■『リトル・フォレスト 冬/春』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]
2015年/日本映画/121分
監督:森淳一
出演:橋本愛/三浦貴大/松岡茉優/佐藤さち子/千葉登喜代/小島康志/北上奈緒/岩手太郎/篠川桃音/照井麻友/栗原吾郎/渡辺佑太朗/イアン・ムーア/温水洋一/桐島かれん
2015年 第31回 やりすぎ限界映画祭
■2015年 ベスト10 第7位:『リトル・フォレスト 冬・春』
■やりすぎ限界審査員特別賞/やりすぎ限界女優賞/やりすぎ限界監督賞/やりすぎ限界脚本賞:『リトル・フォレスト 冬・春』
[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。
■やりすぎ限界女優賞:橋本愛
■やりすぎ限界女優賞:松岡茉優
■やりすぎ限界女優賞:桐島かれん
■やりすぎ限界女優賞:篠川桃音
■第2稿 2020年 10月20日 版
■『リトル・フォレスト 夏/秋』のつづき
[「自然との共存」]
「もし電気がなくなったら?」 文明が発達して頭が良くなり過ぎた「情報化社会」で「今」、「PC」「SNS」などが突然使用できなくなったら、『サバイバルファミリー』のように「全世界壊滅」と言って大袈裟ではない。
だが「生きる」ということだけを考えるなら、「食べ物が永遠になくならい環境」で生活できれば、電気がなくても生きることはできる。「食べ物が永遠になくならい環境」ならば、電気がなくても死には追い込まれない。
何が起こるか解からない世界で、電気が「絶対なくならない」とは言い切れない。もともと農耕民族だった人間は「大自然」の驚異と共存してきた。その時生き残れるのは、いち子(橋本愛)の「自給自足」の「知識」「技術」だけかもしれない「自然との共存」に脅威を感じた。
『リトル・フォレスト 夏/秋』『リトル・フォレスト 冬/春』「4部作」の「四季」を彩る風景に息を呑まれる。「大自然」の美しさに魅せられた。「絶景」の圧倒的「極限の美」。世俗を離れた世界で「学歴社会」「人間関係」を気にせず生きる、「自然との共存」の「魅力」「教え」をも思い知らされた。
[「良いこと」「悪いこと」]
だが全てのことに「良いこと」「悪いこと」がある。「都会」をイメージする暮らしは生活が便利な反面、「人間関係」による精神的苦痛は多いかもしれない。「田舎」をイメージする暮らしは生活が不便な反面、「人間関係」による精神的苦痛は少ないかもしれない。「会社」の仕事は肉体的に楽かもしれないが、大きな喜びは見出せないかもしれない。「自給自足」の仕事は肉体的に苦しいかもしれないが、自分の好きにやりたいことをできる。どちらの生き方に魅力を見出すか、『リトル・フォレスト』「4部作」は観客に問い掛ける。
確かに「自給自足」は、煩わしい「学歴社会」「人間関係」に囚われない「生き方」かもしれない。だが「最期」に行き着くのはやはり「人間」。人間は完全な「孤独」に耐えられない。「自給自足」、「農業」「料理」の恐るべき「知識」「技術」は、「人間」の生活を良くするために生まれたもの。「人間」の共存しない世界だったらどんなに素晴らしい「知識」「技術」も評価されることはない。「たった一人」「ぼっち」では家族を持つこともできない「孤独」に、福子(桐島かれん)もいち子も気づいたように見える。
[『リトル・フォレスト 冬』「dishベスト3」]
■「その今年のもち米作りの成果が
今…
今…
今!
いただきます」
■「いや 今年のサツマイモの
保存うまくいったなあ」
「そんなに冷え込まなかったしね
おいしい-
アチチチチチ」
■「スパイスたっぷり
本格インド風チキンカレー」
「いえーい」
「おいしい?」
「うん」
「全部おいしそう」に見える『リトル・フォレスト 冬』「7つ」の「dish」の中で、「絶対食べたい」「dishベスト3」は「納豆もち」「焼イモ」「本格インド風チキンカレー&チャパティー」。特に一番印象に残ったのは「納豆もち」。東北の生まれの母と「小森」は共通点があるのか、母の「納豆もち」を子供の頃から食べて育った。母を思い出してしまった。
[『リトル・フォレスト 春』「dishベスト3」]
■「シドケ 出てる出てる
おひたしか天ぷらが
香りが生きておいしい
とりあえず確保
エンレイソウ」
■「お代わり」
「キッコ何杯目?」
「3杯目」
「ばっけ味噌だと進むねえ」
「やばいくらいね」
■「 “塩マスとノビルと
白菜のつぼみ菜のパスタ” 」
「うん」
「というか あり合わせだけどどう?」
「ノビルの辛みがいい感じ」
「全部おいしそう」に見える『リトル・フォレスト 春』「7つ」の「dish」の中で、「絶対食べたい」「dishベスト3」は「山菜天ぷら」「ばっけ味噌」「塩マスとノビルと白菜のつぼみ菜のパスタ」。特に一番印象に残ったのは「ばっけ味噌」。東北の生まれの母と「小森」は共通点があるのか、母の「ばっけ味噌」を子供の頃から食べて育った。母を思い出してしまった。
[「やりたいこと」]
「やりたいこと」は「俳優になる」「歌手になる」「ダンサーになる」だけではない。また「政治家になる」「弁護士になる」「医者になる」だけでもない。「旅行する」「おいしいものを食べる」「結婚する」も充分「やりたいこと」。
自分が「幸せ」「喜び」を感じられることして生きることが、人間にとって「一番大切」なのだと思う。「幸せ」「喜び」を感じる「好きなこと」「興味を持つこと」「楽しいこと」をして生きれるなら、「高校」「大学」、社会的な「地位」「名誉」、「学歴社会」「人間関係」など「全く関係ない」。
[「自分の居場所」]
「人間関係」を築くのが苦手だった福子。「自分も母と同じ道を生きるのか?」 母を見て育ったいち子は、人生なんて「こんなもの」と思うのか、「これではいけない」と思うのか?
「自分一人の力で食っていく」ことができても、「孤独」から逃れることはできない。娘を「自立」まで育てた愛と、不器用でも絶対あきらめず「人間関係」に挑み続けた母親の姿に心撃たれた。また母親の愛を思い知り、絶対あきらめず「自分の居場所」を探し続けた娘の姿にも心撃たれた。
「好きな人と好きなことをして生きる」。「最期」にいち子が見出した「やりたいこと」、「自分の居場所」の答えが、母福子には手に入れられなかった「最高の幸せ」に見えた。母親の人生を超えたのかもしれない。
煩わしい「学歴社会」「人間関係」に囚われる必要など皆無だが、「自分で自分が食べたいものを作る」「一番美味しいものを食べる」「楽しみ」「喜び」は、「好きな人と好きなことをして生きる」のと「一緒」の方が絶対「最高の幸せ」が増す。「自立」とは、「生きてて自分が一番居心地のいい場所」、「自分の居場所」を見出すこと、努力して創ることなのかもしれない。「小森」に戻ったいち子が、『リトル・フォレスト 夏/秋』『リトル・フォレスト 冬/春』「4部作」で見出した、「好きな人と好きなことをして生きる」答えが、人間にとって「一番大切」なことである「教え」に見えた。
■『リトル・フォレスト 夏/秋』
■『リトル・フォレスト 冬/春』
画像 2020年 10月