高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

37. 閉ざされた実家にどう手紙を届ける?──親に思いを伝えるための現実的な方法

 

「親に会いたいけれど、きょうだいの一人が実家を閉ざしてしまい、中に入れない」

 

──そんな状況に置かれている人が増えています。電話もつながらず、訪問しても玄関先で追い返される。親の安否が心配なのに、どうすることもできない。

 

そんなとき、多くの方が考えるのが「せめて手紙だけでも届けたい」という方法です。

 

しかし、実家が閉ざされていると、ポストに投函しても読んでもらえないのでは? きょうだいに握りつぶされてしまうのでは? という不安もあります。

 

本記事では、公認会計士・税理士として相続や親子トラブルを数多く見てきた立場から、「閉ざされた実家に手紙を届ける現実的な方法」について整理していきます。

 
 

 

 

1. なぜ「手紙」が有効なのか

 

まず、なぜ手紙が有効なのかを確認しておきましょう。

  • 物理的に残る証拠になる
     電話や口頭のやりとりは残りませんが、手紙は相手が受け取った事実や内容が形として残ります。
  • 感情的対立を避けやすい
     直接会おうとすると対立が先に立ちますが、手紙であれば冷静に思いを伝えることが可能です。
  • 親の意思を引き出すきっかけになる
     親が自ら「この手紙を読みたい」「会いたい」と意思表示できれば、囲い込みを揺るがす一歩になります。

 

ただし、問題は「親本人に確実に届くかどうか」です。ここからが具体的な方法の検討になります。

 

 

2. ポスト投函だけで終わらせない工夫

 

もっともシンプルなのは、実家のポストに投函することです。

しかし、きょうだいが先に手紙を抜き取り、親の目に触れない可能性は高いでしょう。そこで工夫が必要です。

 

  • 封筒の表に「お母さんへ 直筆の手紙です」と明記する
     差出人不明の封筒は開封されやすいため、あえて「親宛」と大きく書くことで本人に届けてほしいというメッセージを強調します。
  • 複数回にわけて送る
     一度握りつぶされても、繰り返すことで「子が連絡を取りたがっている」という事実は周囲にも伝わりやすくなります。
  • 記録を残す
     投函した日付や写真を残しておくと、万が一法的手続きに進む際に「意思疎通を試みていた」証拠になります。
 
 
 

 

3. 郵便を利用する方法

 

より確実に「送った」ことを残すには、郵便サービスの活用が有効です。

  • 簡易書留・書留郵便
     郵便局の記録に残り、相手が受け取ったかどうかを追跡できます。親が自ら署名・押印すれば、受け取った証拠になります。
  • 内容証明郵便
     「いつ、どんな内容の文書を送ったか」を公的に証明できます。法律的なニュアンスが強いため、使うときは慎重に。あくまで「面会を望む意思を伝えた」という証拠作りとして有効です。

 

ただし、受取人が「拒否」する可能性もあります。拒否された記録もまた一つの証拠になります。

 

 

4. 第三者を介して届ける

 

「家族同士だと受け取りを拒否される」ケースでは、第三者を介すのも方法の一つです。

  • ケアマネジャーや介護サービス事業者
     親が介護サービスを受けているなら、ケアマネに「本人に伝えてほしい」と依頼することができます。職務上、親の意思を大切にする立場ですから、受け取ってもらえる可能性が高まります。
  • 地域包括支援センター
     親が高齢であれば、包括支援センターの職員が介入できる場合があります。相談を通じて「手紙を本人に渡してもらえないか」とお願いすることも可能です。
  • 弁護士などの専門家
     代理人を立てて手紙を送ると、相手側の態度も変わる場合があります。ただし、家族関係がさらに硬直化するリスクもあるため、最終手段として考えましょう。
 
 

 

5. 手紙の内容で大切なこと

 

届け方と同じくらい重要なのが「内容」です。せっかく親に届いても、親を不安にさせたり、きょうだいとの対立をあおる内容では逆効果です。

  • 安心を与える表現
     「心配している」「会いたい」という思いを、責める口調ではなく柔らかく伝える。
  • 具体的な提案を入れる
     「○月○日に10分だけでも会いたい」「体調を聞かせてほしい」など、漠然とせず具体性を持たせる。
  • 親の意思を尊重する一文
     「もし会いたくないなら、その気持ちも尊重します。ただ、元気かどうかだけでも知りたい」──こうした一文で、親に選択肢を与えることが大切です。
 

 

6. 心理的な側面──「届かない」苦しみへのケア

 

手紙を出しても届かない、返事がない──その苦しみは想像以上です。「もしかして親が拒絶しているのか」と思い込み、自責感にとらわれる人もいます。

 

ここで大切なのは、「届かないのは自分のせいではない」と理解することです。多くの場合はきょうだいによるブロックが原因であり、親本人の意思ではありません。

 

また、手紙を送ること自体が「親を思い続けている証」になります。返事がなくても、その行動は必ず意味を持ちます。

 

 

 

7. 法的手続きとの関係

 

どうしても会えない状況が続き、安否すら確認できない場合は、家庭裁判所への手続きを検討することもあります。その際、これまでの「手紙送付の記録」は、裁判所に対して「子として努力した証拠」になります。

  • 面会交流調停や審判で「意思疎通の試み」を示せる
  • 将来的な相続や財産管理の場面で「不自然な囲い込み」を主張できる

つまり、手紙は感情の表現であると同時に、法的にも重要な意味を持つのです。

 

 

まとめ

 

閉ざされた実家に手紙を届けるのは簡単ではありません。しかし、工夫次第で「親に届く可能性」を少しでも高めることはできます。

  • ポスト投函に工夫をする
  • 郵便サービスを利用して記録を残す
  • 第三者を介して届ける
  • 手紙の内容は「安心・具体性・尊重」を意識する
  • 届かなくても「自分のせい」とは思わない

親を囲い込まれた状況は、子にとって大きなストレスです。しかし、手紙という形で思いを表すことは、親への愛情を示すと同時に、自分自身の心の支えにもなります。

 

親は家族みんなのもの。あきらめず、冷静に、そして証拠を残しながら「つながり」を模索していきましょう。

 

 

 

 

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