ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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はじめに


「静かだ」「圧倒的に静かだ!」

その能力発見から1年半、マイクロトランス「SMD ED8」トランス使用のMEMS型マイクが熱い。

 

 

前々号では「ファンタム式パナ改マイク」:LZ-T 」を発表したばかり、

なぜこのマイクロトランス式のマイクロホンLZ-Probe-T 」は小さいのにノイズ環境の良くないホールの長距離伝送でも問題なく良い結果をだせるのか、今一度考察することにした。

 

そもそも、このトランスの採用は2022~3年、ホール・吊り回線とマイクロホンのEMC問題を解決させることを目的に、XLRコネクタの中に組み込めるサイズの優秀なトランスを血まなこで探し求める中、たまたま怪しいトランスに出会った。

ダメモトで入手した見ず知らずの超小型トランスが驚愕の優秀さだったことに始まります。

 

その驚きといきさつは、かつてこのサイトで発表した記事、それは国内だけでなく世界的ブームを巻き起こした2500円のマイク2桁上の高級マイクと平然と勝負できる1603 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第1編)のときとよく似ています。

 

 

 

そしてこのトランスを初めて搭載し、回路上一切のアクティブ素子を排したMEMS型マイクはProbe-T 」としてたいへん好評です。

 

 

 

 

  トランスのアイソレーション

ここに11種類のアイソレーショントランスを準備した。

P(一次巻線):S(二次巻線)で両者の関係は「M」=Mutual Inductance「相互インダクタンス」だけで成り立っているようにに見えるが、1次側、2次側の関係は実際にそうなのだろうか、答えは「ノー」です。

 

 

 

 

 

実際、各トランスはどの程度の線間容量なのか測定し、またその等価結合インピーダンスを算出しました。

 

          (今回測定した11個のトランス)

 

 

 

 

 

各種トランスとの比較

まず最初に「SMD ED8」 5Pマイクロトランスの「巻線間容量」を測定し、次に「EI-14絶縁トランス」を測ってみた。600Ω:600Ωの併売機種であるが、その値は天国と地獄ほどの違いだ。

驚いて、手持ちのトランスを次々測定した結果です。

 

容量測定は下記3台のLCRメーターを用い、それぞれ測定した平均値をとった。

1.CM-7115A(秋月)  2.ELC-100  3.DM6243(秋月)

 

 

この表から見えるのはマイクロトランスのストレー(浮遊)容量である「巻線(P-S)間容量」がいかに小さいかです。

マイクロトランス「SMD ED8」 のそれ「ブッチギリ」だとわかった。

その値は老舗であり国内一流といわれるが、概して結果に結びつかない「TAMURA」の、なんと1/100です。

これはいったい何を意味するのだろう。

 

等価結合インピーダンス値もあわせてご参考ください。

 

 

(マイクロトランス SMD ED8の使用例)

 

 

 

 

 

(Chat GPTに聞いてみたら)

「トランス 巻線間容量が少ない場合の利点とは?」

  1. 高周波ノイズの低減

    • 巻線間容量が少ないと、一次側から二次側への高周波ノイズのカップリングが減少します。これにより、マイクロホンの出力信号に対する高周波ノイズの影響が少なくなり、よりクリーンなオーディオ信号が得られます。
  2. 信号の忠実度向上

    • 巻線間容量が小さいと、一次側と二次側間の不必要な電気的結合が減り、信号の忠実度が向上します。特に高周波成分が多い音声信号では、これが重要です。
  3. 絶縁性能の向上

    • 巻線間容量が少ないと、一次側と二次側間の絶縁性能が向上します。これにより、外部の電磁干渉(EMI)や電源ハムノイズの影響を受けにくくなります。
  4. 周波数特性の改善

    • 巻線間容量が小さいと、トランスの周波数特性が改善されます。これにより、より広い帯域でフラットな周波数応答が得られます  

 

 こう答えてくれました。

 
      以上

 

 

 

 

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Prologue

自作マイクでも「出力インピーダンス」は測定しましょう。

マイクの基本事項、これを意識しないマイク使用などあり得ないからです。そしてそれは実に簡単に測定できるようになりました。

 

筆者はかつて、高精度ミリバル・ひずみ率計と低周波発振機、オシロのベンチでバカでかい擦動抵抗器、操作の面倒なホイートストーンブリッジで、他愛のない事項の測定なのに大掛かりでした。

そうして「精密測定?」した結果も実質的には「オーム」台までの値で十分でした、そんなことを今回の実験中思い出しました。

 

いまは、それがなんと簡便な方法で済むか、ありがたいテクノロジーの進化です。

 

 

インピーダンスって

インピーダンスは抵抗値とリアクタンスの加算された値です。

インピーダンス(Z)=R+jx  この虚部(jx)がリアクタンスです。

 

リアクタンスには「誘導性=コイル性質」XLと「容量性=コンデンサ性質」XCとがあります。リアクタンスがどちら性に転んでも概念は変わらない。

すなわち回路のインピーダンス(Z)とは「交流抵抗」と言い換えるとスッキリする、何のことはありません。

 

難しそうなことはシンプルに考えればイイのです。

 

 

 

 

測定(抵抗置換法)

 

現在筆者が日常的におこなっている方法は実に単純です。

 

マイク出力インピーダンス測定法はこのほか「1/2電力法」(3dB法)・ブリッジ法などがあります。

 

 

その前に、筆者のPC環境は音響業務者の標準である「Mac PC」「Smart」アプリ使用ではありません、当然ペイできるはずもないので「Windows PC」に無料ソフトでまかなっているのが現在の環境です。

 

そして「Visual Analyzer」「Wave Spectra」「REW」「Audacity」など無料ソフトをWindowsで使用しています。

「REW」は優秀ですが、ここでは見やすい「Visuai Analyzer」64bit使用。

 

 

 

(測定精度)

特に今回測定したSONY C-38Bは市販品とは別モノ、「BTS CU-2-B」としてNHK大阪ラジオスタジオ(JOBK)出身。

公称インピーダンス250Ωに対し測定値:249Ωでした。

 

これはどんな困難な中、ここまでの精度を出したのか、驚いた。

あるいは選別品なのかもしれない。

「C-38B」「Bベロ」のNHK版の2本は当時「BTS1級」というBTSランクの過去を持ち、今回の簡易な測定法にもかかわらず当時のNHK技研の結果と変わらない測定精度にご注目ください。

 

 

準備したもの

「なんじゃコリャ」と思われるかもしれません。

小学生の夏休み研究未満の装備に唖然!かもしれません。

 

「測定器」のようなものは、テスター程度

限られた道具で結果を出すのも音響技術のカナメです。

 

 

1.PC+オーディオ測定アプリ(「Visual Analyzer 64bit」使用)

2.オーディオインターフェース

3.スマホ(iphone)

4.470Ω~1KΩ及び5KΩBカーブVR巻線型が望ましい)

5.ワニグチクリップコード

6.測定用XLRエクステンダー

7.デジタルテスター

 

ファンタム電源使用時、XLR②③間にはDC成分がわずかに現れるため、カーボン型VRではすぐに「ガリオーム」になってしまい、測定に困難をきたします。

1回、2回ならいいが、コンデンサマイクで継続使用するなら「巻線型VR」が正確かつ望ましい。

 

測定

 

1.できるだけフリー空間に被測定マイクをセットします。

 

2.PCは「Visual Analyzer」をセットし、スタンバイします。

 (指示値、波形・スペクトルを見ながら正確に1/2の電圧ポイントを見つけるには適しています)

 

3.マイクロホンに1KHZ正弦波音を与えます。

(オーディオI/F経由で被試験マイクのスペクトル波形、実波形を表示、このときひずみのないこと。

スケールは2dBステップ程度、「Volt meter」窓は見やすく表示させる。(V表示、dB表示どちらでもよい)

 

4.エクステンダーを使いXLRコネクタ ②~③間にVRを入れるが、順序がある。

クリップコードを使い、まず③側にVR片側に接続する。

 

5.波高値または「Volt meter」窓、指示値がキリの良い値になるように合わせてその値を読み取る

 

6.もう片方のクリップコードを②にあて、画面指示又は「Volt meter」窓の指示値が電圧で1/2になる点、同じくdB値で6dB減少した値になるようのVRツマミをゆっくり回す。

電圧1/2(6dB減少)点でVRを回路から外し、その抵抗値をデジタルテスターで読み取る。

 

7.その値が被測定マイクの出力インピーダンスの等価値、すなわち抵抗置換された「インピーダンス値」として直読できます

 

 

本来ならば、マイクレベルで測定すべきかもしれないが、プリアンプを介して扱いやすいレベルに増幅した値で変化を読み取っている、誘導など受けにくいので、ひずみのないリニアな領域ではこの方が正確に測定できます。

 

 

 

測定結果

 

筆者手許の、よく知られた定番20本の業務用マイクを選び、抵抗置換法にてインピーダンス測定を行いました。

うち4本はShin自作MEMS型マイクです。

 

「データ改ざん」「虚偽報告」などの事件が相次ぐなか、これは真の実測値です。

 

 

(条件):切替SW付のマイクは「M」またはフラット、PADは0dB、(C-480Bは-10dB基本)、C-38B及びC-414XLⅡは「単一指向性」モードにて測定しました。

 

 

 

 

 

 

 

ロー出し・ハイ受けの原則

 

日本では、ひと昔前なら「ローインピーダンス」=600Ω、「ハイインピーダンス」=50KΩのような風潮があり、真空管時代の「インピーダンスマッチング」に縛られ、それは(旧)BTS規格が業界を引導していた。

 

そのころでも欧米では現在と変わらない「ロー出し・ハイ受け」があたりまえとなっていた。

 

その「ローインピーダンス」とは76年前に発売されたRCA 77Dでさえ30Ω、150Ω、250Ωの切替であった。

 

 

 

 

 

考察

メーカー公表スペック値との関係では測定値と大きく異なっている場合と、そうでないモノがあり、これだけ見てもメーカー・生産国との関係で面白いものが見える。

 

まず日本製:スペックに忠実なのは几帳面な国民性か、BTSの亡霊か。

 

ドイツ製(beyerdynamic、SENNHEISER)几帳面さは日本人とそっくりだ。

 

オーストリア製(AKG)、デンマーク製(DPA):概ねつじつまはあっているが値はあてにならない。

 

米国製(SHURE、Erectro-Voice、COUNTRYMAN):スペック値は看板値、目標値なのかも、COUNTRYMANの数値は間違いじゃないかと思うほどだが、これがアメリカ人の鷹揚な気質、そんな気がします。

 

 

 

筆者の場合、世界のお手本マイクの音が頭の中にいつもあること(悪い例も頭の中にはあります)。

良いマイク作りにはお手本マイクは常に手元に置いて、いつでも比較できる環境を私のマイク作りの基本としています。

よって音の悪いマイクは意図的に作る以外にありません。

 

測定法や機材、その結果に疑問を感ずる方があるかもしれません。

過去記事との測定結果に対し多少ブレているかもしれません。

それは新しい測定結果の方が、より正しいのはいうまでもありません。

ここまでの精度・再現性の高い測定法はもっと広く使われて良い思います。

 

 

 

以上

 

 

 

 

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  マイクロトランス型/ファンタム式パナ改マイクLZ-T

2年ぶりの「ファンタム式パナ改」となりました。

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その音FetⅡLzⅡLzⅡb と同一の高品位音

 

「マイクは無指向性に始まり無指向性に終わる」

 

 

 

ファンタム式パナ改マイク LZ-T (トランス型低インピーダンス長距離用)

 

パーマロイ・マイクロトランスの採用による基板の小型化で外観上はFetⅡLZⅡ(b)と同一、おなじみのデザインで誕生しました。

 


 

 

最大の特徴

 

クラシック録音でパフォーマンスを示す「自作マイク」として定評のある FetⅡ およびLZ-Ⅱ(b) 低インピーダンス長距離伝送用)を代表とする半導体平衡型が定番でした。

 

そもそも自作マイクは机上でどんなに優秀でも延伸してなんぼ、それが「マイクロホン」という機材なのです。

延伸距離が100mなのか、300mなのかそこから始まる設計の大きな違いがある。中には「机上での性能に終始し、伝送を一切考えない例まであるが論外です。

 

12年前「ファンタム式パナ改マイク」にはFET差動AMPによる平衡出力回路タイプと、遠距離用の「LZ 系」 をオリジナル開発しました。

LZ系は設計上、1Km延長も可能な方式です。

 

LZ系では、それまで誰もが疑わなかった「コンデンサマイクのワールドスタンダード回路」、あの「SCHOEPS回路」、その内容に疑問符を投げたことに始まる「LZ回路」  © 2012-2024 Shin's PA Workshop. All rights reserved.

・・・(バイポーラTR回路)を開発しました、2012年のことです。

 

 

それは案の定、音質・SN比、極超低ひずみ、ダイナミックレンジで群を抜き、長距離伝送で真価を発揮しています。

 

 

このノウハウを「トランス」回路に置き換え、DNAを引き継いだ高音質Lo-Z出力回路は高実績を積みながら浸透しつつあります。

 

これによりホール3点吊り収音において、半導体平衡方式ではどうしてもノイズ問題の避けられない悪条件現場でも300mの安定した伝送が可能です。

 

マイクロトランスによる効果は、「高音質」だけでなくCMRR向上や「コモンモードノイズ」除去、「Normal」(ノルマル)モードノイズ排除能力が絶大、アイソレーション能力がきわめて高く、優れたEMC耐力を持ちます。

 

 

 

(さらに)

 

同じマイクロトランス式の「Probe-T 」での強電界雑音試験の様子、

とてもマイクのテストには見えないが、「やりすぎ」ではない。

 

 

 

 

 

 

(回路図)

 

出力インピーダンス対周波数特性 (抵抗置換法による実測)

200HZ:248Ω

400HZ:251Ω

1KHZ :253Ω

10KHZ:256Ω

(可聴域ではフラットですね)

 

 

4Pトランスでは出力Z=525Ωであったため採用を見送った。

 

 

 

 

 

カプセルはマイクの命、「互換品」・「相当品」の拒絶

WM-61Aはパナソニック純正の秋月電子パック品を頑固に継続使用。

 

 

アクティブ素子の存在しないコンパクトな基板

 

 

 

(トランス) 4Pか5Pか

一昨年末、偶然発見したこの最小トランスは期待を裏切る良い音。

これは新デバイスの発見にひとしいエポックになりました。


このマイクロトランス(SMD ED8  4P&5P) 600Ω:600Ω1年半の採用経緯でやはり最初の判断、Probe-T の誕生で感じた通りです。

 

 

昨年発見した事実。

現在でも訂正されてないが、この点はトランスの初歩的カナメです。

 

 

 

※ SMD-ED8トランスに関して記事: 2314に詳細があります。

 

 
 
 

だから音がいいんだ・・・

さらにこのトランス特有の素晴らしいパラメータを発見しました。
それは国内・海外専業メーカーのそれを超えます、次々回記事までにまとめてご報告します。

 

 

 

 

 

 TODAY'S
 
そもそもパナ改マイクとは

ドイツ系米国人技術者だった「Siegfried Linkwitz」氏提唱によるパナソニックWM-60ATやWM-61Aカプセルのソース~GND間を切り離した「ソースフォロワー改造」によりひずみ率の低減を目的とした改造カプセル自作マイクの事をいいます。

ひずみ率低減と同時に耐音圧の約10dB/A UPをを可能にし、世界のマイク自作者の熱い支持を得てきました。

 

「Linkwitz Mod」は日本では「パナ改」と呼ばれ、個人録音ファンを中心に15~20年ほど前、この改造とマイクシステムの自作が流行したことがあります。

 

しかし、別箱に9V電池と回路を常に背負っており、不安定な3.5mmミニプラグ(モノ・ステレオ)の細ケーブルが使用されること、さらに「プラス接地」というシステム上のハンディも抱えていた。

 

音質の良さに反して、しばしば録音中に音切れや接触不良雑音を起こすことで様々な二次的問題を起こすことが構造上の宿命的泣き所であった。

これは「プラグインパワー」方式でもまったく同様である。

 

このブログ記事を参考に「Linkwitz Mod」=「パナ改」を試みる方は多く、しかし発生する欠陥問題が深刻なため当ブログでは、「Linkwitz Mod」=「パナ改」記事には注意書き」を加え整理したが・・・

 

それでも残った断片が最後の望みのように使われるため、昨年、この方式の優位性だけを引き継いで、このブログにあった「パナ改」関連記事はその片鱗すべてを削除した。

 

 

 

 

 

STEP.1ファンタム式パナ改マイクとは

 

筆者は前述の欠点すべての解決を大きなテーマとした。

「パナ改」マイクシステムから大きな電池箱や不安定なミニプラグ・ジャックを取り除き、一般コンデンサマイク同様に「ファンタム電源」動作を基本に据えた。「業務用マイク」にする、という目標を立てて取り組んだ。

 

当然それは「プラグインパワー勢」からの攻撃対象となったが、「パナ改勢」からは歓迎されるも、批判は受けた覚えがない、みんな何とかしたいという共通の思いがあったのだろう。

 

 

 
そして2009年11月6日記事「0921」で「ファンタム式パナ改」第1号機の発表に至りました。 © 2009-2024 Shin's PA Workshop. All rights reserved.
そして、この日付の当記事をもって「○田式」回路教祖の特許申請に特許庁が「待った」をかけた。
取り巻き連中からの罵詈雑言がネットにあふれたた経緯があります。
筆者は「全公開」のチカラを初めて知った。

 

そこから新年を挟んだ数か月の間、手を変え品を変え「完成度UP」に挑んだ。

 

もっとも注力したのは「シンプルさ」「業務用互換性」です。

そして、「大音圧でも簡単にはひずまない130dB/A (1% THD)」の実現を至上命題として取り組んだ。

そして完成が確認できた。(2010年2月14日)

FetⅡ試作品で130dB/A SPL時のTHD測定中(2010年2月14日の写真より)・・・

指針が130dB超えを指しており、騒音計の先にFETⅡ がテープでくくりつけられている。

 

今ではこんな事はできません、90dB/A近くの音漏れにすぐ110番されるでしょう。

それよりヤバイのは部屋の中、測定者の耳へのダメージだ。

「130dB以上は一時的または永久に聴力を失う場合がある」といわれており、実験中は思考力がきびしい状態になっているのを感じながらであった。

事後、極度の難聴、吐き気から翌日、一週間とたち耳は正常に戻っているのを確認された。

 

130dBA SPL下といえば 空港地上作業で787やエアバスA320など大型旅客機のエンジン音を「イヤマフ」(防音耳栓)ナシで浴びながら作業するのに等しい。

今は昔、当時よくこんな蛮行ができた、と感心するだけですが、この時のノウハウだけは頭の中で生きています。つくづくと、やれた時代にやっておいて良かったと思います。

 

 

完成度も次第にUPし、FetⅡを代表とする「ファンタム式パナ改マイク」は自作マイクの完成形として、マイク自作者の方向性を変え、業務用途でも歓迎されるようになりました。

同時に市販民生レコーダに大きな変化を呼び、XLR入力、ファンタム電源搭載が標準仕様になっていき、フラグインパワー機は売れなくなった。

 

やがて国内では、「パナ改」という用語は「ファンタム式パナ改」を指すようになっていき、同時に原形「パナ改」は、この流れからフェードアウトした。

 

 

 

STEP.2超高級マイクとの鳴き合わせ逸話

 

2010年2月9・10日開催されたある有名音響技術者セミナー、主催者から提供を求められたのが開発途中のFetⅠ、これは2日目にサンプル紹介が予定されていた。

国内大手マイクメーカーのキモ入り新製品である超高級マイクの発売前デモが予定されており、ピアノに向かい仕込まれていく・・・

 

参加技術者から「あのマイクの音も聴きたい」の声、同調する声も上がり、デモマイクのマウンターにFetⅠ輪ゴムでひっかけられ、ピアノのPAが両マイク・同条件で実施されたのが運命的であった。

 

「大手マイクメーカー超高級新製品」と個人による「開発途中手作りマイク」の鳴き合わせガチ勝負、その結果は火を見るよりあきらかのはずだった、誰もがそう期待・想像もしただろう・・・

 

筆者は2日目のセミナーに参加せず会場前で失礼して会場から去っていたのでその場面には居ないが、なんと結果は逆だった。

「会場ではこの驚愕の事実に大いに沸き立った」と聞いている。

 

そして大手メーカー営業担当者は「すっかり肩を落として力なく、ブースの撤収をおこなっていた」という話をその晩、主催者からの連絡で知った。

 

予想できる修羅場から予め退出したのは、いうまでもなく専門メーカーに対する「自作マイク製作者」としての敬意、礼儀と仁義から自分をそうさせました。

 

 

それでも「自作マイク」が、あきらかな形でメーカー製高級マイクに勝てたことは大きな自信となり、FetⅡ はこのときの参加技術者の指摘に答え、ブラッシュUPした作品として12日後に当ブログ登場させました。

 

 

シンプルな回路にも関わらず、許容音圧もこの時点の自作マイクとしてはブッチギリの130dB/A SPL(0.4~1% THD)という値を目標通りはじき出したが、10%AOLで考えれば133dB/A SPL程度と読み替えることもできる。

 

ここまでのステップは「マイク作りは耳でおこなう」という手法だからこそ得られたものです。

 

回路シミュレータと測定器に委ねた方法によればこのレベルに達することは絶対にあり得ず、人を感動させるマイク作りとは観点がまったく異なる。

神経質かつ無機質なマイクがお好みならば、測定器を積み上げて微に入り細に入り測定・調整しながら追い込むとよいだろう、それはかつて「音はとれるが音楽はとれない」、と日本製マイクが欧米から嘲笑され、世界から相手にされなくなった、という試されつくした衰退の道をみずから辿ってみるのもよいだろう。

 

 

 

メーカー・個人問わずマイク作りの要は「耳」と「音楽脳」、これしかない。

 

 

 

むすび

「ホール3点吊り回線には魔物が住んでいる」と言われるほど理屈と現実は異なります。

概して40年前の古い回線では問題が起こらず、改修を経たり比較的新しい回線でノイズトラブルが起きやすかったりする。そういうホールを録音ファンや技術者は「劣悪ホール」という共通認識で、利用する際は独自の工夫で切り抜けている。

 

超高級マイクも年代の新しい機種は「原因不明」とされるノイズで悩まされることが多いので、トランス式の旧型マイクを並べて吊るのは常識といわれている。

 

 

また在京民放キー局音声技術者の職場に伺った際、、機材倉庫の大小さまざまなトランスを前に、「これがなかったらオレ達の仕事は成り立たないんだ、神様さ・・・」という特別扱いが印象的だった。


 

 

「マイクは祈って吊る」

 

 

 

 

なお、このLZ-T は個人のかたに限り製作・領布を承ります お問い合わせください。

 

 

以上

 

 

 

 

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

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