注意:Memsマイク使用最大の課題は手半田の熱にたいへん弱いことですが
この方法で解決させました。 https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html
(メムス)マイクは使えるぞ!
前編ではmemsマイク「ICS-40720」使用の超小型マイクロホン本体を何と携帯ストラップ部品を使って製作、その過程をご紹介しました。
MOUSER経由でUSAから6種類を調達、さらに入荷待ち機種あり。
40310にがっかりしながら40720、40619へと、さらに入荷した40730と先へ行くほどだんだん凄味が増してきた、というのが実感、さらにその先がある。
InvenSense社のmemsマイクはいつもの部品屋で「ICマイク」「メムスマイク」として売られているモノとは別次元、しかし目的をあきらかにして選択しない限りその良さに出会うことも感動もないだろう。
選択できるのは自分自身、あなた自身しかない。
後編ではそれらをXLRコネクタ収納型のファンタム動作AMPを製作し、「総合まとめ」をおこないながら、そしてその後届いたmemsマイクを使った4種類の超小型マイクを製作して実用性の検証をおこないました。
自作用としてはかなり取り扱いに神経質なデバイスであることだけが気になります。
試作した超小型マイクロホン4種類
「Micro leaf」シリーズ(仮称)として開発を続けます。
4通りの試作マイクと共通ファンタムAMP一式の試作。
前編の携帯ストラップ金具で2種類、市販真鍮パイプで2種類、いずれもミニXLR仕様。
(つま楊枝と比較して、その小ささををご覧ください)
1.ファンタムAMP部の製作
2.4種類のmems型超小型マイクの製作、試聴比較
3.TWO-LEAF理論による棒状超小型マイクを「緩指向性」(造語)=オムニ単一より緩い」・・・(ヒトの耳の指向性ににている)で実現。
4.Memsマイクの何たるかを、そして泣き所をちょっと突っ込んだ。
ICS-40619使用超小型マイクとファンタムAMP一式
(マイク外筐は携帯ストラップの金具使用=3.5Φ)
ICS-40730使用(5Φ真鍮パイプ使用、フロントメッシュを加工取付)
(memsマイクの物理特性と聴感)
ECMカプセルの特性表に見られるように物理特性、特に低域の周波数特性は一般的に「聴感」と大きな開きがありますが、なぜかMemsマイクではそれがかなり一致します。
(サイズの問題)
また低域は振動系のファクターにより形状の小さいほど不利となりますが、memsチップ外径上、1mmの差は低域レスポンスでは天と地ほどの差をみせます。
(取り付け方向と+アルファ)
Shin 発案の「Two Leaf理論」により軸方向、かつ音穴に薄ゴムの小リーフを取り付ける事により、「緩単一指向性」と「圧倒的量感」が得られます。
ICS-40730に小リーフを追加して「速度」由来以外の方法で指向性制御、
このmemsでは大口径ダイアフラム的な音が得られてビックリ、
しかし大型チップコン程度の大きさしかないので実に不思議だ。
(インターフェース条件)
memsマイクから外部への接続条件、特にカップリングコンデンサの容量選択は2つの要素によって変わります。
出力インピーダンスは低く、数10オーム~数100オームが一般的のようで、これは別途素晴らしい使いみちが考えられます。
またバランスOUTのmemsマイクが非常に多い(Invensense社ほか)。
ここまで見ると「新しいmemsマイク」は業務マイクとしての要件がきわめて整った半導体型音センサー・デバイスと言って良い。
(回路図)
(ファンタム式memsマイク v01機 回路図)
・ICS-40619使用、超小型マイクの例 (延長距離数10mまで)
・今回「共通AMP」としてすべてのmemsマイクに用いた。機種ごとに条件変更もありうる。
・掟破りのツエナーDi など不使用だがVdd電圧はP48でもP24でも1.55V。
・共通ファンタムAMPはMems専用。PCCや他のミニXLRのマイクへの流用は同一ピンのため可能だがVDDが低めなので動作の完全な保証はできません。逆にPCCの変換部に差し込んでmemsチップに3V以上の電圧を与えると一瞬で壊れる可能性がある。
4種類のmemsマイクそれぞれの試聴から感じること
Loカットオフ周波数=(-3dB点)が75HZの無指向性ですので、やや低域の弱さは否めませんが10dB減衰点が30HZ付近となっていますので、「それなりの高品位音」で明瞭度は高く、SN比70dBという性能はサイズの点から考えても優秀です。
② ICS-40619 。これはICS- 40720よりわずか小型でLoカットオフ周波数は50HZ、実質15HZ~20000HZをカバーします。特に低域に量感があります。ギターの収音に試用しましたが、コレ イケます。
音はINMP-411と類似していますが仕上がり外径3.5mmの超小型で作るならこちらでしょう。
③ICS-40310 これは今回のなかで最もナローレンジ。
SN比、周波数特性、対音圧なども典型的な「従来型mems」でしょう、使いみちに困り早々に除外した。
④ ICS-40730 少し大きめのチップコンのよう、 Loカットオフ周波数は15HZ、実質ほぼDC~20000HZ以上までをカバーする。
「ドーッツ」いう暗騒音は大口径としか思えない雰囲気の音。
スピーチでテスト、・・・・・「 ン?」、この音・・・変 !!。
ハイ、逆相!、これ一瞬です。
しかしコレってICの設計不良、またはデーターシートの制作ミスということになりますね。
(一瞬で発見とは、「マイボイス・リアルタイムモニター」恐るべし)。
配線手直し
ICS-40730 Data Seet指定OUT+、OUT- とを逆さにしたら落ち着いた。
ICの誤設計というめずらしいミスを発見してしまいました。
直したあとはラージダイアフラム・ライクな重心の低さ。
この音、「極超小型マイク」だと言っても誰が信じるだろうか?。
クラシック録音を含めた従来のICマイク(memsマイク)では想像もできない使い方が開発できると思います。
2019.12.16 メーカーより連絡がありました。
「OUT+ - 表示が逆でした」という謝罪及び
近日「データシートの改変が予定され、その中で訂正します」と正式に回答がありました。
⑤ INMP-411 Invensense社の新タイプではなく、Anarog device社のADPM-411と同一スペックであり、2013年同社買収前の旧製品であろうか。(ADPM-441とはまったく別モノです)
設計は古く、一回り大きいが、Loカットオフ周波数は25HZという腰の低さ、内輪で最もSN比が劣るが聴感上はそれを感じさせない。
公称周波数スペックは20~20000HZ.である。
低域はICS-40619とほぼ変わりませんが高域のピークはややおとなしく感じます。
⑥さらに到着待ちなのがICS-40300、さらに大きめのチップコンのような形と大きさ Loカットオフ周波数はなんと6HZというモンスター級である。
これもまた到着が楽しみです。
今回使用したサンプルの周波数特性 (各データシートより)
無指向性マイクには「近接効果」がないことに留意してお考えください。
(マイクの実装)
そのまえに、筒方向の超小型マイクに仕上げるにあたって実験を繰り返すなか「TWO-LEAF」mems構造はどのMemsマイク機種でも最適・有効であることがわかり、製作するマイクは「緩単一指向性」(仮称)となることを確認しながら進めた。
というわけでmems型超小型コンデンサマイク(v.01機)は全部で4機種、そして着脱式ファンタムAMPが姿を現しました。
VDDは+1.55Vにして全部の機種共用にした。
.
(memsマイクとのつきあいかた・注意すべき点・・・(自己責任の世界))
1.まず最初は「入手法」です。
ここで選択を誤ると実につまらない音しか得られません。
いつも買う部品屋さん(秋月、千石、共立、マルツなど国内販社)やAMAZONには音響屋が使えるmemsマイクはありません。
(SN比、最大SPL、周波数特性、音質)で見れば皆無です)
現状ではMOUSERやDigikeyなど海外輸入によるしかありません。
またAMAZONなどに絶対に迷い込まないでください、行き先が違いますので「乗り間違えた電車」状態になります。
自分はMOUSERを利用しますがUPSで1週間以内に到着します。
商品はきわめて安い(200円~300円台)ですが送料ほかで1回あたり別途2,000円程度かかりますので、なるべく1回の買い物で済ますのがコツです。
12月26日の夜間、MOUSERに発注した例(UPSの追跡結果)
この場合はUSAから4日間で届きました。
2.電気的衝撃に大変こわれやすい
(超過電圧、逆接、誤接続の絶対禁止)
3.ケースに対する「熱」「機械的圧力」に大変敏感かつこわれやすい。
ハンダゴテも15W程度のIC用先端の小型のものが望ましいでしょう。
(ケースは半田の付く金属製だが絶対に半田付けは禁止)
4.「出力位相」に注意!さすが半導体業界のマイク、「+OUT」「-OUT」
の概念がちがうのか、今回、ICS-40730では「-OUT」が正相であった。
mems-ICとして設計不良である。
熱の問題は、壊れていく様子をヘッドホンモニターして判明しました。
それは半導体の破壊ではなく「ECM」を構成するトランスデューサーのコンデション変化による音質変化、レベル変化、ノイズ発生と断定できました。
また、ダメージが軽い場合はある程度復元することもモニター確認できました。
この現象はICS-40720とICS-40730でたまたま確認できましたが他でも同様である、と考えます。
※こうして書けるのは今回4種類のマイク製作中、5個のmemsマイクを壊して判明した事実です、今後memsマイクとつきあっていくために貴重な経験でありました。
(参考)
(Digi keyのサイトより)
ECMとmemsマイクの構造のちがい
https://www.digikey.jp/ja/articles/techzone/2019/feb/mems-vs-ecm-comparing-microphone-technologies
参考図書:「音のなんでも小辞典」
(1996年第1版、2007年第2版)
(日本音響学会編 音のなんでも小辞典より)
2007年から考えても隔世の感です、まだまだ進化するでしょう。
まだまだ、いろいろとあると思います。
未踏の分野ですので、鬼が出るのか蛇が出るか予断は許されないが
これだけは言える、
「memsマイク」は使える。
以上
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3、fetⅡ‐bright など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
モノ作り日本もっと元気出せ!
【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、その場合、出典をあきらかに願います。
Shinさん独特のこだわりと非常識を以て音響の世界を刺激してまいります。
ShinさんのPA工作室 管理人
ご意見やご質問はこちらから宜しくお願いいたします
メールはこちらから sound_ai♪xk9.so-net.ne.jp (♪は@に直してください)