1317 :バウンダリーマイク(BLM-fet1)の完成度UPにチャレンジ | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年追記

 

 

製作難易度 ★★★★★

 

2年前、はじめてBLM(バウンダリー・レイヤー・マイク)を作った時は米国製定番バウンダリー・マイクの原寸紙模型を作ることから始めた。

あっちから眺め、こっちからも見て想いをめぐらせた。

そして「絶対にこれを上回るマイクを作るゾ」と心に誓った。


ShinさんのPA工作室   ShinさんのPA工作室

(製作に先駆けて作った定番BLMの紙模型とサイズ・スケッチ)

 

 

結果、確実に1ランク上のバウンダリーマイクとして誕生し、定番超えを果たした。

これは「BLM-fet1」 と命名しました。 

 

それを実現させたのはUEB-5361というECMカプセル。

「Made in東北」、山形に工場を持つフォーリーフ社 の名カプセルの勝利である。

ShinさんのPA工作室BLM-fet1 初回モデル)

 

汗 二度と経験したくない800個の穴あけ

このヘッド部(前)に200個、(後)に200個、計:400個の揃った穴を開けることはプラスチックとはいえ至難のワザ、

スクリーントーンを使って穴位置に印を付けたが2~3列開けると目がチラチラしてきます。

そして2台分800個の穴「ミニ・リューター」使用の1.5mmドリル手作業で開けた、意地だ。

 

遠目にはわからないが近くで見ると当然穴は不揃いだ。(拡大するとよく見える)

  

【今回の改良版】 

    

黒色パンチングメタルを採用、かつ一ひねり加えた。


ShinさんのPA工作室     ShinさんのPA工作室

  (今回製作の改良版)        (2台の改良版BLM-fet1 )

 

1.マイク・ヘッド部構造

 

①外部

 

(パンチングメタル使用)

これをアルミ製黒色「パンチングメタル」を用い、手作業でザルを作るような気の遠くなる作業から開放され、圧倒的に加工しやすくはなった。

 

(問題点)

折り曲げ部分とエッジだけは必ず「地金」の白色が現れてしまう、

そこで・・・
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(左:折り曲げて地金が現れた黒色パンチングメタル、右:綺麗に塗装された同パーツ)

 

これを救ったのが「アルミ用ラッカースプレー」だ、「ニッペ アルミカラー スプレー」。 http://www.nippehome.co.jp/prd/tm_008.html

これは汎用スプレーとしてはかなり均一な塗装が出来、何よりも「アルミに対しては抜群の食いつきそして納得いく上塗り塗装があっけなく完成した。

 

 

 

 

②内部

 

ShinさんのPA工作室 ShinさんのPA工作室

  完成されたヘッド部        ヘッド部構成のベース

 

パンチングメタルを固定するネジ部分から網組線を延ばし、下部フラップ(台座)のフレームGNDと共通にする事によってヘッド内の静電シールドが成り立つ、ちなみにこのマイク、1本のシールド線も使っていないがハムは皆無だ。

 

特に今回、ミニXLRのGND構造に疑問を持ち、①~シェル間を接続した。

これによってあきらかに改善した項目がある。

 

2.台座構造

台座は極薄アルミケース(タカチMX2-1011BB)ですので空洞構造です。

案の定叩けば独特の鳴きがある、中域鳴きをガマンすればこのままでも使えないことはないが絶対イヤだ。

ヘッド部を含めた重量は125g、メチャ軽くまるで発泡スチロール製のようだ。

 

 

「軽い方がいい」という思い違いはどこにでもある。

カピバラ スポンジの靴拭きって使いやすいですか?

カピバラ カラのダンボール箱って持ちやすいですか?

 

・・・というわけでShinさんは重くするのだ、「適正重量」という概念が道具の使いやすさには欠かせない要素だからだ。


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(シェイプアップ用のウェイト(250g)だ、キャンドゥで入手)

 


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(これがウェイトの中身、酸化鉄粒は鉄サビのカタマリだ)

中心部は鉄そのものだから導通がある、しかし粒の周囲は分厚く絶縁体で覆われているので、使い方次第で「重い絶縁物」になる。

 

これを手ごろなポリ袋に2重に入れ、ウェイトと台座の共鳴防止のデッドニング材にした。

 

最終重量は定番BLM本体と同じ326gに調整した。

 

レゾネーションのキャンセルとデッドニングは絶大なる効果を見た、このマイクを生かし、台座を叩くと「ボンボン」と云っていたのが「コツコツ」に変わった。

同時にVoiceには力が出た。

 

「重いマイクは音がイイ」は今でも健在だ。

 

底面には1mm厚、幅20mmのゴム板を左右2枚張った。

 

3.回路


ShinさんのPA工作室

☆抵抗・コンデンサの値は「ファンタム式パナ改マイク」とは異なります、要注意!

☆ミニ・XLRは脚配置が②③入れ替わっています現物で確認してください。

 

4.主な仕様
方式       : バウンダリー型コンデンサマイクロホン(ECM)

指向性      :半球形前方指向性
ファンタム電圧 : 18V~48V
使用カプセル  : UEB-5361(単一指向性ECM=フォーリーフ社製)・・・φ13.7
サイズ      : W 110  D 97  H 35
重量       : 326g(ケーブルを除く)
動作電流    : 2.3mA(48V時)
マイク本体出力コネクタ: ミニXLRオス(平衡出力)
ケーブル    :モガミ3031使用 4.5m  IN側:ミニXLRメス OUT側:XLRオス 

 

 

5.使用例:(BLM-fet Dual として書かれていますがBLM-fet1 と同一条件で使用されています)

 

①津軽三味線

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10969385523.html

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10986205048.html

 

②ピアノ

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11416752374.html

 

PA用途だけでなく使い道はあなた次第です。

 

 

(お知らせ)

fetⅡ、fetⅡi、measurement-fetⅡ・LZ-Ⅱ・LZGなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください                (Shin)

 

 

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