高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

はじめに

 

親の囲い込み問題に悩んでいる方の多くが、まず直面するのはコミュニケーションの遮断です。
 

特に現代では、電話よりもLINEなどのメッセージアプリが連絡手段の中心になっています。

 

ところが、送ったLINEが既読になっているのに返事がない──いわゆる「既読スルー」に遭遇することがあります。
 

その瞬間、心の中には「無視された」「敵視されているのではないか」という不安や怒りが湧き上がるものです。

しかし、そこで感情的な反応をしてしまうと、状況がさらに悪化する危険があります。
 

本記事では、「既読スルー」に冷静に対応するための考え方と実践方法を整理していきます。

 

 

 

1. 既読スルーは「敵意」とは限らない

 

まず大前提として知っていただきたいのは、既読スルー=拒絶ではないということです。
 

返事が来ない理由には、実際にはさまざまな可能性があります。

  • 仕事や介護で手が離せなかった
  • 返信内容を考えているうちに時間が経ってしまった
  • 親や第三者の目を気にしてすぐ返せなかった
  • 単純に忘れてしまった

 

私が相談を受けてきたケースでも、「返す気がなかった」よりも「返せなかった」理由の方が圧倒的に多いのです。
それを知らずに「無視された」と解釈して感情的なメッセージを送ってしまうと、かえって関係は硬直化します。

 

 

2. 心理的に揺さぶられる理由

 

それでも既読スルーに強い不安や怒りを感じるのはなぜでしょうか。
背景には、人間の心理的な「不確実性への耐性の弱さ」があります。

 

  • 誰かに無視される=自分の存在を否定されたように感じる
  • 家族との関係に不安を抱えている人ほど、反応に敏感になる
  • 囲い込み問題を抱える方は、連絡が遮断されること自体が大きな恐怖になる

 

このため、LINEの一つ一つの反応に一喜一憂し、メッセージが返ってこないだけで夜も眠れなくなる方も少なくありません。
これは決して「弱いから」ではなく、状況が人の心を過敏にさせているのです。

 

 

 

3. 感情的にならずに待つ工夫

 

既読スルーに遭ったときに大切なのは、「すぐに反応しない」ことです。

 

(1)返信期限を自分で決める

「返事は24時間待つ」とルールを作ると、心の揺れをコントロールしやすくなります。
待つ時間を区切ることで、漠然とした不安が少し和らぎます。

 

(2)メモに書き出して気持ちを外に出す

「なんで返事をくれないのか」「親のことをどうしているのか」など、頭に浮かぶ疑問や怒りをノートに書き出してみましょう。
書くことで気持ちが整理され、相手にそのままぶつけるリスクを減らせます。

 

(3)他の行動で意識を切り替える

不安な気持ちが強いと、スマホを何度も確認してしまいます。
意識的に散歩や運動、読書など「別の活動」を取り入れることで、心のバランスを保ちやすくなります。

 

 

4. 再送するときの工夫

 

もし一定時間が経っても返信がない場合、再送の仕方にも注意が必要です。

 

NGパターン

  • 「なんで返事しないの?」
  • 「無視するつもり?」
  • 「親に会わせろ!」

こうした攻撃的な表現は、相手の防衛心を強めてしまい、ますます返事が来なくなります。

 

おすすめの書き方

  • 「先ほど送った件ですが、確認していただけましたか?」
  • 「忙しいところ失礼しました。ご都合の良いときに教えてください。」

 

事務的・簡潔・相手に負担をかけない文面を意識しましょう。
「親に会いたい」という本題に入る前に、返事をしやすい小さな質問を投げかけるのも有効です。

 

 

 

 

5. どうしても返事がない場合の考え方

 

再送しても連絡が途絶えることがあります。
このときに重要なのは、「LINEだけに頼らない」という発想です。

  • 電話や手紙といった別の連絡手段を試す
  • 親本人や施設職員など、他のルートを探す
  • 必要に応じて第三者(ケアマネジャー、弁護士、家庭裁判所)に相談する

LINEは便利なツールですが、相手がブロックしたり無視したりすれば簡単に遮断されてしまいます。
「LINE=唯一の手段」ではないという認識を持っておくことが、冷静さを保つカギになります。

 

 

6. 法的・実務的な視点

 

既読スルーが続く場合、「親に会わせないための意図的な遮断」の可能性もあります。
この場合には、次のような実務的な準備が役立ちます。

  • 連絡履歴をスクリーンショットなどで記録する
  • 「いつ、どのように連絡を試みたか」をメモしておく
  • 必要に応じて、家庭裁判所の調停や審判で証拠として提出する

こうした記録は、感情の暴発を防ぐだけでなく、後の手続きで「自分は冷静に連絡を試みた」と示す根拠にもなります。

 

 

 

7. 心のケアを忘れない

 

既読スルーは小さな出来事に見えますが、囲い込み問題の文脈では大きなストレス要因となります。
孤独感や無力感が積み重なると、心身に不調をきたすこともあります。

  • 信頼できる友人や支援者に話を聞いてもらう
  • カウンセリングを受ける
  • 日記に感情を書き留める

 

「自分の気持ちを外に出す場」を持つことが、冷静さを取り戻す助けになります。

 

 

まとめ

 

LINEの既読スルーは、決して珍しいことではありません。
 

大切なのは、「すぐに敵意と決めつけない」「感情的に反応しない」「複数の手段を準備する」という姿勢です。

  • 既読スルーは必ずしも拒絶ではない
  • 心理的に不安になるのは自然なこと
  • 冷静に待ち、記録を取り、次の一手を準備する
  • LINE以外の連絡ルートや第三者の力も視野に入れる

 

このように対応することで、無駄な衝突を避けつつ、親との面会や交流を実現する可能性を高めることができます。

「親は家族みんなのもの」です。
 

たとえLINEの画面が冷たく沈黙していても、あなたの思いが途絶えてしまうわけではありません。
冷静に、着実に、一歩ずつ進んでいきましょう。

 

 

 

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