札幌駅から路線バスを乗り継ぎ、2019年3月に北見バスターミナル(北海道北見市)に達しました。
今回はその続き。北見駅前から中標津空港(根室管内中標津町)までのバス乗継旅、第一話です。
・札幌をスタートしたときの記事はこちら ⇒ [リンク]
・前回のお話(訓子府温泉入口⇒北見)はこちら ⇒ [リンク]
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JR北見駅です。今日はこれからバスに乗って釧路に向かいます。
この区間は4年前に乗ろうと計画していました。ところが札幌まで来たところで父危篤の知らせがあり、すぐ大阪へ戻り、旅は中止に。父の死後まもなく世の中はコロナ禍となり、旅行も控えるようになりました。
バス乗り場は駅すぐ隣の北見バスターミナル。
北見~釧路間には都市間バス「サンライズ号」が1日2往復運行しています。
この路線は旭川と釧路を結んでいるのですが、途中の北見でも乗降できるため、旭川-北見、北見ー釧路の都市間輸送も担っています。旭川から釧路までの走行距離は300キロを超え、所要時間はおよそ約7時間半。しかも高速道路は走行しません。
かつて、旭川-北見間には石北号、北見ー釧路間には釧北号、旭川ー釧路間にはサンライズ旭川釧路号という都市間バスが走っていました。サンライズ旭川釧路号は北見市街地を走行するものの、JR北見駅前を経由していませんでした。これら3路線を2023年10月に統合したのが現在のサンライズ号なのです。2023年9月の北海道新聞に路線統合の記事が載っていまして、それによると統合の理由は「コロナ禍で減った利用客が戻らず、運行に必要な乗務員も確保できないため」だそうです。
こちらは北見バスターミナルに停車中の旭川行サンライズ号。サンライズ号は道北バス、北海道北見バス、阿寒バスの3社共同運行となっていまして、この車両は道北バスですね。ここで約30分停車し、発車は釧路行と同じ17時ちょうどの予定となっています。
発車時刻を過ぎましたが釧路行サンライズ号はまだ姿を現しません。遅れがなければ16時30分に北見バスターミナルに到着しているのですが…。旭川行も発車時刻を過ぎているのに発車しません。
しばらくして3番のりばにはバスではなく職員さんが現れ、バスを待つ数人に状況を説明してくださいました。釧路行サンライズ号は留辺蘂でほかのクルマと接触し、その事故処理のため遅れているとのこと。軽い接触でも警察を呼んでちゃんと処理しないといけませんから、時間がかかりますよね。
こちらは釧路行と同じ3番のりば発の常呂行(17時10分発)。3番のりばに停車したものの、17時発の釧路行がまだ来ていないので4番のりばへ移動します。
「いまヨーカドーのあたりを走ってますんで」
職員さんが釧路行の走行位置を案内してくださいます。どのあたりなのか、北見の人しか分からないかも。私はついさきほどイトーヨーカドーで買い物したので分かります(笑)。
17時10分に常呂行が発車。そのすぐあとに阿寒バスの車両が入ってきました。釧路行です。ここまで運転してこられたのは道北バスの運転士さんで、ここ北見で阿寒バスの運転士さんと交代します。この阿寒バスの運転士さんは隣の旭川行に乗務してこられた方なのでしょう。そして道北バスの運転士さんはこれから隣の旭川行に乗務するのだと思います。お疲れ様です。
2024年4月10日(水)
北見バスターミナル 17:00
↓ 阿寒バス
↓ サンライズ号
↓ 阿寒バス本社行
↓ 4200円
フィッシャーマンズワーフMOO 20:00
車内は3列シートでトイレ付きですね。
釧路行は北見で30分休憩せず、約10分停車ののち出発しました。これで40分の遅れが20分に短縮。乗客は4人です。
しかし、発車してすぐ、大通バス停(パラボのすぐ北側)でバスは停まり、運転士さんは「もう少しお待ちください」と言ってバスターミナルへ向け走って行ってしまいました。
結局、約30分の遅れで北見市街地を出ます。
バスは道道27号北見津別線を走行。
▲上の写真を自宅にいる妻へメール送信。
しげたか「チミケップ入口付近にいます」
妻「思ったより雪ないね」
道東に行くと伝えてなかったのでビックリさせるつもりが、リアクションはいまいち。
開成峠を越えと津別町です。写真は撮ってませんが鹿を発見。
チミケップ入口バス停を通過します。ここから分岐する道道682号を10キロ行くとチミケップ湖があります。
▲9年前(2015年)のゴールデンウィークに、湖畔のホテルで一泊しました。
当時は雪がところどころ残り、3月まで湖上で犬ぞりをしていたという話も聞きました。いまの時期(4月10日)の湖畔って、どんな様子なのかな。
バスは津別の市街地に入ります。
信号機のある十字路に未舗装の細い道(上の写真、左側)が斜めに交差しています。国鉄相生線(1985年廃止)の線路跡です。バスはこれから相生線跡に沿って進むものの、日没以降は線路跡らしいものが近くにあっても判別できません。
約15分遅れで津別町の町営バスターミナルに到着。乗降客はいません。バスターミナルの職員さんらしき姿が見えます。瑠辺蘂での事故の話を聞き、心配して出てきたのかな。
「ハイヤーのりば」の文字を見て北海道に来たことを実感。
ここからは国道240号を南下します。網走川に沿った道路です。網走川は蛇行していて、国道とくっついたり離れたり。日没時刻(18時1分)を過ぎ、景色がよく見えなくなってきました。
▲こちらは同じ日の昼間に飛行機(千歳⇒女満別)から撮った1枚。津別町上空から南の方を撮っています。バスはこの写真の左下から上の方へ向けて走っているわけです。
道の駅あいおい前を通過。ここは相生線の終点、北見相生駅があった場所です。道の駅の裏は鉄道公園として整備され、駅舎や車両が保存されています。
▲こちらは2015年に道の駅を訪問したときの投稿。ぜひご覧ください。
相生の集落を過ぎると峠道が始まります。
釧路と北見を結ぶ釧北峠です。国境の峠ということで交通量が少ないですね。
峠を越えると釧路市。オホーツク管内から釧路管内に入ったことになります。
地形的には、峠の坂道を下ったところは雌阿寒岳と雄阿寒岳に挟まれたカルデラにあたります。約2キロ下ったところで国道241号と合流し、しばらく国道2本の重複区間となります。左に阿寒湖(カルデラ湖)が見え、阿寒湖温泉の温泉街に入りました。釧北峠の頂上からここまでの間にすれ違った車はわずか4台。相生から数えても10台前後でした。人口密度の低い地域とはいえ、こんなにも交通量が少ないとは。
▲翌日乗った飛行機から撮った写真を載せておきます。上が南で中央の山が雄阿寒岳。その左の湖が阿寒湖です。
約15分の遅れで阿寒湖バスセンターに到着。ここで休憩タイムだと思ってたのですが、休憩なし。ひとりが下車してすぐに発車します。バスセンターのセイコーマート、寄りたかったな(笑)。
このあたりの道路は「まりも国道」と呼ばれています。名称は阿寒湖のまりもに由来し、道東観光のメインルートといえます。しかし夜間は景色が楽しめず、早く釧路の灯りが見たいなと思えてきました。
シカ注意の路面標示が何度も出てきます。実際に鹿やキツネの道路直前横断が複数回あり、
「キャハハ、奈良公園みたい」
などと呑気なことは言ってられません。
道路の両サイドが反射板の壁になっている箇所がいくつかありました。夜間や降雪期は道幅がわかりにくいのでしょう。こんなの初めて見ました。
国道241号が左に分岐したあと、バスは南に向いて走ります。阿寒湖から40分ほど走り、定刻19時13分に阿寒町バス停を通過。30分も遅れてたのに、回復できるものなんですね。
▲Googleストリートビューより
ここから釧路空港までの間はタンチョウヅルの越冬地となっていて、珍しい「鳥注意」の道路標識が立っています。
釧路空港付近を通り過ぎ、しばらく進むと大楽毛の市街地です。ほぼ定刻に大楽毛駅前を通過。大楽毛は日本三大馬市のひとつ。馬市創設は1911年のことだそうです。釧路地方の土地は泥炭地で畑作には不向きとされ、農業をするために入植した人たちは牧畜を選ぶしかありませんでした。そんな釧路をはじめ、道東各地で生産された馬がここ大楽毛に集まったのです。
大楽毛からは国道38号を東へ進みます。左右にロードサイド店舗が並びます。
鳥取大通2丁目で1人下車。鳥取という地名は、鳥取藩士族がこの地に開拓移住して鳥取村を作ったことに由来します。この縁で釧路市と鳥取市は姉妹都市提携を結んでいるのだそうです。
鳥取大通1丁目でバスは右折。新釧路川の右岸を走ります。
釧路大橋を渡り、2キロほど進むと右に和商市場が見えました。釧路駅はもうすぐ。
釧路駅前では2人下車。残った乗客は私ひとりです。
北大通を進み、MOOにはほぼ定刻の20時1分に到着しました。
しげたか「定刻着ですね!」
運転士さん「ご乗車お疲れさまでした」
なぜか二人で大笑い。運転士さんこそ、お疲れさまでした。
バスを降りたフィッシャーマンズワーフMOOは幣舞橋北詰に位置する複合商業施設。バブルの遺産的な建物と言えます。
バス乗り場には誰もいません。
MOOの2階には屋台村みたいなのがありますが、やってるかどうかわからない店が目立ち、入りませんでした。
ちょっと幣舞橋を見てから宿に向かいたいと思います。
幣舞橋は釧路川に架かる橋。北海道三大名橋のひとつとされています。ちなみに他の二つは豊平橋(札幌)と旭橋(旭川)です。
啄木が
「さいはての駅に下り立ち 雪あかり さびしき町にあゆみ入りにき」
と詠んだ釧路駅は現在の釧路駅の位置ではなく、MOOの西側(上の写真で言うと左側)にあったそうです。
今日は釧路で一泊。明日は「さいはての駅」のさらに先へ進みますよ。
(訪問日2024/4/10)