に下すべき定義だよ」(緋色の研究)(注記) 原作の表記から一部セリフを省略しています謎に挑み、謎が解けるまでたった一つの真実を求めて、ひたすら行動し思考し続ける。それがホームズ流の天才探偵の定義。"I call it luck, but it would not have come my way had I not been looking out for it."「幸運にもとはいったが、さがしていたからこそ見つかったので、向こうから名のりをあげて転がりこんだわけではない」(ウィステリア荘)幸運とは実力とその行動で引き寄せるもの。それは天才的な価値観のようでこの世の中の真実・・・かもしれません。"At any rate, we may take it as a hypothesis and see what consequences it would entail."「とにかくこれを理論的に根拠のある仮説としてとりあげ、そこからどんな帰結が誘導されるか、検討を加えてみよう」(ウィステリア荘)この言葉にあるように、ホームズは推理の際によくアブダクション(個別の事象を最も適切に説明しうる仮説を導出する論理的推論)を使いました。徹底した現場観察によって得た手掛かりを、・過去の犯罪事例に関する膨大な知識・物的証拠に関する化学的知見・犯罪界の事情通から得た情報などと照らし合わせて分析し、しばしば消去法を用い、事件現場で何が起きたかを推測する。そして、"When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth."「不可能なものを除外していった時、どんなものが残っても、それがどれだけ信じられなくても、それが真実なんだ。(四つの署名)そう「真実は1つ」なのです。////////////【天才から見たら・・・】"Insensibly one begins to twist facts to suit theories, instead of theories to suit facts."「人は事実に合う理論的な説明を求めようとしないで、理論的な説明に合うように、事実のほうを知らず知らず曲げがちになる」(ボヘミアの醜聞)"I have no data yet.It is a capital mistake to theorize before one has data."「まだ材料が一つもない。資料もないのに、ああだこうだと理論的な説明をつけようとするのは、大きな間違いだよ」(ボヘミアの醜聞)"You see, but you do not observe.The distinction is clear."「君はただ眼で見るだけで、観察というものをしない。見るのと観察するのとでは大ちがいなんだぜ」(ボヘミアの醜聞)"The world is full of obvious things which nobody by any chance ever observes."「世の中には誰でもわかることで満ちているのに、誰も十分眼がとどかないだけのことさ」(バスカヴィル家の犬)"Not invisible but unnoticed, Watson.You did not know where to look, and so you missed all that was important."「わからないのは見えないのじゃなくて、不注意だからさ。見るべき場所を見ないから、それで大切なものをすべて見落とすのさ」(花婿失踪事件)"That head of yours should be for use as well as ornament."「その頭は飾りであるとともに、大いに活用するためのものなんですよ」(緋色の研究)これらのセリフの多くは、ホームズが相棒であるワトソンに向けて言ったものですが、それと同時に、物語の世界の中からホームズが私たちに向けて語りかけている言葉でもある・・・のかもしれませんね。「おっしゃる通り!!」だけど最後のセリフの前半部分は一言余計ですよね(笑)。【ベイカー街に立つホームズ像】////////////【天才による天才的な一言 その2】"I say now, as I said then, that a man should keep his little brain-attic stocked with all the furniture that he is likely to use, and the rest he can put away in the lumber-room of his library, where he can get it if he wants it."「あのときもいったとおり、人間の脳の物置は狭いのだから、使いそうな道具類だけちゃんとしまっておけばたくさんなのだ。ほかのものはみんな書斎のがらくた部屋に押しこんでおいて、必要のあるたびに出して見ればよい」(オレンジの種五つ)ホームズ流の整理術。確かにその通りかも♪"Violence does, in truth, recoil upon the violent, and the schemer falls into the pit which he digs for another."「暴力をふるう者には必ず暴力がはねかえってくる。ひとのために穴を掘る者は、必ず自分がその穴に落ちるのだ」(まだらの紐)「因果応報」そして「人を呪わば穴二つ」・・・ですね。"What one man can invent another can discover."「人間の発明したものなら、人間に解けないはずはありません」(踊る人形)そう言って決してあきらめることなく事件の謎に立ち向かうホームズ。そして立ち向かい続けられること,それこそが天才の証!!//////////【最後の挨拶】シャーロック・ホームズの天才的な言葉の世界。機会があればまたご紹介していきたいと思います。それではまた!!"Pray give my greetings to Mrs. Watson, and believe me to be, my dear fellow,"Very sincerely yours,SHERLOCK HOLMES「奥さまにどうぞよろしく。ではこれで」君の忠実なる友シャーロック・ホームズ(最後の事件)【ワトソン医師とホームズ】///////////【こちらの記事も是非どうぞ】人生と真理と名探偵 / アガサ・クリスティの世界【その他の名言記事へのアクセスは】ここからアクセス!/過去の名言集記事 (# 221~# 230)//////////ホームズの出身大学については、本編 (正典) の中に、はっきりした記述はありませんが・・・。「グロリア・スコット号事件」では登場人物の一人、トレヴァーを「カレッジで唯一の友人」と述べ、「マスグレーヴ家の儀式」では登場人物の一人、レジナルド・マスグレーヴを「学寮が同じでちょっとした知り合い」と述べています。この2人はそれぞれ、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学の出身であるため、ホームズの研究家、シャーロキアンたちは、このどちらか、あるいはその両方がホームズの出身校・・・と考えているそうです。本人は語らないのにその言葉からその身の上を推理していく。さすがシャーロキアンたちですね。だけどきっとホームズなら言うでしょう。"Elementary, my dear Watson."「初歩的なことだよ、ワトソン君」【ロンドン ベイカー街のシャーロック・ホームズ博物館】(謝辞)今回のホームズの言葉の多くはこちらのブログから引用させて頂きました。シャーロック・ホームズへの深い愛とその探求心に敬意を示しますと共に御礼を申し上げます。