高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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63 「あの子は親の介護をしてるから偉い」は本当か?

――介護を“競争”や“評価”にしないために――

 

こんにちは。
親の介護をめぐって、きょうだい同士の会話の中でよく出てくる言葉があります。

「あの子は親の介護をしてるから偉い」

 

一見、介護を担っているきょうだいをねぎらう言葉に聞こえます。
けれど、この一言がきょうだいの間に微妙な空気を生み、時には深い溝を作ってしまうことがあります。

 

今回は、この言葉の持つ意味と落とし穴、そして家族が互いに心をすり減らさないために大切にしたい視点をお伝えします。

 

 


1. 「偉い」という評価の裏にあるもの

 

「偉い」という言葉には、

  • 頑張りを認めたい気持ち
  • 罪悪感から自分を守るための言い訳
  • “優劣”をつけて安心したい心理

こうしたさまざまなニュアンスが含まれています。

つまり、「偉い」と言う側もまた、心のバランスを取るために発していることが多いのです。
 

決して悪意からではなくても、その言葉が受け取る人を追い詰めることがあります。

 


2. 介護をしている人が感じやすい孤独

 

介護の現場にいるきょうだいは、しばしば次のような思いを抱きます。

  • 「感謝されたいわけじゃないけど、“偉い”と言われると、かえって孤独になる」
     
  • 「偉いって言われても、実際は毎日疲れ果てている」
     
  • 「偉いと言われるたびに、“やめちゃいけない”と縛られる」

介護は長期戦です。称賛の言葉は一瞬の救いになる反面、重荷にもなります。

 


3. 介護をしていない人が感じやすい罪悪感

 

一方、介護から距離を置いているきょうだいは、

  • 「仕事や家庭の事情で関われない自分は冷たいのでは」
     
  • 「偉いと言われるあの子に比べて、自分はダメなんじゃないか」
     
  • 「関わるほど争いになりそうで避けているけど、本当は心配している」

と、自分を責めたり無力感に陥りやすいです。
この罪悪感が「関わりにくさ」を強め、結果としてますます介護を担う人と距離が広がってしまいます。

 


4. “偉い”を“ありがとう”に変える

 

大切なのは、評価ではなく感謝です。

  • 「偉いね」より「ありがとう」
  • 「すごいね」より「助かっているよ」

この小さな言い換えで、受け取る側の心の重さがぐっと変わります。

“偉い”は上下関係を生みますが、
“ありがとう”は横並びの関係を育てます。

 


5. 役割の違いを認め合う

 

介護の形は一人ひとり違います。

  • そばで体を支える人
  • 遠方から費用を分担する人
  • 定期的に連絡や情報整理をする人
  • 介護者の愚痴を聞き、心の支えになる人

どれも同じように大切な役割です。
直接介護をしていなくても、「見えない支え」もまた介護の一部

 

“偉いかどうか”ではなく、“どう支え合っているか”に目を向けることが、きょうだい関係を守る鍵になります。

 


6. 介護を「一人の責任」にしない工夫

  • 役割を細分化する
     買い物、病院付き添い、金銭管理など、具体的に担当を分ける。
     
  • 記録を共有する
     LINEやノートで「今日の様子」を短く共有するだけでも安心感が広がります。
     
  • 第三者を交える
     ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、きょうだい全員が同じ情報を得られるようにする。
     

これらの仕組みを整えることで、「誰か一人だけが偉い/大変」という構図を避けられます。

 

 


7. まとめ ― 偉さより、支え合いを

  • 「あの子は介護してるから偉い」という言葉は、ねぎらいでありつつも時に分断を生む
     
  • 介護する人は「偉い」の重圧で孤独になり、関わらない人は「偉い」との比較で罪悪感を抱きやすい
     
  • 評価より「ありがとう」を、比較より「役割の違い」を大切に
     
  • 仕組みを整えて“一人の責任”にしないことが、家族の関係を守る
     

もし今、あなたが「偉い」と言われて苦しいなら、その気持ちはとても自然です。


もしあなたが「偉い」と言ってしまったなら、それは相手を思う気持ちが言葉になっただけ。次は「ありがとう」「助かっているよ」と伝えてみてください。

 

介護は競争でも、評価の対象でもありません。
「みんなで親を支える」という物語の一部
その中で、あなたの役割はきっと欠かせない大切なものなのです。

 

 

 

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