高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
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31.施設職員への伝え方──冷静に事実だけを伝えるには?
親の面会が急に制限された、連絡が一方的に遮断された──そんなとき、感情が高ぶるのは当然です。
けれども、介護施設の職員は「安全」と「公平」を守る立場にあり、感情的な訴えよりも、整理された“事実”と“具体的な要望”に最も反応します。
本稿では、公認会計士・税理士であり「高齢親の囲い込み解消」を支援する立場から、わかりやすく誰でも実践できる“伝え方の型”と文例を紹介します。
法律判断は弁護士に委ねるべき事項ですが、事実の伝達は誰にでもできます。ここを押さえるだけで、話し合いの進み方は大きく変わります。
1. 基本姿勢:施設は“敵”ではない
- 目的を明確にする(例:「面会の再開」「情報共有の改善」「連絡窓口の確認」)。
- 推測や評価は分ける。「書面上の表現=事実」「内面の仮説=自分用メモ」に切り分ける。
- 「私は…と認識しています」という一人称で述べる。他者の意図や性格づけは避ける。
- 非難より提案へ。「問題→影響→代替案」の順に話す。
2. 事前準備:5W1H+証拠
次の3点をA4一枚にまとめてから連絡すると、やり取りが一気にスムーズになります。
- 事実の時系列(When/Where/Who/What/How):
2025年7月10日 14時、施設受付で職員Aさんから「本日は面会不可」と言われた。
7月12日、家族LINEで兄Bから「今後は私を通して」と連絡。 - 裏づけ(写真・面会記録・LINEスクショ・施設からの通知など)。
- 要望の優先順位(第一:定期面会、第二:主治医からの情報共有、第三:緊急時の連絡体制)。
ポイントは、「誰が見ても同じ意味に読める短文」に分解することです。
3. 伝え方の“型”(三段ロジック)
- 事実:確認可能な出来事だけを書く。
- 影響:こちらに生じた実務的な不都合に限定する(不安・怒りは書かない)。
- 要望:期限・方法・代替案まで具体化する。
電話・窓口の一言テンプレ
- 「事実確認のお願いでお電話しました。7月10日と12日の出来事について、施設としての方針を教えてください。」
- 「面会の可否基準と手続を文書でいただけますか。可能であれば本日中にメールでお願いします。」
メール(書面)テンプレ
件名:面会手続の確認と今後の連絡方法について(○○様入所)
本文:
○○介護老人福祉施設 ご担当者様
入所者:田中○○(生年:19XX年)について、下記2点を確認させてください。
【事実】
・7/10 14:00 受付にて「本日は面会不可」との案内を受けました(担当:A様)。
・7/12 家族Bより「今後の連絡はBを通じて」との連絡がありました(LINE履歴あり)。
【影響】
・主治医の説明および服薬状況の把握が遅れています。
・緊急時の連絡経路が不明確です。
【要望】
1. 施設の面会基準(可否条件・時間帯・同席要否)を文書でご提示ください。
2. 医療・介護に関する情報共有の正式な窓口(氏名・連絡先)をご指定ください。
3. 代替案として、対面が難しい場合は「オンライン面会(15分・週1回)」を提案します。
回答期限:〇月〇日(〇曜)17:00までに、可能であればメール返信をお願いいたします。
差し支えなければ、私の連絡先を入所者の緊急連絡先に追記してください。
――――――――
氏名/続柄/電話/メール
※添付:面会記録(PDF)、LINE履歴(画像)
4. 「伝えないこと」を決める
- 推測(「兄が隠している」など)、人格評価、過去の恨みは書かない。
- 「脅し文句」(直ちに法的手段等)の乱発は逆効果。必要なら専門家に相談し、文面は中立表現に。
- 録音・録画の扱いは慎重に。記録はメモを基本とし、取り扱いは相手のプライバシーに十分配慮する。
5. 記録化と再確認で“誤解ゼロ”に
- 連絡ログを残す(日時/相手/要点/次のアクション)。
- 面談後は「本日の合意事項確認」メールを出す。
例:「本日、面会は水曜15時・15分・職員同席で試行、次回8/28に再評価、で一致しました。相違があればご指摘ください。」
6. 返事がない・進まないときの段取り
- 2~3営業日後にリマインド。
- 施設長・相談員へエスカレーション。
- 運営法人、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当へ「事実の共有と相談」。
- 医療・介護・法的な判断が絡む場合は、主治医・ケアマネ・弁護士に個別相談。ここから先は専門領域です。
7. 感情のケアは“別回路”で
怒りや悲しみを否定しない。ただし、感情は別ノートに書き出し、施設への連絡は事実と要望だけに分離する。第三者(信頼できる友人や支援者)に下書きを見てもらうのも有効です。
8. 最終チェックリスト(送信前30秒)
- 事実は日時・場所・人・行為で書かれているか。
- 影響は“実務的”か。感情語が混ざっていないか。
- 要望は期限・方法・代替案まであるか。
- 名指しの非難・推測・脅し文句を入れていないか。
- 返信先と連絡可能時間を明記したか。
- 添付資料のタイトルが分かりやすいか。
まとめ
「冷静に事実だけを伝える」とは、感情を押し殺すことではありません。事実と感情を切り分け、相手が判断できる材料(基準・記録・代替案)を添えて差し出すことです。施設職員は、明確な情報と具体的な提案を歓迎します。
今日からテンプレを使い、三段ロジックで一通送ってみてください。
小さな一歩が、面会再開と信頼回復の大きな一歩になります
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(期間: 2025/7/17~2025/8/16)
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2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~
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