高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
自己紹介 ⇒ 白岩俊正について
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(期間: 2025/8/21~2025/9/19 ー 30日間)
71. 「親の声が聞きたいだけなのに」
「いま、元気?」——ただその一言を交わしたいだけなのに、電話はつながらず、LINEは既読にならず、施設の窓口では「ご家族の代表の方を通してください」と繰り返される。
あなたのその胸の痛みは、わがままでも執着でもありません。
家族としてまっとうな願いであり、心の安定を取り戻すための、ごく自然な欲求です。
専門家として多くのご相談を受けてきた立場からも、「声を聞きたい」は人が尊厳を保つうえで大切な“権利に近い感情”だとお伝えしたいのです。
ある女性(りかさん・仮名)は、数年来、母の声を電話越しに聞けていません。
母と同居するきょうだいが窓口を独占しているからです。
りかさんは責める言葉を重ねたくないので、毎月一回、短い留守電だけを残します。
「お母さん、今日は少し寒いね。足もと温かくしてる?」その五十秒に、季節の話題と「大好きだよ」をそっと忍ばせる。
折り返しはありません。
けれど、通話記録に“自分の声が母に届く道筋を残した”という手触りがあるとき、彼女はようやく眠れます。
それは報われない努力ではなく、愛情のかたちを自分の手に取り戻す行為です。
「声」は、記憶と安心をつなぐ糸です。
顔を見ることが叶わなくても、音の高低、間の取り方、ため息の混じり方——それらが一瞬で、長い年月に編まれた親子の履歴を呼び起こします。
だからこそ遮られると、人は「自分の居場所が消えていく」ような不安に襲われるのです。
怒りや罪悪感が波のように押し寄せるのは当然で、あなたが弱いからではありません。
心は、関係の音信で整うからです。
もう一人、健さん(仮名)の話を紹介します。
彼は父の入所する施設名を知っていますが、受付でいつも「本日のご面会は難しくて……」と立ち止められます。
ある日、施設の自販機の前で、健さんはスマホのメモに父への“声の手紙”を書きました。
「父さん、今日は青空だよ。いつもの散歩コース、彼岸花が咲いてた。今度、一緒に歩こう。」それを音読し、録音して自分のメールに送る。
届先は自分自身なのに、読み終えた瞬間、彼の表情は少し緩みました。
後日、ケアマネを介して数分の電話が実現したとき、父はこう言いました。
「お前の声は、胸に染みるね。」
実際には音源は渡っていませんでしたが、“声に出して言葉を整える”ことが、健さんの態度と言い回しを変え、交渉の空気を温かくしたのです。
「それでも、どうしても連絡が閉ざされる」——そんな夜のために、心がほどける小さな作法を三つだけ置いておきます。
まず、あなた専用の“声のノート”をつくること。
日付と天気、今日伝えたい一言を書いて、静かに音読して閉じる。
次に、施設や関係者へは短く中立的な言葉で伝えること。
「親の安否と今日の様子だけ、30秒で教えてください。感謝しています。」事実確認の枠を先に示すと、相手は動きやすくなります。
最後に、既読がつかない夜は深呼吸を三回してから、「明日また連絡するね」と自分に言うこと。
行動の約束は、不安の反芻を止めるブレーキになります。
あなたが願っているのは、支配でも、誰かをやり込めることでもありません。
季節の移ろいを、親の声と一緒に確かめたいだけ。
その当たり前の希望を、どうか疑わないでください。
もし誰かから「忙しい」「一括窓口だから」と遮られても、あなたが丁寧に書いた一通の手紙、穏やかな声かけ、誠実な確認のメールの積み重ねは、見えないところで必ず効いてきます。
周囲の人も、“責められている”と感じると硬くなりますが、“安心を共有したい”というメッセージには心が動きます。
そして、もしあなたがSNSで発信をしているなら、今日の投稿は立派な結論でなくてかまいません。
「母さん、今日は風が強いよ。洗濯物、室内に入れてね。」——その一行を世界に置くことで、同じ痛みを抱える見知らぬ誰かが、「自分も書いていいんだ」と思えます。
体験を“きれいにまとめない”誠実さは、フォロワーの心を守る灯になります。
発信が、あなたの焦りを鎮め、関係者への言葉を整えるリハーサルにもなるはずです。
「親の声が聞きたいだけなのに」。
この短い文章には、あなたが紡いできた人生の厚みが宿っています。
大げさに戦わなくていい。
ただ、今日もあなたの言葉を一つ、世界に、そしていつか必ず届く親御さんの心に向けて放ってください。
あなたの声が、あなた自身を支えます。
もしよかったら、最後に一行だけ、ここに書いてみてください。
「お父さん(お母さん)、——」。その続きは、あなたのやさしさが知っています。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
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ブログのご紹介
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2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~
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