4月の活動報告
どうも遊木です。
相変わらず月末にいろいろ溜め込んでいます。
夏休みの宿題は最終日に本気を出すのだ。
というわけで今月の活動報告です。
□制作関連
ネームしつつ、先月末からちまちま始めた制作スタイルの改新メモ……フローチャート(仮)?みたいなものを作っていました。
ネームは一旦区切りのところまで出来たので、この後の数日間でフローチャート(仮)を清書して、分かりやすい形にしたいと思います。
なんで今更そんなもん作ってんだって感じですが……。思っていた以上に専門知識を要する作品の扱いが難しい、その一点に尽きますね。
人生で散々関わってきた専門分野なら別でしょうが、今扱っているものはどうしてもお勉強寄りと言いますか、「自発的にインプットしようとしなければ得られない知識」がメインなので、面白いとは思いつつ、作品に落とし込めるまで自分の血肉になっていないなぁと。
以前までは、自身の漫画制作にフローチャート(仮)を用意する発想はまったくなかったというか、必要と感じたことがなかったので、「はぁああ…専門漫画ってこんなに難しいのね」ってなっています。改めて、医療漫画や歴史漫画描いている作家を尊敬しました。
□国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」
すごく久しぶりに国立西洋美術館に行ってきました。
展覧会の話を聞いたときから「え?西洋美術館が現代アート?」と驚きがあり、タイトルを知ったときには、逆説的なアイデンティティの確認みたいなものかな、と思いました。
実際に鑑賞して感じたのは、「藻掻いてるな」です。
前述のようなアイデンティティの言及的要素はあったものの、それが思っていたより自虐的というか、国立という立場の責任と不自由さに振り回されている感じがありました。
展示作品は興味深いものがあった一方、展覧会全体のキュレートは不慣れというか、「このテーマの現代アート展はどうするのが正解なのか」という考えに縛られている印象が強かったです。
それが特に顕著だったのが最終章です。章キャプションに「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―――この問いには結果として“Yes”とは答えづらいものがある。」と書いてしまっている。
正直、これを読んだとき「いや、そんなこと書く必要ないだろ」と思いました。「現代アート展で主催者側が答えを出すな」と。
個人的に現代アートの醍醐味って、「問いかけはした、あとはお前たちの好きにしろ」だと思うんですよ。その結果、鑑賞者が自分なりの答えを見つけたり、見つけられなかったり、考える価値がないと判断したり、“鑑賞したあとを委ねる”ことこそ、自由過ぎて決まった型のない現代アート唯一の型だと思うんです。
その点から、今回の展覧会は、主催者がまだ主催の立場ではなく、鑑賞する側から抜け出せていないと感じました。
国立西洋美術館という立場から現代アートに関わるなら、まずは自分達の血肉である所蔵作品、つまりは“西洋美術を使って現代アート展を開く”という段階を挟んだ方が、「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」という問いに、深みが出たような気がします。
まぁ素人なりの考えですが。
とは言いつつ、国立西洋美術館が現代アートに関わる決意をしたのは、アート界全体からすると大きな意味があると思います。
不慣れで、積み上げた実績が枷になりつつも、変化せずにはいられないという足掻きは、不格好である一方美しくもある。
というわけで、諸々の印象をまとめて「藻掻いてるな」でした。
□砕氷艦「しらせ」乗船
横浜には沢山の船が入港しますが、最近話題になったのは砕氷艦「しらせ」です。
山下ふ頭に入港した僅かな期間だけ乗船させてくれるということで、直接見る機会もあまりないだろうし、乗船する機会なんてもっとないだろうと思い行ってきました。
南極観測船というだけあって、氷の中を進む独自の機能や構造は、当然ですが客船とは全然違いますね。
以前海保の「さがみ」に乗船したことがありますが、そちらとは似ている部分がありました。
個人的に、格納庫からヘリを引っ張り出す機械が「タロ」と「ジロ」だったのがウケた。
流石南極観測船。
□花の季節
〇フラワーガーデン
赤レンガ倉庫広場で毎年開催されているものです。今年もお邪魔しました。
毎年、何かしらのテーマを設けて開催されるフラワーガーデンですが、今年は全体的にメルヘンで王道な「お花の世界」という感じでした。
〇花壇展
こちらも毎年山下公園で開催されているものです。
こちらは、ただお花を愛でるというよりは作品鑑賞なので、ひとつひとつコンセプトを読み取ったり造形を見るのが面白いです。
フリーレンがいたのには笑いました。これは狙ってるだろ。
他にも新港広場や街中でも様々な花が咲いていました。
この季節の横浜は華やかです。
□BankART Life7「Urban Nesting 再び都市に棲む」
恒例のBankART Lifeです。
トリエンナーレを鑑賞した後に、まとめで感想を書く予定なのでここでは簡単に。
一応メイン会場から、街中の作品まで鑑賞できるものは一通り見てきましたが、個人的に今回は良い意味で分かりやすく、質の高い作品が多かった印象です。
タイトルを“住む”ではなく“棲む”としている点と、“再び”としている点、二つの要素が上手く一環している展覧会で、現在の街を再び見つめ直したり、変わりゆくものに翻弄されたり、時には惜しんだり、多種多様なアプローチがあると感じる一方、マクロの視点で見渡すと、「街で生き続けることに向き合う」という一本の筋がしっかり見えます。
〇BankART Station
〇みなとみらい
〇ポートサイドエリア
〇伊勢崎
□「黄金町バザール2024—世界のすべてがアートでできているわけではない」
ミーティングの時間を使って、サークルメンバーで行ってきました。
個人的にタイトルの「世界のすべてがアートでできているわけではない」という文言がかなり興味深く、鑑賞を楽しみにしていました。
というのも私自身、かつて大学の課題で似たようなテーマのレポートを書いたことがあったからです。
せっかくなら、ということで展覧会に行く前に、PCの中から自分のレポートのデータを引っ張り出して内容を読み返しました。
レポートを書いたときから大分経っているので、思考の変化があってもおかしくありませんが、主張に知識不足と浅慮な部分はありつつも、根本の言い分は今も変わっていないように感じます。思っていたより確固たる意志が私の中にあるよう。
展覧会自体は相変わらず自由で、トリエンナーレやBankARTほど洗練されていない一方、生々しさが色濃く残る作品が多くて楽しかったです。
個人的には、展覧会挨拶に記載された文章が印象的でした。
アートと世界の関係について、「双方がひとつになることはなく、そこには教育的関係のみが存在しているのではないか」という解釈が、非常に私のイメージに近く、(と言ってもここまで上手い言葉が出て来なかったが)頭の中の霧がすっと晴れる感じがしました。
私は以前から、「社会がアートにすり寄ると失敗する」という考えがあったのですが、今までその理由は判然としませんでした。しかし、この文章を読んで「なるほど、媚びや過干渉が、教育的関係というクールな距離感を崩壊させているのか」と納得しました。
展示時期や時間帯の問題で、まだ全作品鑑賞出来ていないので、近い内に再びお邪魔したいと思います。
また新たな発見があったら、改めて感想を書くかもしれません。
□映画「オッペンハイマー」鑑賞
須々木氏も感想を書いているので、私も簡単に。
※※ネタバレ注意※※
第一印象は「難しい作品」です。
専門知識を容赦なくブッ混んでくる、時系列構成が複雑、登場人物が多い、歴史知識、理系知識が皆無の人は一瞬で置いて行かれる作品です。
そして一番の難しさは、オッペンハイマーをどう見るか、でしょう。
実はこの作品、作中で「オッペンハイマーはこういう考えだった」と明示される場面がほぼありません。安易に情報を捏造しないクリストファー・ノーランの拘りは、多方面への配慮と歴史へのリスペクトを感じますが、故に内容の難易度は上がっています。
「このとき、本当はどういう考えだったのか」が提示されない以上、鑑賞者は各自でそれを考えるしかない。
ただ、オッペンハイマーのこと、原爆のこと、戦争のこと、歴史のこと、そういう答えの出ない問題を、鑑賞者に考えさせることがこの映画の役割だと思うので、そういう意味では優れた作品であり、アカデミー賞を取るべき作品であったと思います。
原爆投下のシーン、その後の日本の様子を描かないこと、そういう構成が一部の反感を買っていたようですが、個人的には描かなくて正解だと感じました。
何故なら、オッペンハイマーは見ていないからです。原爆投下も、その後の長崎や広島の様子も。彼には報告という形で自身が作り出した兵器の威力と、日本の様子が伝わった。それがリアルであり、彼が見ていないものを描くのは作品のコンセプトからずれる。
この映画に何を思うのか、アメリカと日本で意見が分かれるのは必然。日本人だとしても、長崎、広島の方とそれ以外では違った意見を持つでしょう。
ただ、重要なのは思考を放棄しないこと。その一点を貫くことが、この映画、しいては戦争によって犠牲になった多くの人への敬意だと思いました。
□花見
久しぶりに根岸森林公園でサークル花見をしました。
天候の問題で予定日より遅れましたが、丁度桜吹雪にぶつかったので、満開とは違う乙な花見が出来ました。
今回は近年稀に見るネタが爆誕した花見だったので、エッセイ漫画を描きたいと思ってます。
いや、マジで盛らなくても漫画になるネタでしたよ。
今月はこんな感じでした。
インスタは公式アカを結構動かしてました。
よろしければそちらもどうぞ!
外出はまぁまぁしているのですが、展覧会鑑賞が多くてやや運動不足なので、5月はもう少し動き回りたいと思います。
aki