高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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 73. 親に会いたい その気持ちを言葉にしよう

 

――はじめに


ふとした拍子に胸の奥から湧き上がる「親に会いたい」という衝動。

電話をかければいい、LINEを送ればいい——頭ではわかっていても、事情が絡み合うと、手は止まり、言葉はほどけません。

 

距離、介護、家族内の意見の違い、仕事や子育ての慌ただしさ。

理由はさまざまでも、根っこにあるのはとても素朴な願いです。

 

専門家の視点からお伝えしたいのは、会えなくてつらいあなたが、まず「言葉」を持つことの大切さ。

発信者としてSNSに小さな一文を置くことは、関係を動かし、あなた自身を支える確かな一歩になります。

 

 


1. 「会いたい」を飲み込むと、心はどこへ行くのか

 

言葉にならない気持ちは、身体のどこかに溜まります。

眠りの浅さ、胸の圧迫感、ため息の増加、返信を先延ばしにする癖——その多くは“未表明の思い”の出口のなさから生まれます。

 

私たちの心は、痛みが小さいうちに名前をつければつけるほど、扱いやすくなる。

逆に、名前のない塊は想像を肥大させ、現実よりも大きな影を落とします。

 

SNSはしばしば「拡散」や「炎上」と結びつけられ、慎重になって当然です。

けれど、発信とは“世界に向かって叫ぶこと”だけではありません。“自分の心に印をつけること”でもあります。

 

たとえ反応がなくても、一行の投稿は、今日のあなたを肯定する控えめな宣言になるのです。

 


2. エピソード①:窓越しの季節を共有する

 

里奈さん(仮名)は、母が入所する施設の事情もあって、思うように面会できません。

最初の数カ月、里奈さんは「会わせてもらえない」と怒りに飲み込まれ、何度も長文を書いては消しました。

 

ある夜、彼女はふと短く書いてみます。「#親に会いたい 今夜は月が丸いね。お母さんにも見せたい。」

 

それだけの投稿に、同じ境遇の見知らぬ人から静かな♡が並びました。

次第に里奈さんの文は、季節のしるしを運ぶ手紙のように育ちます。

「#親に会いたい 沈丁花の香り。あなたが好きだった匂い。」


数週間後、施設の職員さんが電話で「お母さま、最近よく空を見上げていらして」と教えてくれました。

 

直接の因果はわかりません。

ただ、里奈さんは「会えない時間に関係が痩せていく」のではなく、「言葉で温度を保てる」実感を手に入れたのです。

 

彼女の投稿は攻撃ではなく、世界への小さな共有として機能し、周囲との会話も柔らかくしていきました。

 

 


3. エピソード②:遠距離の息子、三行の儀式

 

広志さん(仮名)は海外勤務。

時差と仕事で、父への連絡は「落ち着いたら」と後回しになりがちでした。

そんな彼が始めたのは“毎晩の三行”。
 

「#親に会いたい 今日の出来事を一行」
「いまの気持ちを一行」
「父への呼びかけを一行」
 

たとえば、「#親に会いたい 地下鉄で迷って汗だくになった。情けないけど、少し成長した気がする。父さん、今度会えたら笑って聞いてくれ。」
この三行は、長文の立派な近況報告よりも続きました。

 

やがて出張で帰国できたとき、父はこう言いました。

「お前の“会いたい”を毎晩、寝る前に思ってた。」

 

SNSアカウントを持たない父でしたが、広志さん自身が“言葉にして整える”習慣を通じて、対話の姿勢を取り戻していたのです。

 


4. なぜハッシュタグが助けになるのか

 

「#親に会いたい」は合図です。叫びでも弁明でもなく、心の位置情報。

 

タグは同じ痛みの人同士をゆるやかに繋ぎ、過剰な説明なしに思いを共有できます。

しかも、タグの効用は“他者との接続”だけにとどまりません。

 

あなた自身がタイムラインを遡るとき、季節や気分の変化とともに、“会いたい”の輪郭が見えてくる。これはセルフケアの記録であり、次の一歩を考える地図になります。

 

もちろん、公開に抵抗があるなら、鍵アカウントや非公開メモで構いません。

 

重要なのは、あなたが“名づける側”に戻ること。

状況や誰かの都合が、あなたの気持ちの名づけ親になってしまうと、心はたちまち身動きできなくなります。

 

 


5. ことばにするときの配慮——関係を壊さず守るために

 

会いたさは、時に怒りを伴います。

誰かの段取りや判断が阻んでいるように見えると、苛立ちが言葉の端々に滲みます。

 

ただ、あなたの本当の願いは“会うこと”であって、“裁くこと”ではないはず。

ここで役立つのが、「内面の事実」を主語にする書き方です。


「連絡をもらえず困っている」よりも、「連絡がない夜、私は不安で眠れない」。
「会わせてもらえない」よりも、「会える日まで、私の“会いたい”を形にして残したい」。


主語を自分に戻すだけで、文章は柔らかさを取り戻し、読み手も防御を下ろしやすくなります。

万一、家族内の対立がある場合でも、SNS上の言葉がさらに火種になるのを防げます。

 


6. “書けない夜”のための言葉のレシピ

 

どうしても指が動かない日があります。そんなときは、形式に頼ってみましょう。
最初の一行は「事実」、二行目は「感情」、三行目は「小さな願い」。


例:「#親に会いたい 今日は雨。駅前の花屋に紫陽花。胸が少しきゅっとした。次に会えたら、写真を一緒に撮りたい。」
 

形式が支えてくれると、感情は安全に外へ出られます。

長文にしようと背伸びしないことが、継続のいちばんのコツです。

 


7. 言葉が橋になるとき——周囲との協力を生む

 

やさしい言葉は、実務を動かす力にもなります。

ケアマネや施設職員、きょうだいなど、連絡を取り合う人たちは、攻撃の矢面に立つのを恐れています。

 

あなたが発信で示すのが“感謝と具体”であれば、協力の輪は広がりやすい。


「今日は電話で様子を30秒だけ教えていただけて助かりました。次は日曜の夕方に連絡しても良いでしょうか。」このように、短く、礼を添え、希望は具体に。

 

SNSでのふるまいとオフラインの実務が呼応すると、関係の温度が上がり、会える可能性も少しずつ高まります。

 

 


8. 「会えない時間」にできる、ささやかな同時体験

 

会えない時間は、ただの空白ではありません。

同じ空を見上げる、同じ音楽を聴く、同じメニューを作る——離れていても“同時体験”は作れます。


「#親に会いたい 今日はあなたの味噌汁を真似した。少し薄かったけど、台所があなたの匂いになった。」
 

この種の投稿は、離れている二人の間に“同じ時間の帯”を通します。

関係は、会うことだけでなく、“一緒に感じること”でも深まるのです。

 


9. 終わりに——「言い続けられる言葉」を、自分に渡す

 

「#親に会いたい」は、弱音でも、要求でもありません。

あなたの生の芯を確かめる、静かな祈りです。

 

会える日が来るなら、その日までの灯として。

もし残念ながら会えない事情が続くなら、あなたの生を支える柱として。

 

言葉は、状況の奴隷ではなく、あなたの伴走者でいられます。

 

最後に、いまここで三行だけ、心の中でつぶやいてみてください。
 

「#親に会いたい 今日はどんな空? 私はここにいるよ。」
その小さな宣言が、あなたの明日をすこしだけ柔らかくしてくれますように。

 

 

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