「月に叢雲(むらくも)、花に風
とかくこの世はままならぬ」
満月の夜には雲が出て月を隠し、
桜の花が咲いたと思ったら
風が吹いて花を散らすもの。
世の中は思い通りにならないものだ・・・。
昔の人はそういい表しました。
人生、なかなか思い通りに
いかないものですよね。
そして、自然現象だけでなく、
人は誰でも自分自身のあり方、
自分の人生、
それすらもなかなか
満足したものにはできないもの
・・・かもしれませんね。
そんな
「自分の心の中にある理想との間に
生じる対立、葛藤、分裂」
それをフランスの
小説家、劇作家、哲学者である
アルベール・カミュは
「不条理」
と呼びました。
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アルベール・カミュ
(1913~1960)
・・・
ご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
小説、「異邦人」「ペスト」などの
ベストセラーで知られ、
1957年、43歳という
史上2番目の若さで
ノーベル文学賞を受賞した
彼の文学・思想は
病気、死、災禍、殺人、テロ、
戦争、全体主義など、
人間を襲う「不条理」との闘いを
テーマにしたものでした。
彼の思想の詳細、真意・神髄は
ここではご紹介しきれませんが、
彼は、
不条理は受け入れることが
できるものであるとも
主張したそうです。
彼が主張した、
不条理を受け入れて人が幸せになる方法、
・・・今はそれはさておき、
今回はアルベール・カミュの
現実という不条理な世界を
生き抜いていこうと示す言葉を
ご紹介していこうと思います。
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「意思もまた一つの孤独である」
(アルベール・カミュ)
人は誰でも一人で生まれてきて、
一人でこの世から去っていくもの。
だから
「孤独」は私たちが生きていく上で
受け入れていかなければならない
宿命の一つ・・・
と言えるのかもしれません。
それが宿命である以上、
私たちが生きていく上での
意思や決断もまた、
自分で決めて、
自分で責任を取って、
自分で背負っていかなければならず、
私たちは常に
一人で生きていく、
覚悟と強さを持たなければ
ならないもの。
だけど・・・。
「僕の後ろを歩かないでくれ。
僕は導かないかもしれない。
僕の前を歩かないでくれ。
僕はついていかないかもしれない。
ただ僕と一緒に歩いて、
友だちでいて欲しい」
人は孤独だとしても、
孤独という
冷たい宿命を知るからこそ、
だからこそ、
誰かと一緒に歩んでいくことのできる
温かさを、より感じることができる、
一緒にいてくれる相手に
感謝の気持ちを持つことができ、
自分の周りに
一緒に歩んでくれる人がいる。
それは当たり前のことではなく、
感謝すべきこと。
相手に多くを期待しない。
自分も相手に何もできないかもしれない。
それでも、
ただ一緒にいてくれるだけで
ありがたい。
そう思えるのかもしれませんね。
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「人間には
それぞれ運命があるとしても
人間を超越した運命
というものはない」
運命とは自分の意思を超越したもの
でしょうか?
この時代に生まれた、
この国に生まれた、
この親のものとに生まれた、
そして
この世にやってきた以上、
去って行かなければならない・・・。
確かに、
自分の意思ではどうしようもない
生まれた時点で背負ったものは、
変えようがないもの。
人はそれを
「宿命」
と呼ぶのかもしれません。
だけど、
生まれたあとに自分がたどっていく道。
これから自分が進んでいく道。
それは、
「変える」
という意思をもって、
行動していけば変えていけるもの。
そう、
「強い心、知性、勇気
があれば運命の力を阻み、
しばしばそれを
逆転することが可能である」
それは、
きっとあなたも心の中に
思い描くことができるであろう、
歴史上のたくさんの人たちが
証明して見せてくれていますよね。
「真実は光と同様に
目をくらます。
虚偽は反対に
美しいたそがれどきであって、
すべてのものを
たいしたものに見せる」
時に目をそらしたくなる
真実から目をそらすことなく、
美しく見えるかもしれない虚偽を
真実ではないと見抜く
その知性は、
「勇気に欠ける者は、
常にそれを正当化するための
理屈を見出す」
虚偽を受け入れるために使うのでも、
あきらめている自分を
正当化することに使うのでもなく、
「運命の力を阻み逆転していく」
それが可能と信じる強い心と、
そう決めて立ち向かう勇気
とともに、
自分の望む未来を
ここから作るために使っていくもの。
「人間が唯一偉大であるのは、
自分を超える者と闘うからである」
スズメは鷹に
勝負を挑もうとはしませんし、
ウサギも決してライオンに
戦いを挑みません。
だけど、人には
今ここにある「不条理」なもの、
受け入れがたい事実を
「変えていこう」と決める
強い心、
それは
本当に変えられるものなのかを
冷静に見抜き、
変えていくには
何をしたらいいのかを考える
知性、
そして
やると決めたことをやり抜く、
闘いを挑み成し遂げていく
勇気、
があるのです。
人は自らの力で
運命の力に立ち向かい、
変えていくことができるのです!!
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「人生それ自体に意味はない。
が、意味はないからこそ
生きるに値するのだ」
花を散らすあいにくの雨・・・。
世の中にそんなものは
ありません。
そこにある事実は、
花が咲いている日に
雨が降った。
それだけです。
それ自体に
それ以上の意味はない、
「雨が降る」
という一つの事実は、
人の心によって、
「残念なもの」
と意味づけをすることも、
「大地を潤すために
天から水が降ってきた」
と意味づけをすることも
どちらもできるもの。
全ては人の心次第です。
人生も同じようなものかもしれません。
人が生きていくこと、
それは、
その人の周りでただ淡々とした
「出来事が起こる」
その事実が繰り返されていくこと
といえるでしょうし、
毎日起こる
さまざまな出来事、
その一つ一つには
それ以上の意味はなく、
だとしたら、
人の人生それ自体は、
地球という大きなシステムから見たら
意味のないもの、
そんなものなのかもしれません。
だからこそ
私たちにとって大切なことは、
身の周りの出来事一つ一つや、
それらが繰り返されたという事実を
他の誰でもない、自分自身で
「すばらしいもの」
という意味づけをして
自分自身が納得できるものに
していくこと。
そうしていくために
その心と、知性と、勇気
のありったけをもって、
きらめくような
この命のエネルギー全てを込めて、
毎日を精一杯生きていくこと。
それが、
人生という私たちの限られた時間を
「生きるに値すること」
にしていくこと。
そういうことなのではないでしょうか。
「しなやかな心は恵まれている。
それは決して
折れることがないのだ」
全ては私たちの心次第。
決して折れることのない、
しなやかな心を持って、
私たち一人一人の人生を
「生きるに値するもの」
にしていきましょう!!
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不条理を
「受け入れることができるもの」
としたカミュが主張した、
不条理を受け入れて
人が幸せになる方法、
それは、
人生の意味が不条理を
超えたところにあると気づき、
この世界が意味を持たないことに
気づいて、
「世界を客観的ではなく
主観的に捉えて、
個々が意味を探し求めて
自分なりの解釈を
得ていくことで
人は幸せになれる」
というものだそうです。
非常に哲学的でとらえにくい
考え方ですが、
要するに、
世界は自分の解釈次第。
自分が幸せかどうかは
自分で決めていくことができる。
ということですね。