※ネタバレか否かは読者自身の自己責任なので、あしからず
シネマ#97
『ルックバック』
in新静岡セノバ
監督●脚本●編集/是枝裕和
原作/藤本タツキ
出演/出口夏希●蒔田彩珠●七瀬ふうり●岡田六花●菅田将暉●宮藤官九郎●池田良●野呂佳代etc
2026年/松竹●集英社etc
99分

採点/85点
活発で笑いとストーリー構成に秀でた藤野と、人見知りが激しく閉じこもり生活が続いた画力の天才・京本。
陰と陽、性格もセンスも真逆の2人が小4の学級新聞で掲載する4コマ漫画をキッカケに、運命の出逢いを果たし、夢の漫画家デビューを目指し、切磋琢磨する道程を追い綴った青春物語。

今年の正月に、NHKのオンエアで何気なく観たアニメ版にとても感動し、遂に、今秋、巨匠・是枝裕和の腕により、満を持しての実写化が実現。
期待と心配が大きく揺れ動く今日、雨の中、劇場へ出向く。

漫画を介して2人の友情と衝突を、アニメ版で描かれた部分、描かれていなかった部分を如何に、役者を起用して表現してゆくのか、相違点を指摘して批評しようと思っていたが、そんな上から目線の愚考が野暮の骨頂に過ぎない事を静かに思い知った。
絵描きのプロとしての責任、夢を語り合った親友としての絆、そして、突然の別れと出発について、其々の分岐点を残酷なまでに、美しくスクリーンに刻まれており、素直に涙を流す自分に気付く。

成長よりも喪失ばかり背負うばかりの日々が久しくなったオッサンには、羨ましくもあり、嫉妬も覚える。
不思議な清々しさに浸りながら、独り、劇場を後にする秋の午後なのであった。
では、最後に短歌を一首
『並走(想)を 夢見て揺らぐ 筆と風 振り向く季節(とき)へ 生きた証(明かし)を』
by全竜
