高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
自己紹介 ⇒ 白岩俊正について
人気記事ランキング
2. 31.施設職員への伝え方──冷静に事実だけを伝えるには?
5. 37. 閉ざされた実家にどう手紙を届ける?──親に思いを伝えるための現実的な方法
(期間: 2025/8/21~2025/9/19 ー 30日間)
73. 親に会いたい その気持ちを言葉にしよう
――はじめに
ふとした拍子に胸の奥から湧き上がる「親に会いたい」という衝動。
電話をかければいい、LINEを送ればいい——頭ではわかっていても、事情が絡み合うと、手は止まり、言葉はほどけません。
距離、介護、家族内の意見の違い、仕事や子育ての慌ただしさ。
理由はさまざまでも、根っこにあるのはとても素朴な願いです。
専門家の視点からお伝えしたいのは、会えなくてつらいあなたが、まず「言葉」を持つことの大切さ。
発信者としてSNSに小さな一文を置くことは、関係を動かし、あなた自身を支える確かな一歩になります。
1. 「会いたい」を飲み込むと、心はどこへ行くのか
言葉にならない気持ちは、身体のどこかに溜まります。
眠りの浅さ、胸の圧迫感、ため息の増加、返信を先延ばしにする癖——その多くは“未表明の思い”の出口のなさから生まれます。
私たちの心は、痛みが小さいうちに名前をつければつけるほど、扱いやすくなる。
逆に、名前のない塊は想像を肥大させ、現実よりも大きな影を落とします。
SNSはしばしば「拡散」や「炎上」と結びつけられ、慎重になって当然です。
けれど、発信とは“世界に向かって叫ぶこと”だけではありません。“自分の心に印をつけること”でもあります。
たとえ反応がなくても、一行の投稿は、今日のあなたを肯定する控えめな宣言になるのです。
2. エピソード①:窓越しの季節を共有する
里奈さん(仮名)は、母が入所する施設の事情もあって、思うように面会できません。
最初の数カ月、里奈さんは「会わせてもらえない」と怒りに飲み込まれ、何度も長文を書いては消しました。
ある夜、彼女はふと短く書いてみます。「#親に会いたい 今夜は月が丸いね。お母さんにも見せたい。」
それだけの投稿に、同じ境遇の見知らぬ人から静かな♡が並びました。
次第に里奈さんの文は、季節のしるしを運ぶ手紙のように育ちます。
「#親に会いたい 沈丁花の香り。あなたが好きだった匂い。」
数週間後、施設の職員さんが電話で「お母さま、最近よく空を見上げていらして」と教えてくれました。
直接の因果はわかりません。
ただ、里奈さんは「会えない時間に関係が痩せていく」のではなく、「言葉で温度を保てる」実感を手に入れたのです。
彼女の投稿は攻撃ではなく、世界への小さな共有として機能し、周囲との会話も柔らかくしていきました。
3. エピソード②:遠距離の息子、三行の儀式
広志さん(仮名)は海外勤務。
時差と仕事で、父への連絡は「落ち着いたら」と後回しになりがちでした。
そんな彼が始めたのは“毎晩の三行”。
「#親に会いたい 今日の出来事を一行」
「いまの気持ちを一行」
「父への呼びかけを一行」
たとえば、「#親に会いたい 地下鉄で迷って汗だくになった。情けないけど、少し成長した気がする。父さん、今度会えたら笑って聞いてくれ。」
この三行は、長文の立派な近況報告よりも続きました。
やがて出張で帰国できたとき、父はこう言いました。
「お前の“会いたい”を毎晩、寝る前に思ってた。」
SNSアカウントを持たない父でしたが、広志さん自身が“言葉にして整える”習慣を通じて、対話の姿勢を取り戻していたのです。
4. なぜハッシュタグが助けになるのか
「#親に会いたい」は合図です。叫びでも弁明でもなく、心の位置情報。
タグは同じ痛みの人同士をゆるやかに繋ぎ、過剰な説明なしに思いを共有できます。
しかも、タグの効用は“他者との接続”だけにとどまりません。
あなた自身がタイムラインを遡るとき、季節や気分の変化とともに、“会いたい”の輪郭が見えてくる。これはセルフケアの記録であり、次の一歩を考える地図になります。
もちろん、公開に抵抗があるなら、鍵アカウントや非公開メモで構いません。
重要なのは、あなたが“名づける側”に戻ること。
状況や誰かの都合が、あなたの気持ちの名づけ親になってしまうと、心はたちまち身動きできなくなります。
5. ことばにするときの配慮——関係を壊さず守るために
会いたさは、時に怒りを伴います。
誰かの段取りや判断が阻んでいるように見えると、苛立ちが言葉の端々に滲みます。
ただ、あなたの本当の願いは“会うこと”であって、“裁くこと”ではないはず。
ここで役立つのが、「内面の事実」を主語にする書き方です。
「連絡をもらえず困っている」よりも、「連絡がない夜、私は不安で眠れない」。
「会わせてもらえない」よりも、「会える日まで、私の“会いたい”を形にして残したい」。
主語を自分に戻すだけで、文章は柔らかさを取り戻し、読み手も防御を下ろしやすくなります。
万一、家族内の対立がある場合でも、SNS上の言葉がさらに火種になるのを防げます。
6. “書けない夜”のための言葉のレシピ
どうしても指が動かない日があります。そんなときは、形式に頼ってみましょう。
最初の一行は「事実」、二行目は「感情」、三行目は「小さな願い」。
例:「#親に会いたい 今日は雨。駅前の花屋に紫陽花。胸が少しきゅっとした。次に会えたら、写真を一緒に撮りたい。」
形式が支えてくれると、感情は安全に外へ出られます。
長文にしようと背伸びしないことが、継続のいちばんのコツです。
7. 言葉が橋になるとき——周囲との協力を生む
やさしい言葉は、実務を動かす力にもなります。
ケアマネや施設職員、きょうだいなど、連絡を取り合う人たちは、攻撃の矢面に立つのを恐れています。
あなたが発信で示すのが“感謝と具体”であれば、協力の輪は広がりやすい。
「今日は電話で様子を30秒だけ教えていただけて助かりました。次は日曜の夕方に連絡しても良いでしょうか。」このように、短く、礼を添え、希望は具体に。
SNSでのふるまいとオフラインの実務が呼応すると、関係の温度が上がり、会える可能性も少しずつ高まります。
8. 「会えない時間」にできる、ささやかな同時体験
会えない時間は、ただの空白ではありません。
同じ空を見上げる、同じ音楽を聴く、同じメニューを作る——離れていても“同時体験”は作れます。
「#親に会いたい 今日はあなたの味噌汁を真似した。少し薄かったけど、台所があなたの匂いになった。」
この種の投稿は、離れている二人の間に“同じ時間の帯”を通します。
関係は、会うことだけでなく、“一緒に感じること”でも深まるのです。
9. 終わりに——「言い続けられる言葉」を、自分に渡す
「#親に会いたい」は、弱音でも、要求でもありません。
あなたの生の芯を確かめる、静かな祈りです。
会える日が来るなら、その日までの灯として。
もし残念ながら会えない事情が続くなら、あなたの生を支える柱として。
言葉は、状況の奴隷ではなく、あなたの伴走者でいられます。
最後に、いまここで三行だけ、心の中でつぶやいてみてください。
「#親に会いたい 今日はどんな空? 私はここにいるよ。」
その小さな宣言が、あなたの明日をすこしだけ柔らかくしてくれますように。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
4.無料オンライン相談(30分)を受付しております(2025/7時点)。詳しくは以下のホームページをご覧ください。
ブログのご紹介
ブログ主宰 しらいわ は以下のブログも作成しています。併せてご覧ください。
1. 自己愛性ハラスメント対策室 ~ 感情的な人に振り回されている方向け~
2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~
3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信
4. ごみ拾い日記 Toshi Shiraiwa【静岡】~ごみ拾いが好きで2015年から近所のごみ拾いを粛々を行っています。2020/8~はグリーンバード静岡というごみ拾いグループのリーダーもしています。
~ 以下休止中 ~
5. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~
6. インナーチャイルド解放コーチ しらいわとしまさ (休止中)幼少期の心の傷が未処理のため大人になっても生きづらさを感じる方へ
7. 感情の地図 〜EQナビゲーターが届ける“心の航海術”(休止中)~感情と向き合う「心の航海術」を発信中