このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

 

第23回 きょうだい間の力関係が、親の孤立を生むとき ――親をめぐる支配は、長年の家族関係から生まれることがある

 

高齢親の囲い込みは、親だけの問題ではありません。

 

もちろん、中心にいるのは高齢の親です。

 

親本人の意思。

親の尊厳。

親の生活。

親の人間関係。

親の財産管理。

親が孤立させられていないか。

 

そこが最も大切です。

 

しかし、実際に高齢親の囲い込みが起きる背景には、親本人だけではなく、きょうだい間の長年の力関係が深く関わっていることがあります。

 

兄と妹。

姉と弟。

長男と他のきょうだい。

親の近くにいる子と、離れて暮らす子。

親の財産管理をしている子と、何も知らされない子。

親の介護を理由に主導権を握る子と、親に会えなくなる子。

 

 

高齢親の囲い込みは、突然始まるとは限りません。

 

もともと家族の中にあった上下関係、遠慮、支配、我慢、承認欲求、劣等感、親からの評価へのこだわりが、親の高齢化をきっかけに一気に表面化することがあります。

 

親が元気なうちは、まだ見えにくかったもの。

親が自分で判断できていたころは、抑えられていたもの。

介護、認知症、施設入所、相続、財産管理が始まったことで、急に力を持ち始めるもの。

 

それが、きょうだい間の力関係です。

 

そして、その力関係が歪むと、親が孤立していきます。

 

 

 

1 親の高齢化は、きょうだい関係を変える

 

親が元気なうちは、きょうだい関係に多少の問題があっても、表面化しないことがあります。

 

年に数回会うだけ。

お盆や正月に顔を合わせるだけ。

それぞれの家庭や仕事があり、深く関わらない。

親が間に入って、何となく家族の形が保たれている。

 

このような状態では、きょうだい間の違和感や不満があっても、大きな問題にはなりにくいものです。

 

しかし、親が高齢になると状況は変わります。

 

親が病気になる。

認知症になる。

介護が必要になる。

施設に入る。

通院や入院が増える。

財産管理が必要になる。

遺言や相続の問題が見え始める。

 

その瞬間、きょうだい関係は現実的な問題になります。

 

 

誰が親の世話をするのか。

誰が施設と連絡を取るのか。

誰が通帳を管理するのか。

誰が医療方針を決めるのか。

誰が親に会えるのか。

誰が親の意思を代弁するのか。

誰が相続で有利になるのか。

 

親の高齢化は、きょうだい関係を試します。

 

そして、そこに長年の力関係があると、親の問題が、きょうだい間の主導権争いに変わってしまうことがあります。

 

2 「長男だから」「自分が中心だから」という意識

 

高齢親の囲い込みの背景には、長男意識や家の代表意識が関わることがあります。

 

「自分が長男だから」

「自分が家を継ぐ立場だから」

「親のことは自分が決めるべきだ」

「他のきょうだいは口を出すべきではない」

「自分が本家側だから」

「自分が親の一番近い存在だから」

 

このような意識です。

 

もちろん、長男だから悪いということではありません。

親の近くで責任を果たしている人もいます。

実際に介護を担い、親を支えている人もいます。

その努力は尊重されるべきです。

 

問題は、「責任」と「支配」がすり替わるときです。

 

親のために責任を果たすことと、親をめぐるすべての出入口を一人で握ることは違います。

 

親の世話をすることと、他のきょうだいを排除することは違います。

親の情報を受け取ることと、情報を独占することは違います。

親の意思を確認することと、親の意思を一人で代弁することは違います。

 

「自分が中心」という意識が強くなりすぎると、他のきょうだいは、家族ではなく、邪魔者のように扱われることがあります。

 

その結果、親の人間関係が、一人の家族の判断で狭められていきます。

 

 

3 承認欲求が、親を通じた支配に変わることがある

 

人は誰でも、認められたい気持ちを持っています。

 

親に認められたい。

家族に認められたい。

自分が一番親を守っていると思われたい。

自分が親孝行だと見られたい。

自分が家族の中心だと認められたい。

 

この気持ち自体は、自然なものです。

 

しかし、承認欲求が強すぎると、親を支えることが、いつの間にか「自分の正しさを証明すること」に変わってしまうことがあります。

 

自分こそが親を守っている。

自分こそが親の気持ちを分かっている。

自分以外のきょうだいは親を分かっていない。

自分がいなければ親は困る。

自分が決めるのが当然だ。

 

このような意識が強くなると、他のきょうだいの存在は、自分の承認を脅かすものになります。

 

他のきょうだいが親に会う。

親と直接話す。

施設や病院に連絡する。

財産管理について質問する。

親本人の意思を確認しようとする。

 

これらが、まるで自分への攻撃のように感じられることがあります。

 

すると、面会を制限する。

情報を出さない。

他のきょうだいを悪者にする。

「親が嫌がっている」と説明する。

「親のため」と言いながら、出入口を閉じる。

 

こうして、承認欲求が、親を通じた支配に変わっていくことがあります。

 

 

 

 

4 劣等感が、主導権への執着になることがある

 

高齢親の囲い込みには、劣等感が関係している場合もあります。

 

他のきょうだいへの劣等感。

仕事や家庭への不満。

親から十分に認められなかった感覚。

人生が思いどおりにいっていない感覚。

自分の立場が不安定だという感覚。

 

こうした気持ちを抱えている人が、親の介護や財産管理の場面で突然主導権を持つと、その権限に強くしがみつくことがあります。

 

親の通帳を管理している。

施設との窓口になっている。

親の面会を調整している。

親の意思を周囲に伝えている。

他の家族が親に会えるかどうかを決められる。

 

この立場は、家族内で大きな力を持ちます。

 

それまで十分に認められてこなかった人にとって、その力は、自分の存在価値を支えるものになることがあります。

 

だから手放せない。

 

他のきょうだいに情報を共有すると、自分の立場が弱くなる気がする。

親本人と直接会わせると、自分の説明と違うことを言われるかもしれない。

第三者を入れると、自分のやり方を見られてしまう。

財産管理を透明にすると、自分の主導権が失われる。

 

こうして、劣等感が、主導権への執着に変わることがあります。

 

もちろん、これはすべてのケースに当てはまるわけではありません。

 

しかし、高齢親の囲い込みを考えるとき、「なぜここまで情報を出さないのか」「なぜここまで会わせないのか」という問いの背後には、単なる合理性だけでは説明できない心理があることがあります。

 

 

5 財産期待が、親の意思確認を歪めることがある

 

高齢親の囲い込みでは、財産や相続の問題も避けて通れません。

 

親の預貯金。

不動産。

保険。

年金。

通帳。

印鑑。

遺言。

生前贈与。

施設費や医療費の支払い。

 

これらに関する情報を一部の家族が握ると、他のきょうだいは状況を確認できません。

 

財産期待がある場合、親との関係はさらに複雑になります。

 

親の財産を将来自分が多く受け取りたい。

親の不動産を自分の都合に合わせて処分したい。

遺言を自分に有利な内容にしたい。

他のきょうだいに財産情報を知られたくない。

親本人が何を理解しているのか、あまり確認されたくない。

 

こうした動機がある場合、面会遮断や情報遮断は、親本人のためだけではなく、財産管理や相続を有利に進めるための手段になってしまうことがあります。

 

もちろん、財産について関心を持つこと自体が悪いわけではありません。

 

親の医療費や施設費を支払うために、財産管理が必要になることもあります。

親の生活を守るために、通帳や契約の管理が必要になることもあります。

 

問題は、不透明さです。

 

親本人が本当に理解していたのか。

他のきょうだいに説明があったのか。

財産の使い方が親本人の利益に沿っているのか。

遺言や契約の経緯が明らかか。

親への面会や連絡が遮断された状態で、財産に関する重要な手続が進んでいないか。

 

面会遮断と財産管理の不透明化が重なると、慎重な検証が必要になります。

 

 

6 他のきょうだいを悪者にする構造

 

囲い込みをする人は、他のきょうだいを悪者にすることがあります。

 

「あの人は親に悪影響を与える」

「あの人はお金のことしか考えていない」

「あの人が来ると親が混乱する」

「あの人は何もしてこなかった」

「あの人には関わらせない方がいい」

 

こうした説明が、施設、病院、親族、周囲の人に対して行われることがあります。

 

もちろん、他のきょうだいにも問題がある場合はあります。

過去に親との関係が悪かった場合もあるでしょう。

介護に十分関わってこなかった場合もあるかもしれません。

 

しかし、それだけで親との関係を完全に遮断してよいとは限りません。

 

高齢親の囲い込みで問題なのは、他のきょうだいを悪者にすることで、親との接点を断つことです。

 

一度悪者にされると、その人の言葉は聞かれにくくなります。

面会希望も、迷惑行為のように扱われることがあります。

親の意思確認を求めても、「親を苦しめる行為」とされることがあります。

情報共有を求めても、「財産狙い」と言われることがあります。

 

こうして、排除された側は、声を上げるほど悪者にされるという苦しい状況に置かれます。

 

これは、きょうだい間の力関係が親の孤立を生む典型的な構造です。

 

 

7 親は、きょうだい間の争いの道具ではない

 

高齢親の囲い込みで最も忘れてはいけないのは、親本人の存在です。

 

きょうだい間の力関係が強くなると、親がその争いの中心に置かれます。

 

誰が親に近いか。

誰が親を守っているか。

誰が親の意思を代弁できるか。

誰が親の財産を管理するか。

誰が親の最期に立ち会えるか。

誰が相続で有利になるか。

 

こうした問題の中で、親本人が、まるで家族内の主導権争いの道具のように扱われてしまうことがあります。

 

しかし、親は道具ではありません。

 

親には親の人生があります。

親には親の感情があります。

親には会いたい人、気になる人、話したい人がいるかもしれません。

たとえ認知症や病気があっても、その人の尊厳は失われません。

 

親を守るというなら、親本人を中心に置かなければなりません。

 

きょうだいの勝ち負けではありません。

長男の面子でもありません。

過去の恨みを晴らす場でもありません。

財産を有利に確保するための手段でもありません。

 

親本人の意思、生活、人間関係、尊厳。

 

そこを中心に戻す必要があります。

 

 

8 きょうだい間の問題を、親の意思にすり替えない

 

きょうだい間に長年の感情的対立がある場合、それを親の意思にすり替えてしまうことがあります。

 

本当は自分が他のきょうだいを嫌っている。

本当は自分が関わらせたくない。

本当は自分が説明したくない。

本当は自分が主導権を失いたくない。

本当は財産管理に口を出されたくない。

 

それなのに、表向きはこう言う。

 

「親が嫌がっている」

「親が会いたくないと言っている」

「親が混乱する」

「親のために関わらせない」

「親が全部自分に任せると言っている」

 

これが起きると、親本人の意思は見えなくなります。

 

親の意思ではなく、きょうだい間の感情が、親の言葉として語られてしまうからです。

 

もちろん、親本人が本当に拒否している場合もあります。

その可能性は否定できません。

 

しかし、その場合でも、確認方法が重要です。

 

誰が聞いたのか。

どのように聞いたのか。

親は十分に理解していたのか。

その場に利害関係のある家族がいたのか。

第三者が確認したのか。

面会方法を調整する余地はなかったのか。

 

きょうだい間の問題を、親の意思として語ってはいけません。

 

親の意思を尊重するためには、むしろ透明性が必要です。

 

 

 

9 力関係を見抜くための視点

 

高齢親の囲い込みを考えるとき、次のような視点が大切です。

 

誰が親との接点を握っているのか。

誰が施設や病院との窓口になっているのか。

誰が財産情報を持っているのか。

誰が親の意思を代弁しているのか。

他のきょうだいは、親本人に直接確認できているのか。

面会や連絡を制限する理由は具体的か。

情報共有を求めたとき、説明があるか。

第三者の関与を受け入れる姿勢があるか。

親の生活や人間関係が広がっているか、狭くなっているか。

 

これらを見ると、家族内の力関係が少しずつ見えてきます。

 

高齢親の囲い込みでは、表向きには「親のため」と説明されます。

 

しかし、実際には、一人の家族に情報、面会、財産管理、意思確認の権限が集中していることがあります。

 

この集中こそが問題です。

 

力が集中すると、親本人の意思が見えにくくなります。

他のきょうだいの声が届きにくくなります。

施設や病院も、一人の説明だけを前提にしやすくなります。

結果として、親が孤立していきます。

 

だから、きょうだい間の力関係を見ることが必要なのです。

 

 

10 必要なのは、主導権争いではなく透明性

 

きょうだい間の力関係がこじれると、問題は主導権争いになりがちです。

 

誰が親を管理するのか。

誰が施設と連絡するのか。

誰が財産を把握するのか。

誰の言い分が正しいのか。

誰が親孝行なのか。

 

しかし、本当に必要なのは、主導権争いではありません。

 

透明性です。

 

親本人の意思を透明にする。

面会や連絡のルールを透明にする。

医療や介護の情報共有を透明にする。

財産管理を透明にする。

施設や病院との窓口を透明にする。

重要な判断の経緯を記録する。

 

透明性があれば、一人の家族に過度な権限が集中することを防ぎやすくなります。

 

他のきょうだいも、親本人の状況を確認しやすくなります。

施設や病院も、一方の説明だけに依存しなくて済みます。

親本人の意思確認も、より慎重に行えます。

 

親を守るために必要なのは、閉じることではありません。

 

開くことです。

 

すべてを公開するという意味ではありません。

親本人のプライバシーを無視するという意味でもありません。

 

しかし、必要な範囲で、必要な人に、必要な情報が届く仕組みを作ること。

 

それが、親の孤立を防ぐために重要です。

 

 

11 まとめ

 

高齢親の囲い込みは、親だけの問題ではありません。

 

その背景には、きょうだい間の長年の力関係があることがあります。

 

長男意識。

承認欲求。

劣等感。

財産期待。

過去の感情的対立。

親からの評価へのこだわり。

主導権への執着。

 

これらが、親の介護、認知症、施設入所、財産管理、相続の場面で表面化することがあります。

 

そして、一部の家族が、親との面会、連絡、医療・介護情報、財産情報、施設との窓口、親本人の意思確認を握ると、親は孤立しやすくなります。

 

他のきょうだいは、親に会えない。

親の状態を知らされない。

親本人の意思を確認できない。

財産管理の状況も分からない。

それなのに、「親のため」と説明される。

 

これは、単なるきょうだい喧嘩ではありません。

 

親を通じた支配構造です。

 

親は、きょうだい間の主導権争いの道具ではありません。

 

親には、親自身の意思があります。

尊厳があります。

人間関係があります。

人生があります。

 

だからこそ、高齢親の囲い込みを考えるときは、親本人だけでなく、きょうだい間の力関係にも目を向ける必要があります。

 

誰が情報を握っているのか。

誰が親の言葉を代弁しているのか。

誰が他の家族を排除しているのか。

誰が説明責任を果たしていないのか。

誰が第三者の関与を嫌がっているのか。

 

その構造を見ることが、親の孤立を防ぐ第一歩です。

 

親を守ることは、親を一人の家族の管理下に置くことではありません。

 

親本人の意思、尊厳、自由、人間関係、財産の透明性を守ることです。

 

きょうだい間の力関係が、親の孤立を生まないようにするために。

 

必要なのは、支配ではなく透明性です。

独占ではなく共有です。

沈黙ではなく説明です。

囲い込みではなく、親本人を中心にした開かれた関係なのです。

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com

 


 

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 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

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第22回 囲い込みに苦しむ家族が心を壊さないために――親に会えない苦しみの中で、自分を守る方法

 

高齢親の囲い込みに苦しむ家族は、深く傷つきます。

 

親に会えない。

親の声を聞けない。

親の体調が分からない。

施設や病院の情報が入らない。

親本人の意思を確認できない。

それなのに、自分たちが悪者のように扱われる。

 

この状況は、想像以上に人の心を削ります。

 

ただの家族喧嘩ではありません。

ただの連絡不足でもありません。

親という大切な存在への道を閉ざされることは、残された家族にとって、非常に大きな精神的負担になります。

 

 

しかも、囲い込みは外から見えにくい問題です。

 

周囲に話しても、こう言われることがあります。

 

「家族で話し合えばいいのでは」

「親御さんがそう言っているなら仕方ないのでは」

「きょうだい喧嘩でしょう」

「そこまで争わなくてもいいのでは」

 

そう言われるたびに、当事者はさらに孤立します。

 

自分が騒ぎすぎなのだろうか。

自分が悪いのだろうか。

親は本当に自分に会いたくないのだろうか。

何をしても無駄なのだろうか。

 

そう考えてしまうことがあります。

 

しかし、まず伝えたいことがあります。

 

親に会いたいと思うことは、おかしなことではありません。

親の状態を知りたいと思うことは、身勝手なことではありません。

親本人の意思を直接確認したいと思うことは、自然なことです。

情報の透明性を求めることは、攻撃ではありません。

 

囲い込みに苦しむ家族が、まず守らなければならないのは、親本人の尊厳です。

 

そして同時に、自分自身の心です。

 

 

1 「分かってもらえない苦しみ」が心を傷つける

 

高齢親の囲い込みで苦しいのは、親に会えないことだけではありません。

 

その苦しみを、周囲に分かってもらいにくいことも大きな痛みになります。

 

親に会えないと言っても、外からは深刻さが伝わりにくい。

情報が入らないと言っても、「窓口の家族に聞けばいいのでは」と言われる。

悪者にされていると言っても、「どちらにも言い分があるでしょう」と流される。

親の意思を確認したいと言っても、「親が嫌がっているなら仕方ない」と言われる。

 

こうして、苦しみが二重になります。

 

一つは、親との関係を遮断される苦しみ。

もう一つは、その苦しみを理解されない苦しみです。

 

特に、囲い込みをしている側が「親のため」「親を守るため」と説明している場合、周囲はそちらを信じやすくなります。

 

親の近くにいる人。

介護しているように見える人。

施設や病院との窓口になっている人。

親の意思を代弁している人。

 

そういう人の言葉は、一見すると正当に見えます。

 

その一方で、親に会えない側は、焦り、不安、怒り、悲しみを抱えています。

感情が強く出ることもあります。

 

すると周囲からは、逆に「感情的な人」と見られてしまうことがあります。

 

これが、囲い込みに苦しむ家族をさらに追い詰めます。

 

だからこそ、まず知っておく必要があります。

 

感情が揺れるのは当然です。

怒りが出るのも当然です。

悲しくなるのも当然です。

眠れなくなったり、何度も同じことを考えてしまったりするのも、不自然なことではありません。

 

それほど大切なものを遮断されているのです。

 

 

2 怒りを否定しなくてよい

 

囲い込みに苦しむと、強い怒りが出ます。

 

なぜ親に会わせないのか。

なぜ説明しないのか。

なぜ自分たちを悪者にするのか。

なぜ親の意思を一人で代弁するのか。

なぜ施設や病院との連絡を独占するのか。

なぜ財産や介護の情報を明らかにしないのか。

 

その怒りは、自然な反応です。

 

怒りは、単なる悪い感情ではありません。

 

理不尽なことが起きている。

大切な関係が傷つけられている。

説明されるべきことが説明されていない。

親本人の尊厳が見えにくくなっている。

 

そう感じるから、怒りが生まれます。

 

ただし、怒りをそのまま相手にぶつけ続けると、こちらが消耗します。

 

相手を責める言葉を何度も書く。

感情的なメールを送る。

夜中に長文を送る。

何度も電話する。

SNSで強い言葉を書いてしまう。

 

そうすると、こちらの正当な問題提起が、感情的な争いとして扱われてしまうことがあります。

 

怒りは否定しなくてよい。

 

ただし、怒りをそのまま出すのではなく、記録に変えることが大切です。

 

「あの人はひどい」ではなく、

「何月何日、面会を申し入れたが、理由の説明なく拒否された」

 

「親を独占している」ではなく、

「施設名、担当者、親の体調について情報提供を求めたが、回答がなかった」

 

「悪者にされた」ではなく、

「施設に対し、こちらが親に悪影響を与えるという趣旨の説明がされていた可能性がある」

 

このように、怒りを事実に変換する。

 

それが、心を守る第一歩になります。

 

 

3 心を壊さないためには、相手の反応を待ち続けない

 

囲い込みに苦しむ家族は、相手の反応を待ち続けてしまうことがあります。

 

メールの返信を待つ。

LINEの既読を確認する。

電話が来るかもしれないと思う。

施設から連絡があるかもしれないと思う。

親に会える日が来るかもしれないと期待する。

 

もちろん、返事を待つこと自体は自然です。

 

しかし、相手が説明しない人である場合、待ち続けることがこちらの心を壊していきます。

 

返事が来ないたびに傷つく。

無視されるたびに怒りが増える。

何も進まない時間が続く。

それでも頭の中は相手のことでいっぱいになる。

 

こうなると、相手は何もしていないのに、こちらの心の中を支配し続けることになります。

 

だから、どこかで切り替えが必要です。

 

相手の返事を待つだけではなく、こちらができることをする。

 

記録を整理する。

時系列表を作る。

過去のメールやLINEを保存する。

面会申入れを文書で残す。

施設や病院とのやり取りを記録する。

相談先を探す。

第三者に状況を説明できる資料を作る。

 

相手が動かないなら、こちらは記録を作る。

 

この姿勢に変えるだけで、心の消耗は少し変わります。

 

待つだけの状態は、人を無力にします。

 

記録することは、自分の手に主導権を戻す行為です。

 

 

4 「相手を変えること」と「自分を守ること」を分ける

 

囲い込みの問題では、どうしても相手を変えたくなります。

 

説明してほしい。

謝ってほしい。

親に会わせてほしい。

情報を共有してほしい。

自分たちを悪者にしないでほしい。

 

それは当然の願いです。

 

しかし、相手が変わるかどうかは、こちらが完全にコントロールできることではありません。

 

何度説明しても、相手が答えないことがあります。

第三者が入っても、十分に説明しないことがあります。

こちらが冷静に求めても、相手が感情的に拒むことがあります。

 

そのとき、相手を変えることだけに集中していると、心が壊れてしまいます。

 

大切なのは、相手を変えることと、自分を守ることを分けることです。

 

相手が説明しないなら、その事実を記録する。

相手が返事をしないなら、返事がなかったことを記録する。

相手が面会を拒むなら、拒否の理由と経過を記録する。

相手が親の意思を代弁するなら、その確認方法を文書で求める。

相手が財産情報を出さないなら、いつ何を求めたかを残す。

 

相手を変えられなくても、記録はできます。

相手を説得できなくても、第三者に相談することはできます。

相手が認めなくても、自分の行動を整えることはできます。

 

自分を守るとは、相手に勝つことだけではありません。

 

相手の態度に振り回されすぎない形を作ることです。

 

 

 

5 時系列表は、心の整理にもなる

 

高齢親の囲い込みに苦しむ人にとって、時系列表は非常に重要です。

 

時系列表というと、裁判や調停のための資料のように思うかもしれません。

 

もちろん、それもあります。

 

しかし、時系列表は、心の整理にもなります。

 

囲い込みの状況にいると、頭の中が混乱します。

 

あの日、何があったのか。

いつから親に会えなくなったのか。

どのメールに返事がなかったのか。

どの時点で施設との連絡が遮断されたのか。

いつ財産管理の説明を求めたのか。

どの説明が後から変わったのか。

 

出来事が頭の中で渦巻き、何度も同じ場面を思い出します。

 

そのままにしておくと、心は疲れます。

 

しかし、出来事を時系列に並べると、少し距離が取れます。

 

自分が何を感じたかだけでなく、実際に何が起きたのかが見えてきます。

 

時系列表には、次のような項目を書くとよいでしょう。

 

日付。

出来事。

誰が関与したか。

こちらが何を求めたか。

相手がどう答えたか。

返事がなかった場合は、そのこと。

残っている証拠。

その出来事の意味。

 

最初から完璧に作る必要はありません。

 

思い出せる範囲でよいのです。

 

大切なのは、頭の中だけに置かないことです。

 

書き出すことで、感情が少し整理されます。

 

記録は、裁判のためだけではありません。

 

自分を取り戻すためにも必要なのです。

 

 

6 相談先は「分かってくれる人」だけでなく「整理してくれる人」を選ぶ

 

囲い込みに苦しむと、誰かに話を聞いてほしくなります。

 

それは大切なことです。

 

一人で抱え込むと、心が追い詰められます。

怒りや不安が大きくなります。

判断も偏りやすくなります。

 

ただし、相談先は慎重に選ぶ必要があります。

 

ただ同情してくれるだけの人。

一緒に怒ってくれるだけの人。

相手を罵倒してくれるだけの人。

 

こういう人に話すと、一時的には楽になるかもしれません。

 

しかし、問題解決にはつながらないことがあります。

 

本当に必要なのは、気持ちを受け止めながら、状況を整理してくれる人です。

 

何が事実なのか。

何が推測なのか。

何が記録に残っているのか。

何をこれから確認すべきなのか。

どこに相談すべきなのか。

どの表現は避けた方がよいのか。

どの手続が選択肢になるのか。

 

そうやって、感情と事実を分けてくれる人が必要です。

 

相談先としては、状況に応じて、弁護士、司法書士、社会福祉士、地域包括支援センター、ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、成年後見に詳しい専門職、信頼できる第三者などが考えられます。

 

大切なのは、「自分の怒りを増幅してくれる人」だけに相談しないことです。

 

怒りを整理し、行動に変えてくれる人を選ぶことです。

 

 

7 相談するときは、感情よりも資料を持っていく

 

専門職に相談するときは、できるだけ資料を持っていくことが大切です。

 

もちろん、最初は感情的に話してもかまいません。

 

つらかったこと。

親に会えない苦しみ。

相手への怒り。

不安。

悲しみ。

 

それを話すことも必要です。

 

ただ、限られた相談時間の中では、資料がある方が伝わりやすくなります。

 

時系列表。

メールやLINEのやり取り。

手紙。

面会申入れの記録。

施設や病院とのやり取り。

親本人との過去の関係が分かる資料。

財産管理や契約に関する資料。

相手からの説明内容。

返事がなかった記録。

 

こうした資料があると、相談を受ける側も状況を把握しやすくなります。

 

「親に会わせてもらえません」と言うだけでは、専門職は判断しにくいことがあります。

 

しかし、

 

何月何日に面会を申し入れた。

何月何日に拒否された。

理由は「親が嫌がっている」というものだった。

親本人に直接確認する機会はなかった。

その後、施設への連絡も窓口家族を通すように言われた。

その記録が残っている。

 

ここまで整理されていると、問題の構造が見えやすくなります。

 

資料は、自分の苦しみを第三者に伝えるための橋になります。

 

 

 

8 自分の生活を完全に明け渡さない

 

囲い込みの問題は、長期化することがあります。

 

数週間で解決するとは限りません。

数か月、場合によっては数年続くこともあります。

 

その間、頭の中がずっと相手と親のことでいっぱいになることがあります。

 

朝起きても考える。

仕事中も考える。

夜寝る前も考える。

何か通知が来るたびに反応する。

相手の言動を何度も思い返す。

過去の出来事を反芻する。

 

これは、とても危険です。

 

問題に向き合うことは必要です。

 

しかし、自分の生活を完全に明け渡してはいけません。

 

食事を取る。

睡眠を確保する。

仕事を続ける。

家族や友人との時間を持つ。

散歩をする。

体を動かす。

一日の中で、あえて考えない時間を作る。

 

これは逃げではありません。

 

長く闘うための土台です。

 

心と体が壊れてしまえば、記録も相談も手続も続けられません。

 

親を大切に思うからこそ、自分も守る必要があります。

 

自分を守ることは、親を見捨てることではありません。

 

 

9 「今すぐ解決しない自分」を責めない

 

囲い込みに苦しむ人は、自分を責めがちです。

 

もっと早く気づけばよかった。

もっと早く記録すればよかった。

もっと強く言えばよかった。

もっと親に会っておけばよかった。

なぜあのとき、あの説明を信じてしまったのか。

 

この後悔は、とても重いものです。

 

しかし、囲い込みは、最初からはっきり見えるとは限りません。

 

少しずつ進みます。

最初は単なる連絡不足に見えます。

体調への配慮にも見えます。

介護している人への遠慮もあります。

家族だから大ごとにしたくないという気持ちもあります。

 

だから、気づくのが遅れることがあります。

 

それは、あなたが悪いからとは限りません。

 

大切なのは、気づいた時点から始めることです。

 

今から記録する。

今から時系列を作る。

今から相談する。

今から文書で確認する。

今から第三者を入れることを考える。

 

完璧でなくてよいのです。

 

遅すぎると決めつけなくてよいのです。

 

囲い込みに気づいた時点が、整理の出発点です。

 

 

10 心が限界に近いときは、専門的な支援を受ける

 

囲い込みの苦しみは、心身に大きな影響を与えることがあります。

 

眠れない。

食べられない。

涙が止まらない。

強い怒りが収まらない。

仕事に集中できない。

動悸や息苦しさがある。

何も手につかない。

消えてしまいたいような気持ちになる。

 

このような状態が続く場合、一人で抱え込まないでください。

 

心療内科、精神科、カウンセラー、自治体の相談窓口、信頼できる医療機関など、専門的な支援を受けることも大切です。

 

心の支援を受けることは、弱さではありません。

 

むしろ、長く続く家族問題に向き合うための現実的な手段です。

 

高齢親の囲い込みは、法律、介護、相続だけの問題ではありません。

 

当事者の心を深く傷つける問題です。

 

だからこそ、心のケアも必要です。

 

親を守りたいと思う人ほど、自分の心を後回しにしてしまいます。

 

しかし、自分が壊れてしまえば、親のために動き続けることも難しくなります。

 

自分を守ることは、必要な行動です。

 

 

 

11 まとめ

 

高齢親の囲い込みに苦しむ家族は、深く傷つきます。

 

親に会えない。

親の状態が分からない。

親本人の意思を確認できない。

情報が入らない。

一方的に悪者にされる。

周囲にも理解されにくい。

 

この状況は、人の心を大きく消耗させます。

 

だからこそ、感情的に潰されないための工夫が必要です。

 

怒りを否定しないこと。

しかし、怒りを記録に変えること。

相手の反応を待ち続けないこと。

時系列表を作ること。

相談先を選ぶこと。

資料を整理して相談すること。

自分の生活を完全に明け渡さないこと。

心が限界に近いときは、専門的な支援を受けること。

 

高齢親の囲い込みと向き合うことは、簡単ではありません。

 

それは、親を思う気持ちを利用されるような苦しさがあります。

親に会いたいという自然な願いを、否定される苦しさがあります。

自分の存在そのものを、家族の中から消されるような痛みがあります。

 

それでも、あなたの感覚は大切です。

 

おかしいと感じたこと。

説明が必要だと思ったこと。

親本人の意思を確認したいと思ったこと。

情報を透明にしてほしいと思ったこと。

 

それらは、決して身勝手な感情ではありません。

 

ただし、その感覚を社会に伝えるためには、記録が必要です。

時系列が必要です。

第三者に説明できる言葉が必要です。

 

心を壊さないために、怒りを燃やし続けるのではなく、記録に変える。

 

相手の沈黙に振り回されるのではなく、自分ができる行動を積み上げる。

 

一人で抱え込むのではなく、整理してくれる相談先につながる。

 

それが、囲い込みに苦しむ家族が、自分を守りながら前に進むための大切な方法です。

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com

 


 

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このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

第21回「親のため」と「自分の都合」をどう見分けるか ― その行動は、本当に親本人の利益につながっているのか

 

高齢親の囲い込みでは、よく使われる言葉があります。

 

「親のため」

「親を守るため」

「親が混乱しないため」

「親の体調を考えて」

「親が嫌がっているから」

「自分が一番親のことを分かっている」

 

これらの言葉は、一見すると、とても正しいように聞こえます。

 

高齢の親を守ることは大切です。

病気や認知症、体力低下がある親に配慮することも大切です。

親の生活を安定させることも必要です。

 

ですから、「親のため」という言葉そのものを否定することはできません。

 

 

しかし、問題はその言葉が、何のために使われているのかです。

 

本当に親本人の利益を守るために使われているのか。

それとも、自分の都合を正当化するために使われているのか。

他の家族を排除するために使われていないか。

親の意思を一人で代弁するために使われていないか。

情報や財産管理の出入口を握り続けるために使われていないか。

 

ここを見分けることが、とても重要です。

 

「親のため」という言葉は、優しい言葉です。

 

しかし、その言葉によって、親本人の自由や人間関係が狭められているなら、慎重に見直す必要があります。

 

 

 

1 「親のため」は、誰も反論しにくい言葉である

 

「親のため」と言われると、周囲は反論しにくくなります。

 

親のためなら仕方ない。

親が混乱するなら仕方ない。

親の体調に悪いなら仕方ない。

親が嫌がっているなら仕方ない。

 

そう思ってしまうからです。

 

施設や病院も、親の安静や安全を考えます。

親族も、親に負担をかけたくないと思います。

他の家族も、「親のため」と言われると強く言い返しにくくなります。

 

しかし、ここに危うさがあります。

 

「親のため」という言葉は、正当性をまといやすい言葉です。

 

そのため、本当は自分の都合であっても、「親のため」と言い換えることで、周囲を黙らせることができます。

 

親に会わせない。

親と電話させない。

施設の情報を教えない。

病院の説明を共有しない。

財産管理を明らかにしない。

遺言や契約の経緯を説明しない。

 

これらについて説明を求められたとき、すべてを「親のため」と言えば、表面上はもっともらしく見えます。

 

しかし、大切なのは、その中身です。

 

本当に親本人の利益につながっているのか。

それとも、他の家族を遠ざけ、自分が主導権を握り続けるための言葉になっていないか。

 

そこを見なければなりません。

 

 

2 親本人の自由を狭めていないか

 

「親のため」と言いながら、親本人の自由を狭めている場合があります。

 

たとえば、親が誰と会うか。

誰と話すか。

誰から手紙を受け取るか。

誰に近況を伝えるか。

誰に自分の気持ちを話すか。

 

こうしたことは、本来、親本人の自由に関わる問題です。

 

もちろん、高齢や病気、認知症、体調不良によって、一定の配慮が必要な場合はあります。

 

長時間の面会が難しい。

大人数での面会は負担になる。

感情的なやり取りは避けた方がよい。

感染症対策が必要になる。

本人が明確に拒否している。

 

そのような事情があれば、面会方法を調整することは必要です。

 

しかし、調整と遮断は違います。

 

短時間なら会えるのか。

職員同席なら会えるのか。

オンラインなら可能なのか。

手紙や写真なら渡せるのか。

体調のよい時間帯なら会えるのか。

第三者を入れれば実現できるのか。

 

こうした工夫を検討せず、ただ「親のために会わせない」と言うだけであれば、それは親本人の自由を守っているとは言いにくい場合があります。

 

本当に親のためなら、親の人間関係を完全に閉じるのではなく、親の負担を減らしながら、つながりを保つ方法を考えるはずです。

 

親のためという言葉が、親の自由を狭める方向にだけ使われていないか。

 

 

そこを見る必要があります。

 

3 親本人の意思を確認できる形になっているか

 

「親が会いたくないと言っている」

「親があなたとは話したくないと言っている」

「親が全部こちらに任せると言っている」

「親が財産のことは口出ししないでほしいと言っている」

 

こうした説明がされることがあります。

 

もちろん、本当に親本人がそう思っている場合もあるでしょう。

 

しかし、高齢親の囲い込みで問題になるのは、その意思確認の方法です。

 

誰が聞いたのか。

いつ聞いたのか。

どのように聞いたのか。

親本人は十分に理解して答えたのか。

その場に利害関係のある家族がいたのか。

誘導的な説明がされていなかったか。

他の家族の言い分を知らされたうえで答えたのか。

 

親の意思は大切です。

 

しかし、親の意思を一人の家族だけが聞き取り、一人の家族だけが外部に伝え、その内容を誰も確認できないなら、それは透明性を欠きます。

 

特に認知症や判断力低下がある場合、親の言葉は周囲の影響を受けやすくなります。

 

強い言い方をされた後に答えたのか。

一方的な説明を受けた後に答えたのか。

不安な状態で近くにいる人に合わせて答えたのか。

本当は別の家族と会いたい気持ちもあったのか。

 

こうした可能性を考える必要があります。

 

「親のため」と言うなら、親本人の意思確認は、できるだけ透明であるべきです。

 

一人の家族が親の意思を独占していないか。

親本人に直接確認する機会があるか。

第三者が関与できるか。

記録が残っているか。

確認方法が具体的に説明されているか。

 

ここが大切です。

 

 

 

4 他の家族を排除する方向にだけ働いていないか

 

「親のため」という言葉が、他の家族を排除する方向にだけ使われている場合は注意が必要です。

 

親のために会わせない。

親のために連絡させない。

親のために施設名を教えない。

親のために病院の情報を共有しない。

親のために財産管理を説明しない。

親のために他の家族には関わらせない。

 

本当に親のためであれば、他の家族を完全に排除することが最善とは限りません。

 

むしろ、親にとって大切な家族関係をどう維持するかを考えるはずです。

 

親が長年関わってきた家族。

親が気にかけていた子ども。

親が会えば安心するかもしれない人。

親の人生を共に過ごしてきた人。

 

その人たちとの関係を断つことが、本当に親の利益なのか。

 

慎重に考える必要があります。

 

もちろん、他の家族が親に暴言を吐く、危害を加える、金銭的に搾取する、強い混乱を招くなど、具体的な危険がある場合には、制限が必要なこともあります。

 

しかし、そのような具体的な事情が説明されないまま、ただ「親のため」と言って排除するなら、それは疑問が残ります。

 

親のためという言葉が、常に一方向に働いていないか。

 

つまり、親の自由を広げる方向ではなく、他の家族を遠ざける方向にだけ働いていないか。

 

そこを見ることが大切です。

 

 

5 情報を共有する努力があるか

 

本当に親のためを考えるなら、必要な範囲で情報を共有する努力があるはずです。

 

親の体調。

施設での生活状況。

医療や介護の方針。

面会の可否。

緊急時の連絡方法。

財産管理の基本的な状況。

重要な契約や手続の有無。

 

もちろん、親本人の個人情報やプライバシーには配慮が必要です。

 

何でもすべての家族に開示すればよいということではありません。

 

しかし、親に関わる重要な情報を一人の家族だけが握り、他の家族には何も伝えない状態は、不透明です。

 

「自分がやっているから」

「任せておけばいい」

「関係ない」

「口を出すな」

「親のために知らせない」

 

このような態度が続くと、親本人の利益を確認することが難しくなります。

 

情報共有は、相手に主導権を渡すことではありません。

 

親本人の生活や尊厳を守るために、最低限の透明性を確保することです。

 

本当に親のためなら、説明責任から逃げる必要はないはずです。

 

親のためと言いながら、情報を出さない。

質問に答えない。

記録を残さない。

第三者の確認を拒む。

 

その場合には、「親のため」という言葉の中身を慎重に見る必要があります。

 

 

6 自分の負担や不満を、親の意思にすり替えていないか

 

介護を担う家族には、負担があります。

 

日々の連絡。

施設や病院との調整。

費用の支払い。

緊急時の対応。

親の不安や不満を受け止めること。

他の家族との調整。

 

その負担は、決して軽いものではありません。

 

ですから、介護を担っている家族が疲れることもあります。

他の家族に不満を持つこともあります。

「自分ばかりやっている」と感じることもあるでしょう。

 

その感情自体は自然です。

 

しかし、問題は、自分の負担や不満を、親の意思にすり替えてしまうことです。

 

本当は自分が他の家族と関わりたくない。

本当は説明するのが面倒くさい。

本当は主導権を渡したくない。

本当は財産管理に口を出されたくない。

本当は過去の感情的なしこりがある。

 

それなのに、それを「親が嫌がっている」「親のため」と言い換えてしまう。

 

これが起きると、親本人の意思が見えなくなります。

 

自分の都合と親の利益は、分けて考える必要があります。

 

「自分は負担を感じている」

「自分は他の家族に不満がある」

「自分は説明することに抵抗がある」

 

そういう感情を持つこと自体は否定されるものではありません。

 

しかし、それを親本人の意思として語ってはいけません。

 

親のためと言うなら、自分の感情と親本人の意思を区別する必要があります。

 

 

7 第三者の関与を嫌がりすぎていないか

 

「親のため」と言いながら、第三者の関与を強く嫌がる場合があります。

 

施設職員の同席を嫌がる。

ケアマネジャーへの相談を嫌がる。

地域包括支援センターの関与を嫌がる。

成年後見制度の検討を嫌がる。

弁護士や家庭裁判所の手続を嫌がる。

親本人の意思確認に第三者が入ることを嫌がる。

 

もちろん、何でもすぐに外部に持ち込めばよいわけではありません。

 

家族内で穏やかに解決できるなら、それが望ましい場合もあります。

 

しかし、情報が不透明で、面会や連絡が遮断され、説明もされない状態で、第三者の関与まで拒まれるなら、注意が必要です。

 

第三者の関与は、相手を攻撃するためだけのものではありません。

 

親本人の意思を確認するため。

家族間の情報格差を減らすため。

面会方法を調整するため。

財産管理の透明性を確保するため。

介護や医療の判断を整理するため。

 

そのために必要になることがあります。

 

本当に親のためなら、透明性を高める第三者の関与を、過度に恐れる必要はないはずです。

 

第三者が入ることを嫌がる理由は何か。

 

そこにも、「親のため」と「自分の都合」を見分ける手がかりがあります。

 

 

8 親の生活が豊かになっているか、狭くなっているか

 

「親のため」という言葉の中身を見分けるとき、一つの大切な視点があります。

 

それは、その行動によって、親の生活が豊かになっているか、狭くなっているかです。

 

親が安心して暮らせているか。

親の人間関係が保たれているか。

親が会いたい人に会える可能性があるか。

親の気持ちを聞く機会があるか。

親の財産や生活が透明に管理されているか。

親の孤立が防がれているか。

 

もし、「親のため」と言いながら、結果として親の世界が狭くなっているなら、注意が必要です。

 

会える人が減る。

話せる人が減る。

情報が一人の家族を通さないと外に出ない。

親の意思が一人の家族の口からしか語られない。

親の財産や契約の状況が見えない。

他の家族とのつながりが切られていく。

 

これでは、親を守っているのか、親を囲い込んでいるのか分からなくなります。

 

親を守るとは、親を閉じ込めることではありません。

 

親の安全を守りながら、親の尊厳、意思、人間関係、生活の広がりを守ることです。

 

9 見分けるための具体的なチェックポイント

 

「親のため」と「自分の都合」を見分けるためには、次のような点を確認するとよいと思います。

 

第一に、親本人の意思確認が具体的かどうか。

「親が嫌がっている」と言うだけでなく、いつ、誰が、どのように確認したのかが説明されているか。

 

第二に、面会や連絡を完全に遮断するのではなく、調整の努力があるか。

短時間、同席、オンライン、手紙、写真など、代替手段が検討されているか。

 

第三に、情報共有の姿勢があるか。

親の体調、介護状況、重要な手続について、必要な範囲で説明があるか。

 

第四に、第三者の関与を受け入れる余地があるか。

施設、ケアマネジャー、地域包括支援センター、成年後見人、弁護士、家庭裁判所などの関与を一切拒んでいないか。

 

第五に、その行動によって親の生活が広がっているか、狭くなっているか。

親が安心し、人間関係を保てているのか。

それとも、一人の家族の管理下で孤立していないか。

 

第六に、説明責任を果たしているか。

「自分がやっている」「親のためだ」と言うだけでなく、他の家族が納得できるような説明をしているか。

 

これらを見ていくと、「親のため」という言葉の中身が少しずつ見えてきます。

 

 

10 まとめ

 

「親のため」という言葉は、とても大切な言葉です。

 

高齢の親を守ること。

病気や認知症に配慮すること。

体調や生活環境を整えること。

親の安心を守ること。

 

これらは必要なことです。

 

しかし、「親のため」という言葉が、他の家族を排除し、情報を独占し、親本人の意思を見えなくするために使われるなら、それは慎重に見直す必要があります。

 

本当に親のためなのか。

それとも自分の都合なのか。

 

その違いは、言葉だけでは分かりません。

 

見るべきなのは、行動です。

 

親本人の自由を守っているか。

親の人間関係を保とうとしているか。

親の意思確認が透明か。

情報共有の努力があるか。

説明責任を果たしているか。

第三者の関与を受け入れる余地があるか。

親の生活が豊かになっているか、それとも狭くなっているか。

 

親を守ることは、親を一人の家族の管理下に置くことではありません。

 

親本人の意思、尊厳、自由、人間関係、財産の透明性を守ることです。

 

「親のため」という言葉が出てきたときこそ、静かに問い直す必要があります。

 

その行動は、本当に親本人の利益につながっているのか。

 

それとも、親を通じて、誰かが家族を支配しているだけなのか。

 

この問いを持つことが、高齢親の囲い込みを見抜くための大切な一歩になります。

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

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このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

第20回 施設・病院が一人の家族の説明だけで判断する危うさ――介護・医療現場に求められる慎重な視点

 

高齢親の囲い込みは、家族の中だけで完結する問題ではありません。

 

親が施設に入所している場合。

病院に入院している場合。

ケアマネジャーや介護サービスが関わっている場合。

成年後見人や専門職が関わっている場合。

 

そこには、必ず外部の人が関わります。

 

本来であれば、外部の専門職が関わることで、親本人の生活や意思、財産管理、家族関係について、一定の透明性が生まれるはずです。

 

 

ところが、現実にはそう簡単ではありません。

 

施設や病院が、窓口になっている一人の家族の説明だけを聞き、その説明を前提に対応してしまうことがあります。

 

「この家族が主に介護している」

「この家族が入所手続をした」

「この家族が費用を払っている」

「この家族がいつも連絡してくる」

「この家族が親本人の意向を説明している」

 

そのため、施設や病院は、その家族を中心に対応しやすくなります。

 

もちろん、現場には現場の事情があります。

施設や病院は多忙です。

個人情報保護にも配慮しなければなりません。

家族間の対立に巻き込まれることを避けたいという事情もあります。

親本人の安静や安全を守る必要もあります。

 

ですから、施設や病院を一方的に責めることはできません。

 

しかし、それでも考えなければならないことがあります。

 

一人の家族の説明だけで判断してしまうと、他の家族との関係や、親本人の本当の意思が見えなくなることがある、ということです。

 

 

1 窓口になっている家族が、必ずしも中立とは限らない

 

施設や病院にとって、家族の窓口が一人に決まっていることは、実務上は便利です。

 

連絡がしやすい。

説明がしやすい。

緊急時の判断を仰ぎやすい。

書類や費用のやり取りもしやすい。

 

そのため、自然と「この人が家族の代表なのだ」と見られることがあります。

 

しかし、高齢親の囲い込みでは、この「窓口」が問題になります。

 

窓口になっている家族が、本当に親本人の利益を中心に動いているとは限りません。

 

もちろん、本当に親のことを考えて、一生懸命対応している家族もいます。

介護の負担を背負い、施設や病院との連絡を担い、親の生活を支えている家族もいます。

 

その努力は尊重されるべきです。

 

問題は、窓口であることを利用して、他の家族を排除する場合です。

 

親に会わせない。

親の状態を教えない。

施設や病院の情報を共有しない。

他の家族からの問い合わせを拒む。

「親が会いたくないと言っている」とだけ説明する。

自分に都合のよい情報だけを施設や病院に伝える。

 

このようなことが起きると、窓口は単なる連絡係ではなくなります。

 

親と外部世界をつなぐ出入口を、一人で握る存在になります。

 

施設や病院は、そのことに慎重である必要があります。

 

 

2 「親が会いたくないと言っている」は、慎重に扱うべき言葉

 

高齢親の囲い込みで、特によく使われる言葉があります。

 

「親が会いたくないと言っています」

「親が嫌がっています」

「親が混乱するので会わせられません」

「親の体調に悪いので連絡しないでください」

 

これらの言葉は、一見すると親本人を守るための説明に聞こえます。

 

もちろん、本当に親本人が面会を望んでいない場合もあるでしょう。

体調が悪く、面会を控えた方がよい時期もあります。

認知症や精神状態によって、刺激を避ける必要がある場面もあります。

 

しかし、その判断が本当に親本人の意思や利益に基づいているのかは、慎重に確認されるべきです。

 

誰が親の意思を確認したのか。

どのような場面で確認したのか。

親本人は、誰について何を聞かれて答えたのか。

誘導的な聞き方はなかったか。

親の判断能力や認知機能の状態はどうだったのか。

他の家族と会う選択肢を、親本人にきちんと示したのか。

窓口になっている家族の意向が、親本人の意向として扱われていないか。

 

ここを確認しないまま、「親が嫌がっているそうです」とだけ受け止めてしまうと、親本人の意思が見えなくなります。

 

とくに認知症や判断力低下がある場合、親の言葉は周囲の影響を受けやすくなります。

 

強い口調で説明された後に聞かれたのか。

一部の家族について否定的な情報を聞かされた後に答えたのか。

その場に利害関係のある家族が同席していたのか。

親が不安から近くにいる人に合わせて答えた可能性はないか。

 

「親が会いたくないと言っている」という言葉は、重い言葉です。

 

だからこそ、一人の家族の説明だけで処理してはいけないのです。

 

 

3 施設や病院が知らないところで、家族関係が操作されていることがある

 

施設や病院は、家族の長い歴史を知りません。

 

親子関係。

兄弟姉妹関係。

介護が始まる前の関係。

相続をめぐる不安。

過去の対立。

誰がどのように親と関わってきたのか。

 

こうした背景は、外からは分かりにくいものです。

 

そのため、窓口になっている家族が、施設や病院に一方的な説明をすると、それが家族関係の全体像として受け取られてしまうことがあります。

 

「あの家族は親に悪影響を与える」

「あの人が来ると親が混乱する」

「あの人はお金のことばかり言っている」

「あの人とは関わらない方がよい」

「親も会いたくないと言っている」

 

このような説明が繰り返されると、施設や病院は、知らないうちに一方の家族の見方に引き寄せられてしまうことがあります。

 

もちろん、説明が事実である場合もあります。

 

しかし、事実かどうかを確認しないまま、一人の家族の説明だけで他の家族を警戒対象のように扱うことには危うさがあります。

 

高齢親の囲い込みでは、他の家族を悪者化することがよくあります。

 

「親を守るため」

「親の安静のため」

「親が嫌がっているから」

「トラブルを避けるため」

 

そのような言葉によって、他の家族との接点が断たれていくことがあります。

 

施設や病院がその構造に気づかなければ、結果的に囲い込みを強めてしまうことがあります。

 

 

4 個人情報保護が、情報遮断の口実になることもある

 

施設や病院が家族に情報を出すとき、個人情報保護の問題があります。

 

これは当然重要です。

 

親本人の医療情報、介護情報、生活状況、財産に関わる情報は、慎重に扱われるべきです。

 

しかし、高齢親の囲い込みの場面では、「個人情報保護」という言葉が、情報遮断の口実のように機能してしまうことがあります。

 

たとえば、ある家族が親の状態を知りたいと施設に問い合わせる。

すると、施設側は「窓口の方を通してください」と答える。

その窓口の家族に問い合わせると、何も教えてくれない。

結果として、親の状態はまったく分からない。

 

この場合、形式的には個人情報保護に配慮しているように見えます。

 

しかし、実質的には、一人の家族が情報の出入口を完全に握ることになります。

 

もちろん、施設や病院が誰にでも自由に情報を出してよいわけではありません。

親本人の同意や法的な関係、契約上の立場などを確認する必要があります。

 

ただ、それでも大切なのは、情報を完全に一人の家族に集中させないための工夫です。

 

親本人が可能であれば、誰にどの範囲の情報を共有してよいか確認する。

家族関係が複雑な場合は、記録を残す。

他の家族からの申し出を無視せず、内容を記録する。

必要に応じて、地域包括支援センター、成年後見人、弁護士、家庭裁判所などの関与を促す。

 

個人情報保護は、親本人を守るためのものです。

 

一部の家族が親を囲い込むための壁になってはいけません。

 

 

5 面会制限は、本当に親本人の利益のためなのか

 

施設や病院では、面会制限が必要になることがあります。

 

感染症対策。

体調不良。

治療上の必要。

認知症による混乱。

本人の強い拒否。

安全確保。

 

こうした理由で、面会を制限すること自体はあり得ます。

 

しかし、高齢親の囲い込みの場面では、面会制限が一部の家族の意向によって行われていないかを慎重に見る必要があります。

 

本当に医療・介護上の必要があるのか。

親本人が明確に拒否しているのか。

拒否の理由は何か。

面会の方法を工夫する余地はないのか。

短時間、職員同席、オンライン、手紙、写真、音声メッセージなど、別の方法はないのか。

窓口になっている家族だけが強く拒んでいるのではないか。

 

面会制限は、親本人の生活や人間関係に大きな影響を与えます。

 

親が会える人、会えない人を、実質的に決めることになるからです。

 

だからこそ、面会制限は慎重であるべきです。

 

単に「家族間トラブルがあるから会わせない」ではなく、親本人の利益を中心に、具体的な理由と代替手段を考える必要があります。

 

 

6 施設・病院に求められるのは、どちらかの味方をすることではない

 

施設や病院は、家族間の争いの裁判官ではありません。

 

どちらが正しいかを決める立場ではありません。

相続争いの判断をする立場でもありません。

家族の過去の関係をすべて調査する立場でもありません。

 

それはその通りです。

 

しかし、だからといって、一人の家族の説明だけで対応を固定してよいわけではありません。

 

施設や病院に求められるのは、どちらかの味方をすることではありません。

 

親本人を中心に置くことです。

 

親本人の意思はどうか。

親本人の安全はどうか。

親本人の生活の安定はどうか。

親本人の人間関係はどうか。

親本人が孤立させられていないか。

親本人の意思を、誰かが過度に代弁していないか。

 

この視点を持つことが大切です。

 

家族間に対立があるときこそ、施設や病院は「家族の代表者」と「親本人」を同一視しないことが重要です。

 

窓口家族の意向は、親本人の意向そのものではありません。

 

ここを分けて考えるだけでも、対応は大きく変わります。

 

 

7 記録に残すことが、現場を守る

 

施設や病院にとっても、家族間の対立は大きな負担です。

 

どちらの家族にも配慮しなければならない。

個人情報保護にも気をつけなければならない。

親本人の安全も守らなければならない。

職員が責められることもある。

感情的なやり取りに巻き込まれることもある。

 

だからこそ、記録が大切です。

 

誰から、いつ、どのような申し出があったのか。

面会希望はいつ出されたのか。

誰が拒否したのか。

拒否の理由は何だったのか。

親本人の意思は、いつ、誰が、どのように確認したのか。

窓口家族からどのような説明があったのか。

他の家族からどのような反論や要望があったのか。

施設や病院として、どのような対応をしたのか。

 

これを記録しておくことは、家族のためだけではありません。

 

施設や病院自身を守ることにもなります。

 

後から問題になったとき、「誰か一人の言うことをそのまま信じた」のではなく、「親本人の利益を中心に、確認し、記録し、慎重に対応した」と説明できるからです。

 

高齢親の囲い込みでは、記録が非常に重要です。

 

それは当事者にとっても、専門職にとっても同じです。

 

 

8 他の家族からの声を、迷惑扱いしないでほしい

 

親に会えなくなった家族、情報を遮断された家族は、施設や病院に連絡することがあります。

 

親の様子を知りたい。

面会できるか確認したい。

手紙を渡してほしい。

親本人の意思を確認してほしい。

窓口になっている家族の説明だけで判断しないでほしい。

 

そのような連絡を受けたとき、現場は困るかもしれません。

 

家族間トラブルに巻き込まれたくない。

窓口家族との関係が悪くなるのではないか。

どこまで情報を出してよいか分からない。

業務が増える。

 

その大変さは理解できます。

 

しかし、他の家族からの声を、単なる迷惑やクレームとして扱わないでほしいのです。

 

その声の背後には、親に会えない苦しみがあります。

親の状態が分からない不安があります。

親本人の意思が見えない違和感があります。

一人の家族にすべてを握られているという恐怖があります。

 

もちろん、感情的な言い方や過剰な要求には、冷静な対応が必要です。

 

しかし、その声の中に、囲い込みのサインが含まれている可能性があります。

 

「会わせてもらえない」

「情報を教えてもらえない」

「親本人と直接話せない」

「施設名を教えてもらえなかった」

「窓口家族がすべてを決めている」

 

こうした訴えがある場合には、少なくとも記録に残し、慎重に扱うべきです。

 

 

9 親本人の人間関係も、生活の一部である

 

施設や病院では、どうしても身体的な安全や医療的管理が中心になります。

 

転倒しないこと。

薬を飲むこと。

食事を取ること。

治療を受けること。

感染症を防ぐこと。

穏やかに過ごすこと。

 

もちろん、これらは非常に重要です。

 

しかし、人間の生活は、身体的な安全だけで成り立っているわけではありません。

 

誰に会えるか。

誰と話せるか。

誰に近況を伝えられるか。

誰から手紙や写真を受け取れるか。

自分の人生に関わってきた人たちとのつながりを保てるか。

 

これも、親本人の生活の一部です。

 

高齢になったからといって、認知症になったからといって、施設に入ったからといって、その人の人間関係が一部の家族によって管理されてよいわけではありません。

 

親本人の安全を守ることと、親本人を孤立させないこと。

 

この二つは、どちらも大切です。

 

施設や病院には、親本人の身体だけでなく、人間関係にも目を向けてほしいのです。

 

 

10 まとめ

 

施設や病院が、一人の家族の説明だけで判断することには危うさがあります。

 

窓口になっている家族が、必ずしも中立とは限りません。

「親が会いたくないと言っている」という説明が、親本人の自由な意思とは限りません。

家族関係が、一方的な説明によって操作されていることもあります。

個人情報保護が、結果的に情報遮断の壁になることもあります。

面会制限が、本当に親本人の利益のためなのか、慎重に確認する必要があります。

 

施設や病院に求められるのは、どちらかの家族の味方をすることではありません。

 

親本人を中心に置くことです。

 

親本人の意思。

親本人の安全。

親本人の生活。

親本人の人間関係。

親本人の尊厳。

 

これらを守るために、一人の家族の説明だけで判断しない慎重さが必要です。

 

高齢親の囲い込みは、家族の中だけで起きているように見えて、実際には介護・医療の現場とも深く関わっています。

 

だからこそ、施設や病院、ケアマネジャー、地域包括支援センター、成年後見人などの専門職には、次の視点を持ってほしいのです。

 

家族の中に力の差はないか。

情報が一人に集中していないか。

親本人の意思確認は十分か。

他の家族の声は聞かれているか。

面会や連絡の制限は、本当に親本人の利益に基づいているか。

記録は残されているか。

 

高齢親を守ることは大切です。

 

しかし、親を守るという言葉のもとで、親の人間関係が狭められ、他の家族が排除され、情報が一人に集中していくなら、それは保護ではなく支配に近づいていきます。

 

施設や病院がその構造に気づくこと。

 

それが、高齢親の囲い込みを防ぐための大切な一歩になるのです。

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com

 


 

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このブログについて

 高齢親の囲い込みとは、認知症や要介護状態にある親について、一部の家族が「親を守る」という名目で、面会、連絡、医療・介護情報、財産管理、施設との連絡窓口を独占し、他の家族を遠ざけていく状態をいいます。

 

 

 親を守ることは大切です。
 しかし、その言葉が、親本人の意思を見えにくくし、家族を排除し、情報や財産の出入口を一人が握るために使われるなら、それは保護ではなく支配に近づきます。

 

 このブログでは、高齢親の囲い込みを、個人批判ではなく家族内支配の構造として考え、親の尊厳と家族関係を守るために何が必要かを考えていきます。

 

第19回 「家族の問題だから」で片づけてはいけない ―― 家族内に力の差があるとき、中立は中立ではなくなる

 

高齢親の囲い込みが起きているとき、周囲からよく言われる言葉があります。

 

「家族で話し合ってください」

「ご家族の問題ですから」

「こちらではどちらが正しいか分かりません」

「まずは身内で解決してください」

「きょうだいでよく相談してください」

 

一見すると、これは自然な言葉に聞こえます。

 

家族のことは家族で話し合う。

身内の問題は、できるだけ身内で解決する。

第三者がむやみに口を出さない。

 

たしかに、家族同士で冷静に話し合える状態であれば、それが一番よいでしょう。

 

しかし、高齢親の囲い込みが起きている場面では、そもそも「家族で話し合う」ことができない状態になっていることがあります。

 

 

一部の家族が、親との面会、連絡、施設や病院との窓口、財産情報、介護情報を握っている。

他の家族は、親に会えない。

親の状態を知らされない。

質問しても返事がない。

「親が嫌がっている」と言われるだけで、親本人に直接確認できない。

 

このような状態で、「家族で話し合ってください」と言うことは、本当に中立なのでしょうか。

 

むしろ、情報を握っている側、親との接点を独占している側、説明しない側に有利に働いてしまうことがあります。

 

「家族の問題だから」で片づけてはいけない。

 

それが、今回のテーマです。

 

1 家族内の問題は、外から見えにくい

 

高齢親の囲い込みは、外から非常に見えにくい問題です。

 

暴力のように分かりやすい傷が残るとは限りません。

怒鳴り声が聞こえるとは限りません。

明確な契約書や命令書があるとは限りません。

 

多くの場合、もっと静かに進みます。

 

親への電話がつながらなくなる。

面会を求めても理由をつけて断られる。

施設名や担当者を教えてもらえない。

親の体調や介護状況が共有されない。

通帳や財産管理の状況が分からなくなる。

「親が会いたくないと言っている」と言われる。

 

 

そして、外部の人から見ると、こう見えてしまいます。

 

「家族同士の意見の違い」

「きょうだい間の感情的な対立」

「介護方針の違い」

「相続をめぐる争い」

 

もちろん、そういう側面がまったくないとは言い切れません。

 

しかし、そこに情報遮断や面会遮断がある場合、単なる意見の違いとして扱ってよいのかは慎重に考える必要があります。

 

なぜなら、親に近い側が情報を独占し、親から遠ざけられた側が何も確認できない状態では、対等な話し合いが成り立たないからです。

 

2 「家族で話し合ってください」が通用しない場面

 

家族で話し合うためには、前提があります。

 

お互いに連絡が取れること。

最低限の情報が共有されていること。

親本人の意思を確認できること。

一方が他方を完全に遮断していないこと。

質問に対して、ある程度の説明がなされること。

 

この前提があるからこそ、話し合いは成立します。

 

しかし、高齢親の囲い込みでは、この前提が崩れていることがあります。

 

たとえば、他の家族が親に会いたいと申し入れても、窓口になっている家族が断る。

親本人に直接確認したいと言っても、「親が嫌がっている」とだけ返される。

施設や病院に連絡しようとしても、「こちらを通してください」と言われる。

財産管理について質問しても、「関係ない」と言われる。

介護状況を聞いても、具体的な説明がない。

 

 

このような状態で、第三者が「家族で話し合ってください」と言ってしまうと、実際には何が起きるでしょうか。

 

情報を握っている側は、何もしなくて済みます。

説明しない側は、説明しないままで済みます。

面会を止めている側は、面会を止め続けることができます。

親本人の意思確認は、いつまでも曖昧なままになります。

 

つまり、「家族で話し合ってください」という言葉が、結果的に囲い込みを固定してしまうことがあるのです。

 

3 家族内にも「力の差」がある

 

家族という言葉には、どこか対等な響きがあります。

 

親子。

兄弟姉妹。

親族。

身内。

 

しかし、実際の家族関係は、必ずしも対等ではありません。

 

親の近くに住んでいる人。

親の介護を担っている人。

通帳や印鑑を持っている人。

施設や病院との連絡窓口になっている人。

親の生活費を管理している人。

親の発言を周囲に伝えている人。

 

こうした人は、家族内で大きな力を持ちます。

 

一方、親から遠ざけられている家族は、情報を持ちません。

 

親がどこにいるのか分からない。

体調が分からない。

判断能力の状態が分からない。

誰と会っているのか分からない。

どのような契約や手続が進んでいるのか分からない。

親本人が本当に何を望んでいるのか分からない。

 

この差は、とても大きいものです。

 

高齢親の囲い込みでは、この力の差が問題の中心にあります。

 

それなのに、周囲が「家族同士で話し合ってください」とだけ言うと、力の差が見えなくなります。

 

情報を持つ側と、情報を遮断されている側を、同じ立場として扱ってしまうのです。

 

しかし、それは本当の意味での中立ではありません。

 

力の差がある場面で、何も介入しないことは、力を持つ側をそのまま有利にすることがあります。

 

 

4 「どちらが正しいか分からない」という言葉の危うさ

 

専門職や周囲の人が、家族間の対立に巻き込まれたくないと感じるのは自然なことです。

 

施設職員、病院、ケアマネジャー、地域包括支援センター、親族、近所の人。

誰であっても、家族間の争いに深く関わることには負担があります。

 

そのため、次のように言いたくなることがあります。

 

「どちらが正しいか分かりません」

「こちらでは判断できません」

「家族間のトラブルには関与できません」

 

もちろん、第三者が簡単に善悪を決めつけるべきではありません。

 

しかし、「どちらが正しいか分からない」ことと、「何も確認しなくてよい」ことは違います。

 

本当に親本人の意思なのか。

面会制限の理由は具体的なのか。

誰が親の意思を確認したのか。

他の家族の話を聞く機会はあったのか。

情報が一人に集中していないか。

財産管理や施設対応が不透明になっていないか。

 

こうした点を確認することは、誰か一方の味方をすることとは違います。

 

親本人の利益を守るために必要な確認です。

 

高齢親の囲い込みでは、「どちらが正しいか分からない」という中立的な態度が、結果として親本人の意思を見えなくしてしまうことがあります。

 

大切なのは、どちらかの家族に肩入れすることではありません。

 

親本人を中心に置くことです。

 

 

5 放置すると、囲い込みは強くなる

 

高齢親の囲い込みは、時間が経つほど強くなることがあります。

 

最初は、少し連絡が取りにくくなる程度かもしれません。

次に、面会に理由が必要になります。

そのうち、施設や病院への連絡窓口が一人に固定されます。

他の家族が問い合わせると、迷惑そうに扱われます。

「親が嫌がっている」という説明が繰り返されます。

財産や遺言の話が、知らないところで進むこともあります。

 

囲い込みは、突然完成するとは限りません。

 

少しずつ、親への道が狭くなっていきます。

 

そして、周囲が何も確認しないまま時間が過ぎると、囲い込みをしている側にとっては、その状態が既成事実になります。

 

「ずっと自分が窓口だった」

「他の家族は関わってこなかった」

「親もそれを望んでいた」

「いまさら何を言っているのか」

 

このような説明がされることがあります。

 

だから、放置は危険です。

 

高齢親の囲い込みでは、何もしないことが中立とは限りません。

 

何もしないことによって、情報を握る側の状態が固定され、親本人の意思確認がますます難しくなることがあります。

 

 

6 専門職に必要なのは「家族を見る目」

 

介護、医療、福祉、法律の専門職には、ぜひ持ってほしい視点があります。

 

それは、家族を一枚岩として見ないことです。

 

「ご家族」とひとくくりにすると、その中の力関係が見えなくなります。

 

家族の中には、親の近くにいる人もいれば、遠ざけられている人もいます。

情報を持つ人もいれば、情報をもらえない人もいます。

親の意思を代弁する人もいれば、その言葉を確認できない人もいます。

財産管理をしている人もいれば、何も知らされていない人もいます。

 

専門職が見るべきなのは、単なる「家族間トラブル」ではありません。

 

誰が情報を持っているのか。

誰が窓口になっているのか。

誰が親本人に会えているのか。

誰が会えなくされているのか。

親の意思はどのように確認されているのか。

他の家族の声は聞かれているのか。

 

この視点があるだけで、対応は変わります。

 

一人の家族の説明だけで、すべてを判断しない。

面会制限の理由を具体的に確認する。

親本人の意思確認の方法を慎重に考える。

他の家族からの申し出も記録に残す。

必要に応じて、地域包括支援センター、成年後見、家庭裁判所、弁護士などにつなぐ。

 

これらは、家族の争いに巻き込まれることとは違います。

 

親本人の尊厳を守るための慎重な対応です。

 

 

7 当事者も「家族の問題だから」と自分を責めなくてよい

 

囲い込みに苦しむ人自身も、「家族の問題だから」と自分を責めてしまうことがあります。

 

裁判所に相談するなんて大げさではないか。

弁護士に相談するなんて、家族を壊すことではないか。

施設に記録を求めるなんて、迷惑ではないか。

親に会いたいと求め続ける自分が、しつこいのではないか。

 

そう思ってしまう人もいます。

 

しかし、親に会いたいと思うことは、おかしなことではありません。

 

親の状態を知りたいと思うこと。

親本人の意思を確認したいと思うこと。

介護や医療の情報を共有してほしいと思うこと。

財産管理が不透明なら説明を求めたいと思うこと。

 

これらは、異常な要求ではありません。

 

もちろん、感情的に相手を攻撃することは避けるべきです。

親本人の体調や生活を無視して、無理な要求をすることも望ましくありません。

 

しかし、冷静に、記録に基づいて、親本人の利益のために説明や面会を求めることは、正当な問題提起です。

 

「家族の問題だから」と一人で抱え込まなくてよいのです。

 

家族の中で解決できないからこそ、第三者を入れる意味があります。

 

 

8 必要なのは、対立の拡大ではなく、透明化

 

高齢親の囲い込みに対して外部の手続を使うというと、すぐに「対立を深める」と思われがちです。

 

しかし、本当に必要なのは、対立を深めることではありません。

 

透明化です。

 

親本人の意思を透明にする。

面会制限の理由を透明にする。

介護や医療の情報共有を透明にする。

財産管理を透明にする。

施設や病院との連絡体制を透明にする。

家族間で何が問題になっているのかを透明にする。

 

透明になれば、誤解が解けることもあります。

 

本当に親本人が望んでいることが分かるかもしれません。

面会方法を調整できるかもしれません。

情報共有のルールを作れるかもしれません。

財産管理の不安が減るかもしれません。

一人の家族に負担や権限が集中していた状態を見直せるかもしれません。

 

逆に、透明化を拒み続ける場合には、そのこと自体が問題を考える手がかりになります。

 

なぜ説明できないのか。

なぜ親本人に確認させないのか。

なぜ情報を共有しないのか。

なぜ第三者の関与を嫌がるのか。

 

囲い込みの問題では、透明化を求めることが非常に重要です。

 

 

9 「家族の問題」ではなく「親の尊厳の問題」

 

高齢親の囲い込みを考えるとき、忘れてはいけないことがあります。

 

それは、この問題の中心にいるのは、親本人だということです。

 

きょうだいの勝ち負けではありません。

相続の取り分だけの問題ではありません。

誰が親孝行かを競う問題でもありません。

 

親本人が、自分の意思を尊重されているか。

会いたい人に会える可能性が残されているか。

必要な医療や介護を受けているか。

財産が適切に管理されているか。

一部の家族の都合で孤立させられていないか。

親の人間関係が、不当に狭められていないか。

 

ここが中心です。

 

「家族の問題だから」と言ってしまうと、親本人の姿が消えてしまうことがあります。

 

しかし、本当は逆です。

 

家族の問題としてではなく、親本人の尊厳の問題として見る必要があります。

 

親を守るとは、親を誰か一人の管理下に置くことではありません。

 

親の意思、生活、人間関係、財産、尊厳を、できるだけ透明で公正な形で守ることです。

 

 

10 まとめ

 

高齢親の囲い込みを、「家族の問題だから」で片づけてはいけません。

 

たしかに、家族のことは家族で話し合えるのが理想です。

 

しかし、家族内に力の差がある場合。

一部の家族が情報を握っている場合。

親との面会や連絡が遮断されている場合。

施設や病院との窓口が独占されている場合。

親本人の意思確認が不透明な場合。

財産管理の状況が分からない場合。

 

その状態で「家族で話し合ってください」と言うことは、問題の解決にならないことがあります。

 

むしろ、囲い込みをしている側に時間と既成事実を与えてしまうことがあります。

 

必要なのは、誰か一方に肩入れすることではありません。

 

親本人を中心に置くことです。

情報を透明にすることです。

面会や連絡の遮断理由を確認することです。

家族内の力の差を見ることです。

必要に応じて、第三者を入れることです。

 

高齢親の囲い込みは、単なるきょうだい喧嘩ではありません。

 

親の尊厳、介護、認知症、相続、財産管理、施設対応、法的手続が絡み合う問題です。

 

だからこそ、周囲も専門職も、そして当事者自身も、「家族の問題だから」という言葉で思考停止してはいけません。

 

家族の中で起きているからこそ、見えにくい。

見えにくいからこそ、記録が必要になる。

記録が必要だからこそ、第三者の目が必要になる。

 

高齢親を本当に守るためには、家族の中に閉じ込められた問題を、静かに、冷静に、社会に開いていく必要があります。

 

 

 


 

プロフィール

 

高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正

白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役

〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102

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