高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

42.「手紙」から始めて親と再会したケース

 

はじめに

 

高齢の親が、きょうだいの一人によって「囲い込み」状態に置かれてしまう。つまり、特定の子どもが親を自宅や施設に入れたまま、他のきょうだいに会わせない状況が続く。この問題は近年、深刻化しています。

 

「親に会いたいのに、電話もつながらない。施設に行っても断られる。どうすれば…」
 

そうした相談を日々受ける中で、実際に突破口となったのが「手紙」だった、というケースがあります。

 

今回は、“手紙から始まった再会の物語”を取り上げ、そのプロセスや注意点、そして学べることを整理してみたいと思います。

 

 

 

ある相談者のケース

 

Aさん(50代女性)は、5年間も母親に会えないまま時を過ごしていました。きっかけは、兄による囲い込み。母親を兄の家に住まわせてから、他のきょうだいには住所も知らせず、電話もつながらず、連絡手段をすべて遮断してしまったのです。

 

Aさんは何度も「会わせてほしい」と兄に頼みました。しかし返ってくるのは「母は会いたがっていない」「お前は母を混乱させるだけだ」といった言葉でした。やがて兄は連絡にすら応じなくなり、Aさんは孤独感と無力感に苛まれました。

 

弁護士に相談しても

 

Aさんは一度、弁護士に相談し、内容証明を送りました。ところが「母の意思に基づいて会わない」という兄の返答により、法的な強制力を持たせることはできませんでした。成年後見人も選任されていなかったため、裁判の手も取りにくい状況。Aさんはますます途方に暮れました。

 

 

転機となった「手紙」

 

そんなとき、Aさんが思い出したのは、かつて母が「やっぱり手紙は心が伝わる」と話していたことでした。

そこでAさんは、「直接会うことを求めるのではなく、まず母への思いを言葉にして届けよう」と決意します。

 

書いた内容

 

Aさんが心がけたのは次の点です。

  1. 自分の寂しさを正直に伝える
     「お母さんに会えない日々がとても寂しい」
     「声を聞くだけでも安心できる」
  2. 兄への批判は書かない
     囲い込みの状況について不満は山ほどありましたが、それを書けば母は苦しむだけ。あえて一切触れませんでした。
  3. 母の安心を願う言葉で締める
     「お母さんが元気でいてくれることが、私の一番の願いです」

 

届け方

 

住所は分からなくても、兄の家を突き止めて投函することはできました。直接渡そうとすれば拒絶される可能性が高いため、普通郵便で送りました。

 

 

 

再会までの道のり

 

最初の手紙に返事はありませんでした。しかし、Aさんは諦めず、月に一度、短い手紙を送り続けました。

 

3通目を出したころ、ある日突然、兄からメールが届きました。
 

「母がお前に会いたがっている。短時間なら来てもいい」

 

Aさんは半信半疑でしたが、指定された日時に兄の家を訪れると、そこには少し痩せた母が座っていました。母は涙ぐみながら「手紙を読んで、本当に会いたくなった」と言ったのです。

 

再会が実現した理由

  • 母は「会わせてもらえない」ことを受け入れざるを得なかったが、娘の気持ちを知ることで自分の意思を表に出せた。
  • 手紙は兄を介さず母に届いたため、母自身の反応を引き出すことができた。
  • 兄も「母が本当に望んでいる」と分かったことで、拒みきれなくなった。
 

 

専門家の視点からの考察

 

1. 手紙は「静かな対話」

電話や直接訪問は、拒絶やトラブルに発展しやすい方法です。対して手紙は、受け取った側が自分のペースで読めるため、感情的な摩擦を避けやすい。特に高齢者には、何度も読み返せる安心感があります。

 

2. 批判や要求を避けることが大切

手紙は「武器」にもなります。感情的に相手やきょうだいを非難する内容は逆効果です。大切なのは、親に寄り添う気持ちを素直に書くこと。相手の心を動かすのは、要求や論理よりも、温かい情です。

 

3. 「積み重ね」が信頼を生む

1通で効果を期待するのではなく、継続することが鍵です。短くてもよいので、定期的に送る。これが「忘れていないよ」という安心につながります。

 

 

 

注意すべきリスク

 

もちろん、すべてのケースで手紙が有効とは限りません。

  • 親の認知症が進んでいて、内容を理解できない場合
  • 囲い込むきょうだいが手紙を隠す場合
  • 「しつこい」と受け止められて逆効果になる場合

こうしたリスクを踏まえたうえで、慎重に取り組むことが必要です。

 

 

まとめ

 

「親に会いたい」と願っても、きょうだいの壁に阻まれる。そんなとき、直接的な要求ではなく、静かで誠実なアプローチ=手紙が突破口となる場合があります。

 

今回のケースのように、手紙を通じて親の心が動き、再会が叶うこともあるのです。

 

もし同じように悩んでいる方がいれば、手紙という方法を一つの選択肢として思い出してください。そこから始まる小さな一歩が、大きな再会につながるかもしれません。

 

 

 

 

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41. 親に3年会えなかった私がやったこと

 

「最後に親と会ったのは、もう何年前だろう?」
 

そんな問いを胸の奥で繰り返しながら、時間だけが過ぎていく。

 

きょうだいの一人が高齢の親を囲い込み、他の家族に会わせてくれない。電話をしてもつながらない。施設に行っても「ご家族の意向ですので」と断られる。こうした体験をしている人は、決して少なくありません。

 

私自身も、3年間ものあいだ親に会えなかった経験があります。
 

この3年は、ただの月日の流れではありません。会えない間に親の老いは進み、病気のリスクも高まります。そして私の心も、「怒り」と「悲しみ」と「無力感」に揺さぶられ続けました。

 

しかし、この体験を通して「会えないときに、できること」が少しずつ見えてきました。本記事では、私が実際に取り組んだことをお伝えします。今まさに同じ苦しみを抱えている方にとって、一つの道しるべになれば幸いです。

 

 

 

1. 「会えない事実」を直視する勇気

 

最初にしたことは、現実を否定しないことでした。

 

「そのうちきょうだいが考え直してくれるかもしれない」
「施設も柔軟に取り計らってくれるはず」

 

そう自分に言い聞かせても、状況は変わりません。時間だけが過ぎ、会えない日々が積み重なっていきます。

 

私は専門家としても、現実を見つめることの大切さを痛感しています。「いま会えない」という事実を受け止めることで初めて、次の一歩を考えることができるのです。

 

 

2. 手紙を書き続ける

 

直接会えない以上、「親に自分の思いが届く方法」を模索しました。その一つが手紙です。

 

封筒に「お母さんへ」と丁寧に書き、近況や思い出を綴りました。施設に送っても、必ず渡してもらえる保証はありません。けれども、
 

「届いているかもしれない」
「もし渡されなくても、記録として残る」
 

そう信じて、月に一度は手紙を書きました。

 

この行動は、親のためであると同時に自分の心を守るためでもありました。「私はできることをしている」という感覚が、無力感に押し潰されるのを防いでくれたのです。

 

 

 

3. 面会交渉を「冷静に」重ねる

 

3年間の間に、私は何度も施設を訪ね、担当者に会いました。

 

ただし、その際に肝に銘じたのは「感情をぶつけない」こと。
「なぜ会わせてくれないんだ!」と怒鳴れば、施設はますます防御的になります。

 

代わりに私は、

  • 「親の意思を確認したい」
  • 「面会が叶わない場合、その理由を文書でいただけますか」

と、あくまで冷静に言葉を選びました。
 

こうした交渉は一度でうまくいくことは少なく、何度も同じことを繰り返さねばなりません。しかし、その積み重ねが「会いたいという思い」を形として残すことになります。

 

 

4. 弁護士を通じて連絡を試みる

 

やがて私は、弁護士を通じた連絡を試しました。

 

直接きょうだいに話しても平行線に終わるため、第三者を介することで交渉の土台を整える必要があったのです。もちろん、弁護士費用は決して安くありません。しかし「会えない苦しみ」を抱え続けるコストの方が大きいと考えました。

 

弁護士の文書をきょうだいがどう受け取るかは別として、「会いたい意思を法的な記録として残す」こと自体に意味があります。これは後々、成年後見や遺産分割といった場面でも大切な証拠となり得ます。

 
 

 

5. 行政機関への相談

 

私は地域包括支援センターや市役所の高齢福祉課にも足を運びました。

「親に会えない」という問題は、決して個人だけのものではなく、社会の支援が必要なケースでもあります。相談に行ってすぐ解決するわけではありませんが、「記録が残る」ことに意味があります。

行政の担当者に話すことで、自分の気持ちを整理する効果もありました。「私は孤立しているわけではない」と感じられたのです。

 

 

6. 「心の支え」を持つ

 

3年という時間は、心をじわじわと蝕みます。孤独感、怒り、嫉妬、自己否定…。

 

その中で私が意識したのは、専門的な心の支えを持つことでした。心理カウンセリングを受けることもあれば、信頼できる友人に定期的に話を聞いてもらうこともありました。

 

「親に会いたいのに会えない」という体験は、周囲の人にはなかなか理解されません。だからこそ、安心して吐き出せる場を持つことが、何よりの支えになります。

 

 

 

7. それでも「親は家族みんなのもの」

 

3年の間に、私は何度も自問しました。
 

「自分だけが苦しんでいるのではないか」
「親はもう自分を忘れてしまったのではないか」

 

それでも、最後に行き着いたのは「親は家族みんなのもの」という信条でした。

 

きょうだいの一人が独占することもできない。自分だけの所有物でもない。親は親自身であり、そして子どもたちみんなにとっての存在です。

 

その思いを胸に持ち続けたことで、私は3年の空白を生き抜くことができました。

 
 

まとめ

 

親に会えない3年間、私が取り組んだことを振り返ると、次のようになります。

  1. 現実を直視する
  2. 手紙を書き続ける
  3. 面会交渉を冷静に重ねる
  4. 弁護士を通じて連絡を試みる
  5. 行政機関へ相談する
  6. 心の支えを持つ
  7. 「親は家族みんなのもの」という信条を忘れない

これらはすぐに状況を変える魔法の方法ではありません。しかし、会えない時間を「ただの空白」にせず、自分なりの行動と思いを積み重ねることができます。

 

もしあなたが今、同じように親に会えず苦しんでいるなら、まずは「自分にできること」を一つ選んでみてください。小さな一歩が、やがて大きな道につながるはずです。

 

 

 

 

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40. 弁護士を通じた連絡手段の活用例

 

「親に会いたいのに、きょうだいが連絡を遮断してしまっている」

「施設に入っている親の様子を知りたいのに、担当者が“ご家族の意向”を理由に教えてくれない」

 

──こうした状況は、近年増えてきています。
 

高齢の親が一人のきょうだいに囲い込まれてしまうと、他のきょうだいが連絡を取ろうとしても、電話番号や住所さえ不明になることがあります。手紙を送っても無視される、施設に問い合わせても「ご本人の同意がないとお伝えできません」と断られる。そうした行き止まりに直面したとき、弁護士を通じた連絡が有効な手段の一つになります。

 

本記事では、弁護士を介して連絡をとる方法と、その具体的な活用例について解説します。

 

 

 

1. 弁護士を通じた連絡が必要になる背景

 

親の囲い込みの現場では、当事者間での直接的な連絡が難しくなるケースが多々あります。

  • きょうだいが電話やメールをブロックする
  • 面会や情報開示を一方的に拒否する
  • 話し合おうとしても感情的な対立になり、話が進まない

こうした状況では、冷静かつ法的な立場から調整を行える第三者の存在が欠かせません。弁護士は依頼者の代理人として、「法的に有効な形での連絡」を行ってくれます。

 

 

2. 弁護士を通じた連絡の具体的な活用場面

 

では、どのようなケースで弁護士を介した連絡が有効なのでしょうか。代表的な例を挙げます。

 

(1) 面会の要望を伝えるとき

親の意思を確認したい、顔を見に行きたい。しかし、きょうだいが拒否して取り次いでくれない場合、弁護士が「依頼者として〇〇さんが面会を求めています」と正式に通知することができます。

 

(2) 財産や介護に関する情報を求めるとき

親の預金や不動産の管理状況、介護方針などについて透明性を求めるときも、弁護士を通じた文書での照会が効果的です。感情的な言い争いではなく、書面として記録が残る点に意味があります。

 

(3) 家庭裁判所の手続きに先立つ交渉

調停や審判に進む前に、話し合いの余地があるかどうかを確かめるために、弁護士が連絡窓口となることもあります。裁判所に持ち込む前に解決できれば、時間や費用の節約につながります。

 
 

 

3. 弁護士を通じて連絡するメリット

 

弁護士を介することには、いくつかの明確な利点があります。

  1. 相手が無視しづらい
    専門家からの正式な書面は、単なる個人の要望よりも重みがあります。無視すると「法的手続きに進む可能性がある」と相手も理解するため、返答が得られやすくなります。
  2. 感情的対立を避けられる
    家族同士だとつい感情的な言葉の応酬になりがちですが、弁護士を介することで「冷静な文章のやり取り」に変わります。
  3. 記録が残る
    文書でのやり取りは後の調停・裁判でも証拠になります。「こちらは誠実に連絡を試みた」という事実を示せます。
 

 

4. 弁護士を通じて連絡するデメリット・注意点

 

一方で、デメリットも理解しておく必要があります。

  • 費用がかかる
    弁護士に依頼すれば相談料・着手金が発生します。短期で済めば数万円、長期化すると数十万円単位になることもあります。
  • 相手が構えてしまう
    「弁護士を立てたのか」と相手が防御的になり、関係がさらに硬直化する場合があります。特に親自身が「揉め事に巻き込まれたくない」と萎縮してしまうケースには注意が必要です。
  • 即効性はない
    弁護士が送った書面にすぐ返答があるとは限りません。場合によっては返答がなく、結局家庭裁判所へ進むことになることもあります。
 
 

 

5. 実際の流れ

 

弁護士を通じた連絡の流れは、次のようになります。

  1. 弁護士に相談
    現在の状況を整理し、「どんな連絡をしたいのか」を明確に伝えます。
  2. 方針決定
    弁護士が「書面で通知するのがよいのか」「まずは電話で確認するのか」を判断し、依頼者と合意します。
  3. 内容証明郵便などで通知
    弁護士名で、相手方に書面が送られます。面会要望や情報開示の依頼など、具体的な要求内容を記載します。
  4. 相手の反応を確認
    返答があれば交渉に進みます。返答がない場合は、家庭裁判所の調停・審判に進むことを検討します。
 

 

6. 注意すべきポイント

 

弁護士を活用するときに心に留めておきたいのは、「親の気持ちを第一に考える」という点です。
 

親が会いたいと思っているのか、静かに過ごしたいと思っているのか。その意思を尊重する姿勢が欠けると、「自分の権利主張のために弁護士を使った」と見なされ、逆効果になりかねません。

 

また、依頼する弁護士は「相続や家族問題に強い」分野の人を選ぶことが大切です。一般的な企業法務が専門の弁護士よりも、家庭裁判所の手続きや親族間トラブルに慣れている人の方が、適切な対応をしてくれます。

 
 

 

まとめ

 

弁護士を通じた連絡は、親の囲い込み問題に直面したときの有効な手段の一つです。

  • 面会要望や情報開示の要求を、公式な形で伝えられる
  • 感情的な対立を避け、記録を残すことができる
  • ただし費用や関係悪化のリスクもある

大切なのは、「自分のため」ではなく「親の幸せのために」この手段を使うという姿勢です。弁護士はあくまでサポート役。目的を見失わず、冷静に進めていきましょう。

 

 

 

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39.「親の意向確認」のための施設訪問交渉ステップ

 

親が高齢となり、施設に入居している状況で、きょうだいの一人が“囲い込み”をしてしまうと、他の家族は親と自由に会えなくなることがあります。
 

特に「親自身が会いたいと思っているのかどうか」を確認できないまま、第三者によって面会が制限されているケースは、子どもにとっても、そして親にとっても大きなストレスとなります。

 

今回は、「親の意向確認」を目的とした施設訪問交渉のステップを整理してお伝えします。
感情的な衝突を避けながら、施設側の理解と協力を得るために、どのようにアプローチすればよいかを順を追って解説します。

 
 

 

 

1.なぜ「親の意向確認」が重要なのか

 

親の面会問題で最も大切なのは、「親本人の意思」です。
 

親が「会いたい」と思っているのか、「体力的に控えたい」と思っているのかによって、取るべき対応は大きく異なります。

 

しかし現実には、

  • きょうだいの一人が「親は会いたくないと言っている」と主張する
  • 施設職員が「ご家族の意見が割れているので面会対応を控えたい」と判断する
    といった状況が多く見られます。

このとき、親が本当にそう思っているのか? を第三者的に確認することが、公平性と信頼性の鍵となります。

 

 

 

2.訪問交渉の基本姿勢

 

施設訪問をする際には、以下の3つを心がけることが大切です。

  1. 感情を抑え、冷静に臨む
    「なぜ会わせないのか」と責めるような態度では、施設は防御的になってしまいます。
  2. 目的を明確に伝える
    「親の意向を確認したい。そのための短時間の面会をお願いしたい」と具体的に説明することが重要です。
  3. 協力的な関係を築く
    施設職員は「家族の対立に巻き込まれたくない」という思いを持っています。敵ではなく、味方になってもらう姿勢が必要です。
 

 

3.交渉前の準備

 

訪問前に、以下の準備を整えておくと交渉がスムーズになります。

  • 事実関係の整理
    ・これまでの面会状況(最後に会った日、回数、拒否理由)
    ・きょうだいとのやり取りの記録(LINE、メール、手紙など)
    ・施設との連絡履歴
  • 要望を明文化する
    「私は母が本当に会いたくないと思っているのかを確認したい。そのために数分だけでも直接母に意思を聞きたい」という主旨を、紙にまとめて持参すると効果的です。
  • 冷静さを保つための心構え
    当日は緊張や不安から感情的になりがちです。あらかじめセリフを決めておくと安心です。
 

 

4.訪問交渉のステップ

 

ステップ1.受付・職員への挨拶

最初の印象が大切です。
「お忙しいところ恐れ入ります。入居している母についてご相談させていただきたいのですが」と丁寧に切り出しましょう。

 

ステップ2.目的の明確化

ここで感情論ではなく、「親の意向確認が目的である」と端的に伝えます。
例:「母が本当に会いたくないと思っているのかを確認したいのです。その意思を直接聞かせていただけませんか?」

 

ステップ3.短時間・限定的な面会の提案

「長時間ではなく、数分で結構です」「体調に支障がない範囲で」など、負担の少なさをアピールします。

 

ステップ4.代替案を受け入れる姿勢

もし職員から「直接会うのは難しい」と言われた場合、

  • ガラス越し面会
  • オンライン通話
  • 職員同席での短時間面会
    など柔軟な代替案を提示・受け入れる姿勢が交渉成功の鍵です。

 

ステップ5.結果の記録

面会できたか否かにかかわらず、当日のやり取りは必ずメモに残しておきます。後日、話が食い違ったときに証拠となります。

 
 

 

 

5.想定される施設側の反応と対応法

  1. 「ご本人の体調が良くないので難しい」
    →「では体調の良い日に数分だけでも意思確認の場をいただけませんか」と、次の機会を探る。
  2. 「ごきょうだいの了承を得てからにしてください」
    →「私が確認したいのは、母のご本人の意思です。職員さんの立ち会いで結構ですので、その点だけご協力いただけないでしょうか」と丁寧に返す。
  3. 「施設としては家族トラブルに関与できません」
    →「トラブルを持ち込みたいのではなく、母の意向を尊重するために最小限の確認をお願いしているのです」と、冷静に説明する。
 

 

6.よくある失敗パターン

  • 「なぜ会わせないんだ」と感情をぶつけてしまう
  • きょうだいの悪口を施設に言ってしまう
  • 施設の対応を「法律違反だ」と断定してしまう

これらはすべて交渉をこじらせる要因です。施設職員は「安全・平穏」を第一に考えており、争いに巻き込まれることを最も嫌います。

 
 

 

7.長期的な視点

 

一度の訪問で状況が劇的に変わるとは限りません。
 

しかし、冷静で一貫した姿勢を見せ続けることで、施設側の信頼を得られ、少しずつ門戸が開かれるケースがあります。

 

また、最終的に家庭裁判所などの公的手続きを視野に入れる場合でも、**「親の意思確認を求めてきた努力」**が記録として残っていることは非常に重要です。

 

 

まとめ

 

親の囲い込み問題に直面すると、強い怒りや悲しみから感情的になりやすいものです。
 

しかし、施設訪問交渉においては、あくまで 「親本人の意思を尊重する」という軸をぶらさず、冷静かつ丁寧に進めることが最も大切です。

 

  • 目的は「親の意向確認」であると明確にする
  • 短時間・限定的な面会を提案する
  • 施設の立場を理解し、協力的な姿勢を持つ
  • 記録を残し、長期的な視点で取り組む

 

これらのステップを踏むことで、親の声を取り戻し、家族関係の不透明さを少しずつ解消していくことが可能になります。

 

 

 

 

 

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38.面会交渉時の“言ってはいけない言葉”──親の囲い込みに直面したとき

 

高齢の親と面会したいのに、きょうだいの一人や施設の担当者から拒まれてしまう。
 

「親に会いたいだけなのに、なぜこんなに難しいのか」と、多くの方が心を痛めています。

 

面会交渉の場は、ただでさえ緊張が高まりやすいものです。そこで不用意な一言を口にしてしまうと、相手の態度が硬化し、ますます面会が遠のいてしまうことがあります。

 

本記事では、面会交渉で絶対に避けるべき“言ってはいけない言葉”について、事例と心理学的な観点を交えて解説します。

 
 
 

 

1.面会交渉が難航する背景

 

なぜ、親との面会という自然な願いが、こんなにも大きな壁にぶつかるのでしょうか。背景には次のような事情があります。

  • きょうだい間の対立(財産、介護の負担感、過去の感情的なしこり)
  • 親の判断力低下(認知症や病気で意思があいまいになる)
  • 施設やケアマネの「トラブルを避けたい」という防衛姿勢

つまり、面会交渉の場は「単なるお願い」ではなく、利害や感情が複雑に絡み合う場です。
 

そこでの言葉選びは、将棋の一手に近い重みを持っています。

 

 

2.“言ってはいけない言葉”の典型例

 

ここでは、私が相談を受ける中で特によく見られる「NGワード」を紹介します。

 

(1)「親は私のものだ」

 

意外と多いのが、この強い言い回しです。
気持ちは理解できます。「会わせてもらえない苦しさ」から、思わず独占的な表現になってしまうのです。

 

しかし、この言葉は相手にとって「支配の主張」に聞こえます。
結果的に、「だから会わせられない」と囲い込み側の正当化を助長してしまいます。

 

(2)「あなたが親を洗脳している」

 

相手の行動を断罪する言葉は、交渉を即座に決裂させます。
仮に事実として親への影響があったとしても、交渉の場で直接糾弾すれば、相手は防衛本能をむき出しにし、会話が成立しません。

心理学的に言えば、人は「責められる」と自己防衛に走り、冷静な判断ができなくなります。

 

(3)「弁護士に言うからな」「訴えてやる」

 

法的手段を持ち出すことは、最後の切り札であって、交渉の入り口で言うべきではありません。
この言葉が出た瞬間、相手は「敵」とみなし、以後の協力関係は築けなくなります。

 

もちろん、最終的に家庭裁判所などの法的解決に進むことはあります。
 

しかし、その前に「対話で歩み寄れる余地」を自ら閉ざしてしまうことは避けたいところです。

 

(4)「親はもう長くないんだから」

 

切迫感を伝えたくて言ってしまう言葉です。
 

しかし、これも逆効果です。「死」を交渉材料にすることで、相手には「感情的に揺さぶられたくない」との拒絶感が生まれます。

むしろ、冷静に「親の意思を確認したい」「親の安心を第一に考えている」と伝えるほうが、相手の耳に届きやすくなります。

 

 

 

 

3.なぜ“言ってはいけない言葉”が出てしまうのか

 

頭では分かっていても、実際の交渉場面では感情が先立ち、つい強い言葉を投げてしまうものです。
 

その背景には次のような心理があります。

  • 被害感情:「自分だけ排除されている」という強烈な孤独感
  • 正義感:「これはおかしい、正さなければ」という使命感
  • 焦燥感:「時間がない、早く会わないと」という切迫感

これらはすべて自然な心の反応です。
ただ、相手にぶつけた瞬間、交渉は硬直化しやすいのです。

 

 

4.“言っていい言葉”への置き換え

 

では、どう言えばいいのでしょうか。
具体的に「NGワード」を「OKワード」に変換してみましょう。

  • 「親は私のものだ」
     →「親と平等に会える関係を望んでいます」
  • 「あなたが親を洗脳している」
     →「最近、親と話す機会が減って寂しく感じています。状況を共有していただけませんか」
  • 「弁護士に言うからな」
     →「冷静に進めるために、専門家の意見も参考にしたいと考えています」
  • 「親はもう長くないんだから」
     →「親の心が安心できるように、面会を大切にしたいと思っています」

言葉を少し置き換えるだけで、相手に伝わる印象は大きく変わります。

 
 

 

5.施設や第三者との交渉でも同じ

 

実は、施設職員やケアマネとの面会交渉でも同じ注意が必要です。
 

「施設はグルだ」「職員が協力しているだろう」といった断定的な言葉は、相手の防御を強め、情報が閉ざされてしまいます。

 

施設側には「他の家族との板挟み」という事情もあるため、冷静に事実を伝え、「協力者」としての立場を尊重することが肝心です。

 
 

 

6.ケーススタディ

 

あるご相談者は、面会を拒む兄に対し「親を独占するな」と強く言い放ちました。
 

結果、兄は弁護士を立ててさらに壁を厚くし、面会が半年以上も実現しませんでした。

 

その後、言葉を「親の安心のために、兄弟みんなで関わりたい」と改めてから、少しずつ面会のチャンスが開けていきました。

このケースは、「言葉の力」が交渉を左右する典型例です。

 

 

 

まとめ

 

面会交渉の場では、感情をぶつけたくなるのが人間の自然な反応です。
 

しかし、その一言が面会を遠ざける原因になってしまうことがあります。

 

言ってはいけない言葉のポイント

  • 親を「所有物」のように語る言葉
  • 相手を断罪・非難する言葉
  • 法的手段をちらつかせる言葉
  • 親の死を材料にする言葉

代わりに選ぶべき表現

  • 「親の安心を第一に考えている」
  • 「平等に関われる関係を望んでいる」
  • 「冷静に専門家の意見も参考にしたい」

 

言葉を工夫することは、相手の心を閉じさせない最初の鍵です。
 

「親は家族みんなのもの」という原点を忘れず、冷静で誠実な言葉を選んでいくことが、面会への道をひらきます。

 

 

 

 

 

 

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