『バースデーカード』 | やりすぎ限界映画入門

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ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『バースデーカード』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]

2016年/日本映画/123分
監督:吉田康弘
出演:橋本愛/ユースケ・サンタマリア/須賀健太/中村蒼/安藤玉恵/黒田大輔/篠川桃音/中村ひなの/湯川ひな/洞口依子/谷原章介/木村多江/宮崎あおい

2016年 第32回 やりすぎ限界映画祭
2016年 ベスト10 第1位:『バースデーカード』
やりすぎ限界パルムドール/やりすぎ限界男優賞/やりすぎ限界女優賞/やりすぎ限界監督賞/やりすぎ限界脚本賞:『バースデーカード』


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:橋本愛


やりすぎ限界女優賞:宮崎あおい


やりすぎ限界男優賞:ユースケ・サンタマリア


やりすぎ限界男優賞:中村蒼


やりすぎ限界女優賞:中村ひなの


やりすぎ限界女優賞:篠川桃音


やりすぎ限界女優賞:木村多江


やりすぎ限界男優賞:谷原章介


[「実話」に見えた]



■「じゃああ…
  11歳の誕生日も 手紙くれる?」
 「うん 12歳も 13歳も」
 「俺のは?」
 「もちろん正男も
  ママ約束する
  二人の誕生日に 毎年手紙書く
  二人が大人になるまで ずっと」




「何も知らなかった」僕は、『バースデーカード』が「実話」に見えた。『パネルクイズ アタック25』に出場した挑戦者の、「手記」「自伝」を基にした映画かと思った。「完全創作」と知った時、大きい方がパンツについてしまった。



もし自分の命が、「あと1年生きられないかもしれない」と知ったら、僕なら何をするだろう? 母、芳恵(宮崎あおい)は、10歳の娘、紀子(篠川桃音)の誕生日に、「二人の誕生日に 毎年手紙書く 二人が大人になるまで ずっと」と約束してしまう。幼い娘と息子がそれぞれ「20歳」になるまで、毎年誕生日に手紙を書いて送ると約束してしまった母親が、「嘘」に見えなかった。姉と弟が「20歳になる時の分まで」、手紙を書き残して死んだ母親の話が、「本当にあったこと」に見えた。

[「手紙映画」]



見終わってから調べ、『バースデーカード』が「完全創作」と知ったのは、「死んだ母親から毎年誕生日に20歳まで手紙がくる」、「全く同じ題材」の映画、2005年の「蒼井優」主演「熊澤尚人監督」の『ニライカナイからの手紙』の存在を知ったからだった。「2本」を見比べ、『バースデーカード』が「リメイク映画」ではないことを知った。



「リメイク映画」とは違う、「全く同じ題材」を扱った映画はかなりある。最近では『フライト』『ハドソン川の奇跡』。過去にも『ターミネータ2』『僕の彼女はサイボーグ』、『レオン』と『アジョシ』などが「全く同じ題材」を扱った映画。これらは『七人の侍』と『荒野の七人』、『ニキータ』と『アサシン』のような「リメイク映画」とはまた違う。



「全く同じ題材」を扱っても、「テーマ」「ストーリー」が「新たな違う創作」になってる映画を、僕は「オマージュ映画」「リスペクト映画」「インスパイア映画」と解釈する。



「死んだ母親から毎年誕生日に20歳まで手紙がくる」『ニライカナイからの手紙』と『バースデーカード』。また「死んだ夫から手紙がくる」『P.S.アイラヴユー』。そして「なりすましの手紙がくる」『シラノ・ド・ベルジュラック』。…………。「バンパイア映画」や「ロードムービー」というジャンルが確立してるように、『ニライカナイからの手紙』と『バースデーカード』を見て、「手紙映画」というジャンルの確立を感じた。

[『パネルクイズ アタック25』]



『パネルクイズ アタック25』を知らない日本人はいるのだろうか? 子供の頃「運動」できなかった僕は、TVをかなり見てた。「児玉清」の『パネルクイズ アタック25』が好きで、かなり毎週見てた。



「世界に誇れる日本映画」とはどんな映画だろう? 「他のどの国でも見れない日本でしか見れないもの」が見れる映画だと思う。「ビートたけし」の漫才のように、日本人なら誰でも知ってる「お茶の間の人気TV番組」が、僕は大切な「日本文化」に見えた。『パネルクイズ アタック25』の話で、「これでも泣かないか」までの「泣かし」を見せた『バースデーカード』に、「震撼」「驚愕」「圧倒」「尊敬」「絶句」だった。

[「愛の映画」]



■「小学生の時にね
  クイズ大会の代表に選ばれて…
  一問も答えられなかった」
 「どうして?」
 「…臆病だったから」





「死んだ母親から毎年誕生日に20歳まで手紙がくる」ことが、「もし」本当にあったら、紀子(橋本愛)や家族はどんなことになるだろう? 



母のような優れた人間になれず、消極的な性格を悲観し続けてきた紀子。大きな喜びや楽しみを見出せない寂しさに「苦しみ」を感じて生きてきた。「臆病」なせいで、子供の頃母を哀しませた。母への罪悪感が消えない「苦しみ」が痛いほど伝わった。



大人への成長の過程で、紀子の「自我」が目覚める。だが紀子の「自我」を超える「親」の「愛」に「絶句」した。ここまで人間は、人間を愛することができるのか?



「ゆっくり」でも、「あの日をやり直したい」と思う「成長」まで、紀子を導いた母の「愛の映画」に、「涙が出なくなるまで泣いた」。

[「橋本愛」女優生命限界点「極限の美」]



『やりすぎ限界映画』とは?[定義⑤]『恋愛映画における女優の私見』において、今日まで「橋本愛」女優生命限界点「極限の美」だった、『リトル・フォレスト 夏・秋』『リトル・フォレスト 冬・春』が、敗れる時がきたかもしれない。『バースデーカード』は僕が見てきた「橋本愛」全作品の中で、「もうこれ以上美しく橋本愛を撮れない限界点に到達してる映画」。



『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part1』の「クリステン・スチュワート」に「負けない」、「橋本愛」の荘厳な「ウエディングドレス」「極限の美」に震撼せよ。



初めて『エイリアン2』を見た時、僕は「パワーローダー」を見て、涙を流しながら笑い大きい方がパンツについてしまった。それから『ダイ・ハード』を見て、「巡査部長パウエル」が撃った銃が「パワーローダー」の「真似」に見えてしまった。




『陽だまりのグラウンド』『ハナ 奇跡の46日間』のごとき畳掛ける「これでも泣かないか」までの「泣かし」。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』級の、「吉田康弘監督」が仕組んだ恐るべき「伏線」を思い知る以外、もはやなす術はない。




画像 2019年 5月