高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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31.施設職員への伝え方──冷静に事実だけを伝えるには?

 

親の面会が急に制限された、連絡が一方的に遮断された──そんなとき、感情が高ぶるのは当然です。

 

けれども、介護施設の職員は「安全」と「公平」を守る立場にあり、感情的な訴えよりも、整理された“事実”と“具体的な要望”に最も反応します。

 

本稿では、公認会計士・税理士であり「高齢親の囲い込み解消」を支援する立場から、わかりやすく誰でも実践できる“伝え方の型”と文例を紹介します。

法律判断は弁護士に委ねるべき事項ですが、事実の伝達は誰にでもできます。ここを押さえるだけで、話し合いの進み方は大きく変わります。

 

 

 

1. 基本姿勢:施設は“敵”ではない

  • 目的を明確にする(例:「面会の再開」「情報共有の改善」「連絡窓口の確認」)。
  • 推測や評価は分ける。「書面上の表現=事実」「内面の仮説=自分用メモ」に切り分ける。
  • 「私は…と認識しています」という一人称で述べる。他者の意図や性格づけは避ける。
  • 非難より提案へ。「問題→影響→代替案」の順に話す。

 

2. 事前準備:5W1H+証拠

 

次の3点をA4一枚にまとめてから連絡すると、やり取りが一気にスムーズになります。

  1. 事実の時系列(When/Where/Who/What/How):
     2025年7月10日 14時、施設受付で職員Aさんから「本日は面会不可」と言われた。
     7月12日、家族LINEで兄Bから「今後は私を通して」と連絡。
  2. 裏づけ(写真・面会記録・LINEスクショ・施設からの通知など)。
  3. 要望の優先順位(第一:定期面会、第二:主治医からの情報共有、第三:緊急時の連絡体制)。

ポイントは、「誰が見ても同じ意味に読める短文」に分解することです。

 

 

3. 伝え方の“型”(三段ロジック)

  1. 事実:確認可能な出来事だけを書く。
  2. 影響:こちらに生じた実務的な不都合に限定する(不安・怒りは書かない)。
  3. 要望:期限・方法・代替案まで具体化する。

 

電話・窓口の一言テンプレ

  • 「事実確認のお願いでお電話しました。7月10日と12日の出来事について、施設としての方針を教えてください。」
  • 「面会の可否基準と手続を文書でいただけますか。可能であれば本日中にメールでお願いします。」

 

メール(書面)テンプレ

件名:面会手続の確認と今後の連絡方法について(○○様入所)

本文:

○○介護老人福祉施設 ご担当者様

 

入所者:田中○○(生年:19XX年)について、下記2点を確認させてください。

 

【事実】

・7/10 14:00 受付にて「本日は面会不可」との案内を受けました(担当:A様)。

・7/12 家族Bより「今後の連絡はBを通じて」との連絡がありました(LINE履歴あり)。

 

【影響】

・主治医の説明および服薬状況の把握が遅れています。

・緊急時の連絡経路が不明確です。

 

【要望】

1. 施設の面会基準(可否条件・時間帯・同席要否)を文書でご提示ください。

2. 医療・介護に関する情報共有の正式な窓口(氏名・連絡先)をご指定ください。

3. 代替案として、対面が難しい場合は「オンライン面会(15分・週1回)」を提案します。

回答期限:〇月〇日(〇曜)17:00までに、可能であればメール返信をお願いいたします。

 

差し支えなければ、私の連絡先を入所者の緊急連絡先に追記してください。

――――――――

氏名/続柄/電話/メール

※添付:面会記録(PDF)、LINE履歴(画像)

 

 

 

4. 「伝えないこと」を決める

  • 推測(「兄が隠している」など)、人格評価、過去の恨みは書かない。
  • 「脅し文句」(直ちに法的手段等)の乱発は逆効果。必要なら専門家に相談し、文面は中立表現に。
  • 録音・録画の扱いは慎重に。記録はメモを基本とし、取り扱いは相手のプライバシーに十分配慮する。

 

5. 記録化と再確認で“誤解ゼロ”に

  • 連絡ログを残す(日時/相手/要点/次のアクション)。
  • 面談後は「本日の合意事項確認」メールを出す。
    例:「本日、面会は水曜15時・15分・職員同席で試行、次回8/28に再評価、で一致しました。相違があればご指摘ください。」

 

6. 返事がない・進まないときの段取り

  1. 2~3営業日後にリマインド。
  2. 施設長・相談員へエスカレーション。
  3. 運営法人、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当へ「事実の共有と相談」。
  4. 医療・介護・法的な判断が絡む場合は、主治医・ケアマネ・弁護士に個別相談。ここから先は専門領域です。

 

 

7. 感情のケアは“別回路”で

 

怒りや悲しみを否定しない。ただし、感情は別ノートに書き出し、施設への連絡は事実と要望だけに分離する。第三者(信頼できる友人や支援者)に下書きを見てもらうのも有効です。

 

8. 最終チェックリスト(送信前30秒)

  • 事実は日時・場所・人・行為で書かれているか。
  • 影響は“実務的”か。感情語が混ざっていないか。
  • 要望は期限・方法・代替案まであるか。
  • 名指しの非難・推測・脅し文句を入れていないか。
  • 返信先と連絡可能時間を明記したか。
  • 添付資料のタイトルが分かりやすいか。

 

まとめ

 

「冷静に事実だけを伝える」とは、感情を押し殺すことではありません。事実と感情を切り分け、相手が判断できる材料(基準・記録・代替案)を添えて差し出すことです。施設職員は、明確な情報と具体的な提案を歓迎します。

 

今日からテンプレを使い、三段ロジックで一通送ってみてください。

 

小さな一歩が、面会再開と信頼回復の大きな一歩になります

 

 

 

 

 

 

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