このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

第18回 高齢親の囲い込みを社会問題として考える ― それは、単なるきょうだい喧嘩ではない

 

高齢親の囲い込みという問題は、外から見ると、単なる家族のもめごとのように見えることがあります。

 

「きょうだい喧嘩でしょう」

「親の介護方針の違いでしょう」

「相続をめぐる争いでしょう」

「家族の中で話し合えばいいのではないですか」

 

そう言われることがあります。

 

しかし、本当にそうでしょうか。

 

高齢の親に会えない。

親の状態を教えてもらえない。

施設や病院の連絡先を共有してもらえない。

通帳や財産管理の状況が分からない。

「親が会いたくないと言っている」と言われるが、親本人に直接確認できない。

親の意思、生活、財産、人間関係が、一部の家族の説明だけで動いていく。

 

これは、単なるきょうだい喧嘩なのでしょうか。

 

私は、そうではないと思います。

 

高齢親の囲い込みは、家族の中で起きる問題でありながら、そこには介護、認知症、相続、財産管理、施設対応、成年後見、法的手続など、さまざまな社会的問題が重なっています。

 

 

だからこそ、これは個別家庭の内輪もめとして片づけてはいけない問題です。

 

高齢親の囲い込みは、社会全体で考えるべき問題なのです。

 

1 「家族の問題」と言われることで、問題が見えなくなる

 

高齢親の囲い込みが難しいのは、家庭内で起きることです。

 

外部の人からは、何が起きているのか分かりにくい。

親本人が本当に何を望んでいるのか分かりにくい。

誰が親の意思を正確に伝えているのか分かりにくい。

誰が親の情報を握っているのかも、外からは見えにくい。

 

そのため、周囲はついこう言いがちです。

 

「家族で話し合ってください」

「身内の問題ですから」

「どちらが正しいかは分かりません」

「親御さんのことを一番分かっている人が決めればよいのでは」

 

もちろん、家族で話し合えるなら、それが一番よいでしょう。

 

しかし、高齢親の囲い込みが起きている場面では、そもそも話し合いが成立していないことがあります。

 

 

一方が情報を持っている。

一方が親との接点を握っている。

一方が施設や病院との窓口になっている。

一方が親の言葉を代弁している。

他方は、親に会えず、情報も得られず、質問しても答えてもらえない。

 

この状態で「家族で話し合ってください」と言われても、それは現実的ではありません。

 

情報を持っている側と、情報を遮断されている側では、力の差が大きすぎるからです。

 

「家族の問題」という言葉は、ときに問題を見えなくします。

 

本当は、支配や排除、情報独占が起きているかもしれない。

本当は、親本人の意思が見えなくされているかもしれない。

本当は、財産管理や介護方針に不透明な点があるかもしれない。

 

それなのに、「家族のことだから」として外部の目が入らない。

 

ここに、高齢親の囲い込みの大きな問題があります。

 

2 介護の問題として見る

 

高齢親の囲い込みは、介護の問題と深く関係しています。

 

親が元気なうちは、家族関係に問題があっても、親本人が自分で判断し、自分で連絡を取り、自分で会いたい人に会うことができます。

 

しかし、病気や加齢によって体力が落ちる。

認知症によって判断力が低下する。

施設に入所する。

病院に入院する。

電話や手紙のやり取りが難しくなる。

 

 

そうなると、親本人の生活は、周囲の家族や介護関係者に大きく依存するようになります。

 

このとき、誰が連絡窓口になるのか。

誰が施設に説明するのか。

誰が面会の可否を調整するのか。

誰が医療や介護の情報を受け取るのか。

 

これらは、とても重要です。

 

介護の現場では、実際に親の近くにいる家族、施設とのやり取りをしている家族が、自然と窓口になることがあります。

 

それ自体が悪いわけではありません。

 

問題は、その窓口が閉じた窓口になってしまうことです。

 

他の家族に情報を共有しない。

面会を制限する。

施設や病院に一方的な説明をする。

親本人の意思確認を自分だけで行ったことにする。

「親のため」と言いながら、親の人間関係を狭めていく。

 

こうなると、介護は支援ではなく、支配の道具に近づいてしまいます。

 

介護は、本来、親本人の生活と尊厳を支えるためのものです。

 

しかし、家族内の力関係が歪んでいると、介護の名目で、面会や情報の出入口が一人に握られてしまうことがあります。

 

だから、高齢親の囲い込みは、介護問題として考える必要があります。

 

3 認知症の問題として見る

 

高齢親の囲い込みでは、認知症や判断力低下が大きな要素になることがあります。

 

認知症があると、親本人の意思確認は難しくなります。

 

昨日言ったことと今日言ったことが違う。

相手によって返事が変わる。

強く言われると、その場で同意してしまう。

不安から、近くにいる人に依存しやすくなる。

自分の財産や契約内容を十分に理解できないことがある。

 

このような状態では、親の言葉をどう受け止めるかが重要になります。

 

 

たとえば、ある家族がこう言ったとします。

 

「親が会いたくないと言っている」

「親があなたのことを嫌がっている」

「親が財産は全部こちらに任せると言っている」

「親が遺言を作りたいと言っている」

 

これらが本当に親本人の自由な意思なのか。

誰かに誘導されていないか。

親が十分に理解しているのか。

他の家族の存在や意向を知ったうえで判断しているのか。

その場に、利害関係のある家族だけがいなかったか。

 

慎重に確認する必要があります。

 

認知症の親の言葉を尊重することは大切です。

 

しかし、「親がそう言った」という言葉だけで、すべてを終わらせてしまうのは危険です。

 

なぜなら、その言葉を誰が聞いたのか、どのような場面で聞いたのか、どのような説明のもとで言ったのかによって、意味が変わるからです。

 

認知症や判断力低下がある場合、親本人の意思を守るためには、むしろ透明性が必要になります。

 

一人の家族だけが親の意思を代弁するのではなく、第三者の関与、記録、複数人による確認、専門職の視点が必要になることがあります。

 

だから、高齢親の囲い込みは、認知症問題としても考えなければなりません。

 

4 相続・財産管理の問題として見る

 

高齢親の囲い込みは、相続や財産管理の問題とも結びつきます。

 

親の通帳を誰が持っているのか。

年金はどのように使われているのか。

施設費や医療費はどのように支払われているのか。

親の不動産が売却されていないか。

保険や預金の手続はどうなっているのか。

遺言が作られていないか。

その遺言は、どのような経緯で作られたのか。

 

こうした情報が一部の家族に集中すると、他の家族は状況を確認できません。

 

もちろん、親の財産は親本人のものです。

 

子どもたちが当然に管理できるものではありません。

相続人予定者だからといって、親の財産を自由に知る権利が常にあるわけでもありません。

 

 

しかし、親の判断能力が低下している場合や、一部の家族が親の財産管理を事実上担っている場合には、不透明さが問題になることがあります。

 

とくに、面会遮断、情報遮断、財産管理の不透明化が同時に起きている場合には、慎重に見なければなりません。

 

親に会えない。

親本人に確認できない。

財産状況も分からない。

遺言や契約の経緯も分からない。

 

このような状態では、親本人の意思や財産が、本当に適切に守られているのか確認できません。

 

高齢親の囲い込みは、単に「会わせる、会わせない」の問題ではありません。

 

財産管理、相続、遺言、契約の問題と結びつくことで、より深刻な問題になります。

 

だから、社会問題として考える必要があるのです。

 

5 施設・病院対応の問題として見る

 

高齢親の囲い込みでは、施設や病院の対応も重要になります。

 

施設や病院は、日々の介護や医療に追われています。

その中で、家族間の争いに深く関わることは簡単ではありません。

 

そのため、実際に連絡を取っている家族、入所や入院の手続をした家族、費用を支払っている家族の説明を中心に対応せざるを得ない場面もあるでしょう。

 

しかし、そこに危うさがあります。

 

もし窓口になっている家族が、他の家族を意図的に遠ざけていたらどうなるでしょうか。

 

 

施設や病院に、他の家族について一方的な説明をしていたら。

「会わせると親が混乱する」と説明していたら。

「親が嫌がっている」とだけ伝えていたら。

他の家族からの問い合わせを拒むよう求めていたら。

親本人の意思確認が十分でないまま、面会制限が続いていたら。

 

施設や病院が一人の家族の説明だけで判断してしまうと、結果的に囲い込みに加担してしまう可能性があります。

 

もちろん、施設や病院を責めるだけでは解決しません。

 

現場には現場の制約があります。

個人情報保護の問題もあります。

親本人の安全や安静を守る必要もあります。

家族間トラブルに巻き込まれたくないという事情もあるでしょう。

 

それでも、介護・医療の現場には、家族の一人の説明だけで親の人間関係を決めてしまうことの危うさを知ってほしいのです。

 

親本人の意思は、誰が、どのように確認したのか。

面会制限は、本当に親本人の利益のためなのか。

他の家族の言い分を聞く機会はあったのか。

窓口になっている家族に、情報や権限が集中しすぎていないか。

 

こうした視点が必要です。

 

高齢親の囲い込みは、施設・病院対応の問題でもあります。

 

6 成年後見制度の問題として見る

 

高齢親の囲い込みが深刻になると、成年後見制度が関係することがあります。

 

成年後見制度は、判断能力が不十分な人の権利や財産を守るための制度です。

 

親の判断能力が低下し、財産管理や契約、施設対応などに不安がある場合、成年後見人などの第三者が関与することで、一定の透明性が生まれることがあります。

 

しかし、成年後見制度も万能ではありません。

 

 

後見人が選任されても、家族間の感情的対立がなくなるわけではありません。

面会問題が自動的に解決するわけでもありません。

親本人の生活や意思が、すべて理想的に守られるとは限りません。

 

それでも、少なくとも、一部の家族が親の財産や契約を完全に握り続ける状態を見直すきっかけにはなり得ます。

 

高齢親の囲い込みでは、家族の一人が「自分が親を守っている」と主張しながら、財産情報、施設対応、医療情報、親族関係の出入口を握ることがあります。

 

このようなとき、成年後見制度は、親本人の利益を中心に置き直すための一つの制度的手段になります。

 

ただし、成年後見制度を利用するかどうかは、慎重に考える必要があります。

 

親本人の状態。

財産管理の必要性。

家族関係の状況。

後見人に何を期待するのか。

費用や手続の負担。

本人の生活への影響。

 

これらを総合的に考える必要があります。

 

大切なのは、制度を使う目的を見失わないことです。

 

目的は、相手を攻撃することではありません。

親本人の権利、財産、生活、意思を守ることです。

 

7 「親を守る」という言葉を社会で問い直す

 

高齢親の囲い込みで、もっとも難しいのは、「親を守る」という言葉です。

 

親を守ること自体は、とても大切です。

 

高齢の親が病気になったり、認知症になったり、体力が落ちたりすれば、周囲の家族が支える必要があります。

 

危険な人から守る。

詐欺や悪質商法から守る。

体調に配慮する。

無理な面会を避ける。

穏やかな生活環境を整える。

 

これらは必要なことです。

 

しかし、「親を守る」という言葉が、他の家族を排除するために使われることがあります。

 

 

親を守ると言いながら、親の人間関係を狭める。

親を守ると言いながら、親の意思確認を一人で独占する。

親を守ると言いながら、財産情報を開示しない。

親を守ると言いながら、施設や病院との連絡窓口を握る。

親を守ると言いながら、他の家族を悪者にする。

 

このとき、「親を守る」という言葉は、保護ではなく支配に近づいていきます。

 

社会は、この違いを見分けなければなりません。

 

本当に親を守っているのか。

それとも、親を通じて家族を支配しているのか。

親本人の意思は確認されているのか。

他の家族との関係を断つことは、本当に親の利益なのか。

情報や財産が一人に集中していないか。

 

この問いを、家庭の中だけに閉じ込めてはいけません。

 

8 当事者だけに背負わせてはいけない

 

高齢親の囲い込みに苦しむ人は、孤立しやすいです。

 

親に会えない。

情報が得られない。

相手に説明を求めても答えない。

周囲に話しても「家族の問題」と言われる。

専門職に相談しても、すぐには動いてもらえない。

自分が騒ぎすぎなのかと悩む。

 

この孤立は、とても深刻です。

 

囲い込みの問題は、当事者だけに背負わせてはいけません。

 

介護関係者。

医療関係者。

法律関係者。

成年後見関係者。

行政。

地域包括支援センター。

家庭裁判所。

メディア。

そして、これから親の介護や相続に向き合う一般の人たち。

 

社会全体が、この問題を知る必要があります。

 

高齢親の囲い込みという言葉が広がれば、今まで「自分の家だけの異常な問題」だと思っていた人が、少し救われるかもしれません。

 

 

これは構造の問題なのだ。

同じように苦しんでいる人がいるのだ。

記録してよいのだ。

相談してよいのだ。

第三者を入れてよいのだ。

親本人の意思確認を求めてよいのだ。

 

そう思えるだけでも、当事者にとっては大きな支えになります。

 

9 社会問題として見ることで、解決の道が開ける

 

高齢親の囲い込みを社会問題として見ることには、大きな意味があります。

 

第一に、当事者の苦しみが言語化されます。

 

「親に会えない」

「情報をもらえない」

「悪者にされる」

「親の意思が分からない」

 

これらの苦しみは、単なる感情ではありません。

 

面会遮断、情報遮断、親の意思確認の不透明化、財産管理の不透明化という構造的問題です。

 

第二に、専門職の視点が変わります。

 

家族の一人の説明だけで判断してよいのか。

親本人の意思確認は十分か。

他の家族の声を聞く必要はないか。

情報や権限が一人に集中していないか。

 

こうした視点を持つことで、囲い込みを見逃しにくくなります。

 

第三に、制度利用の必要性が見えてきます。

 

調停。

訴訟。

成年後見制度。

地域包括支援センターへの相談。

弁護士、司法書士、社会福祉士などへの相談。

施設や病院への記録に基づく申し入れ。

 

家族だけで抱え込まず、外部の手段を使うことが選択肢になります。

 

 

第四に、予防につながります。

 

親が元気なうちに、介護方針、財産管理、連絡体制、面会の希望、遺言、任意後見などについて話し合っておく。

 

これにより、将来、一人の家族がすべてを握る状態を防ぎやすくなります。

 

社会問題として見ることは、当事者を救うだけでなく、将来のトラブルを防ぐことにもつながります。

 

10 まとめ

 

高齢親の囲い込みは、単なるきょうだい喧嘩ではありません。

 

親に会えるかどうか。

親の情報を知れるかどうか。

親の財産管理が透明かどうか。

親本人の意思が確認されているかどうか。

施設や病院との連絡窓口が一人に独占されていないかどうか。

 

これらは、家族の中だけで片づけてよい問題ではありません。

 

介護の問題です。

認知症の問題です。

相続の問題です。

財産管理の問題です。

成年後見制度の問題です。

施設・病院対応の問題です。

そして、親本人の尊厳の問題です。

 

「親を守る」という言葉は、大切な言葉です。

 

しかし、その言葉が、他の家族を排除し、情報を独占し、親本人の意思を見えなくするために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づいていきます。

 

高齢親の囲い込みを、個別家庭の恨みや感情の問題として終わらせてはいけません。

 

これは、社会全体で考えるべき問題です。

 

 

同じ問題で苦しむ人が、孤立しないために。

介護や医療の現場が、一人の家族の説明だけで判断しないために。

法律や制度が、親本人の尊厳を中心に機能するために。

そして、高齢の親が、一部の家族の都合によって孤立させられないために。

 

高齢親の囲い込みは、言葉にする必要があります。

記録する必要があります。

社会に開いていく必要があります。

 

それは、家族を壊すためではありません。

 

親本人の尊厳を守り、家族関係を透明にし、同じ苦しみを抱える人に道を示すためです。

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com

 


 

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 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

第17回 判決で家族の事実を記録する意味 ――裁判は、勝ち負けだけのためにあるのではない

 

高齢親の囲い込みが起きたとき、周囲からはこう見られることがあります。

 

「家族のもめごとでしょう」

「きょうだい喧嘩でしょう」

「相続の争いでしょう」

「お金の問題でしょう」

「裁判までしなくてもいいのではないですか」

 

たしかに、外から見れば、そう見えるかもしれません。

 

親に会えるかどうか。

施設や病院の連絡先を共有するかどうか。

通帳や財産管理を誰がしているのか。

遺言がどのように作られたのか。

親本人が本当は何を望んでいたのか。

 

これらは、一見すると、家族の内部問題に見えます。

 

しかし、高齢親の囲い込みの本質は、単なる家族喧嘩ではありません。

 

 

親をめぐる情報、面会、財産、介護、意思確認の出入口を、一部の家族が握り、他の家族を遠ざけていく問題です。

 

そして、その状態が長く続くと、何が起きていたのかが見えにくくなります。

 

誰が親に会えていたのか。

誰が会えなくされていたのか。

誰が施設や病院と連絡を取っていたのか。

誰が親の意思を代弁していたのか。

他の家族が何を求め、どのように拒まれたのか。

親本人の意思は、本当に確認されていたのか。

 

家族の中で起きたことは、放っておくと、時間とともに曖昧になります。

 

だからこそ、裁判には大きな意味があります。

 

裁判は、単に勝つためだけのものではありません。

お金を請求するためだけのものでもありません。

相手を責めるためだけの場所でもありません。

 

裁判には、家族の中で見えにくくされてきた事実を、公的な手続の中で記録するという意味があります。

 

 

1 家庭内の出来事は、外から見えにくい

 

高齢親の囲い込みが難しいのは、その多くが家庭内で起きるからです。

 

家の中で何が話されたのか。

親に誰が何を説明したのか。

親が誰と会いたいと言ったのか。

本当に会いたくないと言ったのか。

財産管理について、どのような説明があったのか。

通帳や印鑑を誰が持っていたのか。

施設入所や遺言作成に、どのような経緯があったのか。

 

こうしたことは、外部の人には見えません。

 

しかも、高齢の親が認知症や病気、体力低下を抱えている場合、本人の意思確認はさらに難しくなります。

 

その結果、親の近くにいる人、親の世話をしている人、施設や病院との窓口になっている人の説明が、そのまま「親の意思」として扱われてしまうことがあります。

 

「親が会いたくないと言っています」

「親が混乱するので会わせられません」

「親の体調に悪いので連絡しないでください」

「こちらで全部対応しています」

「他の家族は関わらないでください」

 

こう言われたとき、外部の人は判断に迷います。

 

本当に親本人の意思なのか。

それとも、誰かが親の意思を代弁しているだけなのか。

親を守るためなのか。

他の家族を排除するためなのか。

 

この境界は、とても見えにくいものです。

 

だからこそ、記録が必要になります。

 

 

2 裁判では、感情ではなく事実が問われる

 

高齢親の囲い込みに苦しむ家族は、深い怒りや悲しみを抱えます。

 

親に会えない。

親の様子が分からない。

親の言葉を直接聞けない。

情報を求めても返事がない。

それなのに、自分たちが悪者のように扱われる。

 

この苦しみは、非常に大きいものです。

 

しかし、裁判で問われるのは、怒りの強さそのものではありません。

 

問われるのは、何が起きたのかです。

 

いつ、誰が、何をしたのか。

どのような連絡をしたのか。

どのような返答があったのか。

どのような拒否があったのか。

親本人の意思確認は、どのように行われたのか。

施設や病院との連絡は、誰が担っていたのか。

財産や契約について、どのような説明があったのか。

 

裁判は、感情を否定する場所ではありません。

 

しかし、感情をそのままぶつけるだけでは、事実は残りません。

 

怒りを記録に変える。

悲しみを時系列に変える。

違和感を証拠に変える。

家族内の不透明な出来事を、第三者に伝わる言葉に変える。

 

裁判には、その作業を促す力があります。

 

 

3 判決は、家族の歴史に対する一つの公的な整理になる

 

裁判の最終的な結果として、判決が出ることがあります。

 

もちろん、判決にすべての事実が書かれるわけではありません。

当事者が大切だと思っている出来事のすべてを、裁判所が取り上げてくれるわけでもありません。

また、こちらの思いどおりの判断が出るとも限りません。

 

それでも、判決には大きな意味があります。

 

判決は、裁判所が、提出された主張や証拠に基づいて、一定の事実関係を整理し、判断を示すものです。

 

家族の中で長く曖昧にされてきたことについて、第三者である裁判所が、一定の形で言葉にする。

 

そこに意味があります。

 

たとえば、面会がどのように制限されていたのか。

連絡がどのように遮断されていたのか。

情報共有がどのように不足していたのか。

一部の家族に権限や情報が集中していなかったか。

他の家族がどのような対応を求めていたのか。

それに対して、どのような対応がなされたのか。

 

こうした経過が、判決の中で整理されることがあります。

 

それは、単なる家族の思い出話ではありません。

 

「何が起きたのか」を、家族の外にある手続の中で確認することです。

 

 

4 判決は、沈黙してきた側にも説明を求める

 

高齢親の囲い込みでは、説明がなされないことが大きな問題になります。

 

なぜ会わせないのか。

なぜ親本人と直接話せないのか。

なぜ施設の情報を共有しないのか。

なぜ財産管理を説明しないのか。

なぜ「親が嫌がっている」と言うだけで、具体的な確認方法を示さないのか。

 

家族内の話し合いでは、相手が沈黙すれば、それ以上進まないことがあります。

 

質問しても答えない。

メールを送っても返事がない。

説明を求めても無視される。

都合の悪いことには触れない。

 

このような対応が続くと、問題はさらに密室化します。

 

しかし、裁判では、主張に対して反論する機会が与えられます。

証拠に対して説明する機会があります。

争うなら争う、認めるなら認める、分からないなら分からないと述べる場面が出てきます。

 

もちろん、裁判でも相手が十分に説明しないことはあります。

 

それでも、説明しないという態度自体が、手続の中に残ります。

 

どの点について答えたのか。

どの点について答えなかったのか。

何を争い、何を争わなかったのか。

どの証拠にどう反応したのか。

 

こうした経過もまた、記録の一部になります。

 

家族内では見えなかった沈黙が、裁判の中では「説明の有無」として見えるようになるのです。

 

 

5 「自分たちはおかしくなかった」と確認する意味

 

高齢親の囲い込みに苦しむ人は、長い時間をかけて、自分の感覚を疑わされることがあります。

 

自分たちが騒ぎすぎなのだろうか。

本当に親は会いたくないのだろうか。

こちらが悪者なのだろうか。

家族なのに裁判を考える自分が間違っているのだろうか。

ここまで記録することは、冷たいことなのだろうか。

 

情報を持っていない側は、不安になります。

 

一方で、情報を握っている側は、堂々と振る舞うことがあります。

 

「自分が親を守っている」

「自分が全部やっている」

「他の家族は分かっていない」

「親のためだから仕方ない」

 

このような言葉の前で、排除された側は、自分の感じている違和感を言葉にできなくなっていきます。

 

だからこそ、判決には、心理的な意味もあります。

 

裁判所がすべてを分かってくれるわけではありません。

判決がすべての苦しみを癒してくれるわけでもありません。

 

それでも、事実関係が整理され、一定の判断が示されることで、少なくとも次のように思えることがあります。

 

自分たちは、何もないところで騒いでいたわけではなかった。

会わせてほしいと求めたことは、おかしなことではなかった。

情報を求めたことは、身勝手なことではなかった。

親の意思を確認したいと思ったことは、当然のことだった。

家族内で起きていた不透明さには、やはり問題があった。

 

これは、とても大きな意味を持ちます。

 

 

6 判決は、同じ問題で苦しむ人への道しるべにもなる

 

高齢親の囲い込みは、どの家庭にも起こり得る問題です。

 

親が高齢になる。

認知症や病気で判断力が弱る。

介護が始まる。

財産管理が必要になる。

施設や病院との連絡が増える。

相続の問題が見え始める。

 

そのとき、家族の中で一人だけが情報と窓口を握ると、囲い込みは起こりやすくなります。

 

そして多くの場合、外からは見えません。

 

だからこそ、判決で事実が記録されることには、社会的な意味があります。

 

それは、同じように苦しむ人にとって、道しるべになる可能性があるからです。

 

親に会えないことを、ただの家族喧嘩で片づけてはいけない。

情報を一人が握ることには、慎重な目が必要である。

「親が会いたくないと言っている」という言葉だけで、すべてを終わらせてはいけない。

親本人の意思確認には、透明性が必要である。

家族内の支配構造は、記録しなければ見えない。

 

こうした視点が、社会に残っていくことには意味があります。

 

判決は、一つの家族だけのものではありません。

 

同じ問題に直面している人が、自分の状況を理解するための言葉にもなり得ます。

 

 

7 和解ではなく判決を求める意味

 

裁判では、和解が勧められることがあります。

 

もちろん、和解が有効な場面もあります。

早期解決が必要な場合もあります。

親の負担や当事者の負担を考えると、合意によって終わらせることに意味がある場合もあります。

 

しかし、高齢親の囲い込みの問題では、判決を求めることにも意味があります。

 

なぜなら、和解では、事実関係が十分に整理されないまま終わることがあるからです。

 

「今後はこうしましょう」

「一定の金額を支払います」

「互いにこれ以上争いません」

 

それで解決する場合もあります。

 

しかし、長い間、面会遮断や情報独占が続いていた場合、当事者にとって本当に必要なのは、単なる終結ではないことがあります。

 

何が起きていたのか。

なぜ起きたのか。

誰がどのような行動をしたのか。

親本人の意思確認は適切だったのか。

家族の中で、どのような支配構造があったのか。

 

それを明らかにしたい。

 

その思いがあるとき、判決を求めることは、単なる強情ではありません。

 

家族の中で見えなくされてきた事実を、公的な判断として残したいという意思です。

 

もちろん、判決を求めることには負担もあります。

時間もかかります。

精神的な消耗もあります。

思い通りの結果になるとは限りません。

 

それでも、記録として残すことに意味がある事案はあります。

 

 

8 親の尊厳を中心に置き続ける

 

ここで大切なのは、裁判の目的を見失わないことです。

 

判決を求めることは、相手を叩きのめすためではありません。

家族の恨みを晴らすためでもありません。

勝った負けたを誇るためでもありません。

 

本来の目的は、親の尊厳を守ることです。

 

親が孤立させられていなかったか。

親本人の意思が本当に確認されていたか。

親の人間関係が不当に狭められていなかったか。

親の財産や生活が透明に扱われていたか。

親が一部の家族の都合の道具にされていなかったか。

 

高齢親の囲い込みで問われるべき中心は、常に親本人です。

 

きょうだいの勝ち負けではありません。

財産を誰が取るかだけの問題でもありません。

家族の感情だけの問題でもありません。

 

親本人の意思、尊厳、自由、人間関係、財産の透明性。

 

そこに光を当てるために、裁判があり、判決があります。

 

 

9 まとめ

 

判決には、家族の事実を記録する意味があります。

 

高齢親の囲い込みは、家族の中で密室化しやすい問題です。

 

面会が遮断される。

情報が一人に集中する。

親本人の意思が見えなくなる。

他の家族が悪者にされる。

説明を求めても答えがない。

財産管理や遺言の経緯が不透明になる。

 

こうした問題は、記録しなければ見えません。

 

裁判は、感情をそのままぶつける場所ではありません。

しかし、感情の背後にある事実を整理し、時系列にし、証拠として提出し、第三者に判断してもらう手続です。

 

判決は、すべてを救うものではありません。

けれど、長い間見えにくくされてきた家族内の支配、面会遮断、情報独占の経過を、公的な形で記録する可能性があります。

 

それは、当事者にとっての確認であり、同じ問題に苦しむ人への道しるべであり、社会への問題提起でもあります。

 

高齢親の囲い込みは、単なる家族喧嘩ではありません。

 

親の尊厳、家族関係、介護、認知症、相続、財産管理、法的手続が絡み合う問題です。

 

だからこそ、必要なときには、裁判という場で事実を記録する意味があります。

 

恨みではなく、記録として。

怒りではなく、問題提起として。

家族内紛ではなく、高齢親の尊厳を守るために。

 

判決で事実を残すことには、確かな意味があるのです。

 

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com

 


 

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このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

第16回 調停・訴訟・成年後見制度でできること――家族だけで解決できないとき、第三者を入れる意味

 

高齢親の囲い込みに気づいたとき、多くの人はまず、家族の中で何とか話し合おうとします。

 

「親に会わせてほしい」

「親の様子を教えてほしい」

「施設や病院の連絡先を共有してほしい」

「財産や通帳の管理状況を説明してほしい」

「親本人の意思を直接確認したい」

 

本来であれば、これらは家族同士で冷静に話し合えるはずのことです。

 

 

しかし、高齢親の囲い込みが起きている場面では、話し合いそのものが成立しないことがあります。

 

連絡しても返事がない。

質問しても答えない。

「親が嫌がっている」とだけ言われる。

施設や病院への連絡窓口を一人が握っている。

親の意思を確認しようとしても、必ずその人を通さなければならない。

財産や介護の情報が開示されない。

 

このような状態になると、家族だけで解決することには限界があります。

 

そこで重要になるのが、第三者を入れることです。

 

第三者とは、家庭裁判所、調停委員、裁判官、弁護士、成年後見人、司法書士、社会福祉士、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどです。

 

もちろん、制度を使えばすべてがすぐに解決するわけではありません。

 

それでも、家族内で密室化していた問題を、外部の目にさらし、記録し、整理し、親本人の利益を中心に置き直すためには、制度の力が必要になることがあります。

 

 

1 まず考えたいのは「話し合いの場」を外に出すこと

 

高齢親の囲い込みでは、問題が家族の中に閉じ込められます。

 

閉じられた家族関係の中では、声の大きい人、親の近くにいる人、通帳や印鑑を持っている人、施設との窓口になっている人が、圧倒的に有利になります。

 

一方、親から遠ざけられている家族は、情報を持っていません。

 

親の状態も分からない。

誰が何を決めているのかも分からない。

施設や病院にどう説明されているのかも分からない。

親本人が本当にそう言っているのかも分からない。

 

この状態で「家族で話し合ってください」と言われても、実際には話し合いになりません。

 

なぜなら、話し合いの前提である情報が、一方に偏っているからです。

 

そこで、家庭裁判所の調停などを利用して、話し合いの場を家族の外に出すことが考えられます。

 

調停は、裁判のように白黒をはっきり決めるものとは限りません。

むしろ、第三者を交えて、当事者双方の言い分を整理し、合意できる点を探っていく手続です。

 

高齢親の囲い込みの場面では、たとえば次のようなことを話し合うきっかけになります。

 

親との面会方法。

親への電話や手紙の可否。

施設や病院との連絡方法。

親の体調や介護状況の共有。

親本人の意思確認の方法。

親族間での最低限の情報共有ルール。

 

大切なのは、調停を「相手を懲らしめる場」と考えすぎないことです。

 

調停の意味は、密室化した家族関係を、第三者のいる場に出すことにあります。

 

 

2 訴訟は「事実を記録する」手段にもなる

 

調停で解決できない場合や、損害、権利、財産、契約、遺言、面会妨害などの問題が深刻な場合には、民事訴訟が検討されることもあります。

 

訴訟というと、多くの人は「勝つか負けるか」「お金を取れるか取れないか」というイメージを持つかもしれません。

 

もちろん、訴訟には権利を主張し、裁判所に判断してもらうという側面があります。

 

しかし、高齢親の囲い込みにおいて、訴訟にはもう一つ大きな意味があります。

 

それは、家族の中で起きてきた事実を、公的な手続の中で記録することです。

 

いつから親に会えなくなったのか。

誰が連絡窓口を握ったのか。

どのような説明で面会が制限されたのか。

施設や病院に何が伝えられていたのか。

他の家族の質問に対して、どのような回答があったのか、なかったのか。

親本人の意思は、どのように確認されたのか。

財産管理や遺言作成の経緯に不透明な点はなかったのか。

 

これらは、家族の中で感情的に言い合っているだけでは、時間とともに流れてしまいます。

 

しかし、訴訟では、主張書面、証拠、陳述書、録音、メール、LINE、手紙、診療記録、介護記録などを通じて、事実関係を整理していくことになります。

 

もちろん、裁判所がすべての感情を受け止めてくれるわけではありません。

また、こちらが思うとおりの判断が必ず出るわけでもありません。

 

それでも、長い間、家庭内で見えにくくされてきた支配構造を、記録として残す意味は大きいのです。

 

高齢親の囲い込みでは、問題が表に出たときには、すでに何年も経っていることがあります。

 

そのとき、重要になるのは、感情の強さだけではありません。

 

重要なのは、時系列です。

記録です。

証拠です。

第三者に説明できる形で、何が起きてきたのかを整理することです。

 

訴訟は、そのための一つの手段になり得ます。

 

 

3 成年後見制度は「親の財産と意思」を守るための制度

 

高齢親の判断能力が低下している場合、成年後見制度の利用が問題になることがあります。

 

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人について、本人の権利や財産を守るための制度です。

 

高齢親の囲い込みでは、財産管理が不透明になることがあります。

 

通帳を誰が持っているのか分からない。

年金がどのように使われているのか分からない。

施設費や医療費の支払い状況が分からない。

不動産の売却や契約が進んでいた。

遺言の作成経緯が分からない。

親本人が本当に理解していたのか疑問がある。

 

このような場合、成年後見制度を通じて、親本人の財産管理や契約行為について、第三者的な管理を入れることが検討されます。

 

ただし、成年後見制度も万能ではありません。

 

後見人が選ばれれば、すべての親族関係が修復されるわけではありません。

面会問題が自動的に解決するわけでもありません。

家族の感情的対立が消えるわけでもありません。

 

それでも、親の財産管理や法律行為が一部の家族の手の中で不透明になっている場合、成年後見制度は重要な選択肢になります。

 

大切なのは、成年後見制度を「相手から親を取り戻す制度」と考えるのではなく、親本人の権利、財産、生活を守るための制度として位置づけることです。

 

親のために必要なのか。

親の財産管理が透明になるのか。

親本人の意思や生活の安定につながるのか。

一人の家族に権限が集中している状態を見直せるのか。

 

この視点が重要です。

 

 

 

4 制度を使う前に準備すべきこと

 

調停、訴訟、成年後見制度を考える前に、準備しておくべきことがあります。

 

それは、記録です。

 

高齢親の囲い込みに苦しんでいると、どうしても感情が先に立ちます。

 

なぜ会わせてくれないのか。

なぜ説明しないのか。

なぜ親の言葉を一人で代弁するのか。

なぜこちらだけが悪者にされるのか。

 

その怒りや悲しみは当然です。

 

しかし、制度を使う場面では、感情だけでは伝わりにくいことがあります。

 

必要なのは、次のような記録です。

 

いつ、誰に、何を伝えたのか。

それに対して、どのような返事があったのか。

返事がなかったのか。

面会を求めたのはいつか。

断られた理由は何か。

親本人と直接話せたのはいつか。

施設や病院に連絡した記録はあるか。

財産管理について質問した記録はあるか。

相手の説明に変化や矛盾はないか。

 

このような記録を、時系列で整理しておくことが重要です。

 

完璧な証拠でなくてもかまいません。

 

メール、LINE、手紙、メモ、録音、郵送記録、面会記録、施設とのやり取りなど、残っているものを整理することから始めればよいのです。

 

高齢親の囲い込みでは、「何となくおかしい」という感覚が、長い時間をかけて積み重なっていきます。

 

その「何となく」を、第三者に伝わる形にする作業が、記録化です。

 

 

 

5 制度を使うことは、家族を壊すことではない

 

調停や訴訟、成年後見制度の利用を考えると、多くの人がためらいます。

 

「ここまでしたら、家族関係が壊れてしまうのではないか」

「裁判所を使うなんて大げさではないか」

「親が悲しむのではないか」

「自分が悪者にされるのではないか」

 

そう感じるのは自然なことです。

 

しかし、考えなければならないのは、すでに家族関係が歪められていないかということです。

 

親に会えない。

親の状態が分からない。

情報が一人に集中している。

他の家族が排除されている。

親本人の意思が確認できない。

説明を求めても答えがない。

 

このような状態が続いているなら、問題は「制度を使うから家族が壊れる」のではありません。

 

すでに、家族の中で不透明な支配構造が生まれている可能性があるのです。

 

制度を使うことは、家族を攻撃することではありません。

 

親本人の意思を確認すること。

情報を透明にすること。

家族内の力の偏りを見直すこと。

第三者の目を入れること。

必要な記録を残すこと。

 

そのための手段です。

 

6 目的は、相手を倒すことではなく、親の尊厳を守ること

 

高齢親の囲い込みに直面すると、どうしても相手への怒りが強くなります。

 

なぜ親を独占するのか。

なぜ説明しないのか。

なぜ他の家族を悪者にするのか。

なぜ親の言葉を一人で握るのか。

 

その怒りには理由があります。

 

しかし、制度を使うときに忘れてはいけないのは、最終目的です。

 

最終目的は、相手を倒すことではありません。

 

親本人の尊厳を守ることです。

親本人の意思を確認することです。

親が孤立させられないようにすることです。

親の財産や生活が不透明に扱われないようにすることです。

家族関係の出入口を、一人の家族だけが握らないようにすることです。

 

 

高齢親の囲い込みで本当に問われているのは、きょうだいの勝ち負けではありません。

 

親を守るとは、どういうことか。

親のためと言いながら、親の人間関係を狭めていないか。

親の意思を代弁する人に、説明責任はあるのではないか。

家族の中で、情報と権限が一人に集中していないか。

 

その問いを、社会の側に開いていくことが大切です。

 

7 まとめ

 

高齢親の囲い込みに気づいたとき、家族だけで解決しようとしても限界があります。

 

話し合いができない。

情報が開示されない。

親本人の意思が確認できない。

施設や病院との連絡が遮断されている。

財産管理が不透明になっている。

 

そのようなときは、調停、訴訟、成年後見制度など、第三者を入れる手段を検討する必要があります。

 

 

もちろん、制度は万能ではありません。

 

しかし、密室化した家族関係に外部の目を入れ、事実を整理し、記録し、親本人の利益を中心に置き直すためには、制度の力が必要になることがあります。

 

大切なのは、感情的にぶつかることではありません。

 

記録すること。

時系列を作ること。

説明を求めること。

第三者に相談すること。

親本人の意思と尊厳を中心に置くこと。

 

高齢親の囲い込みは、家族の中だけで抱え込むには重すぎる問題です。

 

だからこそ、制度を知ること。

記録を残すこと。

第三者を入れること。

そして、親本人の尊厳を守るという原点に立ち返ること。

 

そこから、閉じられた家族関係を、少しずつ開いていくことができます。


 


 

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高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

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 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

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高齢親の囲い込みに気づいたとき、多くの人は混乱します。

 

 

なぜ会わせてもらえないのか。
なぜ情報を教えてもらえないのか。
なぜ自分だけ悪者にされているのか。
親は本当はどう思っているのか。

 

怒り、不安、焦り、悔しさが一気に押し寄せます。

 

しかし、ここで最初に必要なのは、相手を責めることではありません。

最初に必要なのは、記録を始めることです。

感情的に動くと、不利に見えることがある

囲い込みを受けている側は、当然怒ります。

 

親に会えない。
親の情報を知らされない。
説明を求めても返事がない。
 

それなのに、周囲には自分が問題のある家族のように説明されている。

これほど理不尽なことはありません。

 

しかし、怒りのままに強い言葉を送ったり、突然押しかけたり、相手を激しく非難したりすると、相手に利用されることがあります。

 

「やはり感情的だから会わせられない」
「親に悪影響がある」
「施設に迷惑をかける」

 

そう言われてしまう可能性があるのです。

だからこそ、怒りは否定しなくてよい。
 

ただし、怒りをそのままぶつけるのではなく、記録に変えることが大切です。

 

時系列を作る

まず作るべきものは、時系列です。

難しいものでなくて構いません。
ノートでも、Excelでも、スマホのメモでもよいです。

 

日付。
出来事。
誰が何を言ったか。
こちらが何を求めたか。
相手がどう返答したか。
証拠があるか。

 

この程度から始めれば十分です。

たとえば、

 

○月○日 親への面会を希望した。
○月○日 兄弟から「親が会いたくないと言っている」と返信。
○月○日 具体的理由を尋ねたが返答なし。
○月○日 施設名を尋ねたが教えてもらえず。

 

このように積み上げていきます。

時間が経つと、人の記憶は曖昧になります。
 

しかし、時系列があれば、何が起きたのかを後から整理できます。

 

証拠を保存する

次に大切なのは、証拠の保存です。

 

LINE。
メール。
手紙。
SMS。
録音。
面会記録。
施設や病院とのやり取り。
郵送物。
写真。
メモ。

 

これらは、後から重要な意味を持つことがあります。

特に、「言った・言わない」になりやすい家族問題では、記録が非常に大切です。

 

ただし、証拠を集める目的は、相手を攻撃することではありません。

 

何が起きているのかを正確に把握するため。
親本人の利益を守るため。
第三者に説明できるようにするため。

 

そのための記録です。

 

第三者に説明できる言葉にする

囲い込みの苦しみは、当事者にとっては非常に大きなものです。

しかし、第三者に伝えるときには、感情だけでは伝わりにくいことがあります。

 

「あの人がひどい」
「許せない」
「親を奪われた」

 

この気持ちは本物です。

ただ、第三者に伝えるときには、次のような言葉に整理した方が伝わりやすくなります。

 

「親の面会について、具体的な理由の説明がないまま拒否されています」
「親本人の意思を直接確認できない状態が続いています」
「施設・病院との連絡窓口が一人に集中し、情報共有がありません」
「財産管理や重要な判断の過程が不透明です」

 

このように整理すると、家族内の感情論ではなく、構造的な問題として伝えることができます。

 

相談先を考える

状況によっては、第三者に相談することも必要です。

 

地域包括支援センター。
ケアマネジャー。
施設。
成年後見関係者。
弁護士。
司法書士。
行政書士。
家庭裁判所の手続。

 

どこに相談すべきかは状況によって異なります。

大切なのは、いきなり大きな手続に進むことではありません。

 

まずは、何が起きているのかを整理すること。
親本人の利益を中心に置くこと。
感情的な対立ではなく、説明責任と透明性の問題として伝えることです。

 

自分を責めない

囲い込みに気づいた人の中には、自分を責める人がいます。

 

もっと早く気づけばよかった。
もっと強く言えばよかった。
親を守れなかった。
自分が悪かったのかもしれない。

 

しかし、囲い込みは密室で進むことが多い問題です。

情報を遮断され、親の状態を知らされず、周囲に悪者として説明されていたら、すぐに全体像をつかむことは簡単ではありません。

 

だから、自分を責めすぎないでください。

 

気づいた時点からでよいのです。
そこから記録を始めればよいのです。
完璧でなくても、時系列を作ればよいのです。

高齢親の囲い込みは、言葉にすることから始まる

高齢親の囲い込みの苦しさは、言葉にしにくいところにあります。

 

単なるきょうだい喧嘩ではない。
単なる介護の分担でもない。
単なる相続争いでもない。

 

親をめぐる情報、面会、財産、意思確認、人間関係を、一人の家族が握ってしまう問題です。

だからこそ、まずは言葉にすること。
 

記録すること。
時系列にすること。
第三者に説明できる形にすること。

 

それが、囲い込みから親の尊厳を守る第一歩になります。

親を守るとは、親を誰か一人の支配下に置くことではありません。
親の意思、尊厳、人間関係、生活を、できるだけ透明な形で守ることです。

高齢親の囲い込みに気づいたら、まず記録を始めてください。
それは、小さく見えて、とても大きな一歩です。

 

 

 


 

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このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

 

高齢親の囲い込みは、最初から財産問題として表に出るとは限りません。

 

最初は、面会の問題かもしれません。
電話の問題かもしれません。
施設との連絡の問題かもしれません。

 

しかし、時間が経つにつれて、通帳、印鑑、不動産、保険、遺言といった財産の問題に結びついていくことがあります。

 

ここで家族関係は、一気に深刻になります。

 

 

財産情報が見えない不安

 

親が元気なうちは、財産管理について家族が細かく関与する必要はないかもしれません。

 

しかし、親が認知症になったり、施設に入ったり、判断力が低下したりすると、状況は変わります。

 

誰が通帳を持っているのか。
印鑑はどこにあるのか。
年金はどの口座に入っているのか。
施設費用はどこから支払われているのか。
不動産はどうなっているのか。
保険契約は変更されていないか。
遺言は作成されているのか。

 

こうした情報が一人の家族だけに集中し、他の家族には一切知らされない場合、不信感が生まれます。

もちろん、財産情報はプライバシーに関わるものです。
すべてを全員に公開すればよい、という単純な話ではありません。

 

しかし、親本人の判断力が低下している状況で、財産管理が完全に密室化することは、やはり危ういと言わざるを得ません。

 

 

「自分が管理しているから大丈夫」は説明にならない

 

囲い込みをする人は、しばしばこう言います。

 

「自分が全部やっている」
「自分が面倒を見ている」
「他の家族は何もしていない」
「だから自分が管理して当然だ」

 

たしかに、実際に介護や手続を多く担っている家族がいることはあります。
その負担は軽くありません。

 

しかし、負担していることと、説明しなくてよいことは別です。

 

介護をしているから、財産情報を独占してよい。
窓口をしているから、他の家族を排除してよい。
自分が大変だから、親の意思確認を省略してよい。

 

そうはなりません。

 

親の財産は、親本人のものです。
家族の誰かのものではありません。

 

だからこそ、親本人の利益のために使われているのか、透明性が求められます。

 

 

遺言が出てきたときの衝撃

 

囲い込みの問題で特に大きいのが、遺言です。

 

長い間、親に会えなかった。
親の状態を知らされなかった。
施設や病院との連絡も遮断されていた。
財産情報も開示されなかった。

 

そのような状態の後で、突然、特定の家族に有利な遺言が出てくる。

このとき、他の家族は強い疑問を抱きます。

 

本当に親本人の自由な意思だったのか。
誰が準備したのか。
誰が説明したのか。
親の判断力はどうだったのか。
他の選択肢は伝えられていたのか。
親は他の家族との関係をどう理解していたのか。

 

遺言は、親本人の最終意思として尊重されるべきものです。
しかし、その形成過程が不透明であれば、検証が必要になる場合があります。

 

 

財産問題の核心は「お金」だけではない

 

通帳や遺言の問題になると、外からは「結局、お金の争いでしょう」と見られることがあります。

しかし、当事者にとっての苦しみは、お金だけではありません。

 

親に会えなかったこと。
親の本当の気持ちを確認できなかったこと。
自分だけが悪者にされたこと。
親との関係を一方的に断たれたこと。
その状態で財産や遺言だけが進んでいたこと。

 

この理不尽さが、人を深く傷つけます。

財産問題は、家族関係の最終局面として現れることがあります。
 

しかし、その前には、面会遮断、情報遮断、孤立化、説明責任の欠如が積み重なっているのです。


必要なのは透明性である

 

高齢親の財産管理で大切なのは、誰が得をするかではありません。

 

親本人のために使われているか。
親本人の意思が尊重されているか。
判断能力に応じた適切な手続が取られているか。
記録が残っているか。
第三者の関与があるか。

 

これらが重要です。

財産や遺言の問題は、感情的にぶつかるだけでは解決しません。

 

通帳の所在。
支出の記録。
契約書。
領収書。
介護記録。
医療記録。
遺言作成時の資料。
関係者とのやり取り。

 

こうしたものを冷静に確認していく必要があります。

高齢親の囲い込みは、親の人間関係を遮断するだけではありません。
やがて、親の財産や最終意思の問題にまでつながることがあります。

だからこそ、早い段階で記録し、透明性を求め、必要に応じて第三者の関与を考えることが大切です。

 

親の財産は、親の人生そのものと結びついています。

それを密室で扱わせないこと。
親本人の尊厳を中心に置くこと。
 

それが、家族に求められる責任ではないでしょうか。

 

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com

 


 

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