1980年代後半、
まだ昭和だった時代です。
今よりもっと港町の風情が色濃く漂い、
どこかあぶない感も感じられた、
ランドマークタワーがまだない時代、
赤レンガ倉庫が
一般に開放される前の時代、
そんな時代に
彼らはそこを走っていました。
「悪は絶対許さない!!」
そんな熱い正義感、
「命をかけて人の幸せを守る!!」
そんな強い意思、
・・・人並み外れたその思いは
心の中にそっとしまっておいて、
人前ではひたすら、
キザでお洒落で格好よく、
絶体絶命の危機に陥っても、
さらりとジョークを言って
余裕の仕草。
それでも、
ここぞという時には
常識外れなまでの行動力と
冷たく冴え渡るような冷静な頭脳、
そして動物的な直感で、
一気呵成、疾風怒濤の
ド派手なカーチェイスと銃撃戦の末に
悪を追い詰め倒してていく。
そして、
嵐が去った後、
空気中の塵が全て地面にたたき落とされて
澄んでさわやかな空気が漂うような、
うなりを上げた風の音に慣れた耳には
ことさらの静寂を感じるような、
そんな風景を感じさせる彼らがまだ、
かっこいい
そういわれた時代のことでした・・・。
「あんたたち二人に
任せてたら、犯人の少年が
ただじゃすまなくなるもん」
「どういう意味?」 (二人ハモる)
「あぶない刑事」
「どういう意味?」 (二人ハモる)
「わかんなきゃいいわよ!」
(テレビシリーズ第1話より)
【1980年代の赤レンガ倉庫】
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TVドラマ、そして映画シリーズの
「あぶない刑事(でか)」
(通称「あぶ刑事」)
まだ携帯電話のない時代、
バブルの始まりを感じさせる
1986年10月5日
TVドラマシリーズ第一作が
放送開始されて以来、
2016年1月30日公開の映画
「さらばあぶない刑事」
まで足かけ30年にわたって
横浜の街を守り、走り続けた
横浜・港警察署捜査課の刑事コンビ、
鷹山敏樹(タカ/ 舘ひろし)
と
大下勇次(ユージ/ 柴田恭兵)
の破天荒な活躍を描いたドラマです。
今回は、
このドラマの中でタカとユージが語った
熱く、キザで、ユーモラスで
そしてかっこいい
そんな言葉をご紹介していきます。
「一気に行きましょうよ、一気に!」
(テレビシリーズ第1話より/ユージ)
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1.お約束
お約束のシーン。
だけど、ファンはこのセリフを待っている!
「ダンディー鷹山」 (タカ)
「セクシー大下」 (ユージ)
(テレビシリーズ/映画等で多数)
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(敵に囲まれ絶体絶命のユージ。
耳を澄ますと近づいてくるバイクの轟音。
そしてバイクにまたがりながら
両手を離してショットガンを
構えたタカが登場!)
「ショータイムだ!」 (ユージ)
(「さらばあぶない刑事」より)
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(殺人犯3人組に捉えられた
少女を救出するため、
犯人の拳銃の前に立ちはだかったタカ。
ユージが駆けつけ無事犯人たちを
逮捕した後で)
「体はっちゃって」 (ユージ)
「ショータイムを
邪魔しやがって」 (タカ)
(テレビシリーズ第4話より)
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こんなパターンも・・・。
(犯人のバイクとのカーチェイスが
始まって)
「イッツ ショータイム!!」 (ユージ)
(バイクの男にタイヤをうち抜かれ、
二人の乗った車は横転。バイクは逃走。
車から命からがらで、
よろよろ出てきた二人は・・・)
「ショータイムじゃなかったのかよ」 (タカ)
「いやいやいや、バイク野郎の
ショータイムだったね」 (ユージ)
「確かに」 (タカ)
車は大破。犯人は逃走。
下手したら自分達も大怪我だった
場面でも、動じずに軽い会話。
めげない二人です・・・。
(「さらばあぶない刑事」より)
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キザなセリフ回しや
都会的なファッション性、
粋なジョークなど、
コメディ調の演出などを前面に出した
連ドラは平均視聴率20%超
(最高視聴率26.4%)。
そしてこのドラマの制作にあたっては、
いくつかの特徴的な設定が
されていました・・・。
それはさておき、
なんといってもこのドラマは
刑事ドラマが映画化される
パターンのハシリでした。
(それまでの刑事ドラマ
「太陽にほえろ」や「西部警察」は
映画化されませんでしたが、
この「あぶない刑事」の映画化以降
「踊る大捜査線」や「相棒」等の
刑事ドラマが映画化されています)
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2.キザなセリフ / かっこいいセリフ
こんなこと真顔で言ったら
普通の人なら・・・。
なんてことをさらりと言ってくれます。
「おごらせてくれよ」 (タカ)
「間に合ってるわよ。
そこらのねんねと
一緒にしないでよ」
「こういうことに関しては
勘違いしない主義なんだ」 (タカ)
(テレビシリーズ第1話より)
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「ハマはよそ者には
優しいのさ。好きなだけ
泣かしてくれるさ」 (ユージ)
(テレビシリーズ第4話より)
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「どぶん中這いずってでも
捕まえてやる!」 (ユージ)
「汚れるぞ」 (タカ)
「やめよう」 (ユージ)
(テレビシリーズ第7話より)
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(証拠をつかむために、
黙秘する犯人を一旦釈放することを
課長に提言するタカ)
「ギャンブルと同じですよ。
手が悪ければ下りるんです」
(テレビシリーズ第9話より)
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「俺がデカじゃなければ
とっくにその心臓に
鉛の弾をぶちこんでるぞ」 (タカ)
(テレビシリーズ第10話より)
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「女の過去に興味は無いんだ」 (タカ)
(「さらばあぶない刑事」より)
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「長くいすぎたね。この町に」 (ユージ)
「いつか別れる時が来るさ」 (タカ)
(「さらばあぶない刑事」より)
定年退職前日の二人の会話でした・・・。
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3.友情
(独走したユージを守るため、
犯人に重傷を負わされたタカ。
ユージが無茶をしないよう
二人の拳銃を没収した上司の近藤課長に
昏睡状態のタカに付き添うよう
命令されたユージ)
「拳銃まで
持ってかれちゃったよ、タカ。
どうやってお前の敵
討ちゃいいんだよ。
俺が一人で突っ込まなきゃ
こんなことにならなかったのに。
バカだよな・・・。
俺一人でかっこつけて、
ダメだよタカ、
やっぱり二人で一人だよ。
悪かったな、タカ」 (ユージ)
「よせよ。お前らしくないぜ」 (タカ)
うっすらと目を開けて
しぼり出すように話すタカ。
「なんとも思っちゃいねえよ。
なあ相棒」 (タカ)
(映画版「あぶない刑事」より)
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(世界的犯罪組織の集団に包囲され
満身創痍の状態で倉庫に潜む二人)
「昨日言ってたお前の夢、
あれ・・・なんだよ?
ユージ・・・聞かせといてくれ」 (タカ)
「結婚して子供を作る。
で、その子供を
ダンディーな刑事に育てる。
それが俺の夢」 (ユージ)
(「さらばあぶない刑事」より)
それはいくつもの修羅場を
一緒にくぐった友に対する
敬意とあこがれ・・・
だったのかもしれません。
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(上のセリフのシーンの続き。
意を決して敵に向かって
討って出る直前に)
「ユージ、お前に会えてよかったよ」 (タカ)
「泣かせないでよ。
俺こそ最高の刑事人生だった」 (ユージ)
「ちゃちゃっと片付けて、
うまいもん食いに行こうぜ」 (ユージ)
「OK。じゃ、チャイナタウンで
会おうぜ」 (タカ)
「再見!」 (ユージ)
(「さらばあぶない刑事」より)
「お前に会えてよかったよ」
のセリフは、
舘ひろしさんが脚本家に頼んで
加えてもらった
「俳優 舘ひろし」自身の
言葉だったそうです。
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4. ちょっとしたお遊び
(スーパーの中での銃撃戦。
人質を取られて銃を捨てさせれ、
互いの手に手錠をはめさせられ、
体を寄せ合い間近で向かい合う二人)
「幼稚園のお遊戯じゃ
ないんだぜ」 (ユージ)
「照れちゃうぜ」 (タカ)
そんなこと言ってる場合じゃないですね。
お互いを手錠でつないだまま
ようやく警察署まで帰ってきた二人。
唖然と見守る同僚たちの中を
悠然と息の合ったダンスをしながら・・・。
職場の捜査課に戻ってきました。
二人を捜査から外すという近藤課長に
不満を述べる二人に対して、
「スーパーからお手々つないで
踊りながら帰ってきたのは
どこの誰だ!」 (近藤課長)
「だってヘイ、
タクシーってやったら」 (ユージ)
「乗車拒否ですよ」 (タカ)
(映画版「あぶない刑事」より)
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ユージの手にはポカリスエット。
タカの手には缶コーヒー。
じっと見つめ合う二人は、
その後、黙って・・・
飲み物を交換。
映画版「あぶない刑事」公開の
1987年当時、
柴田恭兵さんは缶コーヒー、
舘ひろしさんはポカリスエットの
CMをやっていたことからの
お遊びでしょう。
(映画版「あぶない刑事」より)
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(重要参考人と目星をつけた
コロンビア人とのハーフの男から
証拠物となりそうな
コーヒー豆5粒を押収したユージ)
「(スペイン語で)スラム街のガキも拾わないゴミだ」
「No me importa
(関係ないね!)」 (ユージ)
(「さらばあぶない刑事」より)
柴田恭兵さんの代名詞的なセリフ
「関係ないね」
のスペイン語でのご披露でした。
ちなみにこのセリフですが、
もともとは缶コーヒーのCMのセリフで、
「あぶない刑事」
の中では、1回しか
使用されなかったそうです。
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ちょっと脇を締めてヒラヒラ走る、
ユーモラスでいて、
決める時はクールに決めるユージが
横浜の中心街でレパードを疾走させ、
背中を丸めて走る、
クールでハードボイルドで、
時々お茶目なタカは
ここぞという時になぜか
都合よく路駐してある
他人の鍵付きのスズキのバイクに
飛び乗りノーヘルで爆走。
(これって窃盗行為ですよね)
毎週のように繰り返された、
現在のドラマでは、まず見なくなった
拳銃を撃ちまくる銃撃戦に
自動車の大破シーン。
昭和から平成、そして令和へと
変る時代の流れの中では、
きっともう二度と、
こういう「刑事ドラマ」は
制作されないでしょう。
そんな刑事ドラマの金字塔、
「あぶない刑事」
いつかまた、
続きをご紹介したいと思います。
最後にもう一つだけ、
ドラマ内でのしゃれたジョークを
ご紹介して、
今回は終わらせて頂きます。
【タカとユージが走っていた
横浜の赤レンガ倉庫の現在】
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(事件解決後、疲れてバーで
酔いつぶれたユージに)
「おいユージ、
起きてもっと飲めよ。
おまえにはハマは似合っても、
デカはにあわねーよ」 (タカ)
「おまえだって
甘いとこあるじゃねーかよ。
・・・どこ行くんだよ?」 (ユージ)
「組長の張り込み。
課長や県警がなんて言おうと
俺がぱくってやる
(注記:警察用語。「逮捕してやる」の意味)」 (タカ)
「やっぱりお前
ただのデカマシーンだ。
今日、日曜だぜ」 (ユージ)
「日曜はお仕事する日なの」 (タカ)
(テレビシリーズ第1話より)
まだ第1話のため、
二人の性格設定や関係性は
この後に最終的に固まったものとは
違っていたのですが、
このやりとりが
どうして、ジョークなのか?
・・・確かにドラマの中の世界では
ジョークではないのですが、
テレビシリーズ「あぶない刑事」は
キー局の日本テレビをはじめ
多くの曲で放送は
毎週日曜
だったのです。
だから、
タカにとって(ユージにとっても)
「日曜はお仕事する日なの」
というわけです。
(気づいて笑っていたのは
私だけでしょうか???)
【映画版「あぶない刑事」予告編です。
実際に動くタカとユージの姿をどうぞ】
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【こちらの記事も是非どうぞ】
贈る言葉・・・ / 「3年B組金八先生」の世界
【その他の名言記事へのアクセスは】
ここからアクセス!/過去の名言集記事 (# 221~# 230)
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このドラマの制作にあたっての
特徴的な設定は、
まずテレビシリーズの副題が
全て二字熟語となっていたことです。
(「暴走」「救出」「挑発」等。
このブログの今回の副題も
このパターンにならって、
テレビシリーズの副題で使用されなかった
二字熟語を採用しました)
また、ドラマの中では
レギュラー出演者の殉職展開は
一切なく、
主人公2人も、
何度も生命の危機に瀕する事態に
陥いりながら、
次回は何事もなかったかのように
復活していました。
これは舘ひろしさんの
「このドラマでは、刑事物特有の
悲壮感を常に否定して行きたい」
という一言によるものだったそうです。
【「さらばあぶない刑事」予告編です。
これでさらばだぜ】