高齢親の囲い込み解消コンサルタント 白岩俊正、公認会計士・税理士です。
高齢になって子どもの介護を受けるようになった親を、子どもたちの一人が囲い込み、他の子どもたち(きょうだい)に会わせないようにしている方(高齢親の囲い込み)でお困りの方のご支援をしています。
自己紹介など
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21.成年後見制度と囲い込みの関係 ― 親に会えないとき、何が起きているのか ―
1. 「囲い込み」とは何か
親の介護や生活支援をしているきょうだいの一人が、他のきょうだいに対して「会わせない」「連絡を取らせない」状態を作ってしまうことがあります。
これを便宜的に「囲い込み」と呼びます。
囲い込みは、必ずしも悪意だけで起きるとは限りません。
親を守りたい気持ちや、介護の負担からくる苛立ち、不信感などが背景にあることもあります。
しかし、会わせない状態が長く続けば、親子の絆が断たれ、本人(親)や他の家族に深い心の傷を残すことになります。
そして近年、この「囲い込み」が成年後見制度と絡んでより複雑化するケースが増えています。
2. 成年後見制度とは
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が十分でない方の財産や権利を守るための制度です。
大きく分けて2種類あります。
- 法定後見制度
判断能力がすでに低下している場合に、家庭裁判所が後見人を選任します。
後見人は財産管理や契約の代理、必要に応じて身上監護(施設入所の手続きなど)を行います。 - 任意後見制度
判断能力があるうちに、自分が信頼できる人を「将来の後見人」として契約しておく仕組みです。
一見すると、とても安心できる制度です。
しかし現実には、この後見制度が“囲い込み”の道具として利用されてしまうこともあります。
3. 囲い込みと成年後見制度のつながり
囲い込みが起きる背景には、「情報と権限の集中」があります。
後見人になった人は、財産管理のほか、居住や施設入所に関する重要な決定権を持ちます。
これがもし、他の家族との関係が悪化している人に集中してしまうと、次のような事態が起きやすくなります。
- 他のきょうだいに親の住所や施設名を教えない
- 面会の日時や方法を一方的に制限する
- 親の電話や手紙のやり取りを制限する
- 親が「会いたい」と言っても、第三者の立ち会いや条件をつける
こうした行為は、成年後見制度そのものが目的ではなくても、結果的に親を孤立させる「囲い込み」になります。
4. なぜ裁判所は止められないのか
「家庭裁判所が監督しているのだから、止められるはず」と思う方も多いでしょう。しかし現実には、面会制限や交流遮断は“身上監護”の一環として後見人の裁量に委ねられてしまうことが多く、よほど明確な人権侵害や虐待の証拠がない限り、裁判所が介入することは稀です。
その理由は以下の通りです。
- 裁判所は財産管理に重点を置き、家族間の感情的な対立には深入りしない傾向がある
- 面会や交流の可否は「本人の利益」や「安全確保」の名のもとに制限されることがある
- 証拠が乏しい場合、第三者から見て“やむを得ない対応”と判断されやすい
つまり、後見人が「本人が疲れるから会わせない」と説明すれば、その正否を確かめるのは容易ではないのです。
5. 囲い込みがもたらす心理的影響
親に会えない時間が長くなるほど、双方に精神的な負担が積み重なります。
- 親側の影響
- 愛着のある家族とのつながりが断たれ、孤独感や不安が増す
- 情報が制限され、判断力の低下が加速する
- 「あの子は来てくれない」と誤解し、感情的な距離が広がる
- 子ども側(会えない立場)の影響
- 無力感や怒り、悲しみが混ざった複雑な感情に苦しむ
- 親の健康や生活状況がわからず、想像ばかりが膨らみ不安が増す
- 長期化すると、再会の時に距離感や信頼関係を取り戻すのが難しくなる
こうした心理的ダメージは、時間が解決してくれるとは限りません。
6. 対応のステップ
もしあなたが今、親に会えない状況に置かれているなら、感情の揺れに流されすぎず、次のようなステップを踏むことが大切です。
- 記録を残す
- 会えなかった日や理由、やり取りの経緯を時系列で残す
- メールや手紙、録音なども可能な範囲で保存する
- 冷静な事実確認
- 親の状況(施設、病状、介護サービス)を公式な書類や第三者経由で確認する
- 推測や噂ではなく、事実ベースの情報を集める
- 第三者の介入を検討する
- 地域包括支援センター、成年後見監督人、弁護士などに相談
- 必要に応じて家庭裁判所に「後見人の変更」や「監督の強化」を申し立てる
- 自分の心を守る
- 信頼できる友人やカウンセラーに気持ちを話す
- 会えない状況が長引くほど、自分の生活や健康を優先する意識を持つ
7. 望ましい成年後見のあり方
本来、成年後見制度は本人の生活と尊厳を守るための制度です。
そのためには以下の点が重要です。
- 面会や交流は本人の意思を最優先にする
- 後見人が一方的に判断せず、可能な限り家族全体で情報を共有する
- 裁判所も財産管理だけでなく、交流制限の妥当性をチェックする仕組みを整える
これらが当たり前になれば、囲い込みのリスクは大きく減ります。
8. まとめ成年後見制度は高齢の親を守るための制度ですが、
運用の仕方次第では「囲い込み」を強化してしまう危険があります。特に後見人と他のきょうだいとの間に信頼関係がない場合、
情報や面会の制限が制度の名のもとに正当化されてしまうことがあります。
もしあなたが親に会えずに苦しんでいるなら、まずは事実を集め、第三者の力を借りながら、少しずつでも交流を取り戻す道を探していくことが大切です。
そして、何よりも忘れないでほしいのは、
「親子のつながりは、制度のためではなく、人の心のためにある」ということです。
制度は本来、そのつながりを守るために存在しているのです。
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