2425 :フリー・バウンダリーマイク「BLM UFO mems 」の試作 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

 

 

 TODAY'S
 
フリーバウンダリーマイク「BLM UFO mems 」

本マイクは机上使用を対象としており、形状・構造上、床置きには適しません。
(床置き型は100%が踏まれ、蹴られます。何よりもヘビーデューティが求められますので)
 

◎ 実使用イメージ(Ai生成)

 

 

 

 

 

 

 

 

床や机、平面の板上付近にはプレッシャーゾーン」Pressure Zoneが存在します。「バウンダリー・レイヤー」も事実上同義語です。

 

この領域は直接波と反射波が同相となり、音圧が上昇します。この場所にマイクを配置すると当然レベル上昇が発生し、効果的な収音が可能になります。

これは反射面から数cm以内で発生する音響現象です。

 

 

 

ここでは一般的なバウンダリーマイクではなく、この元祖である米「CROWN」(現AKG)のPZM(Pressure Zone Microphone」に学んだ方式を採用しました。(パテント関係は既に失効)

 

それは直接波と反射波の同相エリアの中で、音圧が最大値となるポイントに配置する方式です。

「密着位置」では「6dB」のレベル上昇が得られます。

 

 

 

この効果は上図「概念図 2」のように反射面にカプセルを下向きにほぼ密着した、これはCROWN(現AKG)の「PZM」に学びました。図中の「ECM」をMEMSマイクに置き換えて考えます。

 

 

 

 

 

 

すなわち、バウンダリー効果は反射面の面積に比例し、周波数依拠するため、今回のBLM mems-UFOのような小さいバウンダリーマイクの場合床上、机上に置き、反射面を大きくすることを前提としています。

 

この小さいBLMを筆者は過去から「フリーバウンダリーマイク」と名付けており、より大きな反射面上に置いて実用化してきました。

 

「記事:1242」の単一指向カプセル使用ピアノ用X-Y フリーバウンダリーマイクは多くの実績を持ちます)

 

すなわち、「ステレオバウンダリーマイク」というカテゴリーもこのサイトで実現されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バウンダリーマイク2つの方式両者とも米CROWN社の世界的発明です

 

(下の写真)

CROWN(日本ブランドAMCRON)のPZM-30は反射面に下向き1mmにカプセル配置されています。(中心部に突き出した棒状の先にカプセルがあります)写真からお分かりになると思います。

 

 

どちらもUSA CROWN社が開発したバウンダリーマイクです。

 

 

 

 

1.無指向性カプセル使用

PZM-30はプレッシャーゾーンマイク・・・無指向性カプセル使用

指向性:半球形指向性・・反射面から180度の範囲を半円状にカバーする指向性。

 

 

 

2.単一指向性カプセル使用

やはり同一メーカーCROWNの「PCC-160」がルーツです。

PCC-160とAT-871Rは同一原理と同じ構造を持ちます。

指向性:前方半球指向性・・・単一指向性の指向軸の半分がない。

 

これには単一指向性カプセルが用いられ、単一指向性「カーディオイド」マイクの軸上指向性を半分に切った指向性、すなわち床・机上から垂直に90度までの上方までが指向範囲となります。

 

どちらもプレッシャーゾーン=バウンダリーレイヤー上に配置して使う、バウンダリーマイクです。

 

 

 

 

 

 

(このサイト過去の製作例より2010年~

このブログでも15年前に製作したものがあり、芝居の公演への実践投入および公共ホールでのPCC-160およびAT-871Rとの比較テストでこれらを超える結果を得ました。

このときのカプセルはフォーリーフの UEB-5361を使用しました。(現在入手可能なUEB-5261でもPCC160より良い結果を確認しています)

 

 

 

 

 

PCC-160に学んだ記事1046、1317の作例

(床置き仕様のヘビーデューディ型)

 

記事:1317 PCC-160に学び、フォーリーフ UEB-5361を使用した「前方半球形指向性」バウンダリーマイク。2010年~2013年ころ話題を呼びました。(UEB-5261との切り替えしきも発表しています)

 

これにて、手作りのバウンダリーマイクがメーカー製に迫り、これを超えることができることを経験してきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

  「BLM UFO mems」の試作

マイクロホンの実機製作はまず外観形状から始めます

 

 

 

 

(筐体材料)

リン青銅板(t 0.1)の役割

 

MEMSマイク音穴部のハイインピーダンスを近接グランドプレーンにより音穴部分からメンブレン部のハイインピーダンスエリアを等価的に静電シールドさせ、弊害をキャンセルさせるEMC対策、および反射面1mmの確保。(ない場合ハムを引き、誘導ノイズの影響を受けます)

 

 

 

 

 

 

導電テープには無数のカッター傷を入れ、すべてのGND系は高周波インピーダンス、ゼロΩ化をめざしました、ここではスポット溶接はおこなっていません。

 

 

 

 

 

 

(回路図)

これは今回の回路図です。

このほか過去発表してきたファンタム動作出力部が採用できます。

また、あらゆるMEMSマイクまたはECMでの実験が可能かつ興味あるところです。

 

 

 

 

 



まとめ

今回の試作は本家のCROWN 「PZM30」を傍らに置き、これとの比較で進めました。

無指向性カプセルを使用したタイプのバウンダリーマイクとしてはたいへん良い結果を出してくれたと思います。

 

PZM30とは指向特性は同一、SN比も同等だが感度が圧倒的に高くMEMS有利、音質面でもIM73A135V01の優れた特徴を存分に発揮しています。

 

PZM30の最大音圧150dBA.3%(THD)には及ばないものの、バウンダリーマイクとしての性能は今回のBLM UFO memsの方に軍配が上がるでしょう。

 

質量が小さい「フリーバウンダリー」では舞台・床置きで使用すると足音を拾いやすいのが欠点です。

このためフラメンコ、タップではリアルな収音が可能ですが、むしろ机上使用向きといえます、ローカットSWを内蔵させることも可能です。

ICS-40740など100Hz以下がロールオフされたMEMSマイクが向いている場合があります。

 

 

気づき:この無(全)指向性カプセルの指向性の指向特性を音響的に半分ふさいだマイクロホンをテストする中で、この構造は発展形がおもしろい事を感じました。

 

以上

 

 

 

 

 

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