「速さ」の単元に入ります。ここ数年は「○○まで歩くとどのくらいかかるだろう。」という課題を設定して,それを解決するために必要な「情報」を実際に自分たちが歩いて調べる方法で導入してきました。「その一例はこちら」その目的は,速さを決定する要因である「時間」と「道のり」を示さずに自分たちで見つける活動を仕組むためです。ただ,「どのくらい」という言葉がすでに「時間」を示唆していますし,目的地までの距離はこちらから示すしかありませんでした。そこで,今回は,昔よくやっていた方法で導入します。
それはいきなり,「~が速い。」という言葉を考えるところからスタートします。子どもたちから一番に出てきたのは「足が速い」でした。これに対しては,
「先生は,足が長いと言われたことはよくあるけど(うそ!)足が速いというのはどういう意味ですか。」
と切り返し,「歩くのが速い」「走るのが速い」という「スピード」のイメージに高めておきます。それ以外にも,子どもたちからはたくさんの「速い」が出てきました。
「足が速い,というのなら手が速いと言ったらどんなことになるんですか。」
と投げかけました。これに対しては「すぐに暴力をふるう。」「字を書くのが速い」などとともに,「ボタンを押すのが速い」というような意味が出てきました。ゲーム機の操作をよくやる今の子どもたちの感性なのでしょう。
そこで,その速さを競ってみることにしました。比べ方として,
「10秒間に押せる回数」
という意見が出たのでそれを採用します。代表2名にまずやってもらって,速さを比較しました。同じ「10秒」で比べているので,押した回数が多いほうが勝ちです。
もう一人の児童にもやってもらいました。今度は(意図的に)15秒の回数を測ってしまいました。それを伝えると,「先生ちゃんとやってよ。」などの声が上がりますが,
「これでは比べられませんか。」
と尋ねると,できるというので考えてみることにしました。
「単位量あたり」を学習している子どもたちですので,ほとんどの児童が「1秒あたり」の回数を求めています。その考え方を「四ます関係表」を使ってきっちり抑え,同じ時間で比べていることを確認しました。
別の方法でやっている児童もいました。4倍や6倍をしてくらべています。この式だけを提示して,どういう意味なのかを話し合っていきます。この考え方は「60秒」にそろえようとしている考え方です。1分あたりの回数にしておけば,くらべることができます。これも「四ます関係表」できちんと整理しておきます。
4人目の児童にもやってもらい,4人の結果を比べることで,順位なども付けやすくなることが分かりました。
こうして,「手の速さ」は「時間」と「押す回数」が分かれば比べられることが分かりました。この後,隣同士などで秒数を変えて押し合い,速さ比べをしていきました。計算結果をクラス全体で共有していくと,22人の子どもたちの中で,一番速い児童なども分かってきました。このように表しておくことの便利さも実感できました。
『ノートにしゃべろう』のお題は,明日の学習である「足の速さ」を比べるための布石です。時間以外に,道のりなどの長さを指摘できるかどうか。歩数や50m走のイメージを綴るなど,様々な意見が出てきていました。