1931 :mems(メムス)マイク使用 超小型マイク実用化への道(v.01機)前編 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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星 注意:Memsマイク使用最大の課題は手半田の熱にたいへん弱いことですが

この方法で解決させました。  https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html

 

ヨーロッパ 某社中心に超ミニサイズ・高品位のコンデンサマイクロホンが本格登場して久しい。

 日本ではそれよりはるか前(1991年)からのロングランである業務用ECM、SANKEN COS-11(4Φ、16.1mm)は今もって通用する小ささと内容である。

最近ATから2.6Φの無指向性マイクが現れたが手作りでそこまではまだできないことがわかり、3.5Φまで頑張った。しかし長さはグッと短く10mmであります

 

 memsマイクが台頭し、スマホを中心に従来からのECMに代わって組込みマイクの世界を席巻して久しい。

しかしそれを使った単体超小型コンデンサマイクを一定の完成度をもって自作で実現するにはいくつかの障害を乗り越える必要があります。

 

 memsマイクはもはや「センサー」範疇の半導体技術の集合体、やや方向性が異なるICマイクであることに注意が必要、ベースはコンデンサマイク(DCバイアス)です。

(一部にはECMのトランスデューサーもあり)

さらに「ピエゾ」型トランスデューサー≪vespermems.com/technology≫などもあり

 

 世代を重ねて改良が進み、特性・サイズの点からハンドメイド・単独マイクとして本格的に手をのばしても良い、と感じるようになりました。

 マイクメーカーの製品でmems仕様の単体マイクがあるのか、ないのか、そんなことはどうでも良い。

 

試作品を手にとってmems型コンデンサマイクの可能性を考えてまいりましょう。

先バラ状態で完成したICS-40720使用超小型マイクの試作品(v.01)

(3.5Φ×10mm) ケーブル長はこれで1.5mあります。

 

 

(memsマイクチップについて)

 使用したmemsマイクチップは2013年、Anarog Devices社のmemsマイク部門を買収した「IInvensense社」の製品です。

このメーカーの一連のmemsマイクは実に豊富で目を離せません。

 

 

 

サイズと音質にかなり相関関係があります。

 一世代前のADMP411や同一スペックのINMP-411では幅4mmでした。

国産サンケンの「COS-11」(外径4Φ)をボーダーラインにした場合、外径でそれに及びませんでした。

 

 高域は10kHZ~20kHZに+10~15dBという極端なピークを持ちますが、高域端の往なしかたでそれは避けられそうです。

低域はダイアフラムサイズの問題により「Lo-Cut off周波数」をいかに伸ばせるか」に尽きます。

 

 最近のMemsマイクではさらに小さくLo-Cut off周波数(-3dB点)が20HZ以下のものまで見かけますが、今回の試作では「ICS-40720」(Lo-Cut off f=70HZ)を使用しました。(チップサイズ:3mmX4mm)

バランスOUTのアナログ型ですのでVddを含め3芯シールド線が必要です。そのため、アンバラOUTにして2芯シールド線を使えるようにした。

最終外形は3.5Φ×10mmの超小型マイクとなりました。

 

アメリカ 現在さらに小さく優秀なものや、ほぼDC近くから収音できるものなどを取り寄せ中です。

特性良くサイズがどこまで小さくなるかが課題ですのでお楽しみに。

 

 

 

 

(製作)

ここからは次元の異なる超精密工作の世界だ。

 

 

(外筐・・・ケースについて)

 直径わずか3mmそこそこのmemsマイク外筐といえば、まるでフィギャーが持つマイクのようなサイズだ。

 memsマイクには半田付け、ケーブルを取り付けて外に出す構造が必要、想像もつかないまま手近なものを手当り次第当ててみた。

 なんと意外なものが上がり、仮配線で音声テスト実施、これがいい感じである、常識で考えてはダメだ。

それは、いまどき流行らない「携帯ストラップ」の金具だ。

 

memsマイクの音穴は横方向にあるのに、この縦形状で「イケル」と踏んだ理由には次の検証結果があります。

https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12537811591.html

 

 

(memsマイクと携帯ストラップパーツ)

こんなモノがマイク外筐になろうとは・・・

何とここまで小さくなる。

 

100円玉の下にあるのはmemsマイク(ICS-40720)、上は表、下は裏面。

いかがでしょう、マイク外筐として使えそうなことがわかりますね。

 

ストラップ金具はいろいろ求める中で内径3mm未満のものを選び出す。

(必要に応じ、ミニルーターで内径を広げる)

 

 

(ケーブル)

 しかしこれだけ小さいモノのに合う2芯シールドケーブルって有るのか。

 

 こういうときはきっと神が降臨するはず・・・・と、モガミに3011という2芯シールドケーブルを購入してみたがこれはイイ、正解でした。

(165円/m OYAIDE電気

外径は普段FetⅡなどに使っている「モガミ3031」より数段細く、1.3Φ。

つまり爪楊枝の2/3という細さの2芯シールドだ、そして特筆すべきはそのしなやかさにもある。

! なんと、ストラップの糸を通す穴にすんなりと通る細さ。

「細いにも程がある!」みたいなケーブルケーブルハンダ付けには余程の覚悟が必要です。

 

 

ICS-40720 ピンアサイン(TOP VIEW)

 

 

 

かなり半田付けに自信の有る方でも相当な覚悟が必要です。

ICS-40310でのハンダ付けの例です。

 

 

 

 

そしてここまで出来た。

先バラ状態で完成したICS-40720使用超小型マイクの試作品(v01機)

 

 

 

 

(memsマイクの泣き所は2つ)

memsマイクを手掛けるあらゆるメーカー共通の課題。

1.低域

振動系の構造上の問題で限界がある(口径・質量・張力)。

低域を伸ばすことと大きさは比例する。

 

(ICS-40720のデータより)

 

2.高域

構造上、10kHZ前後~以上に10dBを超えるピークが避けられない。

電気的、機械的にこのピークを鎮めることは比較的容易である。

 

ICS-40720 周波数特性

超高域の鋭いピークは補正する必要があります。

これはマイク内蔵AMP部で簡単に補正できます。

 

使用したファンタム動作AMPはTwo Leaf3 」をアレンジして使いました。

 

※後編ではXLRファンタム動作AMPをご紹介し「v01」機のまとめ、とします。

 

後編に続く

 

 

 

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fetⅡ、fetⅡi、fet3、
fetⅡ‐bright など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作) 

 

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