高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


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32. ケアマネとの連携で関係を築く方法 —「親は家族みんなのもの」を実現するために—

 

高齢親の支援では、ケアマネジャー(以下、ケアマネ)との関係づくりが要です。

 

囲い込みが起きている家族ほど「味方につける/敵に回す」という発想になりがちですが、目的はただ一つ――親の意思と利益を最大化すること。

 

本稿では、公認会計士・税理士としての実務視点と、家族心理の観点から、今日から使える連携のコツを整理します。

 

 

 

 

1. まず「役割」と「ルール」を押さえる

 

ケアマネは介護保険の居宅介護支援の要で、個人情報の守秘義務があります。家族からの情報提供は歓迎されますが、情報開示は「本人の同意」または正当な権限が前提です。

 

よって、最初にやることは以下の二つ。

  • 本人の意思確認:家族との情報共有に同意しているか。
  • 形式の整備:可能なら同意書や委任状(連絡先、共有範囲、期間)を簡潔に。
    ※具体的書式は地域や事業所により異なるため、作成時は担当事業所や専門家へ相談を。

 

 

2. 初回コンタクトは「短く・礼儀正しく・目的明確」

 

電話やメールでの例(要約)

  1. 名乗りと続柄/連絡先
  2. 連絡目的:「本人の意思を尊重しつつ、見守りと情報共有の連携をお願いしたい」
  3. 提供できる事実:「転倒歴」「服薬状況の変化」「家族の緊急連絡体制」など
  4. 15分の情報交換の打診(繁忙を前提に選択肢を提示:電話・メール・面談)
    書面上のポイント:出来事と日時を客観的に、評価語は避ける。
    心理面のポイント:相手の業務量への配慮を言語化(「お忙しい中、三点だけ共有します」)。
 

 

 

3. 継続連携の設計――頻度・チャネル・記録

  • 頻度:月1回の定例連絡+変化時の臨時連絡。
  • チャネル:要点はメールで、緊急は電話。家族内は共有ノート(日時・要約・宿題)。
  • 記録:合意事項は「誰が・いつまでに・何を」まで明記。
  • ケース会議:医療・介護・家族が同席する15~30分の小会議を提案。議事メモを翌日までに送付。

 

 

4. 囲い込みが疑われる場面での打ち手

 

「きょうだいの一人が連絡を遮断」「面会が不当に制限」――このときケアマネに“圧”をかけると関係が壊れます。順序で解決を。

 

  1. 事実の提示:面会拒否が続いた日付と回数、本人の発言・表情の変化。
  2. リスクの言語化:社会的交流の断絶、服薬アドヒアランス低下、虐待リスクの見逃し。
  3. 代替案:オンライン面会、同席面会、短時間からの段階的再開。
  4. 合意形成:試行期間と評価指標(頻度・時間・本人の反応)を設定。
    書面上のポイント:主張ではなく「観察」と「提案」を分ける。
    心理面のポイント:相手きょうだいの不安(負担・責任感・評価への恐れ)を想定し、否定せず受け止める。

 

 

 

5. NG行為を知っておく

  • 同意なく録音・録画、夜間の連絡、感情的クレーム、過度な贈答。
  • ケアマネを「味方/敵」で二分する発言。
  • 介護と財産管理の混同(財産は別ルートで検討:任意後見、家族信託、遺言等。制度選択は専門家へ)。

 

 

6. ミニケース(匿名加工)

 

Aさんは兄による実質的な囲い込みで面会できず。

 

Aさんは母の転倒歴と服薬副作用の情報を整理してケアマネに共有し、「本人の安全と孤立防止」を目的にオンライン面会を提案。月1のケース会議を設定し、兄の負担感と不安を可視化。まずは10分の同席面会から再開し、3か月で単独面会へ段階的に移行できた。

 

 

7. すぐ使えるチェックリスト

  • 本人の同意/委任はあるか
  • 目的は「親の利益」と言語化できているか
  • 連絡は短く、事実→提案→合意の順か
  • 記録(日時・要点・宿題)を翌日までに送ったか
  • 面会代替案(オンライン・短時間・同席)を用意したか

 

おわりに

 

ケアマネは家族の「代理人」ではなく、本人の生活を支える専門職です。

 

礼儀×記録×合意、この三点を積み重ねることで、関係は安定し、囲い込みの解消にも近づきます。

 

「親は家族みんなのもの」。その原点を共有し、同じ方向を向くことから始めましょう。

 

 

 

 

 

 

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4. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~

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7. 女性起業家×アドラー心理学(準備中)

 

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31.施設職員への伝え方──冷静に事実だけを伝えるには?

 

親の面会が急に制限された、連絡が一方的に遮断された──そんなとき、感情が高ぶるのは当然です。

 

けれども、介護施設の職員は「安全」と「公平」を守る立場にあり、感情的な訴えよりも、整理された“事実”と“具体的な要望”に最も反応します。

 

本稿では、公認会計士・税理士であり「高齢親の囲い込み解消」を支援する立場から、わかりやすく誰でも実践できる“伝え方の型”と文例を紹介します。

法律判断は弁護士に委ねるべき事項ですが、事実の伝達は誰にでもできます。ここを押さえるだけで、話し合いの進み方は大きく変わります。

 

 

 

1. 基本姿勢:施設は“敵”ではない

  • 目的を明確にする(例:「面会の再開」「情報共有の改善」「連絡窓口の確認」)。
  • 推測や評価は分ける。「書面上の表現=事実」「内面の仮説=自分用メモ」に切り分ける。
  • 「私は…と認識しています」という一人称で述べる。他者の意図や性格づけは避ける。
  • 非難より提案へ。「問題→影響→代替案」の順に話す。

 

2. 事前準備:5W1H+証拠

 

次の3点をA4一枚にまとめてから連絡すると、やり取りが一気にスムーズになります。

  1. 事実の時系列(When/Where/Who/What/How):
     2025年7月10日 14時、施設受付で職員Aさんから「本日は面会不可」と言われた。
     7月12日、家族LINEで兄Bから「今後は私を通して」と連絡。
  2. 裏づけ(写真・面会記録・LINEスクショ・施設からの通知など)。
  3. 要望の優先順位(第一:定期面会、第二:主治医からの情報共有、第三:緊急時の連絡体制)。

ポイントは、「誰が見ても同じ意味に読める短文」に分解することです。

 

 

3. 伝え方の“型”(三段ロジック)

  1. 事実:確認可能な出来事だけを書く。
  2. 影響:こちらに生じた実務的な不都合に限定する(不安・怒りは書かない)。
  3. 要望:期限・方法・代替案まで具体化する。

 

電話・窓口の一言テンプレ

  • 「事実確認のお願いでお電話しました。7月10日と12日の出来事について、施設としての方針を教えてください。」
  • 「面会の可否基準と手続を文書でいただけますか。可能であれば本日中にメールでお願いします。」

 

メール(書面)テンプレ

件名:面会手続の確認と今後の連絡方法について(○○様入所)

本文:

○○介護老人福祉施設 ご担当者様

 

入所者:田中○○(生年:19XX年)について、下記2点を確認させてください。

 

【事実】

・7/10 14:00 受付にて「本日は面会不可」との案内を受けました(担当:A様)。

・7/12 家族Bより「今後の連絡はBを通じて」との連絡がありました(LINE履歴あり)。

 

【影響】

・主治医の説明および服薬状況の把握が遅れています。

・緊急時の連絡経路が不明確です。

 

【要望】

1. 施設の面会基準(可否条件・時間帯・同席要否)を文書でご提示ください。

2. 医療・介護に関する情報共有の正式な窓口(氏名・連絡先)をご指定ください。

3. 代替案として、対面が難しい場合は「オンライン面会(15分・週1回)」を提案します。

回答期限:〇月〇日(〇曜)17:00までに、可能であればメール返信をお願いいたします。

 

差し支えなければ、私の連絡先を入所者の緊急連絡先に追記してください。

――――――――

氏名/続柄/電話/メール

※添付:面会記録(PDF)、LINE履歴(画像)

 

 

 

4. 「伝えないこと」を決める

  • 推測(「兄が隠している」など)、人格評価、過去の恨みは書かない。
  • 「脅し文句」(直ちに法的手段等)の乱発は逆効果。必要なら専門家に相談し、文面は中立表現に。
  • 録音・録画の扱いは慎重に。記録はメモを基本とし、取り扱いは相手のプライバシーに十分配慮する。

 

5. 記録化と再確認で“誤解ゼロ”に

  • 連絡ログを残す(日時/相手/要点/次のアクション)。
  • 面談後は「本日の合意事項確認」メールを出す。
    例:「本日、面会は水曜15時・15分・職員同席で試行、次回8/28に再評価、で一致しました。相違があればご指摘ください。」

 

6. 返事がない・進まないときの段取り

  1. 2~3営業日後にリマインド。
  2. 施設長・相談員へエスカレーション。
  3. 運営法人、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当へ「事実の共有と相談」。
  4. 医療・介護・法的な判断が絡む場合は、主治医・ケアマネ・弁護士に個別相談。ここから先は専門領域です。

 

 

7. 感情のケアは“別回路”で

 

怒りや悲しみを否定しない。ただし、感情は別ノートに書き出し、施設への連絡は事実と要望だけに分離する。第三者(信頼できる友人や支援者)に下書きを見てもらうのも有効です。

 

8. 最終チェックリスト(送信前30秒)

  • 事実は日時・場所・人・行為で書かれているか。
  • 影響は“実務的”か。感情語が混ざっていないか。
  • 要望は期限・方法・代替案まであるか。
  • 名指しの非難・推測・脅し文句を入れていないか。
  • 返信先と連絡可能時間を明記したか。
  • 添付資料のタイトルが分かりやすいか。

 

まとめ

 

「冷静に事実だけを伝える」とは、感情を押し殺すことではありません。事実と感情を切り分け、相手が判断できる材料(基準・記録・代替案)を添えて差し出すことです。施設職員は、明確な情報と具体的な提案を歓迎します。

 

今日からテンプレを使い、三段ロジックで一通送ってみてください。

 

小さな一歩が、面会再開と信頼回復の大きな一歩になります

 

 

 

 

 

 

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30.親の意思をどう確認するか?判断能力があいまいな場合の対処

 

親の意思が見えない。

きょうだいの一人が面会や連絡を制限し、他の家族は「本当に親が望んでいるのか?」と疑いを抱く。

 

こうした“囲い込み”の現場で最初に問われるのは、親の「意思の確認」です。

高齢になると判断能力は白黒ではなくグラデーションになり、時間帯や環境で揺らぎます。

 

本稿では、平易さを保ちつつ、法律・税務・心理の観点を交えて、判断能力があいまいな場合の“実務的な意思確認のしかた”をまとめます。

一般的な情報提供であり、具体的な手続は各専門職(弁護士・司法書士・公証人・医師等)へ個別相談してください。

 

 

 

1. 原則:本人の意思を最優先する

 

意思決定は「本人の権利」です。

家族が代わりに決めるのはあくまで例外であり、まずは本人が理解できる形に情報を整え、決められる部分は本人に決めてもらう「意思決定支援」が基本姿勢になります。判断能力は行為ごとに評価され(例:大きな不動産売買と、日々の生活選好は別)、同じ人でも「午前中ははっきりしている」「静かな場所だと理解が進む」などの差が出ます。

 

 

2. 判断能力はグラデーションで捉える

 

「話せる/話せない」で切らず、次の三点で見立てます。

  1. テーマ別能力:財産・医療・居住・面会など、領域ごとに理解力は異なる。
  2. 環境依存:時間帯(夕方は疲れやすい)、同席者(威圧する家族の前では黙る)、騒音や照明。
  3. 反復での安定性:同じ説明を日を改めても同様に理解・選択できるか。

 

 

3. 意思確認の実務ステップ(6段階)

  1. 目的の明確化
     何を決めるのかを一つに絞る(例:面会の頻度、生活の希望、相続方針の大枠など)。
  2. 場を整える
     静かで中立的、短時間(15~30分)を目安。疲れやすい場合は午前中。利害関係者が圧をかけない座席配置。水分や眼鏡・補聴器の準備。
  3. わかりやすい説明+要約返し(Teach-back)
     専門用語を日常語に置換し、図やメモを使う。説明後に「いま私が言ったことを、あなたの言葉で教えてください」と要約してもらい、理解度を確認する。
  4. 選択肢は少なく、保留と撤回を可
     二択+“保留”を提示する。「今日はここまで、明日また考えましょう」と時間的余裕を必ず示す。
  5. 価値観・感情の聴取
     事実質問(誰と住みたいか)に加え、価値観質問(何を大切に感じるか)を聞く。過去の生活史や口癖から“その人らしさ”を拾い上げる。
  6. 記録化
     日時、場所、同席者、説明内容(使った紙資料も保存)、本人の言葉(できれば逐語)、合意事項、保留事項。録音・録画や、第三者の同席メモがあると後日の紛争予防に有効。
 

 

4. 記録の具体策

  • 面談メモ/議事録:A4一枚で要点化。本人の発言は引用符で。署名・押印が取れればベター。
  • 音声・映像:短時間で要点のみ。疲労が見えたら中断。
  • 医師の意見書:もの忘れ外来や主治医に“現時点の理解・判断の目安”をコメントしてもらう(医療機関による)。
  • 公的関与:重要意思(遺言・任意後見契約など)は、公証人の関与で手続の適正を担保する方法がある。

※いずれも証拠化のためであり、誘導や圧力をかける材料に使ってはならない。

 

 

5. 第三者を入れる判断基準

  • 利害関係が強いきょうだい同士で合意形成が難しい
  • 親が特定の子の前だと萎縮する
  • 財産・住まい・医療など影響が大きいテーマ
    この場合、地域包括支援センターケアマネジャー社会福祉士公証人弁護士・司法書士など“中立目線を持てる専門職”の同席を検討します。税務・相続設計に関わる場面では、贈与や遺言の前に「本人の意思が十分に表明できているか」を確認し、必要に応じて法的専門家へ接続します(ここは非弁行為にあたらない範囲での一般的助言に留めます)。

 

 

6. 使える仕組みと道具

  • 任意後見契約・見守り契約・財産管理契約:判断力が不安定なうちに将来の代理人を決める。公証役場での手続が一般的。
  • ACP(人生会議)/事前指示書:医療・ケアの希望を平時に共有。
  • 家族会議のテンプレ:定例化(例:月1回30分)、議題と結論、次回までの宿題を明記。
  • 意思表示カード/チェックリスト:視覚化して迷いを減らす。
  • 面会合意書:面会の頻度・方法・同席者・オンライン可否を合意文書にする。

 

 

7. “囲い込み”下での工夫

  • 個別面談の確保:圧になる同席者を外し、短時間で本人だけに聞く機会を要請。
  • 文書による意思確認:手紙や質問票を郵送し、本人の筆跡や返答を保存。
  • オンライン面談:施設ルールに沿って職員の同席で短時間実施。
  • 第三者同席の要請:包括支援センターやケアマネに「中立の場の設定」を依頼。
  • リスクの記録:通帳の急な移動、印鑑の所在不明、連絡遮断の急変など“異常の兆し”は日付付きで記録し、感情論ではなく事実で相談につなげる。

 

 

8. 事例で学ぶ(書面上の表現/心理的な内面仮説を区別)

 

事例A:居住と生活の希望

  • 書面上の事実(想定):父は夕方に混乱しがち。午前10時、静かな個室で「今後どこで暮らしたい?」をテーマに15分面談。写真アルバムを見ながら生活史を想起。父は「病院より家が落ち着く。長男の近くが安心」と発言。面談メモに署名。
  • 心理的な内面仮説:家の“匂い”や馴染みの商店街が安心感の基盤。長男への信頼は“送迎をよくしてくれた”体験の積み重ね。

 

事例B:生前贈与の意思

  • 書面上の事実(想定):母が「長女に500万円を前渡ししたい」と表明。専門用語を避け、税負担・他の兄弟への影響を図で説明。Teach-backで母が自分の言葉で要点を再述。翌週に同旨を再確認し、医師の簡易意見とともに公証役場へ相談。
  • 心理的な内面仮説:長女の介護負担への感謝を形にしたい。公平と平等の違いを理解したうえで「納得のいく分け方」を望む。

 

事例C:面会交流の希望

  • 書面上の事実(想定):父が「月1回は皆に会いたい」と発言。面会合意書に「第1土曜午前/1時間/職員同席/オンライン代替可」を明記し、家族全員が署名。
  • 心理的な内面仮説:「会うこと」が家族である実感と生きがいにつながる。頻度より“予定が見えている安心”が重要。

 

 

 

9. NG例とリスク管理

  • 誘導尋問(「こうしたいんだよね?」と答えを誘う)
  • 長時間面談・疲労時の意思確認、飲酒後の確認
  • 録音もメモもない口頭合意だけで重要事項を決める
  • 専門家の関与なしに遺言や大規模財産移動を進める
  • 利害関係者が周囲を固めて他の家族を排除する

これらは後日の紛争・無効主張の温床になります。

 

 

10. よくある疑問

  • 診断が出ていないが、物忘れがある:診断名の有無と意思能力は別問題。テーマごと・場面ごとに支援を工夫し、反復確認と記録で補強します。
  • 一度決めた意思は変えられない?:状況や理解が深まれば変更はあり得ます。撤回可能性を常に開いておくのが誠実です。
  • 家族が対立している:中立第三者の同席で“圧”を除去し、本人の言葉を丁寧に拾います。合意書面化で運用を安定させる。

 

 

まとめ:今日からできるチェックリスト

  1. テーマを一つに絞り、静かな場を15~30分確保する
  2. 説明は日常語と図、最後に本人の要約で理解確認
  3. 選択肢は少なく、保留と撤回を常に可にする
  4. 面談メモ・録音・第三者同席で“事実”を残す
  5. 重要事項は医師・公証人・弁護士・司法書士等と連携する

 

親の意思は、適切な支援と環境があれば、たとえ“あいまい”に見える状況でも確かに届きます。家族それぞれの正しさをぶつけ合う前に、まずは“その人の声”を取り戻す――それが囲い込みの解消に向けた第一歩です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信

 

4. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~

5. インナーチャイルド解放コーチ しらいわとしまさ (休止中)幼少期の心の傷が未処理のため大人になっても生きづらさを感じる方へ

6. 感情の地図 〜EQナビゲーターが届ける“心の航海術”(休止中)~感情と向き合う「心の航海術」を発信中

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29.介護記録を取る/開示請求する際の注意点―囲い込みを防ぎ、親の権利と家族の関係を守るために―
 

「最近、きょうだいが介護先との窓口を独占し、こちらには何も共有されない」

「施設に問い合わせても“家族代表者からの依頼のみ”と言われてしまう」

 

こうした相談が増えています。囲い込みの渦中では、感情が揺さぶられる一方で、判断の土台となるのは客観的な記録です。
 

本記事では、実務と心理の両面から、

 

①家族が自分で取る介護記録の作り方

②施設・事業者に対する記録の開示請求の要点

③断られた場合の対応

 

を整理します。

 

なお、以下は一般論であり、個別の法的助言ではありません。具体的な紛争や手続きは弁護士等の専門家へご相談ください(非弁行為を避けるための注記)。

 

 

 

1.なぜ「記録」が要になるのか

 

書面上の表現(事実)

  • 事実の時系列が可視化され、面会制限・身体状態の変化・事故対応・費用の流れ等を第三者に説明できる。
  • 介護サービスの質改善や、担当者会議での建設的な議論に資する。
  • 紛争・後見・苦情申立て・税務申告(医療費控除等)での裏付けになる。

心理的な内面仮説(背景理解)

  • 記録は「相手を責める道具」ではなく、「不安を言語化し、関係を整理する枠組み」。
  • 感情と事実を分けて残すことで、無用な対立を避け、交渉の余地を残す。
 

 

2.家族が自分で取る「介護記録」――今日からできる実務

 

記録する項目(最低限)

  1. 日時・場所・関与者(職員名・部署を含む)
  2. 面会・連絡のやり取り(要点、相手の回答、次の約束)
  3. 親の様子(食事量・睡眠・表情・発言・痛み訴え、転倒痕の有無など)
  4. 重要イベント(転倒・発熱・受診・身体拘束の説明・同意取得の有無)
  5. 介護サービスの提供内容と所要時間(分かる範囲で)
  6. 金銭関連(領収書、預り金の出納、交通費メモ)
  7. 添付(写真・文書の写し。施設ルールに従い、他入居者の映り込みに配慮)

書き方のコツ

  • 事実/評価の分離:「看護師Aが13:20に“解熱傾向”と説明」までが事実。「安心した」は評価。
  • 固有名詞と数字:人名・部署・体温・時間・回数を入れる。
  • 一次情報優先:伝聞は「Bさんからの伝聞」と明示。
  • 一件一葉:1出来事=1ページ(または1ノート)で検索性を高める。

フォーマット例(簡易テンプレ)

  • 表題/通し番号
  • いつ(日時)/どこで/誰が
  • 何が起きたか(事実)
  • こちらの要望・合意点・次回確認事項
  • 添付(写真・領収書・通知文など)

NGと注意

  • 無断の録音・撮影、SNSでの拡散(プライバシー・施設ルール違反の恐れ)。
  • 感情的表現や断定的非難のみの記載(交渉の障害)。
  • データ散逸(クラウド+紙バインダーの二重保管を推奨)。
 
 

 

3.施設・事業者が保有する主な記録(概観)

  • 介護過程:アセスメント、ケアプラン、モニタリング、サービス提供記録(介護・看護)、担当者会議録
  • 安全管理:事故・ヒヤリハット報告、再発防止策、身体拘束の実施記録と根拠
  • 医療・服薬:服薬管理表、医師指示書、受診記録、検査結果の受領状況
  • 連絡・面会:面会簿、苦情・要望・回答記録、連絡票
  • 請求関連:介護給付の算定根拠、利用明細、預り金出納
    ※保存年限や開示範囲は、サービス類型・規程で異なります(概ね数年単位)。古いものは残っていない可能性があるため、期間を特定して請求するのが合理的です。
 

 

4.開示請求の基本設計

 

誰が請求できるか(原則)

  • 本人
  • 代理人(本人の委任状+本人確認書類)。
  • 法定代理人(成年後見人等。審判書謄本・登記事項証明の提示)。
  • 家族でも、本人の明示同意があれば可能な場合が多い。判断能力が不十分な場合は代理権の確認が要。

事前に揃える書類

  • 本人確認(写し)/請求者の本人確認
  • 続柄の分かる公的書類(必要に応じて)
  • 代理権の根拠(委任状、後見登記事項証明等)
  • 請求の目的と利用範囲(苦情解決、本人理解、医療連携等。対立色の強い表現は避ける)
  • 対象期間・対象文書の特定(例:2025年4–6月のケア記録と事故報告)

方式・費用

  • **閲覧のみ/写し交付(紙・PDF)**を選択。
  • 手数料や準備期間は規程依存。早期に相談し、相手の作業負担に配慮して分割交付も可。

文面テンプレ(要約)

介護記録等の開示・写し交付のお願い
貴施設に入所中の○○(生年月日:…)の家族△△です。本人同意(別紙)に基づき、下記の期間・文書の開示(写し交付)をお願いします。

  1. 対象期間:2025年4月1日〜6月30日
  2. 対象文書:ケアプラン、サービス提供記録、事故報告、面会簿の該当部分
  3. 利用目的:本人状態の把握と家族間の情報共有、今後の支援方針検討
  4. 交付方法:PDFデータ(パスワード付)可。費用は貴規程に従い負担します。
  5. 連絡先:…
    以上、業務ご多忙のところ恐れ入りますが、可能な日程をご教示ください。
 
 

 

5.断られた場合の丁寧な打開策

 

よくある説明と返し方(攻撃せず、根拠と配慮で)

  • 「家族代表者のみ対応」→「代表者一本化の方針は理解します。本人同意書と委任状を添付しますので、期間と文書を限定して交付いただけますか」
  • 「個人情報なので…」→「本人の自己情報の開示であり、同意書を同封しています。第三者情報はマスキングで構いません」
  • 「作業が大変」→「負担軽減のため、最近3か月分のみ先に、残りは次回で結構です」

外部の関与

  • まずは地域包括支援センターや自治体の高齢福祉・介護保険担当に相談。
  • 明白な不当拒否や権利侵害が疑われるときは、弁護士への相談も選択肢。
 

 

6.記録を「活かす」整理術(実務)

  • タイムライン化:自作記録と開示資料を同じ時系列に並べる。
  • エビデンス束ね:一件一束(出来事→証拠→相手説明→当方要望→結果)。
  • 争点マップ:面会、転倒、金銭、医療連携などテーマ別に論点を見える化。
  • 合意の文書化:口頭合意→メール要約→議事録→サイン、の順で確度を上げる。
 
 

 

7.囲い込みを予防する「先手」

  • 同意書の事前取得:判断力が十分なうちに「家族間共有に同意」文面を作成。
  • 家族代表者の合意メモ:複数連絡先を施設に登録し、情報共有ルールを文書化。
  • 委任契約・見守り契約:親と子の間で、連絡受領・情報取得の権限を明確化。
  • 後見・任意後見の検討:判断能力低下に備え、誰が代理権を持つかを早めに設計。
  • 証憑の保存:領収書・明細は確定申告や費用精算の根拠。医療費控除の可能性もあるため、年単位で保管。
 

 

8.よくあるQ&A(要点だけ)

 

Q:費用はどれくらい?
A:規程によります。写しの枚数・方法で変動。事前に見積り依頼を。

 

Q:第三者情報は見られない?
A:他入居者や職員の個人情報はマスキングが一般的。本人に関する部分は原則対象。

 

Q:本人が同意してくれない
A:本人の意思が最優先。説得ではなく、理解のための説明と小刻みな共有から。どうしても必要な場合は法的代理の検討を。

 

Q:相続人は亡くなった親の記録を取れる?
A:取扱いが分かれる領域。目的・範囲を明確にし、施設規程や専門家の助言に沿って進める。

 

Q:録音・録画は?
A:施設ルールと法令に配慮。事前許可と限定利用、第三者の写り込み回避が基本。

 

 

9.まとめ――安心・理解・行動へ

  • 囲い込み下では、感情と事実を切り分ける記録が力になります。
  • 開示請求は「攻撃」ではなく、本人の生活の質を高めるための情報連携です。
  • 期間・文書を限定し、相手の負担に配慮した丁寧な依頼が、結果的に最短距離。
  • 断られても、粘り強く・礼節を尽くしてステップを踏めば道は開けます。

 

(注)本稿は一般的解説であり、特定の事案に対する法的助言ではありません。手続・紛争対応は弁護士等の専門家にご相談ください。

 

 

 

 

 

ブログのご紹介

ブログ主宰 しらいわ は以下のブログも作成しています。併せてご覧ください。

1. 自己愛性ハラスメント対策室  ~ 感情的な人に振り回されている方向け~

2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー  ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~

3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信

 

4. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~

5. インナーチャイルド解放コーチ しらいわとしまさ (休止中)幼少期の心の傷が未処理のため大人になっても生きづらさを感じる方へ

6. 感情の地図 〜EQナビゲーターが届ける“心の航海術”(休止中)~感情と向き合う「心の航海術」を発信中

7. 女性起業家×アドラー心理学(準備中)

 

高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

自己紹介など

1. 自己紹介

4.無料オンライン相談(30分)を受付しております(2025/7時点)。詳しくは以下のホームページをご覧ください。

 

 

28.面会を拒否されたときの文書の書き方

 

高齢の親に会いたいのに、きょうだいの一人や介護者、入所先から「今は会わせられない」と拒否される

――これは当事者に深い無力感をもたらします。

 

私は「高齢親の囲い込み解消コンサルタント/公認会計士・税理士」として、法・税・心理の視点を横断しながら、当事者が冷静に一歩進めるための「文書による働きかけ」を支援してきました。

 

本稿では、面会を拒否されたときの文書の基本構造、送付の工夫、宛先別の配慮、段階別テンプレまでを解説します。なお、以下は一般的情報であり、具体的な法的主張の作成は弁護士等にご相談ください。

 

 

 

1.文書のゴールを最初に決める

 

文書は感情の発散ではなく、次の合意を引き出すための道具です。ゴールは三つに絞ります。

  1. 面会の事実関係を丁寧に確認する(いつ・誰が・なぜ拒否したか)。
  2. 面会の意向と具体的提案(日時・方法・配慮事項)を示す。
  3. 期限と連絡手段を合意できる状態にする。
    この三点を外さなければ、読み手は「どうすればよいか」が分かります。

 

2.基本原則:事実→意図→要望→期限→連絡先

 

文章の順番が肝心です。
 

・事実:感情評価を挟まず、観察可能な出来事のみ記載。「〇月〇日〇時、△△施設入口で、□□さんから『面会はできない』と口頭で告げられました」
・意図:「親の安否を確かめ、家族として時間を共にしたい」など、建設的な目的を短く。
・要望:面会の方法(対面・オンライン・ガラス越し・短時間など)と候補日時を3つ程度。
・期限:返信期限を明記(例:「〇月〇日までにメールでご回答ください」)。
・連絡先:電話・メールの両方を記載。代理連絡がある場合はその旨も。

 

 

 

3.記録と送付の工夫(後で効く)

 

後日の紛争予防には、手順と証拠性が大切です。
 

・下書き保存:送信前の原稿と送信後のPDFを保管。ファイル名は「2025-08-18_面会要請_第一信.pdf」。
・送付手段:まずはメールまたは手紙(一般書留)。改善がない場合に限り、内容証明郵便を検討(文言作成は弁護士へ)。
・ログ化:時系列メモ(日時/相手名/対応内容/こちらの提案/相手の回答)。

 

 

4.宛先別の配慮ポイント

 

きょうだい・親族が窓口の場合

相手の「介護負担」「感染配慮」「疲弊」に共感を一文添えると通りやすくなります。責任追及口調は逆効果。

 

施設・ケアマネの場合

「面会ルールの確認」と「例外運用の相談」を分けて書きます。現場が守るべきルールを尊重しつつ、短時間・予約制・医療同席など代替案を提示。

 

介護サービス事業者の場合

職務範囲を尊重し、連絡窓口や情報提供の範囲を確認する依頼文にします。

 

 

 

5.書式の骨格(見出しで読みやすく)

 

件名:面会方法のご相談(候補日時のご提案)
本文冒頭:挨拶+関係性の明示(長男・長女等)
本文本体:1) 事実、2) 意図、3) 要望、4) 期限、5) 連絡先、6) 添付(診断書や身分証の写しが必要なとき)
結び:感謝と敬意の一文。「ご多忙の中、親のために尽力いただきありがとうございます。」

 

 

6.OK/NG表現の例

 

・OK:「事実を確認したく、記録のため文書でご連絡します」
・NG:「隠しているのは明らかだ」「法的措置を取る」などの断定・威圧(初手では避ける)。
・OK:「短時間(15分)、職員立会い、平日午後でいかがでしょうか」
・NG:「今週中に必ず会わせろ」(ゼロイチ要求は避け、複数案を)。

 

 

 

7.段階別テンプレ(コピペ可・必要に応じ調整)

 

※「書面上の表現」と「心理的な内面仮説」を分けて示します。

 

第1信:穏当な確認と提案

 

【書面上の表現】
件名:面会の方法についてのご相談
本文:
〇〇様
いつも母(〇〇)の介助にご尽力いただき、心より感謝しております。
さて、〇月〇日〇時に施設入口にて□□様から「本日は面会できない」とご案内を受けました。現場事情があると承知しつつ、母の様子を直接確認したく、以下のいずれかでの面会をご提案します。
候補日時:①〇/〇(火)14:00、②〇/〇(木)16:00、③〇/〇(土)10:00
方法:対面15分(職員同席)またはオンライン(Zoom)
配慮:マスク着用、発熱時は延期
ご都合の良い案を、〇月〇日までにメールでお知らせください。別の案があれば柔軟に調整します。
連絡先:メール/電話
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
差出人・住所・署名

 

【心理的な内面仮説】
「拒否は悪意だけでなく、感染対策・疲労・誤解の可能性がある。まずは関係を壊さず“代替案+期限”で扉を開ける」

 

 

第2信:再確認と期限の明確化

 

【書面上の表現】
件名:面会の再提案(期限のご確認)
本文:
前便(〇月〇日付)へのご返信が未着のため、重ねて面会方法のご提案です。
候補日時を再掲します(①~③)。難しい場合は、今後の面会ルール(頻度・方法・窓口)を文書でご教示ください。〇月〇日までにメールにてご回答をお願いできますでしょうか。
なお、母の心身の状況に鑑み、短時間でも定期的な交流が望ましいと考えております。建設的に合意できるよう努めます。
差出人ほか

 

【心理的な内面仮説】
「応答がない=意図的拒否と決めつけない。『ルールの明文化』という落としどころを提示」

 

 

第3信:正式通知の素案(専門家相談を前提)

 

【書面上の表現(骨子)】
件名:面会可否および連絡体制の文書回答のお願い(記録のため)
本文:
1)これまでの経緯(事実のみ、日付・相手・要旨)
2)当方の意向(家族としての面会・安否確認)
3)具体案(方法・頻度・同席・感染対策)
4)求める回答(面会可否と根拠、連絡窓口、緊急時の連絡方法)
5)回答期限(〇月〇日)
6)今後の手段:合意に至らない場合は、公的な話し合いの場(例:関係機関連絡・調整の相談)を検討する旨を控えめに記載
※この段階の文面は、内容証明郵便の送付も含め、弁護士に確認を依頼してください。

 

【心理的な内面仮説】
「関係を断ち切らず、交渉の道を残しながら“記録性”を高める」

 

 

 

8.よくある失敗と対策

 

・長文すぎて主旨が埋もれる→A4一枚に収め、詳細は別紙。
・感情語が先行→初段落は事実と感謝で開始。
・候補日ゼロ→最低3候補。
・期限なし→返信期限は必ず書く。
・送って終わり→電話で到達確認。記録メモを更新。
・SNSで糾弾→関係悪化と証拠化のリスク。公的文書で淡々と。

 

 

9.心のケアの視点

 

面会拒否は「見捨てられ不安」「怒り」「罪悪感」を同時に刺激します。文書作成の前に、短い深呼吸と1行メモで自分の感情を可視化しましょう。

 

「私は母の安否が心配」

「家族で話したい」。

 

この“ニーズの言語化”が、攻撃ではなく要望を伝える文面につながります。必要であれば第三者相談(地域包括支援センター、カウンセリング)を併用してください。

 

 

 

10.まとめとチェックリスト

 

・事実→意図→要望→期限→連絡先の順番になっているか
・候補日時は3つ以上か、代替案を示したか
・感謝と敬意の一文を入れたか
・A4一枚+別紙で読みやすいか
・送付手段と記録(PDF化・書留等)を整えたか

 

面会は「親は家族みんなのもの」という原則を体現する行為です。感情に飲み込まれず、記録性と誠実さのある文書で、扉を少しずつ開けていきましょう。

 

専門的な法的措置が必要と感じたら、ためらわずに弁護士等へ個別相談を。あなたの一通が、状況を前に進める第一歩になります。

 

 

 

 

 

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